茨城大岡西助教、academistで獲得した資金での研究論文を発表 – 日本初の”クラウドファンディング論文”
茨城大学とアカデミスト株式会社は3月28日、茨城大学理学部 岡西政典助教らの研究グループが学術系クラウドファンディングサイト「academist(アカデミスト)」で資金を獲得し、それらを活用して進めてきた研究の成果がブルガリアの科学誌「ZooKeys」 オンライン版に掲載されたことを発表しました。日本国内の学術系クラウドファンディングで集めた寄付金を主たる資金とする研究の成果が学術論文として雑誌に掲載されるのは、初めてのことです。
岡西助教は系統分類学を専門とし、おもにクモヒトデ類の深海生物「テヅルモヅル」の分類を研究対象としています。テヅルモヅルの仲間である「キヌガサモヅル」のさらなる分類を行うため、academistでDNA配列解析の外注費などの支援を呼びかけたところ、計81人のサポーターから、目標金額の40万円を超える63万4500円の寄付が集まりました。これは、2014年4月に設立された「academist」にとっても最初の成功プロジェクトとなりました。
研究では、キヌガサモヅルのDNA配列の解析を進めるともに、目標金額を超えた支援金を利用してX線による解析も行われました。これらの解析データと、キヌガサモヅルについての記述があるさまざまな言語の論文129本を参照した結果、これまではキヌガサモデルと考えられていた集団の一部を、未記載種(発表されていない新種)として分類できることがわかりました。
今回の成果について岡西助教は、「マイナーな研究分野で競争的資金の申請幅が狭いためクラウドファンディングの挑戦を考えた。蓋を開けてみると支援者はほとんど知らない人ばかりで、多くの方々が私の研究に興味を持ってくれているという実感が得られた反面、確実に成果にしなくてはという使命感も生まれた。ご支援を頂いた方々に深くお礼を申し上げたい」と語っています。また、アカデミスト株式会社代表取締役の柴藤亮介は、「岡西助教のテヅルモヅルに対する情熱が日本全国に伝わった結果、目標金額を大幅に超える支援が得られた。研究者にとって研究費獲得の自由度が増え、支援者にとって研究者との接点が増える環境を構築することで、これからの学術研究の発展に貢献していきたい」と話しています。
関連リンク
プレスリリース
acadesmitプロジェクトページ「深海生物テヅルモヅルの分類学的研究」
キヌガサモヅルの分類はどこまで進んだのか? – academistの第一弾プロジェクトは今
岡西助教インタビュー「academist第1弾プロジェクト「深海生物テヅルモヅルの研究」挑戦者に聞く! – 研究費クラウドファンディングって実際やってみてどうでしたか?」
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