コンピュータを駆使して低次元トポロジーの謎に迫る!


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72人

プロジェクト内容 コメント 58 活動報告 7

academistスタッフからの一言

数学博士を目指し、34歳からの再挑戦

数学が好きではあったものの、将来につながるように思えず、一度は大学を離れてソフトウェアエンジニアとして働いていた佐野さん。ソフトウェア技術を巡る動向の変化に伴い、プログラマたちの間で数学に対する関心が高まったり、それを受けて開催した「プログラマのための数学勉強会」で数学好きな方々と話をしたりするうちに、数学を学びたい気持ちが再燃し、大学院に戻ることを決心しました。3年間かけて修士論文を執筆し、この春から博士課程に進学します。研究と育児の両立を実現したいという佐野さんのチャレンジにぜひご注目ください。今回のプロジェクトでは、「特殊な複雑性」をもつ3次元トポロジーの研究に、コンピュータを駆使して挑みます!

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担当者:大塚美穂

三角形と四角形は同じもの? 「トポロジー」という数学

「トポロジー」は数学の一分野で「柔らかい幾何学」と呼ばれることもあります。小学校や中学校では三角形と四角形は異なるものとして扱いますが、トポロジーではこれらを「同じもの」とみなします。対象の図形をグニャグニャと動かして移し合えるものは同じということにするのです。

奇妙に感じられるでしょうか? でも実は数学者でない人でも日常的にこのようなものの見方をしています。「まぁるい緑の山手線♪」という歌があるように、山手線は路線図では丸く描かれています。しかし地図で見てみると「丸」とはかけ離れた形をしています。それらを「同じ山手線」だと思えるのは、私たちは頭の中で2つのものを変形して移し合えるからです。私たちには潜在的にトポロジカルな認知能力が備わっているのです。

18世紀のオイラーによる先駆的な仕事の後、20世紀にポアンカレによってトポロジーは創設されました。トポロジーでは紐だったり曲面だったり、日常的に触れられるものが多く出てきます。それにも関わらず、20世紀になるまで「トポロジーは数学でなかった」のです。これはなぜでしょうか?

数学は感覚的に理解することも大切ですが、同時に論理的に正確でなければなりません。「グニャグニャと動かして移し合える」というのは感覚的な表現で、数学としてはその関係性を数式で表す必要があります。その具体的な方法は......少なくとも中学校や高校で学ぶ数学の延長線上にはなさそうですよね。歴史的にも「トポロジーが数学になる」まで、数々の天才たちによる数学の革新が必要だったのです。トポロジーには「手で触れて動かせるような楽しさ」と「それを正確に扱うための奥深い理論」があり、僕はその二面性に強い魅力を感じています。

B1

世紀の難問「ポアンカレ予想」は、3次元が最も難しかった

ポアンカレの名は「ポアンカレ予想」で聞いたことがあるかもしれません。ポアンカレ予想は1904年にポアンカレによって提出された「単連結な3次元閉多様体は3次元球面と同相か?」という問題です。詳細はここでは触れませんが、これは大変な難問でした。多くの数学者が人生を賭けて証明に挑み、約100年の時を経てようやくペレルマンによって証明が与えられました。

この証明に至るまでにはどのような過程があったのでしょうか? ポアンカレ予想以前から、1次元・2次元では対応する主張が正しいことが知られていました。下図は2次元の場合に、「単連結な閉曲面は球面に限る」ことを示すイメージ図です(画像はWikimedia commonsより引用)。次は3次元、その次は4次元......となるかと思いきや、現実は違いました。1960年にスメイルによって5次元以上の場合が、1982年にフリードマンによって4次元の場合が証明され、なんと3次元が最後に残った「最も難しい次元」だったのです!

どうやらトポロジーの観点では、私たちの住む3次元空間と時間も入れた4次元空間には「特殊な複雑性」があるようです。この3次元・4次元にフォーカスしてトポロジーを研究するのが「低次元トポロジー」と呼ばれる分野です。

B2

コンピュータを使って「結び目」を研究し、低次元トポロジーの謎に迫る

低次元トポロジーの研究においては、「結び目」が、「3次元多様体の骨格」としての重要な役割をもちます。結び目とは3次元空間に浮かぶ絡まった輪っかのことです(下図はKnot atlasより引用)。結び目はそれ自体として興味深い研究対象でもあります。

結び目に関係する身近な現象として、イヤホンやネックレスが絡まってほどけなくなることはよくありますよね。数学的にも「与えられた結び目がほどけるか?」はとても難しい問題です。2000年、数学者コバノフは結び目を研究する革新的な手段「コバノフホモロジー」を考案しました。これは結び目の射影図を使って構成される代数的な対象なのですが、結び目のコバノフホモロジーを計算することで、その結び目が「ほどけるかどうか」が判定できてしまうのです。コバノフホモロジーはコンピュータでも正確に計算できます。

僕はプログラマでもあり、コンピュータを使った数学の研究に興味があります。修士課程の研究ではコバノフホモロジーの計算プログラムを開発し、その実験結果をとおして「ラスムッセン不変量に類似する結び目の不変量」を数学的に構成しました。博士課程ではこの結果をさらに深め、コンピュータを駆使して低次元トポロジーの謎に迫っていきたいと考えています。

B3

9年間働いて再び数学の道へ

僕は一度数学から離れ、9年間ソフトウェアエンジニアとして働いてから再び数学に戻ってきました。その過程ではさまざまな葛藤がありましたが、一度大学を離れたことは結果的によかったと思います。

大学を去った当時は、僕が好きな数学の分野を学び続けることが将来につながるように思えず、仕事に数学を使う気もありませんでした。その後ソフトウェア技術を巡る動向は年々変わっていき、VR/AR 技術の普及やAIブームを背景として、プログラマたちの間で数学に対する関心が高まっていることが感じられました。2015年に「プログラマのための数学勉強会」を開催したことをきっかけに、再び数学を学びなおす決心をしました。

31歳で大学院に進学し、入学後はずっと学力不足を埋めるのに必死でしたが、3年かかって書いた修士論文は「研究科長賞」を頂くこともできました。指導してくださった先生や、助けてくださった先輩方や仲間たち、支えてくれた家族に心から感謝しています。

B4

継続的なご支援のお願い

近年は学び方・働き方に対する価値観も変わってきているなかで、再び学生となって専門知識を身に付けたいと望んでいる社会人も増えているようです。しかし生活に必要な収入と学業に必要な時間のトレードオフは重大な問題です。僕は所属していた企業を退職して研究と育児を両立してきましたが、家計はずっと赤字でした。企業に所属しながら学位の取得を目指す「社会人ドクター」の道もありますが、そちらは研究に充てられる時間が制限されてしまいます。

この困難を乗り越えるうえで学術系クラウドファンディングは強力な助けとなるではないかと思い、このファンクラブを立ち上げることにしました。在学期間中に継続的なご支援をいただくことができれば、経済的・精神的により安定して研究に集中できるようになります。僕がクラウドファンディングでご支援をいただきながら博士号を取る事例となり、後続の方々にも道を開ければと思っています。

僕のチャレンジを応援してくださる場合は、ご支援をいただけるとありがたく思います。金額によるリターン内容の違いはありません。ご支援には等しく感謝し、ささやかではありますが、今後書く論文の謝辞にサポーターのお名前を掲載したWebページへのリンクを記載させていただきます。またご支援の恩は、学問のアウトリーチ活動やブログ「34歳からの数学博士」での情報発信を通して社会にお返しできればと思います。僕のチャレンジが他の方の助けとなり、多様な学びのあり方を促進する一助となれたら嬉しいです。

挑戦者の自己紹介

Profile

東京大学大学院 数理科学研究科 博士課程1年。専門はトポロジー。家では1児(4歳女)の父。「プログラマのための数学勉強会」主催。22歳で東京大学理学部数学科を卒業した後、9年間ソフトウェアエンジニアとして企業で勤務(前職はヤフー株式会社)。31歳より 東京大学大学院 数理科学研究科 修士課程 に進学。2019年に修了し、続けて博士課程に進学。

研究計画

以下のスケジュールで研究を進めていきます。

2019年4月 academist fanclub開始
2019年4月 修士論文の内容について学術誌への論文投稿
2019年5月 研究集会で講演(京都)
2019年6月 研究集会で講演(金沢)
2022年1月 博士論文提出(予定)
2022年3月 academist Fanclub終了

リターンの説明

300円
(月額 / 税抜)

注目のリターン:活動報告閲覧権、論文に謝辞掲載

  1. 活動報告閲覧権、論文に謝辞掲載
1

毎月、academistで研究報告を更新します。また、個人サイトにて「サポーター」のページを設け、サポーターのみなさまのお名前(ユーザー名)を記載させていただきます。今後僕が書く論文とブログ記事に、ご支援の謝辞と共に上記Webページへのリンクを記載します。ご支援よろしくお願いいたします。ユーザー名の掲載を希望されない方がいらっしゃいましたら、academistまでご連絡ください。

現在、41人のサポーターが支援しています。

(数量制限無し)

1,000円
(月額 / 税抜)

注目のリターン:活動報告閲覧権、論文に謝辞掲載(300円のリターンと共通)

  1. 活動報告閲覧権、論文に謝辞掲載(300円のリターンと共通)
2

毎月、academistで研究報告を更新します。また、個人サイトにて「サポーター」のページを設け、サポーターのみなさまのお名前(ユーザー名)を記載させていただきます。今後僕が書く論文とブログ記事に、ご支援の謝辞と共に上記Webページへのリンクを記載します。ご支援よろしくお願いいたします。ユーザー名の掲載を希望されない方がいらっしゃいましたら、academistまでご連絡ください。

現在、19人のサポーターが支援しています。

(数量制限無し)

3,000円
(月額 / 税抜)

注目のリターン:活動報告閲覧権、論文に謝辞掲載(300円のリターンと共通)

  1. 活動報告閲覧権、論文に謝辞掲載(300円のリターンと共通)
3000

毎月、academistで研究報告を更新します。また、個人サイトにて「サポーター」のページを設け、サポーターのみなさまのお名前(ユーザー名)を記載させていただきます。今後僕が書く論文とブログ記事に、ご支援の謝辞と共に上記Webページへのリンクを記載します。ご支援よろしくお願いいたします。ユーザー名の掲載を希望されない方がいらっしゃいましたら、academistまでご連絡ください。

現在、12人のサポーターが支援しています。

(数量制限無し)

このプロジェクトは月額課金型のクラウドファンディングです。ご支援いただいた月から毎月末日に決済が発生いたします。

お支払について

academistでのお支払はクレジットカード(VISA, Mastercard)をご利用頂けます。

Available cards

セキュリティについて

当サイトはSSL暗号化通信に対応しておりますので、入力した情報は安全に送信されます。
300円(月額/税抜)
  1. 活動報告閲覧権、論文に謝辞掲載

1

41人が支援しています。
( 数量制限無し )

1,000円(月額/税抜)
  1. 活動報告閲覧権、論文に謝辞掲載(300円のリターンと共通)

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19人が支援しています。
( 数量制限無し )

3,000円(月額/税抜)
  1. 活動報告閲覧権、論文に謝辞掲載(300円のリターンと共通)

3000

12人が支援しています。
( 数量制限無し )