中学生のときに、アルツハイマー型認知症の祖母と介護する伯母や祖父のために、自分にできることはないかと思うようになりました。高校生のときにオープンキャンパスで出会った看護研究に一目惚れし、看護研究で認知症ケアに貢献することが将来の夢になりました。大学卒業後、認知症専門病棟のある病院に就職し、3年間看護師として患者さんやご家族とかかわってきました。
極度の方向音痴のため旅行は苦手です。お酒もまったく飲めません。よく「ストレス解消はどうしてるの? 」と聞かれますが、しっかり寝て掃除してご飯を食べれば、心身ともに回復していきます。本当です。お試しあれ。
私は看護師をしていたときに、認知症のある患者さんが「家に帰りたい」と口にしても、元いた場所ではないところに退院していく姿を何度も見てきました。そして、患者さんのご家族は、自宅でのこれまでの介護に疲れ果てているように見えました。そんな経験から、「本人も周りの人も大変な介護」ではなく、「両者が穏やかに生活できる介護」を実現したいと思うようになりました。認知症ケアについて研究しているうちに、ケアの工夫によって認知症の症状を最小限にできることを知りました。
誰しも調子の波があるように、身体や認知機能の具合・周囲の環境によって、認知症のある人は日々変化しています。そのため、効果的なケアも変化しやすいという難しい側面をもっていますが、そのときのその人にしっくりくるケアを追究したいです。そして、それを誰でもできるようになったら、世界中の介護する人もされる人もハッピーになるのではないかと思います。
しっくりくるケアを実現するためには、認知症のある人が一人では難しいこと・必要としていることを周りの人が正しくキャッチし、うまく補うことが必要です。修士課程では、自宅で暮らす認知症高齢者と家族介護者に協力していただき、トイレに関して一人では難しいことと、それに対してご家族がどのようにケアしているのかを調べました。
しかし、このように他者がどのようなケアをしているかを知る機会はなかなかありません。それは、ケアは実践の中で体得するものとされており、知識が言語化されにくいからです。
博士課程では、このような共有されにくいケアの知識を、誰でも使えるようにしたいと思っています。そうすることによって、介護する人がケアのヒントが得られると考えています。具体的には、排泄ケアに関する暗黙的な知識を言語化し、これまで明らかにされたケアのノウハウと統合させて整理しました。今後は、実際にケアスタッフのみなさんに使ってもらい、より現場で活用できるものにしたいと思っています。
「知識の構造化」という手法を使って、排泄ケアのノウハウをまとめています。なぜ排泄かというと、介護負担や本人の尊厳への影響が大きく、個室では一層ノウハウが共有されにくいからです。「知識の構造化」をすることによって、そのケアがどのような根拠に基づいていて、どのような場合に有効であるかがわかりやすくなります。これらを介護する人が参考にすることで、介護で困る経験を少しでも減らすことができたらと思っています。
認知症のある人や日々ケアをしているスタッフ・介護者のために、そしてどれにも当てはまらない人でも「認知症になっても大丈夫」と思えて安心して歳を重ねることができるように、これからも取り組んでいきます。
看護師の中で教育研究機関で働いている人は3%もいません。看護師に出会ったことはあっても、看護学研究者に出会ったことがある人は少ないのではないかと思います。そのため、看護学ってどんな学問? 看護学研究者は何をしているの? ということを、看護学を初めて聞いた人にも伝えたいです。
人間を対象としており、生活を大切にする学問ですので、あらゆる分野とどこかでつながっている学問であると思います。専門分野以外の話を聞くことや、誰かの人生に関心をもつことが楽しいと感じるので、さまざまな人とかかわりをもてると嬉しいです。
看護の知識は、すべての人がもっていて損はないものです。毎日がちょっと明るくなります。かかわってくださる人が少しでも健やかに過ごせるように、活動報告では看護の知恵もお伝えしていければと思います。
自らの体験と問題意識に基づいてresearch questionを立てていること、認知症専門病棟の看護師として現実に向き合い取り組んだ経験を有すること、その両輪で研究を進められることが何より石坂さんの研究者としての強みだと思います。認知症ケアという大きな社会課題に対して、これまで見えにくかったものの可視化や伝えきれなかったことの言語化を進め、机上だけでなく現場で活用される知識や技術を構築してくれると期待します。
科学技術は人が幸せになるためにあると思っている一研究者として、心から応援しています。
誰もがいつか認知症になる可能性があります。認知症ケアの見える化により、すべての人が質の高い認知症ケアを受けることができる時代がくれば、あなたやあなたの身近な方が認知症になったとしても、安心して生活することができるのではないでしょうか。
石坂さんは、異なる他分野の研究者とも積極的に人間関係を築くコミュニケーション能力と、柔軟な発想力を持っています。支援者の皆さまとの交流により、プラスの相互作用が生まれることを願っています。
時期 | 計画 |
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2022年11月 | 月額支援型クラウドファンディング開始 |
2023年11月 | 論文投稿、データ収集開始 |
2023年3月 | 国際学会発表 |
2023年5月 | データ収集終了・分析開始 |
2023年8月 | 国内学会発表 |
2023年8月 | 月額支援型クラウドファンディング終了 |
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