本連載では、academist Journal編集部が注目するacademistの月額支援型クラウドファンディングのチャレンジャーに、プロジェクトや研究の魅力について聞いていきます!

理論物理学のなかでももっとも根源的な分野のひとつである素粒子論を研究している太田さんは、素粒子の統一理論と期待されている「超弦理論」の数理を駆使して、素粒子の世界に潜む対称性を明らかにしようとしています。

クラウドファンディング一問一答

——クラウドファンディングで募った支援金はどのような活動に利用していますか?

学会参加費、近隣の大学および研究機関訪問のための交通費、書籍や電子機器の購入費用に充てていることが多いです。

——プロジェクトページの活動報告欄では、いつもどのような内容について書いていますか?

毎日の研究活動のなかで感じたことや新しく学んだこと、共同研究の裏側などについて発信しています。研究者が日々どのようなことを考えどのように過ごしているのか、などを研究経験のない方にも伝わるように書くことを意識しています。具体的な研究内容については、なるべく実際の雰囲気をお伝えできるように工夫しています。そのためときに専門用語も交えていますので必ずしもわかりやすいとは限らないかもしれませんが、最先端の研究現場の雰囲気を感じとっていただければと思っています。

——academistの月額型クラウドファンディングで継続的なサポートを受けることに対して、どのように感じていますか? また、ご自身の研究活動にどのような影響がありましたか?

私の取り組んでいる研究テーマ自体がややマニアックなこともあり、これまで孤立を感じることが多々ありました。そんななか自分の研究を応援してくれる人がいるということを認識でき、研究活動における停滞期やモチベーションが続かないようなときにもとても大きな励みになります。大学院生やポスドクの時期にはどうしても精神的にも身体的にも孤立してしまうタイミングがありますので、継続的なサポートをいただけるのは研究を続けていくうえでの大きな支えになっているように感じます。また自分の研究を専門外の方にわかりやすく発信する場にもなっており、非常に重要な経験をさせていただいていると感じています。

——普段の研究活動のなかであなたがいちばん「楽しい」「テンションが上がる」瞬間はいつですか?

単なる勉強は先人たちが敷いてくれたレールの上を自分の足で進む感覚ですが、研究は暗闇の中を手探りで進み自分自身の手でレールを作っていく感覚があります。その過程でさまざまなことを勉強し、多くの計算をし、いろいろな知識が頭の中で雑多に積み上がっていきます。研究を進めていくと途中でそれらが一斉に有機的に繋がりだし壮麗な景色が見える瞬間があります。その瞬間がもっともテンションが上がります。特に私の専門である物理や数学は本質的に「ひとつ」であると思っていますので、一見複雑で入り組んだ世界のように見えても研究が進んでいきいろいろなものの関係性がクリアに見えるようになってくるととても楽しいと感じます。

——最後に、クラウドファンディングに対する意気込みやサポートを検討している方々へのメッセージをお願いします!

素朴な疑問や深遠な問いに考えを巡らせてみるというのは、老若男女問わずどなたでも一度は経験したことがあるのではないでしょうか。これからの時代、そういった活動に本格的に取り組むのは大学や研究機関の一部の人間だけではなく、あらゆる人が主体的に取り組んでいけるのではないかと考えています。皆さまもぜひ私と一緒にこの世界の謎に迫っていきませんか?

▼太田敏博さんのプロジェクトはこちら▼
素粒子の世界を「超弦理論」の数理を駆使して解き明かす!