今回は、2023年5月24日に開催された「academist Prize 第2期 企業賞発表イベント」についてレポートいたします!このイベントのテーマは「若手研究者と考える『基礎研究の社会実装』」でした。イベントでは、企業賞としてビッドマイスター賞と日本の研究.com賞の発表が行われました。また、聴講者にも投票権が与えられており、最も心惹かれた研究に投票し、選考に影響を与えることができました。このイベントは最後まで大盛況で、参加者の皆さんも熱心に聴き入り、若手研究者たちの研究活動に関心を寄せていました。若手研究者と企業の交流の場としても機能し、将来の基礎研究の社会実装に向けた有意義な対話が行われました。

社会実装に挑む研究者の熱意あふれる講演!

まずは基礎研究の社会実装に実際に挑む3名の博士起業家による講演です。実際に挑戦する中でのさまざまな学びや直面してきた課題、社会実装に必要な研究者の姿勢などを学ぶことのできる機会でした。同時に、その目標への熱量の大きさに突き動かされた参加者も多かったのではないでしょうか。

岡島礼奈さん(株式会社ALE)
人工的に流れ星を作る会社を経営している岡島さん。科学を社会につなぐ活動としてこの事業に取り組んでいます。さらに、大気のデータに関する事業も展開しています。講演では、「エンターテイメントで終わりたくない」と強調しました。目標はエンターテイメントだけで終わらせず、多くの人々が関わり、ビジネスと科学が絡み合いながら発展していく形を作り出すことです。科学を楽しむだけでなく、その先まで見据えた姿勢の重要性を感じる講演でした。

吉田 幸司さん(クロス・フィロソフィーズ株式会社)
哲学の視点からコンサルティングに挑む吉田さん。研究をより現実世界との関わりの中で深めるために、新しい哲学の活路を模索したいと考えたそうです。現在の厳しい状況において、様々な取組やワークショップを通じて実践を行い、課題の解決が望ましい方向に向かう伴奏を探求してきました。さまざまな評価を通じて、実践と理論が連動し、具体的な成果を生み出す形を模索しています。

早船 真広さん(株式会社ユーブローム)
早船さんの講演では、肌フローラカルテという検査サービスを中心とした事業展開に取り組んでいることが紹介されました。彼はスキンケア事業に取り組む中で、研究成果を活かし、消費者の行動がより良い形になるようなサービスを考えていることを述べました。「とりあえずやってみよう」というマインドの強さが伺える講演でした。

実践的で、前向きなパネルディスカッション

パネルディスカッションでは、各起業家が自身の経緯について話し、研究だけでなく社会の観点から考え続けてきたことが伝わりました。研究の世界に留まらず、社会とのつながりを持つことで自身の活動を支えていることが述べられました。また、輪が広がっていく意義やそれによって起こることについても議論されました。周囲の反応はさまざまですが、社会とのつながりを持つことで研究者の活動が支えられることが実感されます。何より、パネルディスカッションで話された言葉には、一人ひとりの活動を突き動かす原動力となる「世の中をポジティブに変えていきたい」というエネルギーが感じられました。これからの世界でこのようなエネルギーが増えていくことへの期待と、その重要性を感じることができる貴重なパネルディスカッションでした。

熱意あふれるポスター発表

過去最大規模のイベントということもあり、ポスター発表は大盛況でした!参加者は自身の取り組みと発表者の共通点や共感する部分を見つけ、研究者と一緒に考える貴重な時間を過ごしました。ポスター発表では、まさしく研究と社会との相互のコミュニケーションが実現しました。発表者たちは一つひとつの発表を実況でオンライン参加者に伝え、オフラインとオンラインの両方で盛り上がりました。最後には、時間が惜しまれながらも結果発表へと進んでいきました。また、同時にオンライン上での発表も行われました。

オンライン発表:原さん
原さんは、様々な学問分野を通じて自身の視点から切り開く活動をされています。輪を広げる中で、研究テーマとしているミミズについても今後の活動を深める予定です。原さんの活動からは、自身の原点から輪を広げていく可能性の広さを感じることができました。

オンライン発表:河口さん
河口さんは、半年間にわたる在宅ケアと暮らしの調査に取り組んでいます。河口さんは様々なクラウドファンディングのプロジェクトを活用しながら、「暮らすだけで自然と健康になる社会」の実現を目指して着実に進んでいる意思が伝わってきました。

オンライン発表:坂本さん
坂本さんは、脱石油の薬品製造プロセスに取り組んでいます。また、ビジネスコンテストにも積極的に参加し、受賞するなどアウトリーチ活動にも力を入れています。坂本さんの研究と研究の発信の両方に熱量が感じられました。

緊張の結果発表!

熱量冷めやらぬまま、企業賞、そしてオーディエンス賞の発表に移りました。ビットマイスター賞には高木さん(「研究の最適化へ向けた人口研究者の実現を目指す」)が選ばれました。高木さんのアグレッシブな活動から、研究の今後の可能性が評価されたことが伝えられました。さらに、日本の研究.com 賞には中野さん(「『日の丸半導体』復活へ!究極の単分子で世界を変える!)が選ばれました。中野さんの既存の技術を代替していく期待と、参加者にもわかりやすいアプローチの仕方が評価されたとのことです。また、オーディエンス賞には中野さんと石坂さんが受賞されました。受賞後のお話で、今後の研究をより一層力強く進めていく意思と具体的な方向性について述べられました。皆さんの受賞は、期待の持てる納得の結果と言えるでしょう!

閉幕と、アカデミストのこれから

結果発表を終え、満足感に満ちた会場の閉幕となりました。参加者の皆さまが一貫して研究について共に考える充実した時間を過ごされました。閉幕後は懇親会に移り、みなさんとの交流も深められました。アカデミスト代表柴藤が最後に言及したように、開かれたアカデミアを作っていく中で、一人ひとりが新鮮な気持ちで未知の世界に向き合い、輪を広げて前進していく姿勢を持つことが重要であることが再確認されました。研究者の皆様、企業の皆様、参加者の皆さま、皆さんが一体となって大盛況の時間を作り上げたことに感謝が尽きません。また、閉幕の場でacademist Prize第3期の開催が発表されました!新たなテーマによるイベントや、2期生の皆さんの活躍にも期待が高まります。2期生の皆さんのご活躍が見られるサイトはこちらからご覧いただけます。今後もさまざまな形で、開かれた学術業界の実現に共に取り組めることを楽しみにしております。どうぞ、アカデミストのこれからにご期待ください!