今回は、2018年に公開された「研究コラム」のなかから、特に閲覧数の多かった記事上位10本をご紹介いたします!

 

1. ナメクジの出現を予測する!- 市民科学と最新統計の融合

ナメクジの出現を予測する!- 市民科学と最新統計の融合

北海道に移入したマダラコウラナメクジの分布状況について調査した研究成果に関するコラムです。記事中の下記の言葉がTwitter上で拡散されたことで、堂々の第1位となりました。

「私、ただの市民なんですけど、円山に年間400回くらい登っていまして。数年前から見たことないナメクジがいるなと思って、毎日、ナメクジの数を記録しているんです。何かに使えますかね?」

こうした一般市民の協力によって研究成果につながった「オープンサイエンス」の取り組みとしても非常に興味深い事例です。

2. ぶつぶつってなんでこんなにも気持ち悪いの!? – トライポフォビア研究のいま

ぶつぶつってなんでこんなにも気持ち悪いの!? – トライポフォビア研究のいま

カエルの卵や蜂の巣、蓮の花托など、丸い物体が集まっていてぶつぶつしているものに気持ち悪さを感じる「集合体恐怖(トライポフォビア)」。トライポフォビア研究は2013年に始まったばかりで、まだまだ謎が多い現象です。こちらの記事では、トライポフォビアにはきめの細かさに関する視覚的な特徴と皮膚病感染を避けようとして生じる嫌悪感が関わっていることを明らかにした成果について解説していただきました。

3. 「量子スピン液体」の神秘性 – 宇宙と物質のあいだにある不思議な対応関係とは

「量子スピン液体」の神秘性 – 宇宙と物質のあいだにある不思議な対応関係とは

「量子スピン液体」とはなんでしょうか? 液体と呼ばれている以上、何かがサラサラ、もしくは、ドロドロ流れているようなものでなくてはなりません。しかし、量子スピン液体の中には目で見ることのできる何かが流れているわけではありません。それどころか、顕微鏡ですら見ることができません。最新の研究内容も踏まえながら量子スピン液体についてわかりやすく解説されています。

4. なぜ「ファラデーの電磁誘導の法則」は2とおりの方法で導かれるのか?

なぜ「ファラデーの電磁誘導の法則」は2とおりの方法で導かれるのか?

磁場を時間変化させることで起電力が生まれる「ファラデーの電磁誘導の法則」を覚えていますか? 実はこの法則は、古典電磁気学では2つの異なる物理法則から成り立っています。高校物理の教科書において、誘導起電力は、ファラデーの電磁誘導の法則を使った方法とローレンツ力を使った方法の2とおりで導出されています。後者は荷電粒子の存在が必須ですが前者では必要なく、2つの機構における起電力生成はまったく別物です。それにも関わらず、両者とも同じ法則で表されるのです。なぜ、物理的に異なる機構から得られる起電力生成を、ひとつの法則にまとめることができるのでしょうか。

5. “車輪細胞”見つけた! – 魚類皮膚の細胞が移動する原動力とは

“車輪細胞”見つけた! – 魚類皮膚の細胞が移動する原動力とは

同じ距離を同じ時間をかけて自転車で移動するのとランニングで移動するのを比べたとき、自転車で移動したほうがはるかに楽なことからも、「車輪」という移動装置がいかにエネルギー効率の高いものであるかわかります。しかし、回転運動する器官は生体内に存在するものの、車輪そのものを器官として持ち、その器官を使って移動する生物はいまだ発見されていません。この記事では、生命が車輪を利用して移動することを世界で初めて示した研究について紹介していただきました。

6. 「ドレミファソラシ」は虹の七色? – 音を聞くと色を感じる現象に迫る

「ドレミファソラシ」は虹の七色? – 音を聞くと色を感じる現象に迫る

F.リスト、N.リムスキー=コルサコフ、J.シベリウス、エドワード・ヴァン・ヘイレン、佐渡裕など、音や音楽を聞くと色を感じる「共感覚」を持つ人がいます。共感覚の特徴として、色の感覚には個人差が大きいことが知られていますが、音と色の対応には、何の規則もないのでしょうか。研究では、15名というこれまでにない多くの共感覚者を集めて、音と色の関係を詳細に調べました。

7. なぜ哺乳類と鳥類は大きな脳を進化させることができたのか? – ビッグデータが解明する脳サイズ進化の謎

なぜ哺乳類と鳥類は大きな脳を進化させることができたのか? – ビッグデータが解明する脳サイズ進化の謎

ヒトを含む哺乳類と鳥類は、同じ大きさの魚類や両生類と比べておよそ10倍~20倍大きな脳を持っています。哺乳類と鳥類のなかに高い学習能力や社会性を持つ動物が多く見られるのは、このように大きな脳を持っていることと関係しています。こうした体のわりに脳が大きく進化する「大脳化」はなぜ、哺乳類と鳥類のみに起こったのでしょうか?

8. 日本で発見された新種の珍渦虫「Xenoturbella japonica」 – 謎多き海生生物の研究を進めるために

日本で発見された新種の珍渦虫「Xenoturbella japonica」 – 謎多き海生生物の研究を進めるために

珍渦虫(ちんうずむし)は海底にすむ海産無脊椎動物で、脳などの中枢神経系、眼、肛門、循環器官、生殖器官を持たない構造をしています。今回、日本において初めて珍渦虫が発見されました。日本近海はこれまでに幾度となく生物相の調査が行われており、地球上でもっとも調査の進んでいる海域と言えます。そのような海域で、なぜこれまで5cmもの大きさのある、肉眼で簡単に観察できる動物が発見されていなかったのでしょうか?

9. 雷が雲の中に隠れた天然の加速器を破壊した!? – 放射線・大気電場・電波観測で挑む高エネルギー大気物理学

雷が雲の中に隠れた天然の加速器を破壊した!? – 放射線・大気電場・電波観測で挑む高エネルギー大気物理学

自然界には「天然の加速器」とも呼ぶべきものが存在します。それは、雷と雷雲です。この記事では、冬の日本海沿岸での調査を通して、雷雲中に発達した電場加速機構が雷放電によって破壊される様子を観測することに成功した成果についてご紹介いただきました。

10. 歳をとると面の皮が厚くなる? – 17型コラーゲンと表皮のお話

歳をとると面の皮が厚くなる? – 17型コラーゲンと表皮のお話

皮膚の表層にある表皮は、外界とのバリア機能を担っています。表皮が厚くなりすぎたり薄くなりすぎたりするとバリア機能が損なわれますが、表皮の厚さがどのように調節されるのかや、老化に伴って表皮がどう変化するのかについてはこれまであまりよくわかっていませんでした。この記事では、表皮の厚さや増殖が17型コラーゲンによって調節される現象と、その仕組みを明らかにした研究について、「レンガ造りの家」の例えを使ってわかりやすく解説されています。

* * *

2019年も引き続き、さまざまな分野の研究コラムを掲載していきますのでお楽しみに! また、研究者のみなさんからの寄稿も受け付けております。新しい研究成果や論文の内容をacademist Journalの研究コラムとして紹介してみませんか? ご興味のある方はお問い合わせフォームよりご連絡ください。