皆様のご支援により、目標額に到達いたしました。
感謝の極みです。誠にありがとうございます!
改めて、覚悟を持って研究を推進していかなければと強く思います。
今回クラウドファンディングに挑戦したことで、他の研究費を使用する際にも、人や自然の営みにどのように結果を還すことができるのか、同じように意識しなければいけないと実感した次第です。
また、自分の勤務先や所属学会とは離れたところでつながりを持っていただけることで、インタラクションが新たに産まれたり、再発見したりできる点は、挑戦して本当に良かったことの一つです。
世界的に大変な時勢ですが、レポートやサイエンスカフェを終えた後にも、継続して情報発信をしていきたいと思います。
引き続き今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
(以降いただいたご支援は、研究の次のステップにかけて活用させていただきます)
武安光太郎 拝
私たちは、呼吸をし、栄養分を摂取することで生きています。栄養分のうち糖分や脂肪はそのまま身体を動かすのに使われるわけではなく、細胞の中でATPと呼ばれる物質に変換され、体内の各所に運ばれた後に、筋肉を動かしたり、体調を整える化学反応に使われたりしています。糖分や脂肪を呼吸によって取り込んだ酸素と反応させてATPを合成しているのが、細胞の中にいるミトコンドリアと呼ばれる器官です。
20年少々前に、瀬名秀明さんの『パラサイト・イヴ』という小説およびそれを原案とするゲームが発売されましたが、これは体内のミトコンドリアが人間の思考を乗っ取ってしまうというものでした。おそらく今のところはそのようなことは起きないと思いますが、ミトコンドリアは生物の活動にとって不可欠なATPというエネルギー源を合成する独立した工場のような役割を担っています。それも、極めて効率的な合成を行っていることがわかっています。
一方で、ミトコンドリアの中には、化学反応を進行させる酵素の種類だけでも20種類以上が存在しており、そこで起きる化学反応はネットワークのような回路を構成しています。ミトコンドリア内では、化学反応が一直線につながっているわけではなく、何か所かで分岐してまた合流するということが起こっているのです。また、電子の移動を伴う化学反応をそのままATP合成に使うわけではなく、1回プロトンの移動に受け渡すということが行われています。
ミトコンドリアの持つ構造と機能については現在も研究が進められており、かなりの部分が明らかになってきていますが、ミトコンドリア内の化学反応の仕組みがなぜエネルギー的に有利に働いているのか、言い換えればなぜ生命がこの仕組みを選んだのか? という問いへの説明は、与えられていないと考えています。
私は、なぜ現在のミトコンドリアの化学反応ネットワークが有利なのか、エネルギーの観点から明確な理由を与えたいと考えています。その生命の神秘の一端を理解し、ミトコンドリア関連疾病の予防法に関する理解やミトコンドリアの化学反応ネットワークに学んだ触媒合成システムにつなげていくことを目指します。
そのために、まずミトコンドリアの化学反応ネットワークのエッセンスをなるべくシンプルに表現したモデルを作成し、エネルギー利用の方法を解析します。ミトコンドリア内の反応には、他の細胞内反応(代謝システム)とつながっているものも多くありますので、そうしたものを取り込むのは次のステップになると考えています。
ミトコンドリア反応ネットワークのモデル化では、電子の伝達や酸化還元反応が絡み合う反応システムを電気回路のように見立てた「反応回路」を作っていきます。通常の触媒反応の場合にも、化学反応が2、3の分岐を持つことはよくありますが、特にミトコンドリア内システムのように反応が絡み合う場合には、回路を露わに考えることによって、電池と抵抗の位置によってどの電池のエネルギーがどの抵抗とどの抵抗に使われているか、というようにエネルギーの配分を意識した解析が可能になります。また、反応モデルと実験結果を照らし合わせる際にも、電子回路で使われるラプラス変換などを使った解析が可能になります。ミトコンドリアに関する化学反応モデル自体はこれまでにも作製された例がありますが、電気化学的な「エネルギーの使途」を練りこんだ反応モデルは考えられてきませんでした。
現在すでに反応モデルのプロトタイプを作製し始めていますが、実はモデルに組み込むパラメータのうち、実験的に直接求められているものが僅かであることが分かってきました。既に報告されている数々の複合的な実験結果とモデル計算を照らし合わせ、パラメータの抽出を行っていきます。
反応システムを電気回路に置き換える際には、電気化学でとられる方法を踏襲します。典型的には、電気化学反応は抵抗とコンデンサーの並列回路、物質の拡散は抵抗で表すことができます。電気化学反応では、反応と反応の間に電位差が生じますが、これは電池として表します。
モデルを使ったシミュレーションでは、物質の濃度と電位が露わな変数になります。まず第一段階では、簡単のために、すべての反応速度が等しくなっている状態、定常状態を考えます。ミトコンドリアに送り込む糖などの量を決めると、全体の反応速度が決まります。そうすると、1番目の電気化学反応で発生する電位、2番目の電気化学反応に関与する物質の濃度および電位、3番目の……というように、順番に変数が定まっていきます。すると、どこの化学反応で発生した電位≒エネルギーが、どこの化学反応に使われているか、がわかってきます。
また、モデルの良いところは、仮想的な反応回路を作ることができることにあります。たとえば、反応回路のある一部分がなかった場合に、どのようなことが起きるか、ということを示すことができます。すると、逆にその部分が担っている役割を明らかにすることができます。この結果は、ミトコンドリアのある反応を停止させる阻害剤を入れた実験結果と比較し、検討していきます。
反応モデルに用いる定数を決定する際に、既に報告されている多数の実験結果とモデル計算を照らし合わせて妥当な定数を求めていくことになるのですが、これにはモデルに基づいた多数データの統計解析(重回帰分析、クラスター分析など)が必要です。実験データの入力値と出力値も、多様なものが存在するため、作成した反応モデルに基づくデータ解析のアプリケーション作成支援を委託により受けたいと考えており、ご支援いただいた資金は、そのために使わせていただきます。妥当なパラメータを抽出できれば、ミトコンドリアのモデル解析が定量的に行えるようになり、疾病予防法の効果の解析など、次のステップに進むことができます。
私は、表面科学や触媒化学の分野で研究を行ってきましたが、その目線でミトコンドリア内反応を理解し、疾病が発現するメカニズムへの理解を深めたり、触媒合成への応用を考えたりしていきたいと考えています。しかしながら、若手研究者の本当に萌芽期にある研究提案を受け入れることのできる研究資金は極めて少ないのが現状です。「その研究のために研究資金をとっている」という状態は、物質的にはもちろんのこと、研究を行うモチベーションや責任感を非常に大きく後押しします。この研究は本当に萌芽期に位置するものですが、バックグラウンドで進めるのではなく、本気で推進したいと考えています。これがクラウドファンディングに挑戦する第一の理由です。
またクラウドファンディングの魅力に、研究を応援してくださる方とのインタラクションができる点があります。特に萌芽期にある研究において、サポーターの方のご意見等を直接伺える環境があるということは、極めて貴重です。インタラクションを研究内容に建設的に反映できることはもちろんですが、その研究の良さをどのように伝えれば伝わりやすいかということを、私も即座に学ぶことができるからです。そうして研究がより強く推進され、サポーターの方の興味や期待に少しでも貢献できれば、私自身も非常に嬉しく思います。
(※編集部注:2020.1.29 チャレンジャーからの要望により一部加筆・修正を行いました)
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時期 | 計画 |
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2020年1月 | クラウドファンディング挑戦 |
2020年2月 | 反応パラメータの測定開始 |
2020年3月 | 反応モデルの進捗を学会発表 |
2020年7月 | サイエンスカフェ開催 |
2020年8月 | 反応モデル第一弾について論文投稿準備開始 |
2020年11月 | 論文投稿予定 |
研究の進捗をレポートにまとめてお送りします。応援よろしくお願いいたします!
研究報告レポート(PDF版) / 寄付金受領証明書
19人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
オリジナルデザインのクリアファイルを3枚お送りいたします!デザインはミトコンドリア反応回路の絵やCG画像などを予定しています。応援よろしくお願いいたします!
オリジナルクリアファイル(3枚セット) / 研究報告レポート(PDF版) / 寄付金受領証明書
11人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
サイエンスカフェにご招待いたします。日時は2020年7月11日(土)で、場所は筑波大学内講堂を予定しています。当日は反応反応の側面から見たミトコンドリアの効率性についてお話しさせていただきますので、ご参加をお待ちしています! ※当日ご参加いただけない場合には、後日資料を共有いたします。
サイエンスカフェ参加権 / オリジナルクリアファイル / 研究報告レポート(PDF版) / 寄付金受領証明書
8人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
本研究の成果を学会にて発表する際、謝辞にお名前を掲載させていただきます。応援よろしくお願いいたします!
学会発表資料謝辞にお名前掲載 / サイエンスカフェ参加権 / オリジナルクリアファイル / 研究報告レポート(PDF版) / 寄付金受領証明書
2人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
本研究成果をする際の謝辞にお名前を掲載させていただきます。※論文の本文には字数制限がある場合が多いため、人数によってはクラウドファンディングのプロジェクト名を本文に掲載し、どなたでもonlineアクセス可能で字数制限の無い補足資料にお名前を掲載させていただきます。また、研究成果発表の時期は前後いたしますことを、ご承知おきいただけますと幸いです。
論文謝辞にお名前掲載 / サイエンスカフェ参加権 / オリジナルクリアファイル / 研究報告レポート(PDF版) / 寄付金受領証明書
4人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
研究内容や方針について、ビデオ通話を活用して個別に意見交換をさせていただきます。応援よろしくお願いいたします!
個別ディスカッション / 論文謝辞にお名前掲載 / 学会発表資料謝辞にお名前掲載 / サイエンスカフェ参加権 / オリジナルクリアファイル / 研究報告レポート(PDF版) / 寄付金受領証明書
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サイエンスカフェ参加権、寄付金受領証明書 他
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