こんにちは!サイエンスコミュニケーターの佐伯恵太です。昨年末に司会・スタッフとして携わりました「若手研究者が未来を語る アカデミスト忘年会」をご紹介したいと思います。

このイベントは、会場のCIC Tokyoとオンラインのハイブリッドで開催され、若手研究者による研究ピッチやポスター発表、特別講演にパネルディスカッションなど、盛りだくさんの内容で、会場は熱気あふれる空間となりました。

academist Prizeチャレンジャーによる怒涛の12連続60秒ピッチ!

イベントの主役は、若手研究者向けの研究費支援プログラム「academist Prize」の2期生メンバーである、12名の若手研究者です!というわけで、最初の企画は若手研究者12名による研究ピッチ。普段司会業などで場数を経験している私でも緊張してしまう綺麗な空間、そして緊迫感漂うムードの中、皆さん圧巻のパフォーマンス!60秒という限られた時間の中で、研究の内容から将来のビジョンまで、しっかりと伝わる内容でした。

研究テーマは「遠い宇宙の環境を明らかにする」「研究への寄付募集の研究」「俳句を通して美しさを解き明かす」「人口研究者の実現を目指す」など多岐にわたります。そのことが、発表者にとっては、自分の研究が少しでも印象に残るよう頑張らなければ!というモチベーションに、参加者にとっては、次はどんな研究の話が聞けるんだろう?というワクワク感に繋がっているようでした。

チャレンジャーによるポスター発表

研究ピッチのあとは、チャレンジャーによるポスター発表の時間です。約30分の間、参加者からチャレンジャーへの質問は止むことなく、あっという間の時間でした。

ポスター発表の時間中、会場の様子をスマートフォンで撮影して中継することにより、オンライン参加の方々にも会場の熱気が届けられました。また、オンライン参加の方々からの質問をピックアップし、リアル会場の発表者に答えていただくという形で、リアルとオンライン間での交流が実現し、オンライン上でも大変盛り上がっている様子でした。

特別講演「前に進んだときの気持ち」

続いて、協賛企業であるカクタス・コミュニケーションズの企画として、宇野毅明氏(国立情報学研究所)による特別講演が行われました。研究者として研究を推進し、研究費も獲得して研究を突き詰めていった先で、どんな気持ちになり、何を思うのか。研究者の先輩としての実体験がリアルに語られました。

「渾身の作は引用されない」「深まれば深まるほど孤独になる」など、宇野さんから語られる言葉の一つ一つに、チャレンジャー、参加者の皆さんは深く頷き、共感されている様子でした。研究とは何なのか、研究者とは何なのかと考えさせられるとともに、最後にはグッと前を向けるような素敵なお話でした。

その後、カクタス・コミュニケーションズの若手研究者支援プログラム「エディテージ・グラント」のご案内がありました。この支援プログラムでは、5名の受賞者に研究活動に関わるすべての費用に充当できる助成金として100万円が授与されます。応募の最終締め切りは、2023年1月31日ですのでまだ間に合います!ご興味ある方はぜひ、ホームページをチェックしてみてください。

#歳末助け合い研究推進企画!

続いての企画は「京大100人論文」など、さまざまな取り組みを推進されている宮野公樹さん監修のtwitter連動企画、その名も「#歳末助け合い研究推進企画」です。twitterでこのハッシュタグをつけて、自身の研究の悩みや、教えてほしいことについて投稿すると、ハッシュタグを見た人からコメントがもらえるという、まさに助け合いの精神を宿した企画です。

宮野さん独特の語り口調は、それまでの企画で熱気ムンムンとなった会場を程よくクールダウンさせ、穏やかなひとときとなりました。しかしそんな中でも「改革だなんだと頭でっかちに議論することよりも、大切なのはケア、助け合いだと思う」という宮野さんの一言には、確かな熱を感じました。

各賞発表!!

ここからは、表彰の時間です。まずは、academist Prize 第2期 初のマイルストーン賞「エマージングテクノロジーズ賞」の発表です!受賞者は、こちらのお二人!!お二人が挑戦中のクラウドファンディングのプロジェクト名とともにご紹介します。

石坂晴奈さん:介護する人もされる人もハッピーな認知症ケアを実現したい

櫃割仁平さん:世界最短の詩、俳句を通して、美しさの多様性と核心を解き明かしたい

研究のインパクトや将来性だけでなく、研究に取り組む姿勢や人柄なども含めて選考されたそうです。企業賞はエマージングテクノロジーズ代表の深澤さんから授与されました。お二人には、それぞれ賞金5万円が贈られました。

また、受賞されたお二人だけでなく、全員の研究ピッチなどのレベルが僅か数ヶ月で格段に上がっていると、深澤さんも驚かれていました。クラウドファンディングは研究のための資金を獲得するためだけでなく、アウトリーチへの意識を高め、かつ、実践できる場としても有効であることを、イベント全体を通して再認識しました。

企業に続いて、イベント参加者の投票によって選ばれた「オーディエンス賞」が発表されました。こちらも受賞者は石坂さん。ダブル受賞となりました!「オーディエンス賞は……研究関連書籍購入費です!」と発表されると、石坂さんは即座に使い道をお話されていて、そういう姿勢で日々取り組まれていることが、こうやって実を結ぶのだと感じました。

最後にささやかながら、私がプロデュース(監督・出演)しているYouTube科学番組「らぶラボきゅ~」への出演権を「らぶラボきゅ〜賞」として原直誉さんに贈呈しました。ミミズへの愛が止まらないミミズ研究者の原さんと、らぶラボきゅ〜の今後のコラボレーションにもご期待ください!

懇親会と、そこから生まれた「真の忘年会」

全企画が終了したあとは、会場限定での懇親会が行われました。約一時間の懇親会は最後まで大いに盛り上がり、皆さん「まだまだ話し足りない!」というご様子でした。

そこで急遽、イベント終了後に「アカデミスト真の忘年会」開催が決定!12月26日に、アカデミストのチャレンジャー、サポーター限定のオンラインイベントとして実施されました。クラウドファンディングのチャレンジャーが一年を振り返り、今後の抱負を語るだけでなく、サポーターからチャレンジャーへの質問や全体での議論も盛り上がり、みんなで業界を盛り上げていこう!という結束が高まりました。

去年生まれた輪を、今年さらに大きなものにしていけるよう、私も引き続き携わってまいります。皆さんもぜひ、この輪に入りませんか!?

「アカデミスト新年会」開催決定!!

最後に皆様にお知らせです。2023年最初のオンラインイベント「アカデミスト新年会」を2023年1月25日(水)19:00- に開催することとなりました!こちらはアカデミストのチャレンジャー、サポーター限定イベントですが、音声のみtwitterスペースで配信され、どなたでもご参加いただけます!

最後になりましたが、今年も皆様と一緒に様々な形で研究業界を盛り上げていければと思います。そして、今後のacademist Prize 2期生の活躍にも、ご期待ください!

この記事を書いた人

佐伯恵太
佐伯恵太
俳優・サイエンスコミュニケーター
1987年5月30日生。京都出身。京都大学大学院理学研究科で修士号(理学)を取得。日本学術振興会特別研究員(DC1)として同大学院博士後期課程で1年間の研究を経て俳優に転身。「エンターテイメント×科学」の領域で幅広く活動中。
【出演ドラマ】BS時代劇「大富豪同心」シリーズ / 「ABEMAヒルズ」コメンテーター / 日本科学振興協会(JAAS)正会員。YouTube科学番組「らぶラボきゅ〜」プロデュース・監督・出演