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個々人が意思をもって災害復興できる社会の実現を目指して

月額支援型 academist Prize 4th 採択

土田 亮

東京大学、特別研究員PD

挑戦期間

2024/09/03 - 2025/08/31

最終活動報告

2024/09/14 22:15:14

活動報告

5回

サポーター

36人

経過時間

2024/09/03 08:00:00

挑戦者の自己紹介

土田 亮

土田亮(つっちー)です。宮崎出身・育ちです。
小学生のころに受けた、地元での台風被災の経験から、災害や自然、社会、人のつながりに関心を抱きました。そこから災害に関する人類学の魅力や不思議に惹かれて研究に取り組みました。
これまでスリランカ・ラトゥナプラ市の洪水経験と復興についてフィールドワークを行ってきました。
今後は日本を中心に災害後の日常とはどんなものかをイメージできるような研究やアウトリーチを様々な研究者や実践者、アーティストなどの声とともに取り組みます。
略歴や研究サイトはこちら▶︎ https://researchmap.jp/dothen74boc

あなたが研究を通して成し遂げたいことはなんですか?

私の成し遂げたいことは、災害を受けた後に個々人が意志をもって災害復興できる社会の実現です。

近頃、多様な災害が日本全国のいたるところで起きており、いつどこで被災してもおかしくない状況です。これに対し、災害発生後は国や自治体が独自に復興ビジョンを掲げ、復興を進めています。しかし、私が災害現場に訪れて被災者の声を聞くと、行政と地域のコミュニケーションは必ずしも十分ではないため、復興ビジョンと現場の思いにはすれ違いが発生し、被災者はままならない日常を過ごしています。

たとえば、2024年1月に発生した能登半島震災後に私がボランティアで訪れた石川県七尾市には、被災後も地域で生きる覚悟を決め、復興に向けて活動するたくさんの被災者がいます。しかし実際には、インフラ整備が長期化し生活に支障をきたしたり、自主避難所の閉鎖で遠方の避難所や集会所のない仮設住宅に散り散りになったり、災害廃棄物仮置き場が早期閉鎖し処理困難に陥ったりなど、被災者としての現実を感じることが多くあり、復興後の姿を描くことは困難です。

そこで私は、被災地の声を拾い上げるとともに、日本全国に展示やワークショップなどを通じて共有することで、被災した人たちが多様な復興の可能性を、被災していない人たちが復興支援や生活の見直しの可能性を考え実践する基盤ーボトムアップ型で復興ビジョンを構築する基盤をつくりたいと考えています。

どのようなプロセスで実現しようとしていますか?

ボトムアップ型の復興ビジョンを実現するために、2つのステップで研究を進めます。

まず、被災地での復興支援や現地調査を通じて、現場の声や風景、生活を整理します。ボランティアや物資支援、ケア現場に私も関わり、被災者や支援者など各個人の事情や葛藤などに耳を傾けます。信頼関係のもと、その人の語りのまま文字に書き起こす「聞き書き」という方法で表現し、みなさんの声を集めます。それらを整理することで、私たちが見落としていた地域の実情や課題、教訓を明らかにします。

次に、先述を踏まえて復興と日常を考え、共有する場と方法をつくるために展示とワークショップを行います。展示では被災者の声や被災地の写真・映像に向き合う場を自治体やデザイナーと協働します。被災前後の風景や暮らし、地域で生きること、地域を出ることの覚悟や葛藤を共有します。

ワークショップでは、その覚悟や葛藤を自分ごととして捉え、被災者、支援者、被災していない人を交えて、参加者がこれから(再び)被災するかもしれない未来や社会に向けて、いかに今の生活や意志を見直すか、対話と理解を深めます。この2つのステップを1年間で3つの地域(石川、佐賀、宮崎)で実施を目指します。

現在取り組んでいる研究課題はなんですか?

これまでスリランカや日本(石川、佐賀、宮崎)でフィールドワークを行い、被災後の生活やレジリエンスやケアをいかに維持・生成するか研究してきました。たとえば佐賀県武雄市では、2019年と2021年に立て続けに豪雨洪水災害に見舞われました。その際に私は、地域で防災拠点を立ち上げた一般社団法人おもやいや高齢者福祉施設の人たちからの経験を聞きました。

その結果、短期間で連続して被災した影響も相まって、被災者の手に負えないほどの作業量が発生していることや、現場と行政の役割分担の切り分けが難しく、協働体制をとるイメージが湧かないことなどがわかりました。協働体制を取るには、地域の自治体やNPO/NGO、被災者、支援者、ボランティアセンターがそれぞれの立場からの経験を共有し、復興プロセスのどこに課題があるかをボトムアップで考える場が重要です。

私は研究者としてニュートラルな立場からこのような場をつくり、ステークホルダーの声に耳を傾けながら、ボトムアップ型で復興ビジョンを描く基盤をつくりたいと考えています。

なぜacademistに挑戦していますか?

ボトムアップ型で復興ビジョンを構築するには、現場の声をより広範に届けて、自分ごとに考える人たちを増やしていくことが必要です。災害はいつでも自分ごとになる可能性があるからこそ、私の研究自体をもっと社会に開き、展示やワークショップをより多様な人たちと実施したいと考え、academistへのチャレンジを決めました。

この研究は私だけのものではなく、市民団体や自治体、研究者、企業、NPO/NGO、デザイナー、アーティスト、被災者、被災していない人たちと協働しながら進め、研究と実践の成果を広く還元したいと考えています。国や自治体主導のトップダウン型に加えて、ボトムアップ型の復興ビジョンをつくる。これが私の研究ビジョンです。

全国に声を届け、つながりながら、復興や生活を見つめ直し、個々人が意志をもった災害復興と生活ができる社会に見通しが持てたら、もう少し一人一人が災害や復興に対する向き合い方も語りやすくなると考えています。皆さんからこのビジョンに対して共感や反響をいただけたら望外の喜びです。応援よろしくお願いします!

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このプロジェクトは、銀行振込での一括支援も可能です。
ご支援いただいた月から2025年9月末まで活動報告が閲覧できます。

一括支援をご希望の方は、こちらのフォームよりお申し込みをお願いいたします。

〈一括支援プラン〉
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33,000円(税込)
55,000円(税込)
110,000円(税込)
220,000円(税込)

推薦者コメント

桑島修一郎
京都大学生存圏研究所附属生存圏未来開拓研究センター センター長

土田さんとは学際性について一緒に研究してきました。学問の役割の一つとして、様々な社会問題に対する多様な考え方を提供することがあるとするなら、複雑な社会問題に対して、多様な成り立ちをしてきた様々な学問分野を横並びに眺めてみると何か新しい知識に辿り着くのではないか?という期待が学際性にあります。しかし、留意すべきことは、個々の学問分野には相応の理由があり発展してきたのに、それらを統合的に捉えることで新たな発見につながるというのはどこか矛盾した概念のようにも見えることです。
総論賛成、各論反対という現象は、土田さんがテーマとする災害復興の現場でもよくあります。行政などの全体を見渡す視点で提案される復興のロジックは決して間違っていないですが、なぜか実際の行動に移されるとどこか的外れに感じることはないでしょうか。この本質的な矛盾を緩和するためには、各論が意味する本質を捉え総論として作りあげていく知識とスキルが不可欠です。土田さんはまさにその実践者なのです。

清水美香
一般社団法人地球社会レジリエンスセンター 代表理事・センター長

教員としてつっちーを見続けてきた立場から、その人となりや強みを3つ挙げます。
1つ目は、感性です。人に寄り添う心とか、人としての感性が伴わないと、被災者からの信頼を得ることはできません。つっちーはめずらしくそれを豊かにもっています。だからこそ、被災者の身になって、被災者の視点から災害研究ができる可能性に満ちていると思います。
2つ目は、研究者は自身の専門の枠内に留まりがちですが、つっちーは、そうした狭い枠を超え境界線をまたいで行動できること。このクラファンでアーティストと協働して、と記載しているところは、本気でやろうとしているんだと思います。このクラファンではつっちーならではの、アクションが取られると期待します。
3つ目は、シンプルですが、あきらめない心です。論文を私のところにもってきては、何度も真っ赤にコメントを加える、直すということがありました。普通の学生なら心が折れそうになっているでしょう。そんな時も、つっちーは決してあきらめない・・。何度も教員室を訪ねてきては、一緒に良い論文にする方法を考えました。あー、強いなと思いました。きっと、新しいことに挑戦すると、様々な壁にぶちあたると思いますが、それでもひるまず、粘り強く前進していくものと信じます。

木村周平
筑波大学人文社会系教授

災害復興についてはこれまでも、行政主導のインフラ整備中心の現行の進め方は、被災者個々人の多様な暮らしや将来像を十分に取り込めないことが指摘されてきました。他方、災害対応における「自助」・「共助」・「公助」に関しても、災害が多発する昨今、公助による対応がカバーしきれない状況が目に付くようになり、「共助」の重要性が高まっています。土田さんの研究はとてもタイムリーかつ意義のあるものだし、「聞き書き」という方法も、多くの人々がつながるうえでとても効果的だと思います。多様な学問分野間を、研究と多様な現場とを積極的に行き来しながら考え、行動する土田さんの活動の展開に大いに期待しています。

東詩歩
合同会社ギンエン 代表

つっちーさんとは、震災前に仲良くなり、その後、わたしも能登半島地震を経て、いかにつっちーさんの続けている活動や研究がどれだけ貴重なものかを実感しています。
災害がこれだけ多い国ですが、わたしたちは身をもって、災害に備えることが必要だということを実感できていないのではないでしょうか。どこか遠くの国で起こり続けていることかのように。こうして日々過ぎていくなかでも、常に地球は動き続け、次なる災害へのカウントダウンが始まっているといっても過言ではありせまん。
しかし、それは不安に陥れるような形ではなく、ひとりひとりの物語として、話を聞き、書き残すことで繋げていくこともできます。そして、きっと話を聞いてくれる人がいる。そのような営みは、きっと未来の人々のためだけではなく、渦中にいる人々の部分的な回復として光となるでしょう。
このような営みを続ける彼を「水が身体を通るような感覚を持って、社会に声を届ける人」だと形容し、推薦文を締めくくりたいと思います。

研究計画

時期 計画
2024年9月 月額支援型クラウドファンディング開始
2024年10月 石川県七尾市でのボランティア活動+聞き書き・撮影+展示会・ワークショップのヒアリング
2024年11-12月 スリランカでのフィールドワーク+海外展示会のヒアリング
2025年1-2月 石川県七尾市でのボランティア活動+聞き書き+展示会・ワークショップのヒアリング
2025年3月 宮崎県宮崎市でのフィールドワーク+論文執筆
2025年4月 フィールドワークの分析と整理、展示会・ワークショップ開催準備
2025年5月 佐賀県武雄市でのフィールドワーク+展示会・ワークショップのヒアリング
2025年6-8月 石川・佐賀・宮崎での展示会・ワークショップ開催
2025年8月 開催報告書の作成と配布
2025年8月 月額支援型クラウドファンディング終了

リターンの説明

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