アカデミストは2018年8月3日(金)、異分野交流イベント「academist PRIZE vol.2」をDG LAB TOKYOにて開催しました。今回はプレゼンターを全員ポストドクター以上の研究者に限定し、当日は聴衆の大学院生を含め、30名ほどが集まりました。

第2回 academist PRIZEのテーマも「研究に新たな発見を。異分野に新たなつながりを。」 異分野の研究者に自分の研究を発信するということで、いかに自分のモチベーションや研究者としての思想、行動に共感を呼べるようプレゼンをするかが評価のカギになります。

プレゼンターの方々は、まず1分間で研究ピッチを行います。その後、事前に用意していただいた4枚のスライドをもとに、ポスター発表形式で聴衆により詳細な解説をします。最優秀賞は、プレゼンターを含めた会場にいるすべての聴衆の投票で、特に大学院生からの票を重視して決定されます。

今回は冒頭に特別企画として、アカデミストでの資金調達を行った雷・雷雲の研究の成果が英国物理学会で「Top 10 Breakthrough of the Year 2017」に選出された、榎戸輝揚さんに「オープンサイエンスで挑む雷の謎」の題目でショートトークを行っていただきました。

1分で研究の魅力をプレゼン!

今回プレゼンターとして参加した研究者は11名。自身の研究内容を1分間にまとめたピッチが行われました。たった1分で自己紹介するのは難しいことですが、皆さんプロの研究者の意地できっちり時間内に収めつつ「なにそれ気になる!」と後のポスター発表で話を聞きに行きたくなるような、聴衆の心を掴むようなピッチをしてくれました。

「造形のオリジンについて」陣内さん
「乱気流ハンター~乱気流から空を守りたい~」菊池さん
「私たちの設計図が編集できるということについて」古戎さん

ポスター発表でプロ同士ならではの深い議論

プレゼンターの方々は前半後半で5, 6名ずつに分かれ、A4用紙4枚を用いた詳しい説明を行います。プレゼンターは熱く語り、聴衆のみなさんもどんどん質問をして、プロ同士ならではの深い議論を交わしていました。前回は時間が短いとの声が相次いだ反省を活かし、今回は各回2倍となる60分を用意していましたが、それでも時間の枠を超えて話し込む様子も見られ、会場はとても賑わっていました。

手前から神田さん、茂木さん、田中さん
「世界最速の細胞イメージングを実現する!」小林さん
「機械学習の限界を超えるリズミックオスシレータによる物体認識」松田さん
「これまで取り組んできた研究4選!!」小松さん

最優秀賞は誰の手に?

参加した聴衆から多くの票を集め、大学院生からの人気も高い方が最優秀賞に選ばれます。互いにフィードバックのコメントを書き合った投票用紙が、次々にスライドの前に貼られていきました。そのなかで最も票数を集め、大学院生からも厚く支持された、「戦争を肯定する論理はどのように作られるのか。~第一次世界大戦前のドイツ帝国を事例として~」の中島浩貴さんが最優秀賞に選ばれました。理工学系の研究者が多数を占めるなかで異色の発表内容だったにもかかわらず、わかりやすく熱の入った発表で見事に賞を勝ち取られました。

また、アカデミストが選ぶ「academist賞」には「宇宙で一番重い星の作り方」の田中圭さんが選ばれました。タイムテーブルにとらわれず、長時間にわたって熱弁する姿が印象的でした。さらに、当日の飲料を提供していただいた企業 ブリュードックより贈られる「ブリュードッグ賞」には「謎の深海生物テヅルモヅルを分類する」の岡西政典さんが選ばれ、ブリュードッグのグッズと一番人気のビール「PUNK IPA」が贈呈されました。

プレゼンターも聴衆も、発表内容に留まらず後進の研究者育成など幅広い話題について話し合っていたのが印象的でした。イベント終了後の懇親会でも、当日出会った参加者同士、久々に再会した人同士で話をしていたり、2次会に行っていたりとそれぞれのつながりを深めていました。academist PRIZEが、異分野の研究者との交流に触発され新たな気づきを得たり、自身の研究を深めるきっかけになっていれば幸いです。

以上、「academist PRIZE vol.2」の当日の様子をお伝えしました。前回に引き続き今回も大盛況だったacademist PRIZE。第3回は近日中に開催予定です。 次回もぜひお楽しみに。

この記事を書いた人

谷水城
谷水城
2017年3月よりacademistインターン生。将来的に博士課程に進学したいと思っているものの、現状のさまざまな厳しさを知って躊躇していたところacademistの存在を知って即参戦。閉鎖空間である大学内部からとは違った景色が広がっており、多くの気づきを得られることをうれしく思っている。貝が好物。学校では固体の高次高調波発生など、高強度場中の超高速ダイナミクスの理論研究(計算も)をかじっている。ごく最近、複素力学系に興味がわいてきた。東京大学工学部4年。