私たちは、より包括的な社会の実現を目指し、生理用品の必要な人々に対して現物支給などの方法で提供する「生理用品の一般提供」に関する研究を行っています。
人類の半数は、生涯を通じて何度も月経を経験します。この生理現象は、人類の繁殖と直接つながっています。しかし、「穢れ」や「恥」といった意識により、女性たちは月経の際に閉じ込められたり排除されるという事実が、人類学や民俗学の研究によって明らかになっています。また、現代の女性は明治時代の女性に比べて9倍以上の回数で月経を経験し、生理用品が必要な機会も増えています。さらに、貧困やトランスジェンダーなどの事情などで生理用品を入手できない人々もいます。しかし、ナプキンなどさまざまな生理用品が開発され、処理が容易になる一方で、月経に対する責任は個人の自己負担とされてきました。これらの問題は、月経を経験するすべての人々にとっての重要な課題です。
私たちは、生理用品を必要とするすべての人々に確実に届けるための社会を創造することを目指しています。この目標を達成するためには、意識の変革、経済的な支援、制度的な支援などが必要です。これらの取り組みを通じて、包括的な社会を実現するための道筋を示していきます。
私たちはまず、東アジアをフィールドにした事例研究を通じて、生理用品の提供にはどのような形態があるのか、またその成功要因や遭遇する課題は何か、を明らかにしていきます。
日本では2022年の厚生労働省の調査によって、若年層や所得の低い世帯が生理用品の調達に困難を感じている実態が初めて示されました。その影響は個々の健康状態や社会活動にまで及びますが、行政による取り組みは都道府県によってばらつきが大きく、生理用品の提供に関する学術的な議論もほとんど行われていないのが現状です。
私たちの先行研究では、生理用品の一般提供が主に「企業や大学など機関経由の提供型」、「NPOや市民活動による共助型」、「行政主導の給付型」の3つのルートで実践されていることが明らかになりました。これらは日本、中国、韓国の実践でも多く見られます。私たちは参与観察や関係者への聞き取り調査を行い、各ルートの特徴や社会教育の効果、そして社会的関心を高める意義を検討していきます。
この研究は、東アジア(日本、中国、韓国)での生理用品提供の前述した3つのルートの事例研究を通して、(1)生理用品の一般提供を行う際の課題と、(2)これらの活動が教育(人々の意識変革)と福祉(経済的および社会的な参加の促進)の観点からどのように影響を及ぼすか、を中心に検討していきます。
具体的には、先行研究のレビューを通じて月経に対する意識の変化、生理用品の歴史と現状、および東アジアの各地域における生理用品の一般提供の実態、の3点を中心に既存の研究や社会調査の結果をまとめて分析します。これらの情報は、私たちが現代の月経事情を広範に理解し、事例研究の基盤を築くために不可欠です。
事例研究では、東アジア三国における3つのルートの生理用品提供がどのような背景から生まれ、現在どのような課題に直面しているのか、その共通点とそれぞれの文脈を明らかにし、課題を乗り越えていく可能性を検討します。また、これらの取り組みがどのように人々(提供者、受け手、支援者など)や地域社会に影響を及ぼしたのか解明します。さらに、研究結果を取り入れた国際ワークショップを開催し、異なる背景を持つ参加者とともに、月経に関する事情について深く議論します。
近年、コロナ禍の影響もあり「生理の貧困」問題が再び注目されるようになりました。生理用品の税率が高いことや、それを買うための経済的負担が大きいことが指摘されています。2020年11月にはスコットランドで生理用品無償化法案が可決され、生理用品を生活必需品として位置づける動きが加速しています。生理用品の一般提供は、社会の包摂性と貧困問題の緩和に寄与します。
しかしながら、東アジアではこの問題への対応は緩慢にしか進んでいません。これは財政的、制度的な困難や、月経に対する人々の意識、現物給付の衛生問題など、さまざまな難しさが絡み合っています。これらの問題は、生理用品の一般提供だけでなく、この世の誰もが窮屈な状況に直面するときに共通して立ちはだかるものです。
だからこそ、今回私たちはクラウドファンディングを通じて皆さまからご支援をいただき、より多くの関心を呼び起こしたいのです。
支援金は、事例研究のための旅費、資料代、ワークショップやシンポジウム開催の準備費用などに充て、大切に使わせていただきます。ぜひ、ご支援をよろしくお願いします!
ご寄附いただいた皆様へ、確定申告により税制上の優遇措置が適用される領収書を北海道大学より発行致します。
なお、領収書の日付は、お申込み受付日やカード決済口座からの振替日ではなく、アカデミスト株式会社より北海道大学に入金された日付となります。
【法人・団体様からのご寄附】
・全額損金算入が可能です。(法人税法第37条第3項第2号)
【個人様からのご寄附】
・所得税…寄附金額(総所得金額の40%を上限とする)から2,000円を差し引いた額を、当該年の課税所得から控除することができます。
・個人住民税…北海道大学を寄付金控除の対象法人として条例で指定している都道府県・市区町村にお住いの方は、個人住民税の控除を受けることができます。
孫詩彧さんは、名古屋大学で2021年度に研究員をされておられ、その時に出会いました。私は、いわゆるジェンダー・アイデンティティは女性ではないの(男性寄り)ですが、生理のある身体に生まれた身として、経済的・身体的・心理的に生理がもたらす影響を日々実感してきました。本プロジェクトの対象には、シスジェンダー女性以外も想定されており、展開の射程の広さを感じさせます。プロジェクトの成功を、応援しています。
韓国では2016年に、貧困家庭の女子学生がナプキンの代わりに靴のインソールを使っていたことが報道されました。その後、自治体を中心に青少年を対象として生理用品に対する金銭的補助や無償化のための政策が増えています。生活必需品である生理用品を「必要な人なら誰でも無償で」という普遍的な支給の対象にできるまではまだ程遠いですが、社会の認識は変わりつつあります。今回のプロジェクトが、日本における認識転換の契機となることを望みます。
自分は月経とはじめて出会ってから17年。この17年間には、カバンや家のなかで生理用品のない日は一日もありません。生理用品は空気のような存在だと言えます。
しかし、現代の文明社会には貧困など様々な事情で生理用品を手に入れられない人がいます。この方たちはどのような状態で生理期間に直面しているのか、子ども教育を研究する者として、0歳女の子の母として、自分は非常に関心があります!この研究に期待しています!
私は女性のホームレスの人たちについて研究してきました。生理用品は、彼女たちがほしいもののなかでもっとも優先順位が高いものでしたが、コンスタントに手に入れるのは簡単ではありませんでした。私が昨年度、滞在していたスコットランドでは、美術館などの公共施設や大学には、無料の生理用品が置いてありました。日本も、必要な人が必要なときに、生理用品を手に入れられる社会になることを望んでいます。
私は男性の育休取得を中心に、ジェンダーの枠を取り払うことを念頭に研究を行ってきました。しかし、月経への対処に関する社会的な課題については、男性にとって見えづらく、また言及しづらいこともあり、自分の研究の中で目配りしきれずにいました。本プロジェクトの研究成果はもちろんクラウドファンディングによる研究費取得というこの仕組みを通じて、ジェンダーにかかわらず多くの人が課題への理解を深められることに期待します。
時期 | 計画 |
---|---|
2023年7月 | 研究開始:先行研究の整理と事例調査の準備 |
2023年9月 | 日本の事例研究開始(大学・企業へと聞き取り) |
2023年10月 | 中国の事例研究開始(市民団体NPO等の参与観察、聞き取り) |
2023年10月 | 韓国の事例研究開始(行政資料やSNSでの投稿を分析) |
2023年12月 | 集めたデータを検討・分析 |
2024年2月 | International Workshop開催(予定) |
2024年4月 | Symposium開催(予定) |
2024年6月 | 研究成果を論文にまとめ、投稿(予定) |
メールでお礼のメッセージをお送りします。
このリターン実施は2023年7月を予定しています。
お礼のメッセージ / 寄付金領収書
7人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
3か月程度に一度(予定)、生理や生理用品に関する出来事、研究の進捗などフロンティア情報をのせたニューズレターの電子版をメールでお送りします。
こちらのニューズレターは、寄付者への送付より1か月程度遅れて公式Twitterでも公開する予定です。
ニューズレターの送付 / お礼のメッセージ / 寄付金領収書
2人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
academist Journalに寄稿する研究報告レポート(研究終了後1年以内にレポートを作成する予定)の謝辞に署名することと、オリジナルポーチを郵送でお送りします。
リターンの画像はイメージです。また、郵送は日本国内に限らせていただきます。
研究レポートの謝辞署名とオリジナルポーチ / お礼のメッセージ / ニューズレターの送付 / 寄付金領収書
15人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
本プロジェクトに関するWorkshopとSymposiumが開催されるときにご招待します。招待を受けて参加された方限定の、オリジナルトートバッグを進呈いたします。
Workshopは2024年2月に@北海道で開催する予定、Symposiumは2024年4月に@東京で開催する予定です。参加の旅費等はご自身で負担していただきます。
WorkshopとSymposiumへの招待 / お礼のメッセージ / ニューズレターの送付 / 研究レポートの謝辞署名とオリジナルポーチ / 寄付金領収書
1人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
今回の研究が論文化した際に、謝辞を掲載いたします。
このリターン実施は2024年6月を予定しています。
研究の進捗によってリターンが遅れる可能性がありますのであらかじめご了承ください。
論文謝辞にお名前掲載 / お礼のメッセージ / ニューズレターの送付 / WorkshopとSymposiumへの招待 / 研究レポートの謝辞署名とオリジナルポーチ / 寄付金領収書
1人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
本研究について研究メンバー全員とディスカッションする機会を設けます。具体的な内容や日程、実施方法は個別にご相談いたします。
個別ディスカッション / お礼のメッセージ / ニューズレターの送付 / WorkshopとSymposiumへの招待 / 論文謝辞にお名前掲載 / 研究レポートの謝辞署名とオリジナルポーチ / 寄付金領収書
2人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
本研究に関する出張講義を行います。具体的な内容や日程は個別にご相談いたします。
※講師の宿泊費・交通費は別途いただきます。
出張講義 / お礼のメッセージ / ニューズレターの送付 / WorkshopとSymposiumへの招待 / 論文謝辞にお名前掲載 / 個別ディスカッション / 研究レポートの謝辞署名とオリジナルポーチ / 寄付金領収書
0人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
当サイトは SSL 暗号化通信に対応しております。入力した情報は安全に送信されます。
お礼のメッセージ 他
7
人
が支援しています。
(数量制限なし)
ニューズレターの送付 他
2
人
が支援しています。
(数量制限なし)
研究レポートの謝辞署名とオリジナルポーチ 他
15
人
が支援しています。
(数量制限なし)
WorkshopとSymposiumへの招待 他
1
人
が支援しています。
(数量制限なし)
論文謝辞にお名前掲載 他
1
人
が支援しています。
(数量制限なし)
個別ディスカッション 他
2
人
が支援しています。
(数量制限なし)
出張講義 他
0
人
が支援しています。
(数量制限なし)