2017年1月28日(土)、「academistシンポジウムvol.2」が開催されました。休日の午後開催にも関わらず、30名余りの研究に興味のある方々が集まりました。

今回のacademistシンポジウムのテーマは「最速プレゼン王決定戦」。その名のとおり、登壇者(研究者)の方々は、まずはじめに60秒という短い時間で研究プレゼンを行います。その後、会場内に張り出されたパネルの前でポスター発表を行い、プレゼンの内容についてさらに詳しく解説します。それを聞いた来場者は、1人当たり10枚持っているコインを、支援したいと思った登壇者の方々の貯金箱に入れていきます。このコイン数に応じた賞金が、登壇者の方々に当日渡されます。賞金は来場者からの参加費がもとになっており、まさに”リアル・クラウドファンディング”という趣向になっています。

コインを受け取る貯金箱。来場者の方々全員が、1人当たり10枚のコインを持っています

 

最速プレゼン王は誰だ!? 60秒研究プレゼン

まずは60秒プレゼンの時間です。登壇者はあらかじめWebサイトからプロポーザルを送り、審査を通過した7名の研究者。始まる前の皆さんはド緊張の様子でした。研究内容を1分でまとめることは難しく、登壇者の方はとても大変だっただろうと思いますが、皆さんしっかり準備されていたので、充実した内容でした。

 


最初の登壇者は網藏和晃さん。普段はタンパク質合成の研究をされているとのことですが、今回発表されたのはバラのトゲのある箇所に法則があるのではないかという研究です。こういうふとした個人的な興味の研究こそ、研究魂の本質という感じがしますね!

 

 


次の登壇者はソフトロボティクスの触覚学を研究されている安藤潤人さん。櫛の歯のように、固い棒状のものを剣山のように貼り付けたデバイスを通して物を触ると、そのテクスチャーの変化が増幅されるとのこと。こういった柔らかい素材のものを使用してロボットを作る研究を進めているのだそうです。

 

 


次の登壇者は大内遙河さん。専門は天文学で、電磁波で天体を見るシステムの開発資金を募りたいとのこと。非常に魅力的な話し方で天文学の進歩の過程から最新の問題までを1分ジャストで解説してくださり、圧巻でした。

 

 


次の登壇者は木下貴裕さん。地質の研究をされています。地質に対する情熱が素晴らしく、ポスターセッションでもっと話を聞いてみたいと思わせる、熱の込もったプレゼンでした。

 

 


次の登壇者は車兪澈さん。人工細胞の研究をされています。試験管のなかで作成した自分で成長し自分で増える「人工細胞」は、果たして生命と呼べるのか否か。何が物質と生命を分けるのか……。哲学的ですね!

 

 


次の登壇者は三橋利晴さん。「オタクの皆さん、元気ですか!?」から始まったプレゼン。会場の笑いを誘っていました。フォーカスしているのは人と人とのコミュニケーションだそうです。確かにコミュニケーションがなくなると健康状態が悪くなる(心身を病むなど)というのは、関係がありそうですよね。

 

 


次の登壇者は和田有希さん。雷雲は天然の加速器なんだそうです。ガンマ線検出器を搭載したドローンを雷雲の中まで飛ばすことで、その性質を研究したいのだとか。

 

あっという間の60秒プレゼン。登壇者の方々はさぞ大変だったことでしょう。来場者の方々にとっては、パフォーマンスとしても楽しく、研究内容の凝縮版も聞けて満足度が高かったのではないかと思います。

ポスターセッションでコインの投入先を決定

さて、プレゼンの後はポスターセッションです。来場者の皆さんは、適度に散らばって思い思いに登壇者の方のポスターを聞きに行っていました。

 


皆さん熱心。登壇者の方にとっても、興味を持ってもらえたりフィードバックがもらえたりするのは励みになるでしょうね。

ポスターセッションの1時間はあっという間に過ぎていきました。どの研究も話し込んでしまえるだけの内容があるので、7つすべての発表をゆっくりは見られなかった方もいたかもしれません。司会のアナウンスに従って、慌ただしく自分のコインを貯金箱に入れておられる方もいらっしゃいました。

ポスターセッションが終了し、運営がコインを集計している間に30分程の歓談タイム。登壇者の方々も少しホッとした様子でお菓子など手に談笑されていました。登壇者の方同士の交流も生まれていたようです。

最速プレゼン王は……?

いよいよ結果発表! 今回は賞が3つ用意されていました。


ひとつ目は、本イベントのスポンサーである「知恵の流通の最適化のインフラづくり」を目指すアカリク様より、ソフトロボティクスの安藤さんに「アカリク賞」が送られました。熟練工の知恵を汎用性のあるものにしようという産業界への波及を捉えたプレゼンが、まさにアカリク様の目指すところとリンクしていた点が評価されました。

 


2つ目は、もっとも60秒プレゼンが良かった人に贈られる「アカデミスト賞」です。受賞者は天文学を研究されている大内さんでした。時間ジャストでポイントを漏らさず言い切ったプレゼンは素晴らしかったです!

 


そして3つ目は、本イベントでもっとも多くのコインを獲得された方に送られる「最優秀賞」。ドローンで雷雲に突撃の和田さんが受賞しました。具体的な物を作っているところが来場者の方々の心に刺さったのかも知れませんね。

 


最後に、登壇者の方々全員にコインの獲得数に応じた賞金が授与されました。また、サプライズでacademistのTシャツもプレゼント。ぜひ研究室で着てくださいね

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研究者の皆さんはどの方も、突けば突くだけ知らなかった知識を教えてくださいました。やっぱり研究って、研究者って、面白いですね!

研究者と直接会って話す機会はめったにないという人もたくさんいらっしゃると思います。そう考えると、研究者と、研究に直接携わってはいないけれども興味がある方との接点として、とても良い場になったのではないかと感じました。研究者の方々も、普段は同じ分野の方々を相手に研究内容の発表やディスカッションなどをされているなかでは、一般の方へ向けてのプレゼンは新鮮で、モチベーションアップにもなったのではないでしょうか。

以上、盛況に終わった「アカデミストシンポジウムvol.2」の当日の様子をお伝えしました。ぜひ次回もお楽しみに!

この記事を書いた人

間野晶子
間野晶子

数値解析エンジニア, PhD – Computational Fluid Dynamics (数値流体力学)


フランス、フィンランド、日本でリサーチャーとして活躍後、数値解析エンジニアとして活躍中。筋金入りの”リケジョ”だが、アーティスト的な感性と文才も持ち合わせ、 グローバルな経験も活かしライターとしても活動。サイエンスコラムやWEBニュース媒体などで記事を執筆。民間宇宙開発レースGoogle Lunar XPRIZEに参戦する民間月面探査チームHAKUTOのプロボノメンバーでもあり、SNSやメールマガジン等のコンテンツの執筆、編集などを手掛ける。