オンラインの魅力を詰め込んだイベント開催!

今月4/26、academist Prize3期生を交えたオンラインイベントが開催されました!テーマは「AI協働時代に研究者はどう生きるか」。オンラインならではのSNSでのリアクション、コメントなどの交流が活発に行われ、オフラインと変わらぬ熱量を肌に感じるイベントとなりました。研究の自動化に向けた動きが活発化するなか、参加者は誰もが自分ごととしてAIと共にある自分たちの未来の姿に思いを馳せる場となりました。今回はその様子をレポートいたします!今回のイベントについてはこちらから全編ご視聴いただくこともできます!

議論百出のパネルディスカッション

まず先陣を切ったのは、一杉さんと丸山さんによるパネルディスカッションです。東京大学大学院理学系研究科の一杉さんと、AI Alignment Networkの丸山さんとの議論は、AIに対する視点の多様性を参加者の皆さんに提示するに十分な濃密なものでした。一杉さんの提示するAIの「研究を楽しくする」という役割をスタートに、人が関わるなかで譲れない点や2030年の未来について、さまざまな可能性が検討されました。議論のなかでまず一貫していたことは、人の担うべき役割は一層拡大していくだろう、ということです。AIの担う領域の拡大にも触れつつ、予想外の結果への対応や分野間の交流、民主化した研究といった今回提示された研究の未来像において人の役割は不可欠です。参加者のリアクション、質疑も交え議論は非常に闊達なものとなり、AIを活用した研究の可能性は、研究の目的、モチベーション、在り方そのものの幅広さを示しているようでした。さまざまな領域で、あくまで前向きに、そして垣根を超えて柔軟に対応していくことの重要性が確認されました。

ピッチを通して見える、AIへの一人ひとりの応答

続いては、今回のテーマ「AI協働時代に研究者はどう生きるか」について、academist Prize3期生それぞれからショートピッチが行われました。彼らは現在進行中でクラウドファンディングに挑戦中です。今回のピッチでは一人ひとりの実感に迫ったAIへの反応が印象的であり、テーマをより深堀るきっかけとなりました。それと同時に、クラウドファンディングの挑戦者の皆さんについて深く知るきっかけにもなったといえるでしょう!

石崎一輝さん

石崎さんからは材料科学の視点からAI活用とそこからの可能性について触れられました。自身の自律的な研究システムにおいてAIを導入する試みを紹介する一方で、より一般的な、研究者としての役割の変化について言及し、AI普及の時代で研究者が垣根を超え広く活動することの重要性を訴えました。

大道麻由さん

大道さんの研究する「対話によって人の居場所をつくるロボット」はまさにAI活用のひとつの実践でもあります。大道さん自身の居場所についての考え方も紹介されました。そのなかで訴えられた、人間らしいロボットを創ることで人間について理解し、さらには人間の居場所についての理解も深まるという可能性は参加者にとって新しく、示唆に富むものであったといえます。

白砂大さん

白砂さんは認知科学という立場から「HumanとAI」の橋渡しをテーマとしてピッチを行われました。最初に提示された「AIが進歩するなかで、人の認知モデルを考える意義とは」という問いは非常に深いものでした。クイズを切り口とした人とAIの双方を良く知り考えることの必要性、という思索はユニークかつAIに触れる誰もが肌身に感じるものだったのではないでしょうか。

櫃割仁平さん

櫃割さんはAIに触れたことで研究者として最初に抱えたという悩みを語りました。そしてその一方で、人ゆえにできる「尖る」という可能性を挙げました。それは、一見「役に立つの?」ということが人間特有のこととしてできるのではないかという可能性の提示です。また、人だからできる交流などの可能性も挙げ、同様に悩みを抱える研究者にとって少なからず影響を与えるピッチとなりました。

梅谷凌平さん

AI4Scienceについて、梅谷さんからは独自の視点からの展望を述べられました。批判的な考察も込めつつ、人間特有の「協力」という着眼点から、社会システムの見地でどのような未来があるか、ということを触れられました。その研究スタンスにはAIはあくまでひとつの作用する要素として関心がある、というAIに向けられる関心のベクトルの多様性も示すピッチだったといえます。

待井長敏さん

待井さんは異分野交流という視点からAI活用の可能性を述べました。待井さんの述べる異分野交流とは、研究における多様な分野での異質な他者の交流を実現するものです。双方のテーマに関わるトリガーを提供する役割をAIに担わせる、という独自のファシリテーションとしての活用法を提示し、多くの研究者にとってよりプラスになる未来を提示しました。

菅原薫仁さん

菅原さんは歴史学×AIをテーマにピッチを行いました。菅原さんは記憶を記録し、それをリブートする研究を行っています。AIを活用した、「自ら語る史料」が史料形態を拡大し、失われつつある語りをもすくい上げることができると語りました。菅原さん自身の体験に基づくモチベーションは広く参加者に共有されるものでした。また、菅原さん自身もAIと協働する研究者として積極的に活動形態を広げていく姿勢についても語られました。

熱量冷めやらぬまま、第一部閉会へ

ショートピッチを経て、参加者の皆さんの熱量もzoomのコメントも止まぬなか、講評とアカデミスト柴藤によるまとめにより第一部は閉会へと向かっていきました。このライブ感と盛り上がりはオンラインイベント特有のものに感じます。質問の活発さや、AIへの関心の在り方も研究者によって大きく異なることが今回のイベントの興味深い点として特にフォーカスされましたが、実際にイベント中にも支援者が加わっていたことがその熱量を象徴する出来事ともいえます。参加者一人ひとりにとって、不透明な未来を考えるために想像力を広げ、確かな道標となるイベントとなりました。

第二部 – メタバースでの研究者との自由な交流

今回のイベントはこのピッチだけでは終わりません。懇親会として、今回ピッチをした研究者一人ひとりのメタバース研究室が作られ、参加者はアバターの姿で自由に出入りし交流することができました。


メタバース研究室には一人ひとりの研究者のこだわりが詰め込まれ、単なる交流にとどまらず体験型のプロダクトが用意されていたり、さまざまなディープな情報交換がなされたり、思い思いの質疑がされたりと充実の時間となりました。

オフラインでは体験できない、研究者をより深く知ることのできる場としてメタバース研究室はとても大きなポテンシャルを秘めています。今回のイベントではさまざまな形で、色々な角度から「AI協働時代に研究者はどう生きるか」というテーマを掘り下げていきました。今回魅力溢れる未来像、研究の在り方を示してくれた研究者がクラウドファンディングに挑戦中のプロジェクトはこちら!皆さまもこれからの研究のビジョンを作る輪に加わってみませんか?引き続き、academist Prize 3期生の活躍にご期待ください!