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待井 長敏

東京工業大学、博士後期課程一年

挑戦期間

2023/09/05 - 2025/03/31

最終活動報告

2024/10/10 16:26:38

活動報告

20回

サポーター

11人

経過時間

2023/09/05 10:00:00

異分野の統合とは何か

どうも待井です!

今回は異なる専門分野の統合について調べてみました。異分野融合や学際(interdiscipline)がどのようにして、達成されるのか日々考えています。

それでは、どうぞ!

学際研究について調べていくと統合というキーワードに当たる。
例えば統合主義的学際研究者の一人であるAllen F. Repkoは「統合が学際活動の目標でなければならない」と述べ[1]、その統合過程に着目している。彼らのいう通り、細分化されていった専門分野を統合し、より大きな理論を作ったり、課題解決をすることは重要なことだろう。

例えば、顕微鏡技術や分子生物学的技術の発達とともに、組織、細胞、タンパク質・遺伝子とミクロな方向へ細分化されて行った生物学が、近年またマクロな方向へと“統合“され始めている。こうした生物学の潮流は研究分野が自然と統合へと向かっている例であろう。

一方で学問分野が統合されるとは、一体どういうことだろうか。

これについて文献を漁った我々はと藤垣さんの文献に辿り着いた。藤垣さんは学際研究のアウトプットに着目し、専門分野の統合を3つに分けて定義している[2]。

(1)学際研究の出力が社会や政策への提言の形を取り、かつjounal共同体を形成しえないもの
(2)その学際研究の出力は、(学際的)jounal共同体を形成するが、そのjounalにおける知識算出は、それぞれの既存分野に個別な知識(妥当性共有の方向の異なるもの)の並立の形で現れ、それらの間に相互関連のないもの
(3)その学際研究の出力は、(学際的)jounal共同体を形成を形成し、その知識産出は共通の妥当性要求水準を持つもの。

たとえば、(1)の例としては多くは社会的要請を受けて形成されるさまざまな学際プロジェクトが該当する。また、(2)の例としてはストレス科学、環境科学の例があげられる。(3)の例としては生物物理学、分子生物学などが挙げられる。

さらに藤垣さんはそれぞれ異なる、学際の具体的な形に言及している。

(1)で求めらえているのは、知識統合(synthesis)である。知識統合とは、外在的問題、不具合、解決すべ き課題をさらに状況に応じて細かく分類し、各状況に応じて最適な対処法を選択できるような指針、既存の知識をもとに作り上げることである。

一方で、(2)と(3)における統合には、既存の知識体系に新規の情報を追加することが求められている。

(詳細な説明は論文を参照していただきたいが、)(2)の場合では、妥当性の異なる複数領域が独立に研究をすすめていくなかで、 単一領域の知見の深化もすすめていくこと、そのために、 妥当性要求水準の異なる複数の研究間での交流(具体的には論文を引用し合うこと)が必要であると述べられている。

(3)の場合では双方の側の妥当必要性(研究の評価軸)の方向が異なる二つの分野が相互の出力を相互に利用しあい、1つの分野としての自立性を保ち、論文産出を継続することを目標としている。

我々の目指す異分野交流はどのようにこうした統合に貢献できるだろう?また、このような学問の深化に異分野交流は役立てられるのだろうか。これについて今後議論を深めて行きたい。

参考文献:
[1] 学際研究―プロセスと理論― 1章
[2] 学際研究遂行の障害と知識の統合異分野コミュニケーション障害を中心として一 藤垣 裕子 (1995)

待井 長敏 2024/06/13 12:34:17
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