年末になると「今年の◯◯ TOP10!」的な記事が各業界から出てきますよね。本誌では「世界の学術系クラウドファンディングサイト TOP5!」というタイトルでランキングを作成しました。今回は、プロジェクト数の多い順番でご紹介していきたいと思います(なお、本ランキングでは大学特化型クラウドファンディングサイトは除外しています)。

第1位:Experiment@アメリカ(約800プロジェクト)

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堂々の第1位は、シリコンバレーを拠点に置く「Experiment」です。2012年4月のサービスリリースから3年半で、800プロジェクトが掲載されて、そのうち47.5%が目標金額に到達しています。目標金額に到達した研究プロジェクトの論文も合計20本出ており、着実に「Help fund the next wave of scientific research」を実現しつつあるサービスです。

第2位:Possible@オーストラリア(99プロジェクト)

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学術系に特化したクラウドファンディングではありませんが、posibleのresearchカテゴリーに約100プロジェクトが掲載されています。posible全体では、2015年9月30日に合計10000プロジェクトを達成するなど、クラウドファンディング業界全体から見ても注目度の高いサイトです。大規模サイトがこれだけの実績を積み上げているので、オーストラリア発の学術系クラウドファンディングサイト「Fund Science(5プロジェクト)」の成長も期待できるのではないかと思います。

第3位:INSTRUMENTL@アメリカ(85プロジェクト)

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リリースから1年半と若いサービスですが、着実に盛り上がりを見せています。すでに85プロジェクトが掲載されており、来年にはposibleを追い抜くことでしょう。Experimentと拠点が近そう?なので何かしらのコラボレーションが実現するかもしれません。過去の報道記事から女性研究者限定かと思いましたが、性別問わずに使われているようです。

第4位:Science starter@ドイツ(74プロジェクト)

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ドイツ初の学術系クラウドファンディングサイトです。現在はドイツ語のみですが、着実にプロジェクト数を増やしてきています。

第5位:academist@日本(22プロジェクト)

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上位4サイトと比較するとプロジェクト数は少ないですが、無事に?ランクインしました!日本初の学術系クラウドファンディングサイトです。これまでに、約1500名の方々から約1800万円の支援が寄せられています。ほかのサイトとの大きな違いは、支援に対するリターンがあることです。

ランキングは以上です。

個人的には学術系クラウドファンディングの文化を作り上げてきた「Petridish」のサービスが停止してしまい悲しいところではありますが、また新しい形でアカデミア関連のサービスを展開してくれるのではないかと楽しみにしています。上記4カ国だけではなく、スペイン発の「I LOVE SCIENCE(4〜5プロジェクト:現在リニューアル中)」、イギリス発の「WALACEA(10プロジェクト)」にも注目です。

基礎研究のあり方については、日本に限らず世界でも議論されているようです。来年以降、学術研究をクラウドファンディングで支える流れはどのように発展していくのでしょうか。academistも、日本の研究者の方々に使っていただけるように、日々サービスの質向上に努めていきます!

この記事を書いた人

柴藤 亮介
柴藤 亮介
アカデミスト株式会社代表取締役。2013年3月に首都大学東京博士後期課程を単位取得退学。研究アイデアや魅力を共有することで、資金や人材、情報を集め、研究が発展する世界観を実現するために、2014年4月に日本初の学術系クラウドファンディングサイト「academist」をリリースした。大学院時代は、原子核理論研究室に在籍して、極低温原子気体を用いた量子多体問題の研究に取り組んだ。