130名以上もの方々のご支援のおかげで、目標額の150万円を達成することができました。国内のゾウリムシ研究者の人口はポスドクを含めても30名以下ですので、他分野の研究者の方々や一般の方々からのご支援を多数いただいたことが分かります。このことは、私だけでなく、ゾウリムシ研究者には、今後の励みになります。SNSでの情報拡散にご協力いただいた方々、新聞社やラジオ局や博物館等に奔走し、私にtwitterとfacebookの使い方を教えてくださった本学の広報室とURA室の皆様、私とペットのホームドクターの方々、共同研究者のご家族、新聞記事と現金の入った封筒を直接持ってきてくださったご高齢の方、新聞を読んで貯金を提供してくださった中学1年生の方、ありがとうございました。完成されたシステムで適切な助言をしてくださったAcademist社の方々にも感謝いたします。人の心の温かさを感じることができた充実した2ヶ月でした。
目標金額を越えた分のご支援に関しましては、免疫染色やゾウリムシの培養に使用する消耗品などに使用させていただきます。
ゾウリムシを使用した細胞内共生の研究の進展を、今後とも注目してくださいますよう、よろしくお願いいたします。
山口大学教授(特命)藤島政博
柴藤亮介
細胞内に存在するミトコンドリアや葉緑体は、かつては細菌だったと考えられています。細胞内にこれらの構造がなかった頃に、細胞内に細菌が入り込み、もとの細胞と共生しながら進化を続けることによって、ミトコンドリアや葉緑体として細胞内に定着するようになりました。真核細胞の進化に貢献したこの「細胞内共生」は、現在でも繰り返して行われ、新たな細胞構造と機能の獲得による細胞の進化の原動力となっています。
しかし、その成立機構はまだ未解明のままです。私たちは、ゾウリムシを用いてその詳細を明らかにしようとしています。ゾウリムシ属は、0.2mm程度の大きさの単細胞生物で、世界中の淡水の湖沼や汽水に棲んでいます。ゾウリムシは大きな口を持ち、10〜15μmもの長さの桿菌(かんきん)や、3〜5μmの直径のクロレラ等を口から食胞に飲み込むことができます。この活発な食細胞活動が、ゾウリムシに多様な細胞内共生生物を維持する能力を獲得させました。それでは、細胞内共生の成立機構を明らかにするには、どのような実験を行えば良いのでしょうか。
私たちは、ミドリゾウリムシを用いることで、宿主細胞から共生生物を除去した細胞と宿主から単離した共生生物とを混合し、細胞内共生の再成立を誘導できる実験系を確立しました。ミドリゾウリムシは、他の種類のゾウリムシとは異なり、藻類のクロレラを細胞内に共生させる能力をもっています。ミドリゾウリムシとその共生クロレラは、まだ単独でも増殖能力を維持していますので、クロレラを除去したミドリゾウリムシ(白色細胞)を作り、それに宿主から単離した共生クロレラを短時間だけ混合することにより、大量の細胞に同調して細胞内共生の再成立を誘導することができます。
短時間だけ混合するためには、混合してから一定時間後に外液のクロレラを瞬時に除去しなければなりませんが、実は約50年もの間、それができませんでした。私たちは、試行錯誤のすえ、混合後1.5分に15μmのメッシュで濾過して外液のクロレラの瞬時除去に成功しました。この方法は、1.5分間に食胞に取り込まれたクロレラの運命の追跡を可能にし、細胞内共生再成立のプロセスを明らかにすることができました。
私たちはまず、ミドリゾウリムシからRNAを抽出した後、次世代シーケンサーで塩基配列情報を解読し、大型計算機で1万557個のミドリゾウリムシ遺伝子を突き止めました。
次に、共生クロレラを維持しているミドリゾウリムシと、そのクロレラを除去したミドリゾウリムシから、それぞれRNAを抽出し、共生クロレラの有無によって、ミドリゾウリムシの遺伝子発現がどのように異なるのかを網羅的に調べました(=トランスクリプトーム解析)。発現が変化するミドリゾウリムシの遺伝子数は、発現遺伝子総数の6割を超える6,698個もありました。
今後の研究では、クロレラの共生によって発現が変化する宿主の主なタンパク質の抗体を作成し、ミドリゾウリムシ細胞内での抗原の存在場所と消長のタイミングを顕微鏡で調べ、抗原の機能を解明したいと計画しています。しかし、抗体を作成するための費用が不足しています。今回のクラウドファンディングでは、皆さんのご支援をいただくことにより、10種類の抗体の作成に必要な資金150万円に充てていきたいと考えています。
クロレラ等の藻類を共生させることができる動物は多数知られているため、この研究が進めば、細胞内共生成立の普遍的な調節機構の解明だけでなく、細胞内共生によって維持されている珊瑚礁等の生態系の維持・修復や、任意の細胞の組み合わせで細胞内共生を人為的に誘導し、有用細胞をつくり出す技術開発が可能になることが期待できます。
21世紀の「細胞の進化」の研究は、細胞内共生を行なった祖先細胞のルーツの探索を目的とした従来の研究に代わり、細胞内共生成立の分子機構を解明し、細胞内共生によって成り立っている生態系の維持と修復への応用や、細胞内共生を人為的に誘導して有用細胞の作成を可能にする技術開発が主流になると思います。ぜひ、本研究へのご支援をいただけましたら幸いです。
藤島政博
時期 | 計画 |
---|---|
2017年04月 | クラウドファンディングに挑戦 |
2017年07月 | 抗血清の発注 |
2017年09月 | 間接蛍光抗体法を用いた実験 |
2018年01月 | 論文執筆(〜2018年3月) |
2018年10月 | 学会発表(日本動物学会) |
私が撮影したゾウリムシのオリジナル画像を解説付きでメールにてお届けいたします。サンプル画像は微分干渉顕微鏡で撮影したミドリゾウリムシです。美しいゾウリムシたちの画像を一緒に楽しみませんか?
研究進捗レポート / ゾウリムシのオリジナル画像
27人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
1000円のリターンに加えてオリジナルクリアファイルを3種類お届けいたします。何が届くかは到着までのお楽しみに!
オリジナルクリアファイル(3種類) / 研究進捗レポート / ゾウリムシのオリジナル画像
26人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
3000円のリターンに加えて、今回のクラウドファンディングのための作成したオリジナルTシャツをお届けいたします。Tシャツの左胸には、共焦点レーザー顕微鏡で撮影したミドリゾウリムシの共生クロレラのクロロフィルの自家蛍光をプリントする予定です。カラーはブラックのみです。サイズは、S, M, L, LLからお選びください。
オリジナルTシャツ / オリジナルクリアファイル(3種類) / 研究進捗レポート / ゾウリムシのオリジナル画像
46人のサポーターが支援しています (限定 50 個)
5000円のリターンに加えて、2017年8月に山口大学で実施するサイエンスカフェにご参加いただけます。今回のプロジェクトはもちろん、これまでの研究成果についてもお話できればと考えておりますので、ふるってご参加くださいませ。(なお、会場までお越しいただけない方々には、後日動画のURLをお届けいたします。)
サイエンスカフェ参加券 / オリジナルTシャツ / オリジナルクリアファイル(3種類) / 研究進捗レポート / ゾウリムシのオリジナル画像
29人のサポーターが支援しています (限定 30 個)
10000円のリターンに加えて、2017年8月に山口大学で実施する研究室オリジナルツアーにご参加いただくことができます。ツアーでは、ゾウリムシ培養法のご紹介や、微分干渉顕微鏡・蛍光顕微鏡での観察などを実施する予定です。なかなか体験することのできない機会になるかと思いますので、ふるってご参加ください!
研究室オリジナルツアー / サイエンスカフェ参加券 / オリジナルTシャツ / オリジナルクリアファイル(3種類) / 研究進捗レポート / ゾウリムシのオリジナル画像
8人のサポーターが支援しています (限定 15 個)
30000円のリターンに加えて、本研究の成果を発表する際の論文にお名前を掲載いたします。掲載までにはある程度の時間はかかるかと思いますが、末長く応援をよろしくお願いいたします。
論文謝辞にお名前掲載 / 研究室オリジナルツアー / サイエンスカフェ参加券 / オリジナルTシャツ / オリジナルクリアファイル(3種類) / 研究進捗レポート / ゾウリムシのオリジナル画像
7人のサポーターが支援しています (限定 10 個)
100000円のリターンに加えて、私が新しく出す予定の専門書「Paramecium Cell(Fujishima M.編集、Springer社)」にサインを書いてお届けいたします。
藤島教授のサイン付き英文著書 / 論文謝辞にお名前掲載 / 研究室オリジナルツアー / サイエンスカフェ参加券 / オリジナルTシャツ / オリジナルクリアファイル(3種類) / 研究進捗レポート / ゾウリムシのオリジナル画像
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研究進捗レポート(電子版)
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