昨年に引き続き、世界の学術系クラウドファンディングTOP5をご紹介します。プロジェクト数が多いサービスを順番に取り上げたランキングです。

第1位:Experiment@アメリカ(1799プロジェクト)

毎年ダントツ1位のExperimentですが、2017年のプロジェクト増加数は155件(2016年:850件)、支援総額は約5500万円(2016年:約3億円)と、ペースが落ちています。おそらく何かしらの新規事業を準備しているはず……。ちなみに2015年に女性研究者向けの学術系クラウドファンディングを手がけていた「INSTRUMENTL」は、研究者に対する研究費コンサルティングサービスを展開しています。

第2位:Pozible@オーストラリア(141プロジェクト)

昨年と変わらず、オーストラリアのPozible. 学術系ではないのですが、研究カテゴリが設置されているめずらしいクラウドファンディングサイトです。研究カテゴリに限ると、ここ1ヶ月ほど更新されていません。サービス全体としては、株式投資型クラウドファンディングや個人のクラウドファンディングサイトを作れる仕組みも実装されているなど、運営側として参考になるところが多くあります。

第3位:Sciencestarter@ドイツ(123プロジェクト)

第3位も昨年と同様、ドイツのSciencestarter。着々とプロジェクトが増えており、来年には第2位に浮上する勢いです。研究だけではなく教育関連のプロジェクトも動いています。これまでの支援総額は約8,000万円。ちなみにSciencestarterはStartnextというプラットフォームを利用しています。Startnextはドイツ、オーストリア、スイスのメンバーで運営されていて、全体の支援総額は約70億円と巨大なプラットフォームとして成長を続けています。

第4位:academist@日本(55プロジェクト)

昨年のランキング記事では、「来年はSciencestarterを追い抜く」と豪語していたものの、逆に差が広がり……昨年同様の第4位。今年は大型プロジェクトのサクセスもあったため、支援総額だけを見れば、Sciencestarterと並びました。2018年は100プロジェクトを目指します。現在稼働中のプロジェクトもぜひご注目ください!

第5位:CROWDSCIENCE@イギリス(35プロジェクト)

イギリスの「WALACEA」が名前を変えて復帰。1件辺りの単価は大きく、支援総額は1億円強あるみたいです。こちらのような医療系のプロジェクトは引きが強いですね。

ランキングは以上です。オーストラリアにもFund Scienceというサービスがあったのですが、現在は稼働していない模様です。来年以降は、中国、韓国、東南アジア諸国でも研究者のためのクラウドファンディングサービスが動き出すかもしれません。抜けがありましたら、ぜひご連絡ください!

この記事を書いた人

柴藤 亮介
柴藤 亮介
アカデミスト株式会社代表取締役。2013年3月に首都大学東京博士後期課程を単位取得退学。研究アイデアや魅力を共有することで、資金や人材、情報を集め、研究が発展する世界観を実現するために、2014年4月に日本初の学術系クラウドファンディングサイト「academist」をリリースした。大学院時代は、原子核理論研究室に在籍して、極低温原子気体を用いた量子多体問題の研究に取り組んだ。