【2017年】研究コラム閲覧数ランキングTop 10
2017年もいろいろな科学ニュースがありましたね。本記事では、今年公開された「研究コラム」のなかから、特に閲覧数の多かった記事上位10本をご紹介いたします。
1. ゆりかごから墓場まで – 生物考古学が明らかにする江戸時代のあるおばあさんの一生
生物学や地球化学の手法を利用して、当時の人びとの生死、食性、健康状態、集団構造など、考古学や歴史学上の研究課題に答えようとする「生物考古学」分野の記事が堂々の第1位となりました。明石藩家老のおばあさん「ST61」の一生を同位体分析によって明らかにしたという研究についてご紹介いただいています。
2. 植物の種子は隣が何者か知っている – 種子による周辺環境の把握は想像以上に巧妙だった
オオバコの種子は、周囲環境における「同種の種子の遺伝的類似性」と「他種の存在」という2種類の異なる情報を統合して、発芽タイミングを変えているという研究成果について解説していただきました。種子による周辺状況の把握やコミュニケーションは、どのような手がかりを用いて達成されているのでしょうか?
3. マクロな「流れ」とミクロな「量子」の関係 – 曲がった空間の幾何学を用いて「流れ」を理解する
水やコーヒーなどの私たちの身近にありふれた「流体」。これらの身近な物質の「流れ」を、現代物理学が到達した極微の視点から眺めるとどのように理解できるのでしょうか? 一般読者にも研究の概要が理解できるよう、大変わかりやすくまとめていただいています。
4. 世界で最も小さいものが見える顕微鏡 – 「水のチェーン」の構造が明らかに
SPMという世界で最も小さいものが見える顕微鏡では、金属表面上に吸着した1つひとつの水分子を鮮明に見ることができます。こちらの研究では、水分子の5員環が1次元的に配列した構造である「水のチェーン」の様子をはっきりと捉えることができています。
5. なぜ昆虫は飛べるのか? – 蚊の特殊な飛行メカニズムが明らかに
昆虫のような特に小型の生物の飛行については、彼らが小さいこと、そして動きが非常に早いことが主な理由で、実はわかっていないことが非常に多いです。この記事では、「ハネの形状・運動を正確に再現したとしても、航空機の理論上は自重を支えるだけの空気力を発生することができない」というマルハナバチのパラドックスや、今回明らかになった蚊に特有の新しい空気力発生メカニズムについてご紹介いただきました。
6. 深海に住む悪魔のサメ「ミツクリザメ」- その驚きの捕食方法「パチンコ式摂餌」とは?
欧米では「goblin shark(悪魔のサメ)」の呼称で知られるミツクリザメ。今回明らかになったその捕食方法は驚くべきものでした。記事中で紹介されている「ミツクリザメの歌」も必聴です。
7. ヘビの胴体が長いメカニズムがわかった! – 脊椎動物の後ろ足の位置の多様性を生み出す仕組み
なぜ、動物種間で後ろ足の位置の違いが生まれるのでしょうか? GDF11というたったひとつの遺伝子から作られるタンパク質が、そのカギを握っているということが研究から明らかになりました。
8. 釣り人の写真は貴重な資料! – Web上の写真をもとに川魚ウグイの繁殖生態を明らかにする
ウグイは、いつ繁殖し、どのような婚姻色をもち、それらは地域ごとに違うのでしょうか? 従来は、複数年にわたる調査や人手によって野外データを得て分析する必要がありました。しかし、今回の研究では、Web上の写真を使うことでこの謎に迫りました。
9. 私たちの世界の複雑性はどのように説明されるのか? – 物質の根源「クォーク」に潜むカオス
クォークの発見から数十年。しかし、その運動の力学は未だ理解されていません。それは、運動の背後に潜む複雑性、カオスが原因になっているためだといいます。記事では、クォークの運動のカオスを測る指標の定式化に向けた最新の研究成果についてご紹介していただきました。
10. “ゴキブリ”にタネまきしてもらう植物「ギンリョウソウ」
ギンリョウソウというツツジ科植物が果肉を提供する見返りに「ゴキブリにタネを運んでもらい、まいてもらう」という、にわかには信じがたい共生関係が発見されました。人間には嫌がられているゴキブリも、ギンリョウソウにとってはかけがえのないパートナーなんですね……。
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次回は、2017年のインタビュー記事ランキングをご紹介いたします。お楽しみに!
この記事を書いた人
- academist journal編集部です。クラウドファンディングに関することやイベント情報などをお届けします。