こんにちは!アカデミストの柴藤です。今年で5年目となった世界の学術系クラウドファンディングサイトTop5ランキング。昨年にひきつづきプロジェクト数の多いサービスを順番に紹介していきます。

1位:Experiment@アメリカ(2190プロジェクト:前年+199件)

ExperimentのTOPページ。些細なことですが昨年まで掲載されていたBill Gates氏のコメントが消えていますね…

過去の蓄積があるので当たり前の結果ではあるのですが、今年も「Experiment」が第一位となりました。今年は Experimnet × academist のパートナーシップが始動したこともあり、アカデミストのスタッフにとって一層親近感を持てるサービスとなりました。月1本のペースで日本語/英語二か国語プロジェクトを更新しているので、ご関心のあるかたは是非現在進行中のプロジェクトをご覧ください。

Experiment の累計実績です。2019年のプロジェクト増加数は199件(2018年:192件)と昨年と同程度の実績をあげています。また誓約金額は合計約7,800万円(2018年:約5,000万円)と微増しています。

2位:Sciencestarter@ドイツ(148プロジェクト:前年+9件)

昨年と同様、ドイツ発の「Sciencestarter」が第二位となりました。今年は少しペースダウンして2ヶ月に12本のプロジェクトが公開されています。

プロジェクトページの構成は一問一答形式です。研究者や研究チームの個性や熱意を十分に伝えるために、SNSYouTubeと連動させる等バランス良くアピールすることが必要になりそうです。

3位:academist@日本(141プロジェクト:前年+49件)

academistは今年も第三位となりました。2019年はひとつのマイルストーンである流通総額1億円を達成したりExperimentとのコラボを実現したりなど、研究者と研究ファンのみなさまのおかげで新しいチャレンジができた一年となりました。academist 運営チームの「開かれた学術業界を実現し、学問の発展に貢献する!」にも29名の方々にご支援いただいております。2020年は大型プロジェクトの実現にも挑んでいきたいと思います。ひきつづき応援よろしくお願いします!

4位:CROWDSCIENCE@イギリス(57プロジェクト:前年+13件)

第四位はイギリス発の「CROWDSCIENCE」。今年は月1本のペースでプロジェクトを公開しているようです。なかには1年間かけて資金募集しているプロジェクトもあるみたいですね。

5位:Bluebacks Outreach@日本(8プロジェクト:前年+8件)

昨年は彗星の如く登場したインドのサービスがランクインしたのですが、現在はアクセスすることができないためおそらく撤退したのではないかと思います。

今年ランクインしたのは、講談社の運営する「Bluebacks Outreach」です。アウトリーチ活動に強いブルーバックスとクラウドファンディングはとても相性が良く、academist の競合とも言える存在です。「競合の出現で academist どうするんですか?」と聞かれることもたまにあるのですが、academist だけで学術系クラウドファンディングを担うことは現実的ではなく、さまざまな企業や大学、NPO等が参入し、サービスの質を競い合える方向に進むほうが健全であるように考えています。

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本ランキングでは「学術系に特化」という条件でサービスを整理しているのですが、他にも「Readyfor@日本」や「VERKAMI@スペイン」、「Pozible@オーストラリア」のように、多様なプロジェクトのなかに学術系のプロジェクトを取り扱う事業者が年々増えてきています。また医療研究に特化した「Consano@US」、大学に特化した「UCLA spark@アメリカ」や「Otsucle@日本」のように、業界特化型・大学特化型のサービスも多数出てきています。その一方で、業界を限定するとクラウドファンディング・サービスだけで継続的に運営することが難しく、サービスが閉鎖された事例も少なくありません。

2020年以降は、学術系クラウドファンディング単体でサービスを提供するというよりは、生命科学研究特化型や人文・社会科学特化型というように、業界をさらに絞ったクラウドファンディングサイトを公開し、業界に付随する課題を解決していけるサービスが主流になるのではないでしょうか。アカデミストでもひきつづき、研究者の皆さんと一緒に新しい科学研究のありかたを模索していければと考えております。2020年もどうぞよろしくお願いいたします!

この記事を書いた人

柴藤 亮介
柴藤 亮介
アカデミスト株式会社代表取締役。2013年3月に首都大学東京博士後期課程を単位取得退学。研究アイデアや魅力を共有することで、資金や人材、情報を集め、研究が発展する世界観を実現するために、2014年4月に日本初の学術系クラウドファンディングサイト「academist」をリリースした。大学院時代は、原子核理論研究室に在籍して、極低温原子気体を用いた量子多体問題の研究に取り組んだ。