私は研究を通じて、豊かな自然とそれを享受できる社会を後世に残していきたいです。
私たち人間は、生きものとさまざまに関わりながら、地球環境に大きな影響を与えて生きてきました。多くの野生動物が人間の活動によって絶滅の危機に瀕しており、保全の重要性が叫ばれる一方で、その影に、現地で実際に野生動物と共に暮らしている人々の犠牲が伴っていることはあまり知られていません。
マルミミゾウの象牙は、主に日本を含むゾウが生息していない国で高価なものとして需要があり、国際取引が禁止された後も密猟が絶えません。ゾウは生息地の生態系維持に重要な役割を果たしていて、マルミミゾウの減少や絶滅はそこの森林を構成する動植物種の絶滅にもつながります。ガボンでは、ゾウの保全が積極的に進められてきた一方で、現地住民の生活は脅かされています。彼らにはゾウを食べる文化がありましたが現在は狩猟が禁じられ、畑の作物はゾウにひどく荒らされています。現地住民の暮らしや権利は後回しにされているのです。
私は、人間と他の生きものたちが地球で共に暮らしていくために、ゾウやその生息地と、現地の人々の暮らしの両方を守っていける方法を見つけたいと考えています。
マルミミゾウと人間が持続可能に共生するためには、生態系のバランスを保ち、特定の人々が不利になることなく、皆が生態系から得られる多様な恵み(「生態系サービス」)を享受できることが重要だと私は考えています。それには、人とゾウの間で現在生じている軋轢の原因の理解、特にゾウがなぜその場所を使うのかに影響するゾウの採食戦略の理解が不可欠です。
しかし、彼らの生態についてはまだ情報が十分ではなく、わかっていないことがたくさんあります。私が修士課程で研究を始めた当初は周りにマルミミゾウの研究者がおらず、ひとりでガボンの森でのゾウの生態調査をはじめました。
現在は、人間の居住域周辺を利用する個体に着目し、1. 調査地のゾウが何を食べて暮らしているのか、2. 森の中の食べものがどの時期にあるのか、3. いつ畑に作物を荒らしに来るのか、といったことを調べています。さらにこの先、ゾウがその土地の特徴をどのように理解し、場所を記憶し再訪しているのかについて明らかにしていきたいと思っています。そうすることで、ゾウが畑に訪れるようになる過程や理由が明らかになり、効果的な作物被害の対策の検討に役立てるのではないかと考えています。
ガボンのマルミミゾウによる畑荒らしが深刻な村の周辺において、ゾウがどの季節にどのようなものを食べているのか、またそれが性別や年齢階層によって異なるのかを調べています。
野生のマルミミゾウは神経質で、熱帯の密林での観察は難しく大きな危険が伴います。そこで、1頭が1日になんと100kg以上もするというゾウの「糞」に着目しました。ひとつの糞から、採食内容、糞サイズ、DNAといったさまざまな情報を得ることで、誰が何を食べているかがわかるのです!ゾウのメスは群れを作るので、単独で遊動するオトナのオスとは異なる採食戦略をとっている可能性があります。また、ゾウがどのような場所をよく利用するのかについても、自動撮影カメラでの調査と畑の持ち主への聞き取り調査を行っています。人里や畑の作物を利用するゾウの特徴が分かれば、対策のターゲットを絞り込めます。
マルミミゾウは果実を好みますが、結実量や時期は年によって変動します。現地の人々は焼畑を行い、2年ほどで畑の場所を変えます。ゾウの採食物の季節や年による変化が明らかになると、重点的に対策を行う時期がわかり、対策にかける人々の労力を軽減できることが期待されます。
海外の自然の中での調査は思うようにいかないことも多く、なかなか成果が出せずに焦るばかりの時期もありました。しかし、ここまでさまざまな方に支えていただいて続けてくることができましたので、最後まで諦めず研究を形にしていきたいです。
その一方で、ゾウに畑を荒らされた人々を現地で目の当たりにして、研究だけではすぐには直接問題を解決できないことを痛感したのも事実です。近い将来、これまで自分がおこなってきた「研究」を生かして「保全・支援」もおこなっていきたいと考えています。
ご支援は、試薬の購入のほか、研究活動に必要な学会費や書籍購入費、論文投稿料などに大切に使用します。頑張りますので応援いただけますと幸いです。どうぞよろしくお願いいたします!
ゾウは環境に大きな影響を与える動物です。その研究は単に一生物種としての位置付けにとどまらず、生態系保全、人類の進化、文化人類学などさまざまな分野に及びます。野本さんは観察の難しいマルミミゾウを対象にその生態を解明してきました。その研究遂行力を評価する一方で、研究は、そこで得た成果を社会へ還元することも大切です。野本さんにはそれを行える素質があると思いますので、今後の活動に期待しています。
アフリカの森でゾウの生態を追いかける―。ロマンあふれる話ですが、実行するには大きな困難がともないます。高温多湿のなかで毎日たくさん歩き、糞を拾い集めては中身を調べ、不慣れな生活環境に適応し、そうして文字どおり体を張って調査に臨みます。地道な調査を積み重ね、成果が得られるのにもとても長い時間を要します。こうした研究は誰にでもできるものではありませんが、野本さんにはそれを成し遂げる力があると確信しています。ぜひご支援をお願いいたします。
野本さんとの出会いは、私が社会人を経て博士課程に入り、アフリカでの研究を始めた院生時代でした。学部を出てすぐ「マルミミゾウの研究をする」という彼女の姿はとてもまぶしく、今でもその姿に変わりはありません。憧れていたマルミミゾウの研究に挑戦し続けることは、幸せなことであると同時に、先の見えない道を模索する勇気のいることでもあると思います。地道な調査と思考を続け、村人の信頼を得ている野本さんならではの研究成果と地域貢献を楽しみにしています。
時期 | 計画 |
---|---|
2024年8月 | 論文執筆・投稿 |
2024年9月〜12月 | 博士論文執筆 |
2024年12月 | 博士論文提出 |
2025年1月〜2月 | 公聴会準備、国際学会と参加旅費支援金への応募 |
2025年3月 | 博士号取得、学会準備 |
メールでお礼のメッセージをお送りします。
お礼メッセージ
30人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
ガボン共和国での調査中に自動撮影カメラで撮影したゾウの画像(メッセージ入り1点とオリジナル画像1点)をお送りします。
また、サポーターの皆さまにお届けする研究報告レポートにお名前を掲載します。
お礼メッセージ / オリジナル画像 & 研究報告レポートにお名前掲載
60人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
本研究に関するオンラインサイエンスカフェにご招待します。当日ご参加いただけない場合には、後日配信URLを共有します。
海外からのご支援などで日本語以外をご希望の場合には、英語での10分程度の動画をお送りいたします。
お礼メッセージ / オリジナル画像 & 研究報告レポートにお名前掲載 / オンラインサイエンスカフェ(日本語)
23人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
現在立ち上げ中のゾウに関するプロジェクト「ELEPHA」のオリジナルロゴ入りトートバッグをお送りいたします。
※トートバッグのデザインは、予告なく変更されることがあります。発送は国内に限らせていただきます。
お礼メッセージ / オリジナル画像 & 研究報告レポートにお名前掲載 / オンラインサイエンスカフェ(日本語) / オリジナルロゴ入りトートバッグ
10人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
本研究について個別にディスカッションする機会を設けます。日程は個別にご相談いたします。
お礼メッセージ / オリジナル画像 & 研究報告レポートにお名前掲載 / オンラインサイエンスカフェ(日本語) / オリジナルロゴ入りトートバッグ / 個別ディスカッション
0人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
本研究に関する出張講義を行います。具体的な内容や日程は個別にご相談いたします。
※宿泊費・交通費は別途いただきます。
お礼メッセージ / オリジナル画像 & 研究報告レポートにお名前掲載 / オンラインサイエンスカフェ(日本語) / オリジナルロゴ入りトートバッグ / 個別ディスカッション / 出張講義
0人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
当サイトは SSL 暗号化通信に対応しております。入力した情報は安全に送信されます。
お礼メッセージ
30
人
が支援しています。
(数量制限なし)
オリジナル画像 & 研究報告レポートにお名前掲載 他
60
人
が支援しています。
(数量制限なし)
オンラインサイエンスカフェ(日本語) 他
23
人
が支援しています。
(数量制限なし)
オリジナルロゴ入りトートバッグ 他
10
人
が支援しています。
(数量制限なし)
個別ディスカッション 他
0
人
が支援しています。
(数量制限なし)
出張講義 他
0
人
が支援しています。
(数量制限なし)