アカデミストは2018年12月8日(土)、リアルクラウドファンディングイベント「academist PRIZE vol.3」をアカデミストの新オフィスInspired.Labにて開催しました。3回目となる今回はこれまで研究者と大学院生に限定していた対象者を一般の方にまで広げ、当日は多様なバックグラウンドを持った約30名の方々にお越しいただきました。

academist PRIZE vol.3のテーマは「あなたの推しケンキュウシャをその場で支援」。イベント会場では自身の研究をアピールする研究者は「チャレンジャー」、その他の参加者は「サポーター」になりきります。チャレンジャーは「1分ピッチ」と「ポスターセッション」の2つのアクティビティを通して自身の研究の魅力を発信し、サポーターにはそれらを聞いて最後に応援したい! と思った研究者、いわば「推しケンキュウシャ」をひとり選んで支援してもらいます。Web上のクラウドファンディングを実際の空間で体験できてしまうイベントです。

今回は、専門分野の異なる総勢10名の方にチャレンジャーとして登壇していただきました。限られた時間内で、多様なバックグラウンドを持ったサポーターの方の心をいかにつかめるかが鍵となります。

1分ピッチで怒涛の研究紹介!

チャレンジャーの方々は、まずはじめに1分で自身の研究の魅力をプレゼンする1分ピッチを行いました。1分で研究を発表するというほかにはない機会にも関わらず、自分の研究のおもしろさを的確かつアツく語っている姿が印象的でした。

「『自己責任』ディスコースから切り込む日本の空気感と公共性」青山さん
「テンプラ博士の教える“新種発見のすゝめ”」泉さん
「アマゾンの大型水生ほ乳類マナティー 保護した赤ちゃんを再び自然へ戻す」菊池さん
「軟骨再生医療への応用を目的とした 組織再生足場材料の開発」山口さん

ポスターセッションで白熱した議論!

1分ピッチが終わったら、続いてポスターセッションに移ります。10名のチャレンジャーは1回あたり8分のセッションでA4×4枚のポスターを用いて自身の研究についてアピールします。サポーターは飲みものを片手に順にチャレンジャーの発表を聞き、質疑応答を行います。研究で利用する機材を持ってきてサポーターに実際に手にとってもらえるようにしたり、研究のイメージが湧きやすくなるよう写真を多用したポスターをつくったりなど、チャレンジャーもたくさんの工夫をしていました。

「海の量を決めたもの 〜陸地があり、生物がいる、この地球(ほし)の環境は必然か〜」田川さん
「クラウドファンディングによる ナノマシン開発および疾患治療への展開」宮崎さん
「イラン革命のイデオローグ ”アリー・シャリーアティー”の思想を紐解く!」村山さん
「戦時期の実践から探る 日本の”ドキュメンタリー”の起源」森田さん
「音響ベッセルビームを用いたアプリケーション」中島さん

いよいよ推しケンキュウシャを決めるとき……!

ポスターセッションが終わると、いよいよサポーターが「推しケンキュウシャ」をひとり決めて、コメントカードを渡す時間です。サポーターには推しケンキュウシャをひとり選んでもらい、このコメントカードに応援コメントを書いて手渡ししてもらいます。チャレンジャーの方にはいただいたコメントカードの枚数に応じて、後日アカデミストから「支援金」をお渡ししました。カードを交換するなかでもサポーターとチャレンジャーのあいだに交流が生まれていました。

今回利用したコメントカード。academistのWebサイトをイメージした青と白のものを利用しました。
「印刷紙ロボットの研究 “ペーパーメカトロニクス”」重宗さん

受賞者は..…?

コメントカードを渡し終わったら、最後にクロージングです。今回は1分ピッチで優れたプレゼンを行ったチャレンジャーを表彰する「ベストプレゼンター賞」とSNSでの発信などで積極的にイベントを盛り上げてくれたサポーターを表彰する「ベストサポーター賞」を用意しました。選定はアカデミストスタッフで行いました。

ベストプレゼンター賞を受賞したのは、東京大学の泉貴人さん。1分という短い時間のなかで分類学の過去・今・未来を見事に凝縮してみせたプレゼンが高評価でした。

ベストプレゼンター賞を受賞した東京大学・泉貴人さん(写真左)

ベストサポーター賞を受賞したのは、論文Youtuberのいさおさんです。普段からYoutubeやTwitterなどで発信していることもあり、SNSでの発信力がピカイチでした。

ベストサポーター賞を受賞した論文Youtuberのいさおさん(写真左)

受賞した2人にはacademist運営メンバーの月額課金型のプロジェクトのリターンである「academistオンラインコミュニティ参加券」が送られました。オンラインコミュニティでは学術業界の課題や未来について受賞したお二人と一緒に議論を深めていきます。

以上、「academist PRIZE vol.3」の当日の様子をお伝えしました。このイベントを通して、研究者と研究を支援する方との交流が深まり、さらに学術界を盛り上げていくコミュニティの活性化につながれば幸いです。

今後もアカデミストでは定期的に同様のイベントを開催していきます。みなさんのご参加をお待ちしております!

この記事を書いた人

荒井俊
荒井俊
東京大学大学院学際情報学府修士課程。学部では1年次から哲学の原書テクストを精読するゼミに参加し鍛えられ、ベルクソン哲学で卒論を執筆。現在は人文社会科学がどこから来てどこへ向かうのかについて関心があり、特にそれと社会との交差点であるメディアに照準を定めて研究を進めている。