2018年2月に開催した第一弾の全分野結集型シンポジウムでは、76分野の研究者が一堂に会し「真理探究とは何か?」をテーマに縦横無尽の議論を展開しました(クラウドファンディングでご支援いただいた皆さま、ありがとうございました!)。当日はファシリテーターが場を制御するわけでもなく、「有識者」が持論を展開するわけでもなく、全分野の研究者が20個の質問に対して自由な回答することにより、各自が学問の俯瞰的目線を獲得していきました。下記のような参加者の感想を読むことで、私自身も「正面から学問を問い、全体で議論する形式」の持つ可能性を実感しました。
●研究者という、基本的には己の探求したい領域をひたすら深掘りする人々が、どうやって他の領域、分野とつながっていくのか。自分の属する領域も含めた大きな「学問の世界」そのものをどうやって俯瞰するのか。 そういう意味で非常に画期的かつ興味深い試みであったと思います。
●全体像が見えなくなる恐れがある中で、定期的にこのようなイベントがあると、研究者にとっても良い刺激になります。
●最後のほうで、意外と自然科学や工学でも「真理ってなんやねん」というコメントが 出てたのが面白かったです。研究者の囚われを開放する良い企画だと思います。
●ここから日本の学術のあり方を変えられないかなと思いました。 思っていた以上に良かったです。学会のシンポジウムは統合に向かいますが、今日の企画は良い意味で拡散に向かっていました。
このシンポジウムを終えた現在、「真理探究とは何か?」にあえて回答するのであれば、私はある研究者の下記の言葉をもって返答としたいです。
「自分の分野がわからなくなった」
これがおそらくは「研究者」が「学者」に代わる起点であり、学問の出発点はまさにここにあるのではないでしょうか。各分野の性質はあまりに大きく違うため、分野ごと、あるいは「理科系」や「文科系」ごとで議論していたなら、その分野特有の癖や習性に気づきにくくなります。その一方で、現状ではもう各分野は個別でエコシステムを作ってるのだから、別々に存在してても良いのではないかという意見も聞こえてきそうです。
しかし私は、その意見には同意できません。「研究」ならば、その分野でコツコツと論文を生産していけば良いですが、「学問」であるなら(=学問を担う「大学」における研究ならば)自身の分野を入り口とし、それを探究した結果としてたどり着く分野も越えた何かーそれを「普遍」や「真理」と呼ぶのかもしれませんーに触れていて然るべきです。それに触れているからこそ、分野を越えての対話が可能であり、そういう対話こそが単なる専門領域のノウハウや思考法から解き放たれた学者精神を磨くことにつながると思っています。学問が「普遍」や「真理」を扱う以上、分野をこえて議論できないとおかしいのです。
しかし現状は、ほぼ孤立分離した「研究分野という村」のなかで、疑ってはいけない前提があることを自覚しながらもそれを禁句とすることで、なんとかその村の問題意識を保っているのではないでしょうか。狭い村のなかで互いに褒め合うだけでは、その村はジリ貧です。村が集まった「学問という全体」もまた然りです。なにより一番悲しいことは、研究者たちが(まっとうにも)このような状態を自覚しているということなのです。
そこで、学問の進展を支えている「学会」のあり方を問うことを入り口とし、学問の進展のしかた、あり方について、全分野が集まって議論をしたいと思い、第二弾全分野結集型シンポジウムの開催を決めました(まだ参加者募集中です!)。当日は下記の流れの進行を予定しており、最大100名の研究者と一般の参加者の方々と一緒に「学会」を問い直していきます。
前回と同様、このシンポジウムをできるかぎり多くの人たちに届けたいと思い、当日のライブ配信とドキュメンタリー映像を記録しようと考えました。ライブ配信だけでなく動画に残して一般公開することで、シンポジウムに参加できなかった方々にも、当日の様子を知っていただくことができるためです。しかしながら、動画撮影の費用を予算から捻出することが難しく、資金繰りに困っている状況です。そこで今回もクラウドファンディングを実施し、みなさんよりご支援をいただけないかと考えました。
私たちと一緒に全分野結集型シンポジウム「学問を問う」を作り上げていきませんか。日本でも稀有なこの取り組みに、ぜひともご支援のほどよろしくお願いいたします。
時期 | 計画 |
---|---|
2018年09月03日 | クラウドファンディング開始 |
2018年09月13日 |
クラウドファンディング終了
|
2018年10月以降 | リターンのお届け |
第一弾・第二弾全分野結集型シンポジウムを通じて得られた知見を「学問論」の文脈でまとめ、PDF形式で皆さんにお届けいたします。分量は10,000文字程度を想定しています。気合いを入れて作成いたしますので、ぜひご一読を!
論考集「学問論とは?」(電子版)
16人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
大学初年度の学生向け講演「教養を問う意味」の文字起こしデータをPDF形式でお届けいたします。分量は25,000文字程度。学生のみならず、現役研究者や社会人の皆さんが読んでも新しい発見があるはずです。論考集とあわせて、お楽しみください!
講演録「教養を問う意味」(電子版) / 論考集「学問論とは?」(電子版)
23人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
2018年11月11日(日)18-20時@東京都内、11月20日(火)18-22時@京大(異分野交流会にご参加いただいた後、支援者のみで交流会)にて、意見交換会を開始します。「学問論」にご関心のあるかたは、ぜひご参加を!
意見交換会参加権 / 講演録「教養を問う意味」(電子版) / 論考集「学問論とは?」(電子版)
11人のサポーターが支援しています (限定 20 個)
来春小学館から発売予定の「大学で学ぶということ(宮野公樹著)」の謝辞に皆さまのお名前を掲載します!学問論の集大成との言える一冊に、ぜひお名前を残しませんか?ご声援、よろしくお願いします!
著書の謝辞にお名前掲載 / 意見交換会参加権 / 講演録「教養を問う意味」(電子版) / 論考集「学問論とは?」(電子版)
5人のサポーターが支援しています (限定 10 個)
出張ミニ講演を行います!平日限定で、個人・法人いずれも可能です。時間は質疑応答含めて60分ですが、出張費等を別途ご負担いただく必要はございません。学校関係者の皆さま、企業ご担当者さま、この機会に「学問論」について一緒に考えてみませんか?
出張ミニ公演 / 著書の謝辞にお名前掲載 / 意見交換会参加権 / 講演録「教養を問う意味」(電子版) / 論考集「学問論とは?」(電子版)
1人のサポーターが支援しています (限定 2 個)
当サイトは SSL 暗号化通信に対応しております。入力した情報は安全に送信されます。
論考集「学問論とは?」(電子版)
16
人
が支援しています。
(数量制限なし)
講演録「教養を問う意味」(電子版) 他
23
人
が支援しています。
(数量制限なし)
意見交換会参加権 他
11
人
が支援しています。
(限定 20 個)
著書の謝辞にお名前掲載 他
5
人
が支援しています。
(限定 10 個)
出張ミニ公演 他
1
人
が支援しています。
(限定 2 個)