遺伝子組み換えカイコで「リソソーム病」の治療薬を作りたい!- 新蚕業革命の実現を目指して
アカデミスト株式会社は、学術系クラウドファンディングサイト「academist(アカデミスト)」にて、新規プロジェクトを開始しました。
今回の挑戦者は、徳島大学大学院医歯薬学研究部の伊藤孝司教授です。伊藤教授は、組み換えカイコを用いた遺伝病の治療薬開発を目指して研究を進めています。
遺伝病のひとつである「リソソーム病」には、有効な治療法がほとんどなく、1990年以前は不治の病とされてきました。最近ではバイオ医薬品の発展に伴い、組換えヒトリソソーム酵素製剤を点滴する治療法が一部の疾患に適用され、一定の成果を上げてきました。しかしながら、この酵素補充療法では、1人の患者さんを1年間治療するのに必要な医療費が、年間3000〜4000万円と高コストになってしまいます。組換えヒトリソソーム酵素製剤を、できるだけ低コストで、安全に、大量製造することはできないのでしょうか。
そこで伊藤教授は、カイコに注目しました。平成22年度~26年度の農水省プロジェクトにおいて、ヒトリソソーム酵素を大量発現する組み換えカイコの作製に成功しました。現在は、日本人に多い遺伝病である「カテプシンA欠損症」の治療薬開発を目指されており、これまでに、正常なヒトカテプシンAを絹糸腺でつくる組み換えカイコを作製し、患者さんの皮膚由来の線維芽細胞を用いた実験において、カイコ由来のヒトリソソーム酵素に治療効果があることを見出してきました。
次なるステップとして、組み換えカイコの繭からヒトリソソーム酵素を精製して、患者さんとよく似た症状を示す「カテプシンA欠損症モデルマウス」に対する治療効果を調べていきたいと考えているのですが、組み換えカイコの繭(1,000個程度)やヒトリソソーム酵素精製のための試薬を購入する資金が不足しており、研究を進めていくことが困難です。そこで今回、クラウドファンディングに挑戦することを決意されました。
支援者の方々は、研究報告レポート(1000円)やacademist 限定のカイコポロシャツ(5000円)、カラフルな空の切り繭(10000円)、論文の謝辞の氏名掲載(50000円)などのお礼を受け取ることができます。ぜひ、ご支援のご検討を宜しくお願いいたします。
【募集期間】2016年8月22日〜2016年10月25日
【支援サイト】academist(アカデミスト)
この記事を書いた人
- academist journal編集部です。クラウドファンディングに関することやイベント情報などをお届けします。