目標金額100万円の達成にご協力いただき、ありがとうございました。
私たちは、クラウドファンディング終了の期限まで、このような自発的な取り組みがあることをお伝えしていきたいと思っています。
それに伴い、次の「ストレッチ・ゴール」として、150万を目指すことにいたしました。
その理由は、以下の二つです。
1、ワークショップの活動そのものの延長として、国内で論文集『ウィトゲンシュタインとドイツの伝統思想』(仮)の出版を目指すため。
2、今回のワークショップ開催にとどまらない、国際的なプラットフォーム作りに着手するため。具体的には、A. テーマの見直しを行い日本での公募型・国際ワークショップを継続する、B. ワークショップの継続により共同研究を行いやすい環境を形成していく、B. 将来、英語の査読誌を刊行することを目標に諸外国の研究者との結びつきを深めていく、ということが挙げられます。
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「ウィトゲンシュタイン哲学の国際ワークショップを開催したい!」支援者の皆さま
もうすでに一度メールでのご連絡が行っているかと思いますが、私たちは、目標金額の100万円を達成いたしました。
支援してくださった方、支援を呼びかけてくださった方、情報を拡散してくださった方、どうもありがとうございました。
私たち二人だけの力ではこのようなスピードでの達成は不可能であったかと思います。改めて、お礼申し上げます。
ひとまず、この100万円という金額により、ワークショップ自体の開催はかなり現実的なものになりました。
もちろん、具体的な日程調整に関しては、まだ決断できる時期ではなく、国内外の情勢を踏まえて慎重に判断しなければなりません。
しかし、現在離れたところで研究活動をしている参加予定者の方々には、強い動機付けになることと思います。
今後は、プロジェクト終了の12月3日まで引き続きご支援を呼びかけつつ、私たちの活動を一回限りのワークショップで終わらせることなく、今後、他の研究者の方々を巻き込んでどのような活動が展開可能かということを考えてまいります。
例えば、ワークショップを継続し数年度おきに開催する、哲学では珍しい共著での発表をしやすくする、英語での査読誌を創設する、等々のアイディアがすでにあがっています。
すぐに実現できるアイディアばかりではないかもしれませんが、どうすれば実現可能かということを、(皆さまのお力にも頼りつつ)考えていきたいです。
最後に、クラウドファンディングという資金調達のあり方について関心のある方にメッセージを送ります。
今回の私たちのプロジェクトをきっかけとして、科研費などとは異なる研究資金の獲得に意欲的な研究者の方も増えたのではないかと思います。
私たちのチャレンジの達成には、偶然的な要素もあったかもしれませんが、どのようにすれば多くの方々に活動をお知らせし支援していただけるかについて、ハウツーを得ることができました。
このことを共有していければと考えております。
それと同時に、科研費などとは異なる仕方で研究資金を獲得するにあたって、気をつけなければならないこともある、ということをお伝えしなければなりません。
クラウドファンディングでは、目標金額を自由に設定することができます。また、目標金額を達成したあとも、セカンドゴール(ストレッチ・ゴールとも呼ぶらしいです)を設定することができます。
これにより、ある程度決められた予算内でいかにプロジェクトを遂行していくかを綿密に計算するというよりも、設定する目標金額に応じてできることを膨らませていくという方向性で機会をとらえることになります。
このことは、なかなか長期的なプランを立てにくい私たち人文系の研究者にとっては嬉しいことですが、従来の研究費に対する考え方からすれば、資金運用に関して不透明なところがあるように見えるかもしれません。
こうした問題に関しては、これからの課題として受け止め、皆さまの知恵を拝借しながら解決を模索していきたいと考えております。
長くなりましたが、今後とも私たちの活動を見守っていただけると幸いです。
槇野沙央理・木本周平
ウィトゲンシュタイン(1889〜1951年)は、19世紀末のウィーンに生まれながら、英米圏の現代分析哲学に強い影響を与えることになったユニークな位置づけをもつ哲学者です。戦争の影響で亡命を余儀なくされたウィトゲンシュタインは、イギリスのケンブリッジ大学で受け入れられ、主として英米圏の哲学者に影響を与えました。一方、彼が残した遺稿の大部分は、講義録を除いて、ほとんどすべてドイツ語で書かれています。つまり彼は、イギリスという外国において活動しながらも、「ドイツ語」という母語で思索を続けた哲学者なのです。
このような歴史的背景から、ウィトゲンシュタイン研究には、欧州のなかでもイギリス(British Wittgenstein Society)、オーストリア(Austrian Ludwig Wittgenstein Society, Wittgenstein Initiative)、ドイツ(Internationale Ludwig Wittgenstein Gesellschaft)、フィンランド(Nordic Wittgenstein Society)など複数の拠点があり、拠点ごとに専門ジャーナルを発行し続けています。それぞれの拠点によって学問的関心は異なり、独自の問題意識を追求するユニークなウィトゲンシュタイン研究者もさまざまな都市で活動しています。
日本においてもウィトゲンシュタイン研究は脈々と行われてきました。このことを物語るのは、翻訳の豊富さです。驚くべきことに『論理哲学論考』には9種類もの翻訳があり、アカデミズムの内部に止まらない多くの人たちにも刺激を与えてきました。ウィトゲンシュタインは、日本語で哲学的に思考することを試みる人たちを、触発してきたといえるでしょう。
ウィトゲンシュタイン研究などの西洋哲学の研究者は、欧米をはじめとして世界中におり、現に私たちは今、ドイツ、チェコ、ポーランドの研究者たちと一緒に研究を進めています。西洋哲学研究において世界の研究者との交流やつながりは非常に重要といえるでしょう。しかしながら、そのつながりをつくるには、2つの課題が残されています。
第一に、英米圏やヨーロッパの研究者とのつながりを作ることは容易でも、アジアの研究者たちとのつながりを作ることは難しいことが挙げられます。第二に、日本から英米圏やヨーロッパの研究者へアプローチすることはできても、その反対はしばしば難しいという課題があります。日本にどのような哲学者がおり、どのような研究がなされているかは、海外の研究者にはあまり知られていません。
これらの解決策として着目したのが、国際ワークショップの開催です。槇野は昨年、チェコで開催された「ウィトゲンシュタインとヘーゲル」をテーマとした国際ワークショップに参加しました。この歴史的にも哲学的にも壮大なテーマを掲げた国際ワークショップは、さまざまな研究者による共同作業を必要としたため、これまではしばしば個人レベルで進められることが前提となっていた哲学の営みに疑問を投げかけると同時に、国際ワークショップというかたちで議論の場所を設けることの研究上の意義を示すものとなりました。
私たちは、日本でも同じシリーズの国際ワークショップ“ Wittgenstein and Traditional German Philosophy”を開催することにしました。従来の国際ワークショップに多くみられる参加者が制限されたクローズドな開催とは異なり、発表者は国際的なメーリングリストで募るという公募型を採用します。このワークショップの試みが成功すれば、前述の2つの課題である「アジアの研究者との交流」および「海外の研究者に日本の哲学者の活動を知ってもらうこと」に、解決方策を与えることができます。
残念なことに、東京で2020年4月に開催予定だったこのワークショップは、コロナウイルスの世界的な流行により延期せざるを得なくなり、現在も流行収束の見通しは立っていません。しかし私たちは、見通しが立たないからやらないのではなく、見通しが立たないなかでも開催という目標を立て準備を進めることが、研究者の生きるモチベーションになると考えています。
現在多く試みられているオンラインイベントは、海外のイベントに気軽に参加できる反面、イベントの乱立やその気軽さによって研究者の参加のモチベーションは逆に下がってしまっており、モチベーションの維持は切実な問題となっています。特に今のコロナ禍において、孤独に研究を進めることを強いられている研究者にとって、将来のワークショップ参加という目標をもちモチベーションを高めることは、非常に意味のあることです。そこで私たちは、来年4月以降の実施を目指して、日本での国際ワークショップを将来必ず開催する決意をしました。来年の実施が再延期となった場合も、2022年以降の実施を目指します。
私たちは、この国際ワークショップを足掛かりに研究者同士の交流を可能にすることで、哲学研究者の孤立を防ぎ、国際的な連携を生み出すための、「日本を拠点としたアジアの西洋哲学研究のプラットフォーム」の創設・維持・発展を目指し、定期的なワークショップの開催やメーリングリストの整備などの継続的な努力をしていこうとしています。
将来このプラットフォームでは、欧米やアジアの十数カ国から、数百名の西洋哲学研究者がメーリングリストに登録し、定期的にワークショップに参加・交流することで、国際的な共同研究による研究成果が生まれることを目指します。今回の国際ワークショップは、その大きな目標へ向けた第一歩です。
ワークショップ開催に必要な費用は、主として、参加者の旅費と宿泊費に当てられます。国内外から集まる参加者のなかには、資金調達が困難であったり不安定であったりする研究者が少なくありません。また、当日の会場設備を整えるスタッフへの人件費も必要になります。さらに、プラットフォームとしての発展を目指して、国際ワークショップの成果を論文集として出版するための費用も必要になります。コロナの流行によって来年のワークショップ開催が叶わなかった場合には、2022年以降に延期し、そのための費用に使用します。
こうしたコロナ・パンデミックに対応したイレギュラーな資金調達は、既存の(国や大学を主体とする)リサーチ・ファンドではなかなか対応しきれません。しかし、研究者の自主性に対する信頼をベースとしたクラウドファンディングであれば、私たちに力を貸してくれるものと信じます。そして私たちは、自分たちを信頼してくださった方々の期待に答えていきます。
私たちがワークショップ開催によって達成したいことは、しばしば地域ごとで完結しがちな研究者同士の交流網を拡大し、英米圏やドイツ語圏といった哲学(ないしウィトゲンシュタイン研究)のメインストリームだけではなく、さまざまな地域でなされる研究にも目が行き届くような連携を作り出すことです。日本の(特に若い)研究者にとっては、海外に行かなければこれまではほとんど不可能であった国際的な交流が可能となることで、自分なりの国際的な場での振る舞いを確立するためのチャンスにもなります。
時期 | 計画 |
---|---|
2020年12月 | クラウドファンディング終了 |
2021年1月以降 |
国際ワークショップの開催案内
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2021年6月以降 |
国際ワークショップ開催
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2022年6月以降 |
研究レポート作成
|
ワークショップの開催後に、事前準備・当日のディスカッション・参加者の感想などの研究成果をレポートとしてとりまとめ、お送りします。
※ワークショップが2022年以降に延期となった場合は、レポートのご報告が大きく遅れる可能性があります。
研究報告レポート(PDF版)
92人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
Slack上にファンクラブ“Wittgenstein and Traditional German Philosophy”のチャンネルを設け、運営者とメッセージのやりとりをしたり、発表者の許可が得られた場合には、発表者の資料を受け取ったりすることができます。
※ワークショップが2022年以降に延期となった場合は、リターンの実施が大きく遅れる可能性があります。
オンラインコミュニティ(Slack)参加権 / 研究報告レポート(PDF版)
42人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
“Wittgenstein and Traditional German Philosophy”の入門セミナーへご招待します。2021年1月16日(土)15:00〜17:00にて、オンラインでの開催を予定しています。
オンラインセミナー参加権 / オンラインコミュニティ(Slack)参加権 / 研究報告レポート(PDF版)
30人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
ワークショップのホームページに、出資者としてお名前を掲載いたします。
国際ワークショップのホームページへお名前掲載 / オンラインセミナー参加権 / オンラインコミュニティ(Slack)参加権 / 研究報告レポート(PDF版)
4人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
ワークショップ開催後に、一対一でのディスカッションの機会を提供します。テーマは、ワークショップの内容だけでなく、若手の哲学研究者が普段どのような活動をしているかなど研究環境についてもお話できますので、ご要望をお聞かせください。
※ワークショップが2022年以降に延期となった場合は、リターンの実施が大きく遅れる可能性があります。
個別ディスカッション権 / 国際ワークショップのホームページへお名前掲載 / オンラインセミナー参加権 / オンラインコミュニティ(Slack)参加権 / 研究報告レポート(PDF版)
2人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
ワークショップのテーマに関連する範囲で、ご希望のトピックをうかがい、講演いたします。関東は出張にて、その他の地域はオンラインにて講演いたします。
出張講演 / 個別ディスカッション権 / 国際ワークショップのホームページへお名前掲載 / オンラインセミナー参加権 / オンラインコミュニティ(Slack)参加権 / 研究報告レポート(PDF版)
4人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
当サイトは SSL 暗号化通信に対応しております。入力した情報は安全に送信されます。
研究報告レポート(PDF版)
92
人
が支援しています。
(数量制限なし)
オンラインコミュニティ(Slack)参加権 他
42
人
が支援しています。
(数量制限なし)
オンラインセミナー参加権 他
30
人
が支援しています。
(数量制限なし)
国際ワークショップのホームページへお名前掲載 他
4
人
が支援しています。
(数量制限なし)
個別ディスカッション権 他
2
人
が支援しています。
(数量制限なし)
出張講演 他
4
人
が支援しています。
(数量制限なし)