毎年恒例となりました世界の学術系クラウドファンディングサイトTOP5ランキング。こんなニッチな切り口でまとめた記事をだれが読んでくれるのだろうと思いながらも今年で4年目となりました。例年通りプロジェクト数の多いサービスを上から順番に取り上げていきます。(2017年版はこちら

第1位:Experiment@アメリカ(1991プロジェクト:前年+192件)

毎年同じキャプチャ画像ではありますが、はじめて知るかたもいると思いますので改めてご紹介いたします。変わらずTOPを走り続けているのは、2012年にサービスを開始した世界一の学術系クラウドファンディングサイト「Experiment」です。サービス開始時は「microryza」という名前で、KickstarterのScience版と言われたりしていました

上の図がExperimentの実績です。立ち上げ当初に比べるとペースは落ち気味ですが、2018年のプロジェクト増加数は192件(2017年:155件)、支援総額は約5,000万円(2017年:約5,500万円)と、昨年と同様の実績をあげています。

第2位:Sciencestarter@ドイツ(139プロジェクト:前年+16件)

(昨年まで、研究カテゴリを設置しているオールジャンルのクラウドファンディングサイト「Pozible」が第二位だったのですが、学術系に特化したサイトではないため、今年からは本ランキングの対象外といたします。)

第2位は、ドイツ発の「Sciencestarter」。2012年秋にリリースしたサービスでドイツ語と英語で閲覧可能です。プロジェクト数も月1〜2本のペースで増えていて、目標金額500万円規模のプロジェクトもあるようです。

プロジェクトページの作り方は上図のように一問一答形式で、読者が知りたい部分だけを知ることができるように工夫されています。

第3位:academist@日本(92プロジェクト:前年+37件)

昨年、2018年は100プロジェクト目指します!と豪語していましたが、残念ながら目標達成ならず……。とはいえ今年も数々の魅力ある研究者にご利用いただき、目標金額達成率も85%を維持することができました。2018年は新チームが始動したこともあり、出版サービスの業務提携を進めたり、月額支援型のクラウドファンディングを導入したり、「academist Prize」を開催したりなど、新しい取り組みにもチャレンジすることができました。2019年は流通総額1億円を目標に研究者に研究費が渡る仕組みをひきつづき整備していきます。academist運営チームの「開かれた学術業界を実現し、学問の発展に貢献する!」もぜひ応援お願いします。

第4位:CROWDSCIENCE@イギリス(44プロジェクト:前年+9件)

第4位はイギリス発の「CROWDSCIENCE」。月1本弱のプロジェクト公開頻度で、比較的高額の案件が動いています。特にこちらのプロジェクトはリターンも豪華で、SNSを有効活用しながら目標金額達成を実現したケースではないかと思います。

第5位:ResearchFunders@インド(31プロジェクト:前年+31件)

2018年第5位は、彗星の如く登場したインド発の学術系クラウドファンディングサイト「ResearchFunders」。インドでは国内初の取り組みで2017年にはβ版が公開されていたようです。創業者はComputer Scienceを専門とする若手研究者。AIを用いた論文検索システムの開発にも興味があるみたいですので、今後の動向にも注目です。

ランキングは以上です。抜けがありましたら、ぜひご連絡ください!

この記事を書いた人

柴藤 亮介
柴藤 亮介
アカデミスト株式会社代表取締役。2013年3月に首都大学東京博士後期課程を単位取得退学。研究アイデアや魅力を共有することで、資金や人材、情報を集め、研究が発展する世界観を実現するために、2014年4月に日本初の学術系クラウドファンディングサイト「academist」をリリースした。大学院時代は、原子核理論研究室に在籍して、極低温原子気体を用いた量子多体問題の研究に取り組んだ。