アカデミストは2018年6月9日(土)、異分野交流イベント「academist PRIZE」をDG LAB TOKYOにて開催しました。今回は大学院生限定イベントということで、プレゼンターも聴衆も全員大学院生。当日は約20名の大学院生が集まりました。

第1回 academist PRIZEのテーマは「研究に新たな発見を。異分野に新たなつながりを。」 異分野の大学院生に自分の研究を発信するということで、難しい専門用語を使いすぎずにいかにわかりやすく説明するか、いかに楽しそうにプレゼンするかが評価のカギになります。

プレゼンターの方々は、まず1分間で研究ピッチを行います。その後、事前に用意していただいた4枚のスライドをもとに、ポスター発表形式で聴衆により詳細な解説をします。最優秀賞は、プレゼンターを含めた会場にいるすべての大学院生の投票によって決定されます。

研究内容超凝縮!1分ピッチ!

今回プレゼンターとして参加した大学院生は10名。自身の研究内容を1分間にまとめたピッチが行われました。たった1分のなかに研究内容をまとめるのは大変難しい作業だと思いますが、「なにそれ気になる!」と後のスライド発表で話を聞きに行きたくなるような、聴衆の心を掴むようなピッチをしてくれました。

『ろう者は音楽をどう翻訳するのか─「音のない音楽」の可能性/不可能性』土田まどかさん
「計算化学:コンピュータシミュレーションによる酸化チタン表面の解析」竹内なほさん
「閉鎖する外国人学校!?新たな教育システムを創出せよ!!」奴久妻駿介さん

スライド発表の様子

プレゼンターの方々は前半後半で5名ずつに分かれ、スライド4枚を用いた詳しい説明を行います。各回30分の時間を用意していましたが、プレゼンターは熱く語り、聴衆のみなさんもどんどん質問をしていて「30分じゃ足りない!もっと時間が欲しい」と、熱量たっぷりな意見多数でした。

「スパイキングニューラルネットとそのハードウェア実装」豊島尚樹さん
「光や熱で動く有機結晶の創出」谷口卓也さん
「音響流ベッセルビームを用いた遠隔冷覚提示の研究」中島允さん
「感性設計における人の主体性」南野暖さん

最優秀賞は誰の手に……?

参加した大学院生から最も多くの票を集めた方が最優秀賞に選ばれます。互いにフィードバックのコメントを書き合った投票用紙が、次々にスライドの前に貼られていきました。そのなかで最も票数を集めたのは「Si-H 結合活性化によるジシロキサン生成反応に関する量子化学的研究」の八日市屋朋子さんと、「体内病院の構築に向けた高分子ミセルの開発」の宮崎拓也さんの2名でした。厳正なる審査(ジャンケン)の結果、最優秀賞は八日市屋さんに決定しました。「事前に専門分野を聞いてから説明をしていて、聞く人に親切な発表だった」「発表の流れが明快でわかりやすい」というコメントが多くみられました。

優勝した八日市屋朋子さん(写真右)と宮崎拓也さん(写真中央)、アカデミスト代表の柴藤(写真左)

また、アカデミストが選ぶ「academist賞」には「量子ウォークとは何?」の齋藤渓さんが選ばれました。「研究を進める過程で最も楽しい瞬間は?」という質問に対して「計算を進めているその瞬間です」と即座にご回答いただいたことが、受賞の大きな理由となりました。「成果が出たときではなく過程そのものがおもしろい」という斎藤さんの言葉からは、研究者としての重要な姿勢を感じました。

academist 賞を受賞した齋藤渓さん(写真右)とアカデミスト代表の柴藤(写真左)

大学院生のみなさんがご自身の研究を楽しそうに語っていたのが印象的でした。イベント終了後も、当日出会った参加者同士で残って会話をしていたり、そのまま飲みに行っていたりと新たなつながりをそれぞれが築いてくれたようでした。異分野の大学院生と交流することで、新たな知見を得たり、自身の研究を深めるきっかけになっていれば幸いです。

以上、「第1回 academist PRIZE」の当日の様子をお伝えしました。今回が大盛況だったため、なんと第2回の企画が進行中です! 次回もぜひお楽しみに。

この記事を書いた人

水門菜花
水門菜花
早稲田大学基幹理工学部情報通信学科2年生。academistでアカデミアの面白さに触れ、目を輝かせているインターン生。大学では情報科学を中心に苦しみながら勉強しつつ、自分も「アカデミアを盛り上げたい!」と夢見る研究者のタマゴ。学業とacademistインターンの傍ら教育分野にも強い関心があり、現在高校生向け起業体験プログラムStartupBaseU18でコミュニティーマネージャーを務める。趣味は写真、旅行、おしゃべり。