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意識の発達の多様性を解明し、子どもたちが生きやすい社会を目指す!

月額支援型 academist Prize 4th 採択

渡部 綾一

京都大学、特定研究員

挑戦期間

2024/09/03 - 2025/08/31

最終活動報告

2024/09/15 18:05:19

活動報告

2回

サポーター

32人

経過時間

2024/09/03 08:00:00

挑戦者の自己紹介

渡部 綾一

渡部綾一 (わたなべりょういち) と申します。京都大学で特定研究員(ポスドク研究員)として、クオリアや意識の発達を研究しています。「わたしとは何か」「生きるとは何か」「世界とは何か」といった主観的な問いを子どもの時からずっと考えてきました。そしてこの問いに関する私の意識体験や考え方、仮説は年を重ねるにつれ変わってきました。こういった経験から、意識の発達のおもしろさに魅了されて、研究を始めました。研究以外では、療育スタッフや塾講師をしながら、一人ひとりの子どもたちが、それぞれの意識体験を持っていることを体感してきました。子どもたちが見ている世界、感じている世界を皆さんと共有したいです。応援よろしくお願いいたします!

あなたが研究を通して成し遂げたいことはなんですか?

私が研究を通して成し遂げたいことは、意識の発達の多様性とその認知神経基盤を明らかにすることです。

私たちは、朝起きて夜寝るまでに、さまざまな感覚や思考を、自分自身が主人公として体験しています。さらに、意識は生まれてから死ぬまでにも大きく変わっていくと考えられています。これまでの意識研究から、視覚に関する意識は、注意能力や記憶能力、メタ認知能力などの認知機能と関係があり、前頭葉や後頭葉などの脳領域とも関連していることがわかっています。私たちの意識は一人ひとり多様で、各々の人生の中でも変化していきます。また発達障害者の生きづらさの根幹には、感覚過敏や感覚鈍麻などの感覚に関する意識の問題があると考えられています。

このような知見を社会に発信することで、すべての子どもの行動や心の正しい理解が得られ、社会や大人の勘違いや知識不足によって子どもが理不尽に怒られ、傷つくことが減るのではないかと考えています。私は、意識の発達の多様性研究を通して、すべての子どもが生きやすい社会にしていきたいと思っています。

どのようなプロセスで実現しようとしていますか?

私は、意識の発達の多様性とその認知神経基盤を、多様な背景を持つ3~12歳の子どもと成人を対象に、心理学実験と神経活動計測を組み合わせることで解明したいと考えています。

これまでに私は、幼児・児童期の子どもの視覚的意識の発達に関する実証研究を行ってきました。その結果は、幼児の視覚的意識の内容は、成人のものと似ているが、より長い刺激の処理時間がかかること、刺激の種類によらず、幼児は、児童や成人よりも視覚的意識の発生のための処理時間が長いこと、幼児と成人で一瞬の日常風景の認識は似ているが、幼児は成人よりも、世界をありのままに認識している可能性があることを示してきました。

今後はこれらの研究手法を、多様な背景の子どもたちを対象に、聴覚や触覚、自己に関する意識の計測に応用し、意識の発達の多様性を解明します。さらに、研究成果や関連知識を研究者だけでなく、多様な背景の子どもたちに関係がある人々に向けてイベントやメディアを通じて報告し、子どもたちの意識の多様性の理解を目指します。

現在取り組んでいる研究課題はなんですか?

私は現在、定型発達の成人と子ども(3~12歳)の視覚に関するさまざまな意識(例:形や色、数字、写真)の発達を研究課題として取り組んでいます。これらの結果は、7~12歳と成人の視覚に関する意識が似ている一方で、3~6歳の意識は他の年齢群とは異なることを示唆しています。

これらの子どもの視覚に関する意識の発達と、聴覚や触覚、自己に関する意識の発達は似ているのか、それともそれぞれの意識は異なるのかは、研究をしてみないとわかりません。さらに、定型発達の子どもたちと発達障害などを背景にもつ子どもたちの意識が似ているのか、異なるのかも、研究する必要があります。

子どもたちの意識の多様性の理解のためには、次のステップとして、多様な背景の子どもたちの、多様な意識の発達を研究する必要があります。

なぜacademistに挑戦していますか?

私がacademist Prize 第4期に参画を決めた理由は、若手研究者が研究しやすい環境を同じ志を持つ同志と共に作り上げたいからです。

私は大学院博士課程在籍中にacademist Prize 第1期に参画し、その後もacademistのコミュニティで活動を続けてきました。大学院生やポスドク研究員は研究費や生活費に苦労することが多く、私自身も経済的な理由からacademist Prize 第1期に参画しました。現在も1年ごとの契約のポスドク研究員であり、生活は安定していません。このような状況では、創造的な研究は難しいです。academist Prizeの取り組みは、若手研究者が研究に専念できる機会と期待を生み出します。

私はacademist Prize 第4期を通じて、自分自身が研究に専念するだけでなく、その体験を発信し、研究クラウドファンディングが主要な選択肢のひとつになるよう働きかけたいと思っています。また、academistスタッフやPrize研究者と共に、若手研究者の研究を活発化し、「研究ファン、1000人計画」を達成することを目指しています。

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〈一括支援プラン〉
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33,000円(税込)
55,000円(税込)
110,000円(税込)
220,000円(税込)

推薦者コメント

森口佑介
京都大学文学部准教授

乳幼児の主観的経験とその生物学的基盤、そして年齢に伴う変化は、子ども研究の根本的テーマです。誰もが乳幼児期を経験しながら、その時の記憶はほとんどありません。渡部さんは、この挑戦的な研究分野で先進的な研究を行ってきました。しかし、さらなる進展には多くの方々の支援と理解が必要です。この重要な研究へのご協力をよろしくお願いします。

川﨑聡大
立命館大学産業社会学部教授

様々な発達特性を持つ子どもたちに対する支援では、やはり困っている「今」に注目が集まりがちです。ただ乳幼児を経て「今」に至ります。目の前の困り感はその人が生まれてきてからの時間軸の中で培われたものであり、症候が出現した時点から後ろ向きにその背景を推論する事は限界を伴います。意識のレベルから人の認知プロセスの多様性解明を試みる事は様々な発達障害の通説を転換するゲームチェンジャーとなる可能性を秘めています。

井手正和
国立障害者リハビリテーションセンター研究所脳機能系障害研究部研究員

誰しもが、自分が最初に意識した物事に思いを馳せた経験があるでしょう。内容や時期などどれをとっても人それぞれ異なります。こうした意識がどのように発達し、知覚や認知の多様性と結びつくのかといったことは、非常に興味深いテーマです。渡部さんは穏やかさと研究に対する熱い情熱を併せもつ魅力的な人物です。今回、発達障害も視野に入れて研究するとのことで、共にこの分野の発展に力を注げることを心から嬉しく思います。

渥美剛史
杏林大学医学部助教

自分がいま何を感じ、どんな悩みを抱えているか、人と共有するのは難しいです。それが子どもなら、発達の特性から困難を抱える子なら…。すべての子が生きやすい社会作るために、その意識体験の客観的な理解が不可欠です。私は、言葉の無い動物の感じ方や、自閉スペクトラム症の方の感覚過敏を研究しています。渡部さんの心理学実験と神経活動計測を使う研究手法には、客観的に感じ方を共有できる可能性を感じます。「感じ」を共有しやすい社会構築のため、ぜひご支援を!

桑水隆多
筑波大学体育系助教

渡部さんとは、横浜市大の同期で大学2年生からの友です。彼が哲学・心理学の授業でいつも最前列に座り、6mmに満たない坊主頭で講義にうなづく後頭部は今でも思い出します。情熱を陰に他者への優しさを持ち、時に少し不安な気持ちが顔を覗かせる、そういう彼の人となりを見ていると益々私は応援したくなります。こどもの「意識」の発達というのは、雲よりも掴みにくいテーマ。この難題に手間のかかる実験手法で丁寧に進めていく。彼のこの道のりを一緒に歩みませんか。

研究計画

時期 計画
2024年9月 月額支援型クラウドファンディング・academist Prize 第4期開始
2024年9月-2025年8月 月1回以上の活動報告
2024年9月-2025年8月 認知発達と意識発達のレビュー論文の執筆
2025年8月 認知発達と意識発達のレビュー論文の投稿
2025年8月 academist Prize 第4期終了

リターンの説明

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