藤原 辰史
近現代の食と農の歴史研究を通し、暮らしに根ざした庶民の思想のあり方を研究しています。なかでも戦後日本を独特のユーモアと言葉の力で駆け抜けた哲学者・鶴見俊輔の生き方や思想から、わたしはかねてより大きな影響を受けてきました。
哲学書だけでなく、漫画や市民の何気ない会話からも深い洞察を見出した鶴見。その「日々の生活から始まる哲学」は、食卓の目線から歴史と思想をとらえる私の研究に、今も力を与えています。
2025年は鶴見の没後10年という節目の年です。今回のプロジェクトでは、鶴見の遺した個人文書群(直筆ノート、書簡、スクラップブックなど)に記されたアイデアや思索の痕跡を対象とし、彼の思想に詳しい専門家のアドバイスをいただきながら、その整理と保存を進めていきます。そのうえで、個人文書群のひとつひとつに潜む時代の空気や社会との接点をすくい上げ、次の世代が思索を重ねられる足場として、未来へとつなげる文庫をつくることを目指します。
私たちは、戦後日本の哲学者・鶴見俊輔の知的営みを通じて「市民とともにある思想」の可能性を見直したいと考えています。鶴見は哲学や社会学のみならず、大衆文化や教育、政治的実践にも関心を寄せ、市民の声なき声をすくい上げる知のかたちを模索しました。
漫画や新聞投稿欄、雑誌コラム、無名の市民の語りなど、一見、哲学研究の対象になりにくい表現を、思考の手がかりとしていた鶴見。そこには「大きな物語」からいったん距離をとり、暮らしに根ざした小さな事象を探る深い哲学があります。
現代は情報が溢れる一方で、分断と孤立が深刻化しています。そんな時代だからこそ、鶴見が実践した「小さな声に耳を傾ける思考法」が求められているのではないでしょうか。
鶴見は新しい問いを次々に見出す思考者でしたが、体系的にまとめることより、専門分野の境界を自由に横断する境界者であろうとしました。彼の個人文書群には思索の「途中」の痕跡が多く残されています。私たちの目標は、それらを整理・保存して鶴見の思考の片鱗をたどり、現代の問いとして読み替え、新たな思考や研究の土台を生み出すことです。
鶴見俊輔の自宅に眠る個人文書群には、アイデアや思索の痕跡が数多く残されています。それらは単なる記録ではなく、一人の哲学者が生きた思索の軌跡を物語る「知の宝庫」です。個人文書群を単に収蔵するだけでは意味がなく、それらを読み取れる人が確認し、書かれた背景情報も併せて記録することで、後世でも活用できる形に整えることに重点を置きます。
◆第一段階:個人文書群の集約・整理(今回のクラウドファンディングにて費用工面)
鶴見の自宅に遺された個人文書群を一か所に集め、整理・目録化を目指します。ノートや推敲の痕跡から思考のプロセスをたどる基盤を築き、後世が内容を正確に理解・活用できる状態を整えます。
◆第二段階:「開かれた知の拠点」の創設
整理した個人文書群を収蔵する文庫の、京都大学・京都市と協力のもとで設立を目指します。研究者はもちろん、内容によっては市民にも開かれた場の創設を検討します。
◆第三段階:現代への橋渡し
文庫から生まれる具体的な成果として、以下を模索します。
・デジタルアーカイブによる国内外への発信
・研究成果をまとめた書籍シリーズの刊行
・現代の課題と鶴見思想を結ぶワークショップの開催
・若手研究者の育成拠点としての活用
近年、貴重な研究者蔵書の海外流出が相次ぐ中、私たちは単に「知の流出を防ぐ」だけでなく、「知の新たな循環を生み出す」ことを目指しています。今回は鶴見の個人文書群の集約・整理から進めますが、将来的には自宅や書庫に眠る書籍一式の保存・活用にも着手したいと考えています。
本プロジェクトは、鶴見俊輔の個人文書群を対象とした保存・整理作業の第一段階です。生前の鶴見と親交のあった関係者や京都大学人文科学研究所、京都市立芸術大学などの研究者が中心となり、学生や院生も参加して進めます。
◆具体的な作業内容
個人文書群をご自宅等から整理場所へ移送し、本格的な整理に着手します。個人文書群には思索の過程を物語る痕跡が残されています。書かれた背景情報を併せて記録することで、鶴見の思考の展開を読み解き、後世が内容を正確に理解・活用できる状態を整えます。
◆思索の軌跡を追う意義
本プロジェクトは単なる資料保存にとどまらず、鶴見が生前に取り組んでいた「未完の問い」を現代に引き継ぎ、新たな思索へと接続する試みでもあります。鶴見にとって個人文書群は、書き込みによって新たな意味を生み出す「動的な思索の場」でした。そうした痕跡をたどることで、思索の出発点や転回点を具体的に追うことができ、「いま」と向き合う生きた思考の源泉として捉え直すことができます。
鶴見俊輔の個人文書群の保存・整理にご支援をお願いします!
世界中で人文学に対する予算が削減されるなか、これらの個人文書群を保存する環境や資金は十分ではなく、散逸の危険性が高まっています。2025年は鶴見俊輔没後10年。鶴見を直接知る人々の高齢化が進む今、生の記録に触れながら整理できるのはまさに「今しかない」機会です。
このプロジェクトでは、個人文書群の内容と背景情報を併せて記録しつつ、整理・目録化・公開に向けた体制を京都大学・京都市が協力のもと構築する土台を作ります。こうして次世代研究者が活用できる研究基盤を整備します。将来的には書籍や資料類の保管・活用にも取り組む予定です。
皆様のご支援によって、この貴重な知的遺産を次の世代へとつなぐことができます。ご協力のほど、よろしくお願いいたします。
ご寄付いただいた皆様へ、確定申告により税制上の優遇措置が適用される領収書を京都大学より発行致します。
なお、領収書の日付は、お申込み受付日やカード決済口座からの振替日ではなく、アカデミスト株式会社より京都大学に入金された日付となります。
【法人・団体様からのご寄付】
・全額損金算入が可能です。(法人税法第37条第3項第2号)
【個人様からのご寄付】
・所得税…寄付金額(総所得金額の40%を上限とする)から2,000円を差し引いた額を、当該年の課税所得から控除することができます。
・個人住民税…京都大学を寄付金控除の対象法人として条例で指定している都道府県・市区町村にお住いの方は、個人住民税の控除を受けることができます。
近現代日本の社会運動や思想の歴史について研究しています。鶴見俊輔の著作には、「転向」や戦後思想の研究を通して出会いました。鶴見文庫が実現すれば、鶴見の躍動する思考や運動の軌跡を、貴重な蔵書・資料から丁寧にたどることができます。そのことは、私たちがいま置かれている時代と場所を、歴史の検証を通して見つめ直すことにつながります。文庫化の実現に向けて、皆さまの熱いご支援をお願いいたします。
鶴見俊輔は、本を読みながら、自身の着想を余白に書き込む人だった。赤と青の色鉛筆で、傍線を引きながら読書していた。「思想の科学」の編集会議中にも、しきりと自分の手帳に、べつのアイデアを悪筆の文字でメモ書きしていた。
これらを後年にこまかく見て「論文」にするような大学での「学問」のありかたを、彼は断固、嫌っていた。だが、亡き人の思考のおもかげが、ここに刻まれているのは確かで、遠い未来には、これを思索の飛躍の足がかりとする人も現われるかもしれない。小さな可能性として、これを残すことに賛同します。
鶴見俊輔さんは、「コミュニケーション」「ディスコミュニケーション」という言葉を日本社会に導入・流通させた立役者です。これらは普通の人が日常で使うこともある言葉で、こうした言葉抜きに会話することができるか疑わしいほどです。鶴見さんは、低俗な大衆文化だと思われていたマンガやエンタメ小説を論じる土台を作った人の一人です。学部生が卒論でマンガやエンタメ小説を取り上げることが当たり前になったきっかけを、彼が作ったわけです。彼の名前を知らなくても、彼のおかげで作られた現代の「日常風景」はたくさんあり、それがどのようにして育まれたか知るためには、鶴見さんの蔵書やメモを紐解くことが欠かせません。「鶴見俊輔」を知ることは、私たちの「日常風景」を知ることにつながります。ぜひご協力ください。
時期 | 計画 |
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2026年4月 |
鶴見俊輔氏の自宅・書庫から個人文書群を移設 |
2026年5月 |
整理作業を開始 |
本プロジェクトにご支援いただいた感謝の気持ちを込めたサンクスレターと、鶴見俊輔の個人文書群をモチーフとするオリジナルポストカードを、Eメールでお送りします。
・リターン実施予定:2026年3月
サンクスレター・オリジナルポストカードのお送り(Eメール) / 寄付金領収書
リターン | 実施予定日 |
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サンクスレター・オリジナルポストカードのお送り(Eメール) | 2026年03月 |
0人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
京都大学のクラウドファンディングサイト内の寄付者芳名録に、感謝の意を込めてお名前を掲示します(希望者のみ)。
また、その時点までの作業完了分に関する目録を、PDFでお送りします。
・リターン実施予定:2026年8月
目録(途中経過)のPDF送付・芳名録への支援者名の記載(希望者のみ) / サンクスレター・オリジナルポストカードのお送り(Eメール) / 寄付金領収書
リターン | 実施予定日 |
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目録(途中経過)のPDF送付・芳名録への支援者名の記載(希望者のみ) | 2026年08月 |
サンクスレター・オリジナルポストカードのお送り(Eメール) | 2026年03月 |
9人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
鶴見俊輔が共著で関わった『日米交換船』の増刷版を、共著者・黒川創氏のサイン入りでお届けします。
・リターン実施予定:2026年3月
鶴見俊輔『日米交換船』 共著・黒川氏サイン入り書籍 / サンクスレター・オリジナルポストカードのお送り(Eメール) / 目録(途中経過)のPDF送付・芳名録への支援者名の記載(希望者のみ) / 寄付金領収書
リターン | 実施予定日 |
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鶴見俊輔『日米交換船』 共著・黒川氏サイン入り書籍 | 2026年03月 |
サンクスレター・オリジナルポストカードのお送り(Eメール) | 2026年03月 |
目録(途中経過)のPDF送付・芳名録への支援者名の記載(希望者のみ) | 2026年08月 |
0人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
鶴見俊輔にゆかりのあるメンバーが登壇する、オンライン勉強会(Zoom開催)にご招待します。
※ご都合が合わない場合は、アーカイブ動画でご確認いただけます。
・リターン実施予定:2026年5月
オンライン勉強会へのご招待 / サンクスレター・オリジナルポストカードのお送り(Eメール) / 目録(途中経過)のPDF送付・芳名録への支援者名の記載(希望者のみ) / 鶴見俊輔『日米交換船』 共著・黒川氏サイン入り書籍 / 寄付金領収書
リターン | 実施予定日 |
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オンライン勉強会へのご招待 | 2026年05月 |
サンクスレター・オリジナルポストカードのお送り(Eメール) | 2026年03月 |
目録(途中経過)のPDF送付・芳名録への支援者名の記載(希望者のみ) | 2026年08月 |
鶴見俊輔『日米交換船』 共著・黒川氏サイン入り書籍 | 2026年03月 |
0人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
鶴見俊輔の思想や、膨大な一次資料の保存・活用に取り組む研究者や関係者との少人数制の座談会にご招待。現場での取り組みの背景や将来構想について語り合う、特別な機会です。
・開催日時:2026年5月頃(事務局が指定)
・場所:京都大学構内を予定
・所要時間:最大60分程度
※ご都合が合わない場合の振替対応はいたしかねます。
※交通費・宿泊費等は自己負担
関係者との座談会へのご招待 / サンクスレター・オリジナルポストカードのお送り(Eメール) / 目録(途中経過)のPDF送付・芳名録への支援者名の記載(希望者のみ) / 鶴見俊輔『日米交換船』 共著・黒川氏サイン入り書籍 / オンライン勉強会へのご招待 / 寄付金領収書
リターン | 実施予定日 |
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関係者との座談会へのご招待 | 2026年05月 |
サンクスレター・オリジナルポストカードのお送り(Eメール) | 2026年03月 |
目録(途中経過)のPDF送付・芳名録への支援者名の記載(希望者のみ) | 2026年08月 |
鶴見俊輔『日米交換船』 共著・黒川氏サイン入り書籍 | 2026年03月 |
オンライン勉強会へのご招待 | 2026年05月 |
1人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
鶴見文庫プロジェクト関係者が企業のご要望やテーマに合わせて特別講義を行います。社員教育やCSR活動、社内啓発など幅広くご活用いただけます。オンライン開催なので国内外どこからでもお申込みいただけます。
・開催時期:2026年6~12月の間で相談可能
・講義時間:90分間(参加者との質疑応答を含む)
・登壇者の指名はできません。
〈法人限定〉法人向け特別講義(90分間・オンライン)の開催権 / サンクスレター・オリジナルポストカードのお送り(Eメール) / 目録(途中経過)のPDF送付・芳名録への支援者名の記載(希望者のみ) / 鶴見俊輔『日米交換船』 共著・黒川氏サイン入り書籍 / オンライン勉強会へのご招待 / 関係者との座談会へのご招待 / 寄付金領収書
リターン | 実施予定日 |
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〈法人限定〉法人向け特別講義(90分間・オンライン)の開催権 | 2026年06月 |
サンクスレター・オリジナルポストカードのお送り(Eメール) | 2026年03月 |
目録(途中経過)のPDF送付・芳名録への支援者名の記載(希望者のみ) | 2026年08月 |
鶴見俊輔『日米交換船』 共著・黒川氏サイン入り書籍 | 2026年03月 |
オンライン勉強会へのご招待 | 2026年05月 |
関係者との座談会へのご招待 | 2026年05月 |
0人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
鶴見文庫プロジェクト関係者が企業のご要望やテーマに合わせて出前講義を行います。社員教育やCSR活動、社内啓発など幅広くご活用いただけます。
・開催時期:2026年6~12月の間で相談可能
・講義時間:180分間(参加者との質疑応答を含む)
・対応可能エリア:日本国内のみ
・登壇者の指名はできません。
〈法人限定〉法人向け出前講義(180分間・対面)の開催権 / サンクスレター・オリジナルポストカードのお送り(Eメール) / 目録(途中経過)のPDF送付・芳名録への支援者名の記載(希望者のみ) / 鶴見俊輔『日米交換船』 共著・黒川氏サイン入り書籍 / オンライン勉強会へのご招待 / 関係者との座談会へのご招待 / 〈法人限定〉法人向け特別講義(90分間・オンライン)の開催権 / 寄付金領収書
リターン | 実施予定日 |
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〈法人限定〉法人向け出前講義(180分間・対面)の開催権 | 2026年06月 |
サンクスレター・オリジナルポストカードのお送り(Eメール) | 2026年03月 |
目録(途中経過)のPDF送付・芳名録への支援者名の記載(希望者のみ) | 2026年08月 |
鶴見俊輔『日米交換船』 共著・黒川氏サイン入り書籍 | 2026年03月 |
オンライン勉強会へのご招待 | 2026年05月 |
関係者との座談会へのご招待 | 2026年05月 |
〈法人限定〉法人向け特別講義(90分間・オンライン)の開催権 | 2026年06月 |
0人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
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