【academist挑戦中】北大博物館に100万分の1スケールの地球断面図を作りたい!

北海道大学総合博物館(以下、北大博物館)の山本順司准教授は現在、環境の時空間スケールを感じられる「地球展示室」を北大博物館に新設するための活動を進めている。その一環として現在、academistのクラウドファンディング・チャレンジ 「北大博物館に100万分の1スケールの地球断面図を作りたい!」 において目標金額の80万円を達成し、セカンドゴールの140万円達成に向けて挑戦中だ。セカンドゴールに向けた支援金は「4.6mの地球史カレンダー」の設置費用に当てられる予定となっている。新設される「地球展示室」のコンセプトや、地球断面図・地球史カレンダーのアイディアなどについて山本准教授にお話をうかがった。

ーー100万分の1スケールの地球断面図パネルが展示されるそうですが、展示室のコンセプトについて教えてください。

地球を感じていただきたいです。地球内部は、非常に高温だったり高圧だったり、日常では体感が難しいことがいっぱいあります。文字情報だけではなく、「五感を使って地球をなんとなく感じられる展示」がコンセプトです。

ーー地球の半径(およそ6400km)の100万分の1サイズ「6.4m」も地球を感じるためのサイズということなのでしょうか。

6.4mは、実際の大きさの100万分の1のスケールです。これは、地図の縮尺で馴染みのあるスケールだと思います。64cmまで小さくすると小さすぎる、64mだと長すぎる……6.4mならば歩いて地球の大きさを実感できるスケールでもあると考えています。

ーーお話を伺うと、”感じる”展示を大切にしていらっしゃいますが、その理由を教えてください。

いろいろな感覚を使って展示を”感じる”ことができれば、展示室に来た皆さまが、それぞれの角度で展示を楽しみ、理解することができます。地球のスケール感は文字ではなかなか理解しにくいです。「何万気圧」「何千度」と言ってもピンとこないことが普通だと思います。そこで、直感的につかめる工夫をどんどんしていきたいと考えています。地球のスケールを直感的に理解して、体が覚えていれば、今後もし地球規模の災害が及んだときに自分で判断をする助けにもなると思うのです。

ーー以前から”感じる”教材を作っていらっしゃったとのことですが、”感じる”教材の作成で大切にしていることはありますか。

教材を使う人たちにとって身近な”本物”を使用することです。大分県にある京都大学の施設にいたときに、小学校の先生から相談を受け、グラウンドの石を七輪で熱してマグマを作るという実験を行いました。これは、それぞれの土地がどのようにできたかを学ぶ「土地の作り」という小学校6年生で行う単元のなかで行ったものです。大分県は火山が多いところなので、火山がどうやってできるのかを知っていたほうが良いと考えたのです。

私は、展示や実験の際には「身近・安価・本物・安全」という4つのルールを大切にしています。チョコレートパウダーなどを使って似たような実験をすることはできるのですが、やはり、熱くてねばねばしている本物を見せたいーーそんな気持ちから、身近なもので、安くて、安全にできる、なるべく本物に近いもので実験しました。子どもでも理解ができるような、直感的なものを作っていきたいと思っています。

ーー今回の展示でも”本物”にこだわっているのでしょうか。

こだわっています。展示標本もできる限り”本物”を出したいと考えています。嘘はつかないという信念が底流にあるのかもしれません。地球内部の100万気圧を実際の展示で作ることは不可能ですが、自分の身近なものから地球規模まで、スケールを徐々に上げて行くイメージです。

ーー展示室の楽しみ方があれば教えてください。

答えのない展示室なので、「こういうふうに見てください」というルールはありません。それぞれの人に、それぞれの考え方、感覚で感じてもらいたいです。展示室に入ったときと出るときで地球に対する見方がガラッと変わっているような展示にしたいと思っています。

ーー展示室の準備はいかがですか。

クラウドファンディングの目標金額を達成したことで、地球の断面図パネルの設置を前提としてプランが立てられるようになりました。今は、第二弾の目標である「地球史カレンダー」の制作まで実施できるどうかを考えているところです。地球断面図(空間、3次元)と地球史(時間、1次元)を組み合わせて設置することで、4次元的に地球を捉えることができるようになります。鉱物のセレクトや配置により深みが増すことで、より良い展示室が完成すると考えています。

新設展示室のイメージ図

ーー最後に、展示室完成までの意気込みを一言でお願いいたします。

博物館好きな方も、ふらっと来た方も、誰でも楽しめるユニバーサルミュージアムを目指しています。クラウドファンディングの支援者のみなさんや、ボランティアの方のご協力のおかげで、みんなで作っているという感覚を持つことができ、大変嬉しく思っています。完成の際にはぜひ、「私のパネル」と言っていただきたい。8月のオープンまで全力を尽くします! ぜひ、ご期待ください。

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山本先生は、よく北大博物館内をうろうろされているようです。作業着を来たおっちゃんを展示室で見かけたときは、話しかけてみてください。山本先生かもしれません。

山本順司准教授プロフィール
北海道大学総合博物館准教授。地学を専門とする准教授として務めています。地球形成時に存在したはずの隕石成分が地球深部に残っているのではないかとその名残を探し続け、国内外の研究機関を渡り歩いてきました。しかし、東日本大震災を機に地球内部の潜在的な影響力を社会に伝える必要性を強く感じ、2012年から現職に移りました。言葉では伝えにくい地球のスケール感を理解していただくため、体感型の展示活動や教材開発を進めています。

山本先生のクラウドファンディングチャレンジには4月10日現在、約110万円が集まっています。セカンドゴールの達成まであと30万円。期間は4月21日までとなっています。みなさんのご支援をお待ちしております!

【academist挑戦中】北大博物館に100万分の1スケールの地球断面図を作りたい!

この記事を書いた人

藤井真知子
藤井真知子

北海道大学高等教育推進機構 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)を昨年度(2016年度)修了し、この時のご縁で山本先生とお話しをさせていただきました。メーカーにて技術開発業務に従事した後、大学で研究補助に携わりました。現在も大学の中で事務スタッフとして働く中で、社会の中の「科学」について考える日々を送っています。北海道大学総合博物館は私も良く行く寄り道スポットです。鉱物展示室の完成を楽しみにしています!