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Mariko SASHIKA

北海道大学、Assistant professor

Challenge period

2022-09-26 - 2023-09-25

Final progress report

Thu, 05 Oct 2023 18:15:37 +0900

Progresses

12 times

Supporters

20 people

Elapsed time

Mon, 26 Sep 2022 10:00:00 +0900

Profile

Mariko SASHIKA

私が外来種問題に関心を持ったのは、大学進学のために北海道に来てからでした。大学周辺にもアライグマがいることを知り、そのアライグマがタヌキなどに影響を与えている可能性があることを知ったとき、「自分に何かできることはないのか」と思いアライグマの研究を始めました。そして2004年には、アライグマの研究を行っていた先輩方とともに学生を中心とした「アライグマ研究グループ」を立ち上げ、北海道各地でアライグマ対策を行ってきました。「犠牲になるアライグマを1頭でも減らしたい」「1日でも早く、アライグマ問題を解決したい」、その思いで、これまで調査・研究・活動を行ってきました。どうぞよろしくお願いします。

What do you want to achieve through your research?

日本では現在、北米原産のアライグマが野生化してしまい、在来種への影響や農業被害などが懸念されています。しかし「アライグマ問題」を引き起こした責任は私たち人間にあり、駆除されるアライグマに罪はありません。けれども、残念ながらアライグマが様々な問題を引き起こしているのも事実なので、その問題は私たち人間が解決しなければなりません。

アライグマが全国で増加している大きな原因の一つに「繁殖力の強さ」があります。アライグマは基本的には年1回、春に平均4頭の子を出産しますが、春の繁殖に失敗した場合、夏以降に再び発情が来て繁殖が可能です。しかしアライグマの詳細な繁殖メカニズムは明らかになっていない部分が多くあります。そこで私はアライグマの繁殖力の強さに着目し、性ホルモンを調べることでアライグマの繁殖特性を明らかにすることを目指しています。

さらにアライグマの繁殖特性を明らかにすることができれば、繁殖に関わる性ホルモンの産生を抑制するための薬の開発につなげることができます。私はアライグマの繁殖メカニズムを解明することで、駆除により犠牲となるアライグマを減らしながら、アライグマ問題を解決したいと考えています。

What kind of process are you trying to achieve?

私は2004年から継続して19年間、北海道立自然公園野幌森林公園を中心に、北海道内でアライグマ対策を行うとともに、在来種への影響や感染症の疫学調査などの研究を行っています。

野幌森林公園は周囲を住宅地と農地に囲まれた「半閉鎖林」となっているため、他の地域よりもアライグマや在来種の個体数変動を確認しやすく、アライグマの影響をより正確に把握することができます。これまで野幌森林公園において効果的なアライグマ対策を行い、アライグマ個体数を低密度に維持することに成功しました。そのため今後も継続してアライグマ捕獲調査を行い、アライグマの増加を防止します。

そして、捕獲されたアライグマから体重や体長、年齢、メス個体における産仔数等の個体データを記録し、アライグマ生息密度の変化を分析します。また採血等のサンプリングも行い、得られた血漿サンプルはアライグマの性ステロイドホルモン分析に使用します。液体クロマトグラフ質量分析法(LC/MS)という方法を用いて、アライグマ血漿中の性ステロイドホルモンを分析し、アライグマ特異的な性ステロイドホルモンの同定と性周期に伴う動態を明らかにします。

What research topics are you currently working on?

これまでに捕獲されたアライグマの個体データをもとに、野幌とその周辺地域におけるアライグマ生息数を分析したところ、野幌においては私たちが行っている対策によって生息数が低密度に抑えられているものの、野幌周辺の地域では近年、急激にアライグマ生息数が増加していることが明らかになりました。

次に雌アライグマの繁殖状況がどのように変化しているかを調べるために、2004~2005年と2020~2021年に捕獲された雌アライグマの妊娠率と産子数を年齢別に算出して比較しました。その結果、若齢個体の妊娠率・平均産子数ともに増加していることが明らかになり、北海道のアライグマ個体数が急激に増加しているのは、若齢個体の繁殖力の増加が原因の一つとして考えられました。

そのため、アライグマの性ホルモン分析を行う際には、年齢別に比較することも重要であることがわかりました。液体クロマトグラフ質量分析法は多種多様なステロイドホルモンを一度に分析することが可能であるため、アライグマ特異的な性ホルモンの同定と性周期に伴う動態を明らかにすることで、なぜ若齢個体の繁殖力が増加しているのかを明らかにすることが可能であると考えられます。

Why are you challenging Academist?

これまでのところ、アライグマによる在来生態系への目に見える大きな影響はまだ確認されていません。そのため、他の絶滅危惧種の保全に関わる研究に比べるとその重要性が認識されておらず、問題は軽視され、対策は後手後手に回っています。しかし、生態系への影響は目に見えて明らかとなってからでは手遅れです。アライグマの影響で絶滅してしまう在来種がでる前に防がなくてはいけません。そのためには、多くの方々にこのアライグマ問題に関心を持っていただくことが必要になってきます。

私は2021年12月22日から 2022年01月27日 まで、スポット型プロジェクトにチャレンジさせていただき、82人の方々にご支援いただきました。皆様の温かいご支援に支えられ、今年も7月までアライグマ捕獲調査を行うことができましたが、今年はこれまでで最も多い捕獲数となってしまいました。これは残念ながら捕獲対策だけでは限界にきていることを意味していると考えられます。そのため、今回は月額支援型プロジェクトにチャレンジし、より多くの方々に、このアライグマ問題に関心を持っていただきたいと考えています。

Recommender Comment

青島 圭佑
北海道大学大学院獣医学研究院 助教

佐鹿先生は先のクラウドファンディング(スポット型プロジェクト)を実施・成功させて、その行動力・影響力を証明しました。佐鹿先生であれば、アライグマ問題に関する調査・研究を行うだけでなく、一般の方々、そして社会とともにアライグマ問題を解決することができると私は信じています。これまでの長きに渡るアライグマ問題の解決のために、皆様の温かいご支援が、今、必要とされています。

水川葉月
愛媛大学大学院農学研究科 准教授

外来種は様々な影響を及ぼすため取り組まなければならない課題ですが、一朝一夕では解決できない難しい問題でもあります。一度目のチャレンジで見事目標金額を達成され、皆さんの外来種問題に対する興味・関心が高いことを感じました。二度目の挑戦により、より多くの方にアライグマ問題を知ってもらい解決に向けた研究のご支援を頂きたいと思います。社会的ニーズの高い重要な課題に取り組まれる佐鹿先生のご研究を応援するとともに、一日でも早い問題解決を願っています。

Project timeline

Date Plans
2022年9月 月型支援型プロジェクト開始
2022年10月 実験を進めてデータ取得
2023年8月 論文執筆開始
2023年9月 国内学会で発表、月額支援型プロジェクト終了

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