2015年12月に「なぜ世界にはいろいろな言語があるのだろうか?」で目標金額を達成した菊澤律子准教授の主催するサイエンスカフェが、2016年7月23日(土)に大阪、7月30日(土)に東京で開催されました。

サイエンスカフェ@東京は、高田馬場にある10°cafeで開催しました

言語学に興味を持つ方々の集うサイエンスカフェと聞くと、専門家や言語学好きな方々が集うイメージを持ってしまいますが、東京会場には、今回のプロジェクトで言語学に興味を持った理系の方々を含むさまざまな背景をもつ方々が集いました。

当日は、菊澤先生によるプロジェクトの進捗報告からはじまりました。クラウドファンディングの支援金を使って、フィジーを訪問し、現地の地図やフィールドノート、録音データなどをPDFファイルに書き起こす作業を行われたとのことです。今では少数派(?)のソフト「ワードパーフェクト」で残された資料もあるらしく、データを集めるだけでも一苦労だとか……。

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現地の資料の中には写真のようにフォルダ分けされているものもあるそうです。床に座るのは現地の習慣だとか

その後、

  1. なぜフィジー語がおもしろいのか?
  2. ことばの遺伝子を追う
  3. 文法構造の史的変遷を解明する
  4. 方言分布と言語系統の悩ましい関係

という流れで、たっぷり2時間お話いただきました。

数字の「3」と「5」をさまざまな言語でまとめた資料について解説する菊澤先生。上から順番に音読していただき、参加者全員でこれらの共通点や、相違点について考えました。物理的距離が離れている地域にも関わらず、どこかしら似ている構造を持つはなぜなのでしょうか

 

質問も活発に飛び交い、和やかな雰囲気で2時間を過ごしました

以前菊澤先生にご寄稿いただいた記事も掲載しておりますので、ご興味のある方は、以下の記事もぜひご覧ください!

ことばを調べれば歴史がわかる【前編】ー「歴史言語学」が明らかにすることとは

ことばを調べれば歴史がわかる【後編】ー「タロイモ」の伝搬ルートを探る

この記事を書いた人

柴藤 亮介
柴藤 亮介
アカデミスト株式会社代表取締役。2013年3月に首都大学東京博士後期課程を単位取得退学。研究アイデアや魅力を共有することで、資金や人材、情報を集め、研究が発展する世界観を実現するために、2014年4月に日本初の学術系クラウドファンディングサイト「academist」をリリースした。大学院時代は、原子核理論研究室に在籍して、極低温原子気体を用いた量子多体問題の研究に取り組んだ。