【特集】物理学者 – 彼らの視線のその先は
academist Journalでは、これまで数多くの物理学者にインタビューをしてきました。自分が学生時代に物理学を専門としていたことが、その背景のひとつにあります。
物理学者のモチベーションのひとつとして「自然現象を理解したい」という思いがあるのではないでしょうか。世の中の階層を物理学の視点からみると、宇宙・原子核・素粒子という分野に分けることができます。さらに、その各々の分野に対して、理論的なアプローチをとっている研究者もいれば、実験を行うことで現象を理解しようとしている研究者もいます。それぞれの研究者は、何を目指し、どんな思いで研究をしているのか——本特集を企画することで明らかにしたいと考えました。(担当:柴藤亮介、2018年1月作成)
宇宙物理学 – 京大・榎戸輝揚特定准教授
NASAで中性子星の内部状態を理解するための研究を進める榎戸特定准教授。「雷はなにをきっかけに発生するのだろうか」という疑問に挑戦する”雷雲プロジェクト”の研究も行っている。
超弦理論、素粒子論 – 阪大・橋本幸士教授
橋本教授は、理論物理学者として数々の実績を残す傍ら、著書「超ひも理論をパパに習ってみた」や「超弦理論知覚化プロジェクト」、「TED×OsakaUでの講演」など、さまざまなアウトリーチ活動も手がけている。超弦理論の基本的なアイデアやその歴史を振りかえりながら、橋本教授の研究者像に迫る。
素粒子物理学実験 – KEK・後田裕教授
地下11mのトンネル内に設置された周長3kmほどのリングの内部で、高エネルギーの電子と陽電子を衝突させる「Belle 実験」。2017年度からはその進化版ともいえる「Belle II実験」が稼働する。後田教授はBelle II実験のプロジェクトマネージャーとして国内外700名以上の研究者をまとめている。
原子核物理学 – 理研・初田哲男プログラムディレクター
初田プログラムディレクターは、原子核物理学の分野でノーベル物理学者・湯川秀樹博士以来の問題を解き明かした。湯川博士の「中間子論」で幕を開けた原子核物理学。そこから70年の歳月を経て、ようやく一周したのではないかと初田プログラムディレクターは主張する。