Challenge period
2024-09-03 - 2025-08-31
Final progress report
Tue, 19 Nov 2024 19:04:07 +0900
Progresses
14 times
Supporters
132 people
Elapsed time
Tue, 03 Sep 2024 08:00:00 +0900
はじめまして!櫃割仁平(ひつわりじんぺい)と申します。京都大学で博士号 (教育学) を取得し、現在はドイツのハンブルクにあるヘルムートシュミッド大学という小さな大学でポスドク研究員をしています。感動する体験、美を感じる体験に魅了され、人のこころに興味を持つようになりました。
研究の時間も好きですが、芸術鑑賞の時間も大切で、大好きな時間です。好きな画家はウィリアム・ターナー、好きなバンドはBUMP OF CHICKEN、好きな映画はニューシネマパラダイスです。
詳しい自己紹介や研究業績などはホームページをご覧ください。
科学技術が発展しても社会には多くの課題が残されています。むしろ、近年、戦争や地球環境、そしてそれを取り巻く社会的な状況は悪化の一途を辿っています。私は研究者としても、1人の人間としても、そのような問題に関心があり、解決に繋がる何かをしたいと思い続けてきました。
私の研究テーマである美・芸術はそれらとはとても遠いように思えますし、直接結びつけることも簡単ではありません。一方で、ドストエフスキーが「Beauty will save the world (美は世界を救う)」と言い放ったように、美について深く知ることが世界をよくすることに繋がるという感覚もあります。たとえば、美や感性には絶対的な正解がなく、むしろ芸術文脈ならではの独特な体験を生みます。その体験は、時に強い感情の高まりを伴い、人の態度や価値観を変容する力すらあるかもしれません。ゆえに、アーティストたちは、反戦を訴え、災害で傷を負った時に鎮魂と癒しを送ってきたのです。
このように美が世界を救いうることを、心理学研究から実証したいと考えています。
「美が世界を救う」を実証するために、2つのアプローチを考えています。
第1に、美を感じる人の心をより深く理解します。美や芸術の文脈では、日常生活とは異なることが起こります。たとえば、日常では、悲しいことや曖昧なものは避けられ、古びたものはただちに捨てられます。けれど私たちは、悲しい映画を見たくなったり、意味の分かりにくい曖昧な俳句を高く評価したり、さびて古びた茶器を大切にしたりします。そこで、なぜそのようなことが起こるかといったメカニズムを、心理学の基礎研究で解明します。
第2に、その美や芸術が態度や価値観を変容させ、その影響が日常生活にも引き継がれることを検討します。もし、映画を通して、(日常生活でも)悲しみを受容できる人が増えたら? 俳句鑑賞によって、曖昧さに寛容な人が増えたら? わびさびの感性を身につけて、古びたものも大切にできる人が増えたら? 世界はちょっとだけよくなっていくのではないかと考えています。学校をはじめとした教育現場や自主企画ワークショップなどで、美・芸術に関する講義、芸術鑑賞・創作の実践をしていくと同時に、その場でデータも集め続け、研究成果発表にも繋げていきます。
第1に、美を感じるメカニズムについて、日本とドイツをはじめとした異なる文化との比較研究によって検討しています。たとえば、日本人とドイツ人100人ずつに、さびた茶器30個と新品の茶器30個を見て貰い、0~100点でその美しさを評価してもらいます。まずは、このような文化差が存在するかどうかを可視化し、あればその文化差を生んでいる要因をさらなる心理実験、時に脳科学的手法も組み合わせて突き詰めることで、未解明要素の多い美のメカニズムの一端に迫っていきます。
第2に、芸術鑑賞・創作が態度変容を起こすことを検討しています。たとえば、私の先行研究では、たった20分の俳句創作をするだけでも、曖昧さの許容度が上がることを示しました(Hitsuwari & Nomura, 2023)。このような実験環境だけでなく、過去には「俳句で考える曖昧さワークショップ」という自主企画を行いました。これをさらに広め、実際の日常生活でも俳句をはじめとした芸術に触れ、態度や価値観が変容するきっかけを作っていきます。また、現在、高校でSTEAM教育の実践とのコラボ研究も行っており、アートが高校生に与えるインパクトも検証中です。
激動のAI時代において、世界が一変するような変化が毎日のように起こっています。それは、研究という営みにも影響を与えており、これからの研究者はこれまでと全く違う形になっていくと思っています。そんな新時代の研究者像を果敢に志向し、変化を続けているのがacademistです。私はこのプロジェクトを通して、新しい時代の研究者像を模索したいと考えています。その1つの形が、研究ファン(応援)の形を多様にしていくことです。
そのために、まずは応援のきっかけを多様にしたいです。「美は世界を救う」というコンセプトに共感してくださる方も、俳句や茶器という題材ベースで見つけてくれた方も巻き込むことで、関わる人の多様性が生まれます。次に、関わり方も多様にしたいです。美・芸術に関する研究や気づきを共有してくださる方、成果を広めるお手伝いをしてくださる方、研究活動の一端を担う可能性のある方(たとえば、分析や文献整理)、研究のことにはコミットしないけど、自由に使ってくださいという方、etc. と関わり方を柔軟に変えていきたいです。
このような研究ファンとの繋がりの中で、新しい時代の研究者像を見つけたいです。
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このプロジェクトは、銀行振込での一括支援も可能です。
ご支援いただいた月から2025年9月末まで活動報告が閲覧できます。
一括支援をご希望の方は、こちらのフォームよりお申し込みをお願いいたします。
〈一括支援プラン〉
11,000円(税込)
33,000円(税込)
55,000円(税込)
110,000円(税込)
220,000円(税込)
哲学、美学、修辞学で語られてきた美しさについて、挑戦者は俳句に着眼したうえで、その関心を「美」全体へと広げつつ、曖昧な表現にともなう美しさ、そこに潜む可能性を多面的に解明します。それは昨今の美の科学をブームに終わらせることなく、むしろエビデンスと実践をもって、その魅力、豊かさを一層に力強く指し示しえるものと確信します。ひきつづき、皆さまどうぞご期待を、そして応援いただけますようお願いします。
美の体験は、時代、文化や個人の考え方によって変わるため、実証研究の対象にすることが難しいとされていました。そのような難しい研究テーマにチャレンジする挑戦者を、私は推薦します。人間はいつ、そしてなぜ美しいと感じるのか、その神経基盤は何なのか、美の感情体験には未だに無知な部分が多くあります。この研究プロジェクトを通して、日本独特の美と、文化普遍的な美に関する我々の理解が深まることを期待しています。
櫃割さんは俳句を題材とした研究に端を発し、審美感情に関する実証研究を行ってきました。そこから本プロジェクトの問題意識を着想し,審美感情がより広い一般的な社会的文脈に適用されうるかなどを検討される予定です。これは,櫃割さんが標榜する「美は世界を救う」という言葉を体現する心理学研究であると解釈できます。また、櫃割さんは教育現場や企業との恒常的な交流を図っており、研究成果の効果的な普及も期待できます。以上より、櫃割さんを推薦いたします。
「美」を感じる心はヒトに共通して備わっていますが、それをどのように扱い、社会に活かす(べき)かという問いは、心理学を枠を超えた社会科学全体の重要な課題です。この「美は世界を救う」という壮大なテーマに対し、繊細で科学的なアプローチを用いる本プロジェクトは、基礎研究とアウトリーチの両面で卓越した成果を挙げてきた櫃割さんだからこそ実現可能な挑戦です。櫃割さんの果敢な挑戦に、心より敬意を表し、応援いたします。
私たちはどのようなものに美しさを感じ,感動するのでしょうか。私自身,感動がどのように強まるのか研究をしており,日々その難しさを痛感しています。櫃割さんの研究は,美を感じる心理的なメカニズムやその影響という観点から,感動を含む人の心の動きを明らかにしようとしています。挑戦心と,着実に研究成果をアウトプットしていく堅実さを持ち合わせている櫃割さんのパワーで,美に関わる私たちの心理の核心が明らかになっていくと確信しています。
Date | Plans |
---|---|
2024年9月3日 | 月額支援型クラウドファンディング開始 |
2024年9月 | 書道研究の日本人向け本実験 (ドイツ人データは2024年7月に取得済み) |
2024年10月 | 雅楽研究の本実験 (日本人・ドイツ人データ) |
2024年10月17日~19日 | 俳句と曖昧さへの態度の学会発表@Turin, Italy |
2024年11月 | 雅楽研究の分析 |
2024年12月 | 雅楽研究の論文執筆・投稿 |
2025年1月 | 俳句のMRI研究 (博士論文のデータ) 論文投稿 |
2025年2月 | 書道研究の論文投稿・STEAM教育関連研究分析 |
2025年3月13日~15日 | 雅楽研究の学会発表 @New Haven, USA |
2025年4月 | 錆びた・割れた茶器 (わびさび) の研究準備 |
2025年4月 | 俳句をはじめとした芸術鑑賞・創作のワークショップ企画 |
2025年5月 | 錆びた・割れた茶器の予備実験 |
2025年6月 | 錆びた・割れた茶器の本実験・STEAM教育関連研究の論文執筆・投稿 |
2025年7月 | 俳句をはじめとした芸術鑑賞・創作のワークショップ実施・データ収集 |
2025年7月 | 錆びた・割れた茶器の学会発表申請 |
2025年9月 | ワークショップで得られたデータを分析・学会発表申請 |
2025年9月 | 月額支援型クラウドファンディング終了 |
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