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多様化する宗教観の研究を通して、多文化共生の在り方を考えたい

月額支援型 academist Prize 4th 採択

林 尭親

京都大学、博士後期課程1年

挑戦期間

2024/09/03 - 2025/08/31

最終活動報告

2024/09/12 16:45:10

活動報告

2回

サポーター

32人

経過時間

2024/09/03 08:00:00

挑戦者の自己紹介

林 尭親

こんにちは。京都大学大学院教育学研究科博士課程1年の林尭親(はやしたけちか)と申します!

キリスト教・仏教・イスラム教など多くの宗教に触れる中で、日本文化が持つ曖昧で複雑な宗教観に興味を持ちました。
宗教観のような生き方を形作る重要な価値観を研究することは、異なる価値観の違いをどのように乗り越え協働していくかという現代社会の最も大きな問いのひとつに挑戦することだと信じて、研究を進めています。

国内外の多様な文化(芸術・食・服・人などなんでも)を知り、新しいことを知ることが大好きです。

ぜひ、皆さんの世界観を僕にぶつけてください!

あなたが研究を通して成し遂げたいことはなんですか?

テクノロジーと科学が発展し、我々が生きる社会から本当に「神は死んだ」(ニーチェ)のでしょうか。
「神」は虚構で不健康な嘘であり、科学や合理性こそが正しい世界の見方であると信じることは、我々を幸福にしてくれているのでしょうか。

私が研究を通して成し遂げたい目標は、人間社会の最も強力で根源的な営みのひとつであるにもかかわらず、その権威や影響力が失われつつある「宗教」を科学的に再考し、現代に生きる私たちの新しい価値観を見出すことにあります。

「ある人はなぜ他の人に比べて宗教に傾倒するのか」「世界はなぜ世俗化(脱宗教化)するのか」といったシンプルかつ大きな問いに対する科学的な研究は意外にも不足しています。

宗教観の個人差や社会的トレンドの変遷のメカニズムを解明することは、個人や社会の価値観の違いを生み出す要因を特定したり、価値観の違いを乗り越えて他者とどのように協同するのかといった現代社会の問題に対して洞察を与えうると考えています。

経済と技術の発展が目まぐるしい現代において、私たちひとりひとりが目指す理想の生き方を支える、新たな宗教の形を皆さんとともに探求したいと思います。

どのようなプロセスで実現しようとしていますか?

このプロジェクトでは、日本文化を研究対象とし、心理学を中心に神経科学や情報学のアプローチを手法として取り入れます。

日本文化は、キリスト教やイスラム教のような教義が明確な制度宗教が浸透しない一方で、神道と仏教をはじめとしてさまざまな(そして時に相反する世界の解釈を提供する)宗教的な教義を組み合わせて、個人ごとに独自の信仰体系を確立しています。こうした「曖昧」かつ「寛容」な宗教性を持つ日本文化に焦点を当てることは、増えつつある「宗教の個人化」を解明する絶好の研究対象です。

このような文化を、認知心理学の調査と実験を中心とし、神経科学(脳科学)や情報学(大規模言語モデルを用いた自然言語処理手法やテキスト分析)の手法を用いて、科学的妥当性を担保したうえで検証していこうと考えています。

現在取り組んでいる研究課題はなんですか?

1. 自然言語処理(NLP)を用いた宗教性の研究
「日本人はどのような時に神聖な気持ちになるのか」「神はどういう存在か」ということを自由記述によって得られた文書を自然言語処理の手法で分析し、日本人の宗教性概念を定量的に検討する研究を行っています。
具体的にはトピックモデルと呼ばれるテキスト分析手法を用いて、宗教性・スピリチュアリティ・神聖さ・神という4つの単語に対して日本人がどのようなイメージを持っているかを検討しています。

2. 宗教の世俗化・個人化の研究
特定の宗教の教義や実践への固着から、多様な宗教教義や実践をもとにした独自の信仰体系の構築を行う「宗教の個人化」のメカニズムの検討の研究をしています。
価値観の流動性(状況に応じて変わる)や両面性(良し悪しや否定肯定は同時に存在しうる)を強調した弁証法的自己観と呼ばれる概念の重要性を検討する研究を行っています。

3. 宗教とAIの研究
キリスト教やイスラム教では、神の存在を感じると、自らひいては人間全体の不完全性を感じ、人間よりAIを信頼するという先行研究があります。
この研究を基に、神のイメージが異なる日本での傾向や、AIアートへの選好の検討をしています。

なぜacademistに挑戦していますか?

宗教は、宗教を信仰する人にとってはもちろん、宗教に嫌悪感がある人にとっても重要な社会的関心ごとです。宗教には関心がないという人でさえ、人間の普遍的な行いとして、死という不可避なものについて考えたり、幸福を追求したりします。

先述の通り宗教に関する意見は、世界や人生をどう解釈しているのかという究極的な問いであり、テクノロジーの急速な発展によってアイデンティティーや人間関係、人生の意義が変化する現代において、精神的な安寧を提供する重要な要素だと考えています。

私は、このような問題をより広く多くの方と議論したい、そして日本がそのフロンティアにな得る可能性に高揚感を感じてほしいと思い挑戦を決意しました。

本プロジェクトでご支援いただいた支援金は、国際学会での発表や論文の投稿をはじめ、公的な研究費ではカバーされない研究の洞察を得るためのフィールドワークや支援者様とのインタラクションのために利用したいと考えています。

活動報告では研究成果の報告はもちろん、宗教に関する疑問に答えるQ&Aコーナーの設置や、社会問題における宗教の影響に関する記事も順次公開していく予定です!

推薦者コメント

野村 理朗
京都大学 大学院教育学研究科 准教授

「風の時代」は、自由と精神性を謳歌する時代。はたしてあなたの目にどのような世界が広がっているでしょうか?挑戦者は日本文化に着眼し、心理学、神経科学、情報学を融合した先端アプローチで「宗教性」の核心に迫ります。この一見相反するテクノロジーと宗教性を駆使してゆく挑戦者が、学術や日本にどのような風を巻き起こすのか。皆さまどうぞご期待を、そして応援をよろしくお願いします。

高野 了太
名古屋大学 大学院情報学研究科 講師

AIの興隆やテクノロジー、科学の発展が加速する現代においても、コロナウイルスや大地震といった予測不能な出来事に直面するたびに、我々人間は自らの宗教性を意識せざるを得ません。この観点から、自らを『無宗教』と認識し、特定の宗教や教義に縛られることなく独自の信仰体系を築く日本人の宗教性は、特異でありながら深く検討すべき重要なテーマです。林さんの果敢な挑戦に対し、心から敬意を表し、応援いたします。

澤田 和輝
京都大学 大学院教育学研究科 研究員

皆さまはどれほど宗教に関心がありますか?特定の宗教を信仰していない方でも,何気ない会話の中で「神様」という言葉を使ったり,苦しい時に「神」頼みをしたり,少なからず「神様」を信じている心があるのではないでしょうか?そのような曖昧でどこか掴み所のない日本人の宗教性を解明しようとする林くんの研究は,信仰の有無に関わらず,身近で興味深いテーマです.私も皆さまと共に林くんの挑戦を応援させていただきます。

研究計画

時期 計画
2024年7月 33rd International Congress of Psychology(in プラハ)にてポスター発表
2024年8月 自然言語処理(NLP)を用いた宗教観を表す言葉の研究開始
2024年8月 昨年度の実験の論文執筆
2024年9月 月額支援型クラウドファンディング開始
2024年9月 第88回日本心理学会(in 熊本)にてポスター発表
2024年9月 NLP研究の分析開始
2024年10月 自主ゼミにて「宗教の世俗化」に関する実験開始
2024年11月 自主ゼミ研究の分析開始
2024年12月 自主ゼミ研究の論文執筆開始
2025年1月 NLP研究のStudy2開始
2025年2月 自主ゼミ研究の論文を投稿予定
2025年4月 新しい自主ゼミの研究をスタート
2025年6月 新しい自主ゼミの研究計画立案および倫理審査申請書提出
2025年7月 国際学会にて発表予定
2025年8月 月額支援型クラウドファンディング終了

リターンの説明

330 円/月 (税込)

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15人が支援しています。

(数量制限なし)

1,100 円/月 (税込)

注目のリターン : 活動報告閲覧権

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3人が支援しています。

(数量制限なし)

3,300 円/月 (税込)

注目のリターン : 活動報告閲覧権

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4人が支援しています。

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