若手研究者の「原点とビジョン」とは – academist Prize 第2期 アカデミスト賞発表イベント開催レポート
今回は2023年2月27日に実施された、若手研究者の「原点とビジョン」をテーマにした「academist Prize 第2期 アカデミスト賞発表イベント」の様子についてレポートいたします!
こちらのイベントはオンラインとオフラインの参加者が一体となり、盛りだくさんの内容と大変な熱量で開催されました。内容は5部構成で、まず研究者イチオシの書籍を紹介するビブリオバトル、「academist Prize」 2期生による60秒のピッチコンテスト、そして2期生を含む若手研究者のポスター発表をはさみ、さらに日本の研究.comを運営する株式会社バイオインパクト様による特別企画、最後に結果発表という流れで行われました。
開幕から惹き込まれる、個性溢れるビブリオバトルとピッチコンテスト!
会場の期待が高まる中、まず口火を切ったのは60秒のビブリオバトルです。参加者と登壇者の距離が近く一体感のある素敵な会場の中で、皆さん開幕から一気にスピーチに惹きつけられました。それほど一人ひとりの個性の光る内容でした。書籍そのものの魅力もさることながら、特に印象的なのは登壇者の方々の書籍への思い入れの強さです。今回のビブリオバトルは参加者の拍手の音圧レベルにより勝敗が決まるという方式で、皆さんが一体となって会場を盛り上げました。「読みたい!」と心を打たれた書籍は少なくなかったのではないでしょうか。
そんな熱量が冷めやらぬなかでも、続くイベントの主役、「academist Prize チャレンジャー」2期生によるピッチコンテストが始まると空気は一気に緊張感を帯びました。この企画は若手研究者12名が「原点とビジョン」について語るものです。会場一人ひとりの投票により今日の「ベストパフォーマンス賞」の受賞が決まります。このコンテストでは短い中でも圧倒される熱量、完成されたパフォーマンスに加え、原点を掘り下げる中で研究者自身の魅力に惹きつけられるものがありました。また、このピッチコンテストの特徴として、「素材の力で未来を作る」、「脱石油の医薬品製造」、「世界最短の詩、俳句を通して美しさの多様性と核心を解き明かしたい」など多岐にわたることがあります。それぞれの分野での魅力と、力強いこれからへの意志が感じられました。また、そんな多様な分野の中でもチャレンジャーの熱量やしっかりとした将来のビジョンといった点は共通しており、会場の皆さんも学ぶこと、刺激を得ることの多い時間となりました。
若手研究者たちのポスター発表
研究ピッチの後は、チャレンジャーと若手研究者たちによるポスター発表です。思い思いの形で参加者とのあいだで積極的に交流が行われました。ピッチコンテストにより「こんな研究者の皆さんと話したい」という思いがあふれたのか、交流のあいだも、ビブリオバトル、研究ピッチの熱量が冷めることはありませんでした。チャレンジャーの皆さんもピッチコンテストでは語り足りない自分の研究への思いを話されており、お互いの研究やプロジェクトへの思いといった直接的な交流でしか共有できないものを積極的に交わし、大いに盛り上がる様子でした。また、映像での中継がと交流が行われ、オンライン参加の方々もこの盛況が共有される時間となりました。そしてあっという間に時間が過ぎ、ポスター発表が終わる頃にはオンラインとオフラインに関わりなく一体感と和やかさががありました。
特別講演「国はどうやって若手研究者を育てようとしているのか?」
続いて特別講演では、株式会社バイオインパクトの杉原淳一様、自然科学研究機構の小泉周特任教授、アカデミストの柴藤によるパネルディスカッションが行われました。それぞれ今回のテーマに相応しく「研究のこれからのあり方」についてお二人の取り組みや経験からの研究の未来についてのお考えを真摯にお話されており、若手研究者やアカデミアにいる皆さんにとって非常に興味深い内容でした。なかでも研究者のキャリアが多様化してきていること、それを国家として大切にしていく、という流れが大切であることが非常に印象的でした。また国家と研究者、そして国民のつながりを歴史的な観点からも説明されている点でも非常に勉強となるものでした。会場の方々も時に共感し力強く頷き、この大きな課題に向き合う真剣さを感じる雰囲気。各々が無関係ではありえず、皆さんの前向きに取り組む意志を強く感じる講演となりました。
緊張の結果発表!
そしてここからは投票の結果です。まず研究者ビブリオバトルを制したのは泉貴人さんです!オンラインの参加からの受賞となりました。圧倒的な優勝とのことで、ご紹介していた書籍『生き物の進化ゲーム』の魅力が存分に伝わるスピーチのクオリティの高さが受賞につながりました。そして、続いては「アカデミスト賞ベストアウトリーチ部門」、そして「アカデミスト賞ベストパフォーマンス賞」の発表です!「ベストアウトリーチ賞」はこれまでの歩みで最もご支援を頂いた方、「ベストパフォーマンス賞」は会場からの最多投票を得た方に贈られるものです。受賞者の方のプロジェクト名と共にご紹介します。
アカデミスト賞ベストアウトリーチ部門:渡邉文隆さん:「研究への寄付募集」の研究で、日本の大学の10年後を変える
アカデミスト賞ベストパフォーマンス賞:渡邉文隆さん:「研究への寄付募集」の研究で、日本の大学の10年後を変える
ということで、なんと渡邉文隆さんのダブル受賞となりました!寄付の研究のなかでの予測が理論的に裏付けられる結果もあったとのことで、今後への期待が高まります。また、渡邉さんは今回のために40回ほども練習を重ねられたとのことです。数多くの研究への応援の思い、共感を集めた納得の受賞となりました。これにより、渡邉文隆さんには賞金10万円が贈られます。受賞後にも渡邉さんは今回のクラウドファンディングの経験を踏まえ、これからへ繋げたい意志をお話されており、まさに今回のテーマにふさわしい受賞となりました。また閉会の言葉のなかで「健全な競争の必要性」やそのなかでも国との連携の必要性といった未来についても触れられており、決してこのイベントだけでは終わらせない、これからの段階につなげていく、そんな意識を参加者の皆さんから感じました。全体を通し、アウトリーチのあり方について皆さんが一人ひとり前向きに考えていく熱気あふれる時間となりました。
懇親会、そして私たちのこれから
全企画を終えた後、会場での懇親会とオンラインでの懇親会が行われました。皆さんまだまだ話足りない様子で、ポスター発表で話し足りないことをお話されていたり、特別講演の内容についてお話されていたりするなど話題の尽きない大盛況の1時間となりました。この時間は緊張感も取れ、和やかな雰囲気となりました。しかし最後まで熱量が冷めることはなく、みんなでこの研究という業界の未来を盛り上げていこうという決意と結束を強める締めくくりとなりました。
最後となりますが、今年さらに広がったこの輪をさらに大きく盛り上げ、共に循環をつなげていく未来を作っていきませんか? 今回は「原点とビジョン」というテーマでしたが、また3ヶ月後には新たなテーマのイベントをお届けいたします。どうぞご期待ください。そして2期生の皆さんの活躍にもぜひご期待ください!
2期生の皆さんの活躍が見られるサイトはこちらからどうぞ!
この記事を書いた人
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法政大学院理工学研究科機械工学専修。
アカデミストインターン・HIEN Aero Technologiesインターン。Value Sensitive Design・航空工学・システムエンジニアリング