成し遂げたい目標は「‟なぜ、あのグループはうまくいくの?”という疑問に対して身近な社会活動の解析から科学的に説明する」ことです。みなさんのなかには、このメンバーならできると思ったはずが進まなかったり、自分と隣のグループで進捗具合が異なったりした経験があるかもしれません。メンバーの経験だけで原因を説明できるでしょうか?私たちは経験年数だけでは語れない協調性のメカニズムを、分業やインタラクション(相互作用)の観点から明らかにしていきます。
今回、身近な社会活動を題材にフィールド計測から道具や個人の位置、会話を記録するだけでなくアンケート調査も行い、うまくいくグループの特徴を定量的に、統計的に検討することを目的とします。その際、トラブルへの対処等に着目します。完璧に進めることは難しく、揺れ動く環境や想定外の出来事により悪い方向へ傾きかけた状況を立ち直らせている可能性があります。
スポーツ科学や生物学のように集団の動きを分析し、会話やアンケートの回答と関連づけて特徴的な分業やインタラクションを解明することで、認知科学や心理学との接続が実現して協調性研究の発展が期待されます。
<共同研究者>
竹内 勇剛(静岡大学創造科学技術大学院・教授)
山田 雅敏(常葉大学経営学部・准教授)
藤井 慶輔(名古屋大学大学院情報学研究科・准教授)
坂本 孝丈(静岡大学大学教育センター・助教)
私たちは、身近な社会活動としてBBQに注目しました。BBQは炭に火がつかないなどのトラブルが起こりやすく、お昼等の限られた時間で楽しく食事するために自ずと分業が行われ、周囲の状況を理解する必要があるでしょう。「分業」、「周囲の状況理解」、「トラブルへの対処」は集団スポーツと類似する一方で、環境が自然で役割が未決定な状態から始まり、個々の自由度がより高くノルマが必ずしも明確でない点が異なり、協調性を学術的に検討するうえで興味深い題材と言えます。認知科学ではこれまで役割分担や交替、これらを通した他者視点の取得が協調性で重要であることが示唆されています[林+07; Shirouzu+02]。しかし、既存の研究では机上のテスト課題を用いた思考に重きが置かれ、身体的なインタラクションが十分に考慮されていないことが検討事項としてあります。
また、実験室実験やエスノグラフィーに代表される認知科学の主流なアプローチでは、科学的に説明しやすい定量的な検証と状況のリアリティの間でトレードオフが生じます。そこで、フィールド計測を採用してこれらの問題のクリアを図ります。
[林+07] 林・三輪・森田, 異なる視点に基づく協同問題解決に関する実験的検討, 認知科学, 2007
[Shirouzu+02] Shirouzu, Miyake, & Masukawa, Cognitively active externalization for situated reflection, 2002
具体的には4、5名を1組にBBQの活動を観測します。設営や調理、食事、片づけの過程を接地・俯瞰撮影して会話を記録するだけでなく、画像処理から道具や個人の位置を時系列で計測します。さらに、活動を振り返るアンケート調査も実施します。
10組ほどフィールド計測を行って接地撮影の動画から会話や行動を参考に、発生したトラブルや各メンバーの役割に関する注釈を付与します。そこから短時間で調理できた、あるいはアンケートで楽しく活動できたと回答したグループの分業やインタラクションに関する仮説を設定します。そして、俯瞰撮影の動画から取得した道具や個人の位置データから集団の動きを解析して仮説を検証します。例えば、うまくいくグループでは、正常時はお互いに任せて、トラブル時のみリーダーのような存在が役割を動的に配置させる特徴がみられるかもしれません。トラブルに関連するグループの距離感や慌て度合いを表す指標から捉えられる可能性があります。
身近な社会活動をフィールド計測するアプローチ、そしてリアリティのあるデータから定量的に、統計的に協調性の基盤を解明する試みは学術的にも、社会的にもインパクトがあるでしょう。この研究をきっかけに、BBQを通してチームワークの構築過程における「適材適所の役割配置」や「状況に応じたリーダーの必要性」といったみなさんが実感しやすい、うまくいくグループのヒントを提供できるかもしれません。
挑戦的な取り組みのため探索的に研究を進めること、さらには設備や食材の調達など通常の研究費では支出が難しい側面があることから、柔軟に使用できる予算を確保したいと思い、クラウドファンディングに応募しました。ご支援はその他、分析の下処理などに協力いただいたアルバイトへの謝金、論文投稿に向けた英文校正費や掲載費等への使用を予定しています。多くの方にこの研究を知ってもらい、人の情報処理を探求する認知科学に興味を持っていただける機会になればと思っています。ご支援のほど、よろしくお願いいたします。
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日常での何気ないBBQの場で何が起きているのか?楽しくみんなでBBQをやるには?実際のBBQでの行動を観察して、こんな疑問に真面目に答えようとするユニークな研究です。BBQにおける活動を、社会における協調性として解明できれば、さまざまな社会活動において、より円滑な協調行動ができるようになるかもしれません。私自身も楽しみにしていますので、ご協力いただければと思います。
カラダを使った具体的な運動から生じる集団性(例えば渋谷交差点の整然とした人の流れ)と、アタマを使った抽象的な思考の産物としての社会性(三人寄れば文殊の知恵)。感覚運動のレベルと、より高次の認知や心理のレベルで別々に研究されがちなこの二つの領域を、市川さんは本研究で接続しようとしています。それは我々の社会性の起源に迫る可能性さえ秘めたものです。本研究の実現を楽しみにしています。
時期 | 計画 |
---|---|
~2023年1月 | 準備 |
2023年3月~ | 本格的なフィールド計測・データ分析 |
2023年8月~ | 国内学会や国際会議での発表(予定) |
2024年1月~ | 学術雑誌への投稿(予定) |
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フィールド計測を実験者の解説を聞きながら、一緒に参加します。
実施日程は個別にご連絡しますが、雨天時は中止で延期となります。その場合は、2日前までにご連絡します。現地(静岡大学浜松キャンパス)までの交通費や宿泊費はご負担ください。※参加者としてBBQの食事はできません。計測に伴う留意事項の説明書をご確認いただき、内容遵守として署名をいただきます。実施への参加が難しい場合は撮影した動画1組分を限定公開します。動画を視聴する場合も、関連する留意事項の説明書をご確認いただき、内容遵守として署名をいただきます。
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浜松市内限定で出張講演を1回行います。交通費は必要ありません。出張先の要望に合わせて、1時間半程度で本研究の成果や意義などをお話して質疑応答もできる機会を設けます。具体的な日程等は個別にご相談します。
※会場の手配(部屋の確保やプロジェクターの用意)にご協力ください。
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