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昆布を用いた正月飾りの全国調査で、その歴史的背景を明らかにしたい!

#市民科学(シチズンサイエンス)
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齋藤 貴之
北海道武蔵女子短期大学、准教授
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成果報告会(5/24)を実施します!

このたび、三省堂書店 札幌店内 ブックス&カフェUCCにて成果報告会を実施いたします!
まだまだ道半ばではありますが、本プロジェクトにお寄せいただいた支援金を活用し、令和4年度より2年間にわたって実施してきた調査研究の成果の一部を報告いたしますので、お時間がありましたら、ご参加いただければ幸いです。

成果報告会2024
日時:2024年5月24日(金) 18時~19時半
場所:三省堂書店 札幌店内 ブックス&カフェUCC
 (〒060-0005 札幌市中央区北5条西2丁目5番地 JRタワー札幌ステラプレイス5F)
参加費:無料(ドリンク・お菓子付き)
定員:30名(事前申込み制・先着順)
申し込み方法:上記リンクより申込フォームにアクセスし、必要事項をご記入の上、送信してください。
また、店頭もしくはお電話でも受け付けております。
申込フォーム:https://docs.google.com/forms/d/1ufjvQ0umszq_8eKc1cX116S3DBf0_m-ATZ_5IAMYM5Y/edit

告知:
三省堂書店X
https://twitter.com/saporo_sanseido/status/1781141422005244220
三省堂書店HP
https://www.books-sanseido.co.jp/events/2504539

どうぞよろしくお願いいたします。

齋藤 貴之 / April 19, 2024
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進捗報告 vol.08

2022年度夏および2023年度夏に実施いたしました青森県における調査等について報告いたします。
以前実施した秋田県等での調査を受け、主として、お盆における昆布の利用の実態を把握するため、山形県および岩手県を対象とした調査と並行して両県に隣接する青森県津軽地方(2022年度夏)および三八上北・下北地方(2023年度夏)を対象に、各市町村の教育委員会や郷土資料館等の協力を得ながら実施いたしました。

【鏡餅・正月のお供えにおける昆布の利用】
利用する・した    :8市町村(弘前市、西目屋村、大鰐町、田舎館村、五所川原市、三沢市、東通村、佐井村)
利用しない・事例がない:29市町村
調査中        :3町村(鯵ヶ沢町、今別町、三戸町)

津軽地方の弘前市と五所川原市では餅の下に昆布を敷く、西目屋村と大鰐町、田舎館村では秋田県内の鏡餅と同様に、短く切った昆布を鏡餅の前に添える、これらの市町村はいずれも秋田県に近い地域であることから、かつては秋田県と同じ文化圏に属していたか、あるいは秋田県の文化と類似する文化を有していたかのいずれかであった可能性が考えられます。
他方、三八上北地方の三沢市では一部の旧家でのみ昆布が用いられていたとされ、下北地方の東通村では鏡餅に年縄、昆布、松葉を付けるとあり(『小田野沢の民俗』)、佐井村では半紙の上に昆布を敷き、餅を載せ、餅と餅の間にも昆布を挟む、とのこと。三沢市に関しては幕末に下北に移り住んだ福島の人びとが三沢地区に降りてきて、廃藩置県以降にできた新しい町であるため古い民俗は少なく、福島に由来するものが多い、とのこと。東通村と佐井村に関しては、下北半島は海上ルートでのつながりが深く、隣接する三八上北地方とは異なる流れがあるということなのかもしれません。

そのほか、東北町では、神棚に昆布と餅を供えることがある、とのこと。
また、むつ市では、昭和50年代、鏡餅を包む藁苞に挟み込まれていたという事例があるが、収蔵庫にあるのみで、詳細はわからない、とのことでした。ただ、このむつ市の事例は、前回の岩手県での調査において確認した『日本の民俗 岩手』のなかにあった「陸前高田市に編入された旧矢作村大島部では正月に魚形の藁苞に入れた餅に松とこんぶを添えてお水神さまに供える」という記載に類似しています。後日、むつ市の方から菅江真澄の「追柯呂能通度(つがろのつと)」(秋田県立博物館所蔵)に掲載されている挿絵に同様の事例があるとのことを教えていただきました。また、『津軽の民俗』にも「親鏡は松・イワシ・コンブをつけて干す。そして、旧6月1日に歯固め餅として家族で分けて食う(鰺ヶ沢町芦萢)」(p.244)とありました。今後は、これらを手がかりにその歴史や分布についてもう少し詳しく調べてみたいと考えています。

青森県での調査結果もまた、「太平洋沿岸地域では、鏡餅に昆布を利用する事例が少ない」ことを示すものでした。しかし、意外にも、日本海沿岸地域や津軽海峡沿岸地域においても鏡餅に昆布を利用する事例が少ないことがわかりました。このことから、昆布の主要な生産地に近いかどうかではなく、西廻り航路の主要な寄港地に近いかどうかが、鏡餅に昆布を用いるという文化の形成に大きな影響を与えている、というのもひとつの有力な説として検討していく必要があるのかもしれません。

【正月飾り等における昆布の利用】
利用する・した    :14市町村(西目屋村、外ヶ浜村、三沢市、野辺地町、横浜町、東北町、六ヶ所村、おいらせ町、むつ市、大間町、東通村、佐井村、八戸市、階上町)
利用しない・事例がない:23市町村
調査中        :3町村(鯵ヶ沢町、今別町、三戸町)

としな(年縄)やしめ縄・しめ飾りに昆布を利用する事例が、14市町村にありました。ただ、秋田県境の西目屋村と津軽半島の先に位置する外ヶ浜町を除くと、そのほかの12市町村はすべて下北半島および青森県の太平洋沿岸地域に集中しているというのが非常に特徴的です。この分布が何を意味するかを上手く解明することができれば、歴史的な関係性やそれぞれの起源などに辿りつくための手がかりが得られるかもしれません。
青森県内では、縦に吊すものも、玄関や神棚に張るものも、年縄(としな)と呼ぶことが多く、昆布を用いた年縄としては大きく分けて以下の2種類があることがわかりました。

【わらでなった縄に直接挟み込む】
「昆布、松、炭をしめ縄に挟む」(三沢市)
「松などと一緒に昆布を細く切ったものを挟める」(横浜町)
「昆布や煮干しを編み込む」(東北町)
「5・7・3の間隔で昆布、煮干し、松をはさむ」(六ヶ所村)
「松葉と紙垂、紙垂と同じ形に切った昆布、長方形に切った餅を差し込む。輪飾りには、紙垂と松葉、長方形に切った餅と昆布を結びつける」(大間町)
「年縄に松葉、昆布、紙垂をさし込む」(むつ市)
「紙垂、松葉、昆布をさし込む。昆布は紙垂と同じように三幣の形にするところもあるが、長方形にするところもある。近年、玄関などには棒年縄を飾るところが増えている。棒年縄には、上から松葉、昆布、にぼし、紙垂の順にさし込む」(佐井村)

【縄から伸びた藁の先に結びつけ吊す】
「昆布、小松の枝、馬ボシ(馬肉を干したものか)、弊をさげる」(おいらせ町)
「年縄から吊り下げるように松の葉や炭、昆布、煮干しをつける」(八戸市)
「玄関のしめ縄飾りや神棚への飾りつけには、縄から吊り下げるように松葉や炭、昆布、煮干しをつける」(階上町)

そのほか、三沢市では紙垂の上端に昆布、煮干を巻き付けて、縄目の間に差し込んむところもあるそうです。

また、旧下田町(現おいらせ町)では、正月11日に、焼いた餅を持ち、宅地のうしろ、お宮のそば、林、山、河原などカラスの礼場に行き、木の枝に年縄(紙をさげ、松の葉、昆布、煮干し、炭、餅などをつけた)をかけて、山の神に捧げてから「シナェ、シナェ」などと叫んでカラスを呼び、餅を引きちぎって投げ与える、という風習があったそうです(『下田町史』)。同様に、八戸市では、正月11日に、家々では男性の数だけ藁で御幣を作り、松の葉、昆布、ヒシコ(片口鰯)、炭、それに紙の御幣をつけて、山の神さまの祠の周囲にある大きい木に掛け、手にもった餅をちぎってカラスを呼んで与える、「初山」という風習があったそうです(『新編八戸市史民俗編』、p.413)。

また、鏡餅・お供えやしめ縄とは異なる「昆布を用いた正月飾り」として、「やっかがし」や「戸窓フタギ」と呼ばれる風習があり、これは、小正月に竹を割り(木の串や竹の串に刺すところもある)、煮干しと昆布を挟み、餅で止めたもの、夕食後に戸窓に刺すというもので、4市町(三沢市、七戸町、おいらせ町、むつ市)で見つかりました。

八戸市や旧下田町の事例は、岩手県の「のさ打ち」(雫石市、二戸市、旧東和町)や「ポッポー」、秋田県の「のさ打ち」や「ポッポー」、あるいは山形県の「鳥追い」に類似するものであることから、それらについては何らかの関係性があることを念頭に、分布範囲などについてもう少し詳しく調べてみたいと思っています。「やっかがし」も岩手県内に広く見られるほか、節分の風習として、特に東日本各地にあるものの、昆布を用いる事例は青森県東部と岩手県に限られているようですので、そのあたりに着目しながら情報を収集していきたいと考えています。

【お盆における昆布の利用】
利用する・した    :9市町村(青森市、三沢市、七戸町、東北町、六ヶ所村、おいらせ町、八戸市、五戸町、田子町)
利用しない・事例がない:28市町村
調査中        :3町村(鯵ヶ沢町、今別町、三戸町)

青森県内では、お盆に昆布を利用する事例を8市町村で確認することができましたが、三八上北地方のみで、津軽地方や下北地方にはほとんど見つかりませんでした。
盆棚に飾りつけるところは4市町村(三沢市、東北町、六ヶ所村、田子町)で、秋田県や山形県の事例と同様に、仏壇の前に棒やヒモを張り、ほおずきやハマナスの実などとともにそれに掛けて飾りますが、下田子では棚の奥には高さ五尺位の鳥居を立て、それに昆布をからめ、その鳥居も竹を昆布で縛って作ったそうです。また、飾りつけるではなく、棚に供えるというところ(七戸町、おいらせ町、八戸市、五戸町)もありました。そのほか、青森市では、墓地の供物の上に長い昆布が供えられているものがあったそうですが、あまり一般的ではないようです。
お盆における昆布の利用で最も多かったのは、岩手県での調査と同様に、送り盆での利用であり、かつては、お供え物をコモで包み、昆布で結わえて川などに流していた、川などに置いてきていたところが6市町村(三沢市、七戸町、六ヶ所村、おいらせ町、八戸市、田子町)あり、昆布は仏さまの背負い縄(しょいな)とされてきたそうです。

こうした盆棚や送り盆に昆布を利用する事例に関しては、青森県においては岩手県に近い限られた地域にのみ見られ、北限がおおよそ絞られてきたことから、今後は南限を確認すべく、宮城県および福島県についてさらに調査を進めて行きたいと考えています。

以上、現時点での進捗状況を報告させていただきました。

どうぞよろしくお願いいたします。

齋藤 貴之 / April 15, 2024
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進捗報告 vol.07

2024年2月に、共同研究者である西谷が長﨑県および福岡県において調査等を実施し、報告書を作成しましたので、報告いたします。

調査者:西谷榮治 個立利尻Dしま博物館

■長崎県・福岡県調査 2024年2月23日~28日
長崎県諫早市、平戸市、佐世保市及び福岡県福岡市において昆布を用いた正月飾りについて現地調査を行った。当所は12月10日から15日までの予定が、利尻島からのフェリー、飛行機が悪天候で欠航したことから、調査日程を改め2月23日から5泊6日となった。
進捗報告 vol.07では、長崎県諫早市、佐世保市、平戸市、波佐見町と福岡県福岡市での調査について報告する。

❐諫早市曹洞宗天祐寺調査 2024年2月24日
曹洞宗天祐寺を訪れ、住職から正月飾りや位牌堂への昆布のお供えを伺った。江戸時代の肥前国佐賀藩諫早領の領主の菩提寺である天祐寺には諫早家の家紋が入った三宝がある。正月飾りとして三宝に玄米を盛りつけ、その上に紅白の水引で結んだ筒状の昆布を置く。もう一つの三宝にはウラジロを敷き、その上に鏡餅、その上に橙を載せる(p1)。飾る場所は、玄関などお客様を迎えるところ。この飾り方は住職の父が行っていたものを継続しているとのことで、諫早領内の公家、武家、商家は玄米ではなく米に筒状の昆布を飾っていたとの情報があることから、玄米を飾るようになったのは新しいのかもしれないと言っていた。この正月飾りはお寺に来る人たちを歓迎することで餅あげの12月29日から餅さげの1月4日まで行う。
また、天祐寺の位牌堂(p2)に年末のお参りで昆布と干し柿を、お盆参りには昆布と素麺をお参りする人たちがお供えすると言ってた。素麺は乾麺そのものをお供えする。

❐平戸市生月町博物館・島の館と松浦史料博物館調査 2024年2月25日
平戸市生月町博物館・島の館と松浦史料博物館を訪れた。長崎県北部の生月島にある生月町博物館・島の館では、保管している島内の民家でのお正月飾り写真を数枚見せていただいたが、仏壇にウラジロを敷きその上に鏡餅を重ね、その上に橙を載せていた。生月島ではお正月飾りに昆布が使われている事例を把握できなかった。(p3)
松浦史料博物館では、松浦家の年中行事が出入りしている商家によって描かれている絵巻が展示されていた。行事の正月の部分が見えなかったので博物館の職員に正月の鏡餅が描かれているか、描かれているのであれば飾りとして昆布が描かれているかを聞いてみた。すると、鏡餅には昆布を飾らないが、正月に松浦家に年始の挨拶に来た人たちに昆布とスルメを渡す「御手掛(おてかけ)」があり、昆布は小さく細く切って、ゆずり葉をつけた橙・熨斗あわび・焼き栗・干し柿などを米を盛った錫鉢に乗せていたという。松浦家の正月の年中行事は『家庭画報』1月号(第66巻第1号 2023年1月号 世界文化社)に「平戸・松浦家のお正月」として載っているのを見せてくれた)そこには「御手掛」が掲載されていた。(p4)

❐波佐見町歴史文化交流館調査、佐世保市白岳神社、佐世保市教育委員会遺跡発掘調査事務所、2024年2月26日
波佐見町歴史文化交流館では波佐見町生まれの館長代理が幼い頃からの自宅でのお正月の鏡餅飾りを教えてくれた。部屋ごとに、ウラジロを敷きその上に大小二つの平たい球状の鏡餅を置き、鏡餅の重なるところに昆布とスルメを置き、その上に干し柿、鏡餅の最上部にみかんを置いたという。三宝への飾りは最近になってからという。(P5)
館長代理が小値賀島での正月飾りについて情報を提供してくれた。樫の木または松の木に大根、人参、昆布等を平年は12本、閏年は13本をぶら下げ、五穀豊穣、無病息災を願うとのこと。こうしたヤサイなどをぶら下げる木の棒を小値賀島では「幸木」(さわぎ)と言っているという。
佐世保市にある白岳神社を訪れた。
宮司の父の正月飾りなどを引き継いでいるという。三宝に半紙を敷き、その上にウラジロ、鏡餅を載せる。鏡餅の間に昆布を入れ、その両端にスルメを置く。鏡餅の一番上に橙を置く。(P6) 白岳神社には現在の宮司の祖父で平戸市の亀岡神社で宮司をしていたが要請があって白岳神社に移ってきた。現在の正月の神前での飾りは父のやり方を受け継いでいるが、それが平戸市の亀岡神社の飾り方なのか、白岳神社にあった飾り方なのかはわからないとのこと。白岳神社の神前の飾り方と自宅での飾り方で違いがあったという。それは干し柿で、神前の鏡餅には飾らないが自宅の鏡餅には飾っていた。なぜ、神前と自宅で違うのかはわからないようだ。
ハレの神事には昆布やスルメをお供え物として使うことが多く、特に個人の家の地鎮祭のお供え物として昆布とスルメが使われたが、より高齢の大工さんからの依頼はあるが若い大工さんたちからはお供えの依頼は少なくなっているという。
佐世保市教育委員会文化財課の遺跡発掘調査事務所を訪れた。そこで佐世保生まれの主査の幼い時の思い出として正月の鏡餅の飾り方を思い出してくれた。鏡餅は三宝に載せず、床の間に半紙を敷きその上にウラジロと昆布を置き、その上に鏡餅、その上に橙を置いていたという。今は実家では飾られていないとのこと。遺跡発掘事務所で働いている佐世保市内に住む60代の女性の方が正月飾りについて話してくれた。ここでも同じく三宝は使わず、床の間に半紙を敷きウラジロを置き,その上にユズリハをハの字に置く。さらに、ウラジロ、ユズリハの上に昆布とスルメを置き、その上に鏡餅を、最上部にみかんと干し柿一個を置くという。

❐福岡市博物館訪問 2024年2月27日
午後の福岡空港から新千歳空港に向かう前に、福岡市にある福岡市博物館を訪れた。常設展示「10福博人生」に「博多結納飾り」の展示があった。(p7) 解説パネルには「昆布で作った「二見ヶ浦」は、筑後地方の風習を博多に取り入れたものである」と書かれている。「二見ヶ浦」とは玄海国定公園内の福岡県糸島市志摩桜井の海岸にある「二見ヶ浦」で、大注連縄で結ばれている夫婦岩がある。夫婦岩を形づくった昆布は「子生婦(こんぶ)」と表示されている。福岡県糸島市・二見ヶ浦・夫婦岩は筑前、福岡県の奥部の有明海に面するのが筑後。筑前の夫婦岩が筑後で子生婦:昆布で形づくられて筑前に戻る。この結納の風習はどの時代まで遡ることができるのか、公家・武家などの限られた風習であったのかなど、さらなる調査を要する。
福岡市博物館のミュージアムショップでアクロス福岡文化誌2『ふるさとの食』(アクロス福岡文化誌編纂委員会編 2008)を購入した。「食のスタイル」の「行事と食」に「よろずかけ」が載っていた(126頁)。(p8) そこには次のように書かれている。「よろずかけ(福岡市博物館提供)。志賀島の漁村では、塩ブリもしくは塩サワラ、スルメ、コンブ、干し柿など山海の幸を荒神棚の下につり下げ、航海安全と大漁を祈願する」。(p6) 同じくミュージアムショップで購入した『博多のくらし』(森弘子 海鳴社2023年)の「お正月を迎える」には「お年玉は米と昆布・スルメの小さく切ったものを半紙で包み、紅白の紐で結んだもの」と書かれている。

■まとめ
今回の長崎県諫早市、平戸市、佐世保市及び福岡県福岡市において食べること以外での昆布がどのように使われているのか、どのような意味があるのかが把握できたことを整理すると次のようになる。

1.形容
1-1.正月飾り
①玄米の上に昆布を筒状にして飾る
②鏡餅に昆布を飾る 平たくして鏡餅の間に敷く 鏡餅・橙・昆布・スルメ・干し柿・ウラジロ
③幸木、よろずかけ つり下げた木の棒に山海の幸を飾る 昆布をつり下げる
1-2.結納
①昆布を子生婦と表す 昆布を使って夫婦岩をつくる
1-3.位牌堂への供物
①年末のお参り 昆布・干し柿
②お盆参り 昆布・素麺
1-4.歓迎とお年玉
①御手掛 年始の挨拶に来た人たちの歓迎
②お年玉 昆布とスルメを小さく切って半紙に包んで子どもたちに渡す 

2.用途
2-1.正月飾り
2-1-1鏡餅
1)橙 「だいだい」→「代々」だいだい家が繁栄すること
2)昆布 「よろこぶ」・「子生婦(こんぶ)」として正月を迎えられたことへの喜びと子孫繁栄
3)ウラジロ 葉の裏側が白いのは心が清く、私利私欲をもたないこと
4)ユズリハ 新葉がそろってから古い葉が落ちること、代々相譲るという縁起を祝う 家が切
れ目無く続くこと
5)スルメ 「寿留女」は家庭の円満
6)干し柿 幸せを「かき」集める 嘉来(かき):よろこび・幸せが来る
2-1-2幸木、よろずかけ . 五穀豊穣、無病息災、航海安全、大漁祈願
2-2. 位牌堂のお供え
2-2-1.昆布、素麺 その由来はわからないとのこと
2-3. 歓迎とお年玉
2-3-1.歓迎 御手掛では年始挨拶来客への歓迎と昆布やスルメなどを半紙で包んで渡していた
いという。家と来客の繋がりを慶び、関係が円満であることを願・祝う
2-3-2.お年玉 『博多のくらし』には、半紙で包んだ上に干し柿を載せる家もあり、子どもたちには「年神さまからのプレゼント」と書かれている

それぞれの調査地で聞き取れたことを整理してみたが、飾りつけている人たちには、飾る個々の物の意味や由来などが充分にわかっていないことが多かった。祖父や父親がやっていたので、そのまま飾りつけていることが多かった。
鏡餅の飾りつけは、橙・昆布・スルメ・ウラジロが共通しているが、干し柿またはユズリハは場所によって飾りつけの有無があった。幸木またはよろずかけは長崎県の小値賀島、志賀島での情報に接したが、これまでの調査で同じような飾りは島根県松江市の曹洞宗法眼寺にあった。天井から竹棹を吊して、その中央に4㍍近い昆布を垂らし、両側にそれぞれ白カブ一対、津田カブ一対、大根一対、ジンバ(ホンダワラ)・吊るしミカンをかけていた。(p9) この飾り方は進捗報告vol.06で群馬県みなかみ町東峰地区の例が報告されている。長崎県での調査事例のさらなる詳細な調査を要することはもちろんであるが、その事例を国内各地と比較検討していかなければならない。地道に取り組んでいきたい。

齋藤 貴之 / April 01, 2024
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進捗報告 vol.06

福島県二本松市および群馬県みなかみ町において昆布を用いた正月飾りについて現地調査を行いました。

当初は、1月4日から2泊3日での調査を予定していましたが、羽田空港での事故の影響で実施できず、1月30日から2泊3日で実施しました。

進捗報告 vol.06では、群馬県みなかみ町東峰地区での調査について報告します。

2月1日には、群馬県みなかみ町東峰にて、お正月飾りについてお話を伺いました。
調査に伺ったところは、伺ってからわかったのですが、みなかみ町指定重要文化財「河合家住宅」であり、その一部は群馬県指定重要文化財「旧大庄屋役宅書院」にもなっている、由緒あるお宅でした。

ここでは、茶の間に歳月様のお棚を作ります。
その年収穫された稲藁をなって、七尋の縄を四本作り、それで棚板を吊り、歳神様のお札をすえ、三階松とおしめ飾りを付けます。小正月には、松を取り除き、繭玉飾りに代わるそうです。
そのお棚の前面に、稲わらでなった縄で竹棒を天井から吊るし、その棒に、飾り縄(七五三)をかけ、干し柿、みかんを七五三につけ、昆布を三つ、紙垂とツタを三つずつ付け、おしめ(しめ縄)を吊すそうです(①)。

歳神さまのお棚のほかに、床の間の妙見様、神棚、仏壇、恵比寿様、竈神様などに、松飾りを供えるとのこと(②③④)。
この松飾りは、松の枝に、干し柿、みかん、小さな昆布をひとつずつ、稲藁の芯で結わえ、おしめを添えます。

また、門松は、杭を2本打ち、竹を立て、薪と松を縄で縛ります。この時に使用する縄は、1対で七尋綯うそうです(⑤)。
そして、三が日の朝に供える雑煮を、杭の頭頂部に少量供えます(門松様)(⑥)。三が日のお雑煮は、お餅と
拍子切りした大根と豆腐、切り昆布のみなのだそうです。

おしめは毎年、70本ほど作るとのこと。先代は、100本ほど作ったそうです(⑦)。
歳神様、妙見様、神棚、仏壇、恵比寿様、竈神様などには、干し柿、みかん、昆布のついた松飾りとオシメを供え、屋敷稲荷、井戸、蔵、雪隠(便所)など、家の各所にはおしめのみを供えます。お墓、氏神様、神社、道祖神、などにも、おしめのみを置きに行くそうです。
縄も、おしめと同じく、先代は、ひと月くらいかけて縄を何尋もない、歳神様を迎える茶の間の四方に縄を張り巡らしていたそうです。

お正月の仕事始めには、小正月の飾りものをつくるために、先代はみずふさの木などを正月1日に集めていたそうです。これは、お正月の行事の延長であって、農作業の始めではなかったとのこと。ぬるで(おっかど)の木で「あわぼ」や「ひえぼ」、「かゆかき棒」などを作っていました。
「かゆかき棒」は、種籾を撒いて苗を育てれる田んぼの水路の入り口等に豊作を祈ってさしていました。「あわぼ」や「ひえぼ」は、紐で竹の棒に吊るして堆肥置き場に立てたそうです。
昔は農家でも白米はごちそうであり、お祝いや特別な行事の時にしか食べることはできず、日常的には粟や稗などの雑穀を食していたため、その豊作祈願として、このような風習が全国各地にあります。

あわぼ、ひえぼ(宮城県涌谷町)
http://www.town.wakuya.miyagi.jp/sangyo/kanko/mesho/rensai/h2901kosyougatu.html

そのほか、正月飾りのひとつとして、アイヌのイナウに似た「お花かざり」というものもありました(⑧)。
また、正月14日は、便所神さまを祀る日でもあったそうで、男女一対の紙人形を作り、便所内にかけ、供えものなどをしたそうです。

日本海沿岸地域を中心に調査を進めてきたこともあり、内陸部や太平洋沿岸地域における情報収集が十分にできていないため、群馬県における事例は大変貴重で、今後の調査の進展に向けての手がかりになるものであると感じました。
また、吊す形の正月飾りについては、福岡のヨロズカケをはじめ、全国各地に何件か事例があり、何らかの関連性があるのではないかと非常に興味深く、今回の調査で得られた情報も含めて考えていくことができればと考えています。

齋藤 貴之 / February 25, 2024
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進捗報告 vol.05

福島県二本松市および群馬県みなかみ町において昆布を用いた正月飾りについて現地調査を行いました。

当初は、1月4日から2泊3日での調査を予定していましたが、羽田空港での事故の影響で実施できず、1月30日から2泊3日で実施しました。

進捗報告 vol.05では、福島県二本松市東和地区での調査について報告します。

1月30日に当地に到着し、その日の宿である農家民宿「遊雲の里」(③)にて、お正月飾りや、かつてのお正月の過ごし方や当地の暮らしについてお話を伺いました。

当地の昔話を数多く採話し、地域や小学校で語り部として活動するほか、何冊もの著作を出版するなど幅広く活動されている方からお話を伺い、「おらほの正月」として当地の昔からの年末年始の過ごし方について教えてていただきました。

「おらほの正月」
12月     
▶「煤掃き」:長い竹の先に竹笹を結わえて蜘蛛の巣や煤を掃きおろす。
▶「障子張り」:紙代も容易でないので、破れたところだけ張る。
12月24~25日 
▶「納豆ねせ」:3日納豆は食うもんではないという謂われがある。
12月下旬
▶注連縄用の藁を湿らしておく。
▶「門松受け」:高い山から受けてくると運が下がるといわれて、低い山から受けてくると運が上がるといわれた。所有する山がない人はどこの山からでもいただいて良い。しかし、脇枝に限る。芯松は切らない。「農のはじめ」の松も2本とる。
12月30日
▶「餅搗き」:29日は9餅(苦餅)となるといわれ、搗かない。鏡餅と、木の枠に固める型餅をつくる。
▶「注連縄」(②):左縒り。昆布(よろこんぶ)のほか、干柿(かき集める)、木炭(すみからすみまで)をつける。
12月31日
▶歳神さまの棚をつくる:注連縄を飾り、尾頭付きの魚を供え、昆布を下げる。大歳神の御札を張り、御神酒をあげる。
▶「箍注連」(⑦):土蔵、玄関、納屋、作業場、味噌蔵、農機具、産土様、畜舎、井戸、風呂場、雪隠、仏壇、台所に飾る。「輪どうし」ともいう。
▶「歳とりのごちそう」:年男は風呂に入ってからする。産土さまにすべてのごちそうを供えてくる。家主が御神酒を注ぎ、家族揃って御神酒をいただき、挨拶をする。
▶土蔵の中の掛け軸を部屋や床の間に飾る。
▶七・五・三の縄張り(⑥)
1月1日
▶「元日」:年男は早起きし(1時~3時)、最初に若水を汲んできて、歳神さまに供える。神棚に灯明をつけて鏡餅を飾る。中折紙は半分を前に垂らす。元日参りは隠津島神社(木幡の弁天さま)に初詣。
▶「餅供え」:「箍注連」を飾ったところすべてに餅を供える。そのほか、「おふくさま」にもあげる。
「おふくさま」とはねずみのこと。
▶「やしきの年始廻り」:年男が各家を挨拶して廻る。各家は、年男を玄関でお出迎えする。一日中来客がある。
1月2日
▶「親戚の年始廻り」:型餅を10枚を藁でまるき(束ね)、手ぬぐい1本にのしをかける。付木3束。吸い物と餅をごちそうする。
▶「初夢」:折り船を折って、回文を書き、枕の下にして寝ると、良い夢を見られるという。「ながきよの とおのねふりのみなめざめ なみのりふねのおとのよきかな」。
1月3日
▶「3日とろろ」:すり鉢で薄くゆるめてとろろ汁をつくり、ご飯にかけていただく。3日とろろを食わないと芋子(むかご)になる。風邪をひかないように。
1月4~5日
▶「年始廻り」
▶「花嫁御年始」:前年に結婚した人は、姑が2人を連れて兄弟、叔父伯母、すべての家をまわる。
1月6日
▶「6日の歳とり」:大歳とりと同じごちそうを供える。
1月7日
▶「七草粥」:6日の夜に供えたごはんや煮〆などを細かく切って、芹などを入れて炊く。
1月11日
▶「農のはじめ」(④):朝早く白い木綿の袋に切り餅、米、田づくりを入れて、拝松と鍬と鉈を持っていく。田んぼと畑の土に松をさして拝む。鍬で「一鍬でざっくりこ、二鍬でざっくりこ、三鍬で金銀財宝掘りあてた」と唱える。帰りに木の小枝を鉈で切り、持ち帰り、その枝で朝ごはんを炊く。
1月14日
▶「団子さし」:屑米を水で洗い、干し、臼に入れて杵で叩き、ふるいでふるった粉を丸めて、団子をつくる。「だんごの木」をとってきて、すす玉の穴にさして立て、丸めて茹でた団子をさす。にぎった長い団子(16団子)や祝いせんべい(鯛、大黒、大判など)を飾りつける。
▶「木まじない」:子どもたちが藁で作った「すがい」(すがい縄)を柿の木に結わえつけ、鉈で木に傷をつけ、「なるか、ならぬか」と2~3回叩く。片方の子どもが「なりもうす、なりもうす」という。すると、傷口に団子の煮汁をかけてまじないをする。
▶枯れた蓬の枝をだんごの煮汁に浸して、粉をいっぱい真っ白くつけて稲穂をつくり、それを大黒柱に結わえ付けた。
▶「棚さがし」「14日の歳とり」:歳とりと同じ供えものをした。
1月15日
▶「歳神さまおくり」:年男は若水を汲んできて、その水を入れて赤飯を炊き、神棚に供え、家族みんなで食べ、注連縄や箍注連、すべてのものを集めて縄でまるき(束ね)、産土かみさまの後ろの大木に結わえつけ、歳神送りとする(⑧)。鏡餅や歳神さまの棚もおろし、来年のために土蔵にしまっておく。
1月16日
▶「女の小正月」:女は仕事を一切せず、仕事を休む。男の人が家事をする。正月と盆の16日は地獄のフタも休むという言い伝えが伝えられていた。
1月20日
▶「歯固め」:15日に棚からおろした鏡餅は乾いて割れているので、小さくぶっかき、燠(おき)の中や火床炭(ほどあく)の中でこんがり焼き、爺さまが「虫歯になんねえように食えよ」といって、みんなでかりこり、かりこりと食った。残った餅は水餅(水に浸して長期間保存する)にしておいた。
2月
▶「節分」:「節分」も「歳とり」といって、大晦日と同じごちそうを供える。忌引きで正月ができなかった人はこの時に「大歳とり」をする。「鬼の頭」といって、イワシの頭につばを付けて焼いたものを豆がらの枝にさして、戸窓にさした。

翌日の1月31日、当地の正月飾り作りの名人のお宅で、当地のさまざまな正月飾りを見せていただきながら、お話を伺いました。
当地の昔からの家では、歳神様の棚を吊し、しめ縄を飾り、昆布を下げ、大歳神のお札を貼り、御神酒と尾頭付きの魚を供えるそうです(①)。
しめ縄には、3連の串柿を昆布で挟み紙で包んだものと炭、みかんをつけます。「すみ(炭)からすみまでかき(柿)集める」とのこと。
また、歳神様の棚の両脇に供える三階松(3層に枝分かれした松)には、麻ひもと昆布をつけます(①)。

注連縄に用いるわらは、かつて蚕のあみを作るのに用いていた背の高いわらを別に作り、8月のお盆を過ぎた頃、青いうちに刈り、陰干ししておくとのこと'⑦)。
形の良い注連縄を作るためには、苦労も多いようです。太い注連縄(⑤)を綯う際には奥様の協力も欠かせないのだとか。

福島県も広く、浜通り、中通り、会津で異なる文化、風習があり、会津に関しては山形県とのつながりも深いことから日本海沿岸地域と似通った要素が見つかることが予想されました。
ところが、今回の調査を通して、中通りに位置する二本松市の正月飾りや正月の風習にも昆布が根づいていることがわかりました。
このことから、今後は、内陸部や太平洋沿岸地域にも範囲を拡大し、昆布を用いたお正月飾りについて調べていく必要があることを改めて感じているところです。

他方、今回宿泊した農家民宿「遊雲の里」は、「東和グリーンツーリズム推進協議会」「ゆうきの里東和ふるさとづくり協議会」などの活動に参画しており、宿のご主人も奥様もその中心的存在として活躍していることもあって、ふるさとづくりやグリーンツーリズムについてもさまざまなお話を伺ったほか、東日本大震災および福島第一原発の事故の際の避難者の受け入れ地域であった時の話や、未だにタケノコやキノコ、タラの芽などの山菜の採集が許可されていないなどその後の影響が続いており、東京や福島の大学の先生方と再生に向けた取り組みを行っているなどの話も伺うことできました。

農家民宿「遊雲の里」
https://yuunosato.jp/

齋藤 貴之 / February 25, 2024
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進捗報告 vol.04

ご無沙汰いたしております。齋藤です。

2023年度夏に実施いたしました調査等について報告いたします。
以前実施した秋田県、山形県ならびに青森県津軽地方での調査を受け、主として、お盆における昆布の利用の実態を把握するため、岩手県および青森県三八上北・下北地方を対象に、各市町村の教育委員会や郷土資料館等の協力を得ながら実施いたしました。
まだまだ途中ではありますが、今回は、岩手県のおける調査結果を中心に報告いたします。

【鏡餅・正月のお供えにおける昆布の利用】
利用する・した    :0市町村
利用しない・事例がない:23市町
調査中        :10市町村(陸前高田市、葛巻町、岩手町、矢巾町、住田町、岩泉町、普代村、軽米町、野田村、九戸村)

鏡餅(カガミモチ、オソナエ)に昆布を利用する事例は1件も確認することができず、市町村史等においてもそのような記載はほとんどないことがわかりました。唯一、確認できたのは、『日本の民俗 岩手』のなかにあった「陸前高田市に編入された旧矢作村大島部では正月に魚形の藁苞に入れた餅に松とこんぶを添えてお水神さまに供える」という記載のみです。このため、過去においても鏡餅に昆布を利用するといった風習はなかったものと考えられます。関連するものとして、山田町では、正月に、神棚に、松の葉や田作りなどと一緒にミツイシコンブ(黒昆布)を供える、とのことでした。
また、青森県三八上北・下北地方においても、鏡餅(カガミモチ、オソナエ)に昆布を利用する事例は1件も確認することができず、関連するものとして、旧士族が多く住んでいた内丸で昆布を三方に載せ、床の間に飾っていた事例(八戸市)と、鏡餅を包む藁苞に昆布を挟み込んでいた事例(むつ市)があるのみでした。
「太平洋沿岸地域では、鏡餅に昆布を利用する事例が少ない」ということを裏付ける結果になりましたが、三陸海岸沿岸地域や津軽海峡付近は天然昆布の生息地であり、昆布の生産地であるにもかかわらず、鏡餅に昆布を利用する事例がほとんど見られないということは、北海道と同様であり、それが何を意味しているのかについて詳しく調べる必要があると感じています。京都や大阪で生まれた昆布文化が昆布ロードを通じて経由地にもたらされ、その周辺地域で発展した、というのもひとつの有力な説なのかもしれません。

【正月飾り等における昆布の利用】
としな(年縄)や、しめ縄・しめ飾りに昆布を利用する事例が、12市町(宮古市、花巻市、北上市、遠野市、一関市、八幡平市、押収し、紫波町、金ケ崎町、山田町、洋野町、一戸町)にありました。
としな(年縄)は、しめ縄・しめ飾りと混同されていることも多いですが、わらでなった30cmくらいの太めの縄を縦に吊すもので(縦年縄ともいう)、その上部に昆布や松葉、にぼしなどが挟み込みます。例えば、紫波町では、稲藁に、上から松、昆布、にぼしの順で挿すそうです。
しめ縄・しめ飾りは玄関や神棚に張り、わらでなった縄に直接挟み込むところと、縄から伸びた藁の先に結びつけ吊すところ(洋野町)があったほか、門松と門松の間にしめ縄を張り、昆布やにぼしを挟み込むまたは吊すところ(宮古市、花巻市、北上市、一戸町)があり、遠野市では切昆布と田作りを和紙にくるんで、縄の真ん中に吊していたそうです。また、一関市では、門松の「はばき」(根元に添える割り木)のところに、紙を三角に折ってその上にたづくり、短冊に切った大根、昆布を載せて、置いたそうで(『岩手の旧正月調査報告書』p.69)、奥州市では、門松に供え物として、御神酒、オボコモチ二つ、昆布、煮干、するめ、栗、柿等を供えていたそうです。

参考:一関市の鳥居型門松とはばき
https://www.iwanichi.co.jp/2018/12/16/266849/

旧藤沢町(現一関市)では、大晦日に、神前に新箕を置き、12個の餅(閏年は13個)に12膳の箸を立て、串柿、栗、昆布、海苔、飴、その他菓子等をあげて祀る、「おみたまさま」という風習があったそうです(『岩手の旧正月調査報告書』p.107)。

また、小正月の行事に昆布を用いる事例が7市町(久慈市、二戸市、雫石町、平泉町、山田町、洋野町、一戸町)にありました。
雫石町には、かつて、「のさ打ち」という風習があり、新しい年を迎えてから初めて山仕事をする日に、年縄に12個の結び目をつけて、これに田づくり、昆布、餅等をつけたものを持って出かけ、家の裏の「あきの方角」の木の枝を折り、そこにそれをかける、というものです。二戸市の旧暦1月8日の「山入り」でも、藁で作った年縄和(大豆を模し、松葉、昆布、炭を刺し、トシナ紙をつける)を持って外に出て、家の近くの芝垣か桑の木に結いつけていたそうで(『岩手の旧正月調査報告書』p.159)、旧東和町(現花巻市)でも旧暦の1月8日に「農作(のさ)打ち」を行っていて、その際に昆布や田つくりや豆からのはしを焼いて黒くこがしたものを挟んで年縄を作っていたそうです(『岩手の旧正月調査報告書』p.45)。
また、かつて、県内の多くの地域で、「やっかがし」や「戸窓フタギ」と呼ばれる風習があり、これは、15日の夕方に、クルミの木などを削って串を作り、餅、豆腐、にぼしなどを刺したものを松の根を燃やした火にあてて黒くいぶし、家の入り口に刺したり、挟み込んだりなどして厄除けとするもので、この串に餅や豆腐などとともに昆布を用いる事例が5市町(木地師、二戸市、山田町、洋野町、一戸町)で見つかりました。

参考:やっかがし(埼玉県嵐山町)
http://www.ranhaku.com/web07/c2/1_04yakkagashi2.html

このほか、平泉町には、「15日の飾りもの」として、15日の朝、山からとってきたカツノキ(接骨木)を一尺くらいの長さに切り、紙を四手状に切り、吊したりしてハナをつくり、栗の木の枝の芯につけます。この飾りものを16日に外庭に立て、この木から軒下へしめ縄をはり、この縄に馬沓、白くおしろいを塗った瓢箪、昆布などをかけ並べるそうです。
これらは、鏡餅・お供えやしめ縄とは異なるものの、「昆布を用いた正月飾り」であるため、同様の風習が見られる青森県を含め、その広がりなどについて引き続き調査を続けていく必要がありそうです。

このように、岩手県では、鏡餅に昆布を用いる事例は見つからなかったものの、しめ縄等の正月飾りに用いる事例は数多く見つかり、特に小正月行事において昆布を用いる風習を数多く見いだすことができました。「のさ打ち」は秋田県での調査でもいくつか事例が得られており、「ミダマ飯」も山形県での調査でもいくつかの事例が得られており、また宮城県にも同様の風習があるとのことなので、それらについては何らかの関係性があることを念頭に、分布範囲などについてもう少し詳しく調べてみたいと思っています。「やっかがし」は岩手県や青森県以外では、節分の風習として、特に東日本各地にあるようですが、昆布を用いる事例は限られているようですので、そのあたりに着目しながら情報を収集していきたいと考えています。岩手県は広く、地域ごとに特色があることが分かってきましたので、それを上手くまとめることができれば、歴史的な関係性やそれぞれの起源などに辿りつくための手がかりが得られるかもしれません。そのような可能性を感じた今回の調査でした。

【お盆における昆布の利用】
利用する・した    :15市町(盛岡市、宮古市、花巻市、北上市、久慈市、遠野市、一関市、釜石市、二戸市、奥州市、紫波町、平泉町、山田町、洋野町、一戸町)
利用しない・事例がない:8市町(大船渡市、八幡平市、滝沢市、雫石町、西和賀町、金ケ崎町、大槌町、田野畑町)
調査中        :10市町村(陸前高田市、葛巻町、岩手町、矢巾町、住田町、岩泉町、普代村、軽米町、野田村、九戸村)

岩手県内では、お盆に昆布を利用する事例を数多く確認することができました。
盆棚に昆布を利用する事例は8件ありましたが、秋田県や山形県のような飾りつけではなく、栗の木の枝や花などとともに盆棚の柱や仏壇に吊して飾るというものであり(宮古市、一関市、遠野市、釜石市、平泉町)、棚に供えるというところ(久慈市、一関市、一戸町)もありました。緑色のいがぐりのついた栗の木の枝を用いる理由も大変興味深いのですが、これについても理由はよくわかっていないとのことでした。また、紫波町では盆棚の柱を安定させるために柱の一番上のところを昆布で結わえるという利用でした。
お盆における昆布の利用で最も多かったのは、送り盆での利用であり、かつては、お供え物をコモで包み、昆布で結わえて川などに流していた、川などに置いてきていたところが9件(宮古市、久慈市、一関市、釜石市、二戸市、紫波町、山田町、洋野町、一戸町)あり、遠野市では昆布も他のお供え物と一緒にコモの中に入れて川などに流していたそうです。

参考:一関市の盆棚
https://www.center-i.org/%E6%83%85%E5%A0%B1%E7%B4%99idea/%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%81%AE%E8%87%AA%E7%94%B1%E7%A0%94%E7%A9%B6/%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%81%AE%E8%87%AA%E7%94%B1%E7%A0%94%E7%A9%B6-%E7%9B%86%E6%A3%9A/

そして、最も興味深いのが、花巻市周辺の事例で、墓石の上に長い昆布を載せ、その上から水をかけ、拝むというもので、現在は墓石が汚れるなどの理由からほとんど見られるなくなったものの、花巻市のほか、盛岡市の一部や北上市、奥州市の江刺東部などで行われていたそうです。その理由は定かではありませんが、送り盆での昆布の利用と同様に、また以下の動画にもあるように、お供えものをコモで包み、ご先祖さまの背負い縄として昆布で結わえるための一環としてそのような風習が生まれた可能性も高いのではないか、と考えています。

参考:
https://togetter.com/li/1249594
https://www.youtube.com/watch?v=r6P_GShDpWI

また、紫波町では、お墓の間に棚を作りお供え物をあげ、昆布を棚から地面に垂らしてお供えするそうです。お墓の前に棚を作るのは秋田県の藤里町でも見られました。

こうした盆棚や送り盆に昆布を利用する事例は、青森県三八上北・下北地方にも見られ、また、盆棚に昆布を利用する事例は仙台藩であった南部地域にも見られたことから、その分布範囲などを含めて、青森県や宮城県などの太平洋岸地域との関連性も検討しつつ、さらに調査を進めて行きたいと考えています。

なお、青森県についても、令和4年度および令和5年度の調査を通してだいぶ情報が集まってきましたので、後日改めて報告いたします。

以上、今回も前回に引き続き、まだまだ中途半端な状態で、画像もなく、わかりづらい報告となってしまいましたが、現時点での進捗状況を報告させていただきました。

どうぞよろしくお願いいたします。

齋藤 貴之 / November 05, 2023
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Academist Journalにて研究報告レポートを公開いたしました!

ご無沙汰いたしております。齋藤です。

このたび、academist Journalにて研究報告レポートを公開いたしました!
本プロジェクトにお寄せいただいた支援金を活用し、令和4年度に実施した山形県を対象とした調査について報告しておりますので、お時間がありましたら、ご覧いただければ幸いです。
リターンの予定日が大幅に遅れてしまい、誠に申し訳ありません。

academist Journal:
https://academist-cf.com/journal/?p=16797

齋藤 貴之 / July 01, 2023
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進捗報告 vol.03

ご無沙汰いたしております。齋藤です。

2022年度冬に実施いたしました調査等について報告いたします。
以前実施した福井県および京都府北部での調査にもとづき、巻いた昆布を用いる正月飾りの広がりを検証するため、京都府北部、兵庫県および鳥取県東部を対象に、各市町村の教育委員会や郷土資料館等の協力を得ながら実施いたしました。
まだまだ途中ではありますが、今回は、兵庫県のおける調査結果を中心に報告いたします。

【鏡餅・正月のお供えにおける昆布の利用】
利用する・した    :24市町(明石市、西宮市、豊岡市、加古川市、赤穂市、宝塚市、高砂市、
                小野市、見たし、加西市、養父市、丹波市、南あわじ市、朝来市、
                淡路市、宍粟市、加東市、たつの市、猪名川町、多可町、市川町、
                福崎町、神河町、上郡町)
利用しない・事例がない:11市町
調査中        :6市町(相生市、三木市、丹波篠山市、太子町、佐用町、新温泉町)

鏡餅(カガミモチ、オカガミ)に昆布を利用するところは17市町で、2つ重ねの餅の上から白い昆布(白板昆布、祝い昆布、養老昆布)を前に垂らすという飾り方が多数を占めていました(11市町)が、黒い昆布を前に垂らすところ(多可町)や餅の下に敷くところ(朝来市、たつの市)、餅の間から黒い昆布を前に垂らすところ(福崎町)もありました。
このほか、神河町は扇状の昆布を鏡餅の上に載せ、高砂市は「お包みもの」(半紙を2つ折りにして、その上に1cm幅に切った祝い昆布、榧の実、勝栗、干し柿を置き、縦に3つ折にして、上下を折り、紅白の水引を掛け、最期に煮干しを半紙と水引の間に通したもの)を鏡餅の上に載せるとのこと。また、赤穂市には伊勢エビを飾り付ける、南あわじ市には餅の上に載せた白い昆布の上にエビを載せるといった事例があり、飾るものにも多様性が見られる結果となりました。

ただ、三田市で情報提供してくださった方から、「鏡餅に、白い昆布を前に垂らすように飾るのは、ここ20数年の話であり、門松やしめ飾り、正月棚へ昆布を付けることはまれであった。最近の販売品の影響かもしれない」とのお話も伺ったことから、近年のメディアやインターネットによる画一化の影響も十分に考慮しなければならないということを痛感したほか、他市町の担当の方からは「令和の世の中にこのような調査をしても・・・」といったご指摘も受け、この時代に「伝統的なもの」を調査することの難しさを改めて感じました。

【正月飾り等における昆布の利用】
サンポウカザリ(三方飾り、三宝飾り)やホウライサン(蓬莱山、宝来さん)、ほうらい盆などと呼ばれる正月飾りがあり、14市町で事例が見つかりました。
これらは、三方に生米を盛り、その上に昆布、榧の実、勝栗、干し柿などを載せ、床の間に供えるというもので、その中央に昆布を巻いたみかんや橙を飾るところ(豊岡市、加西市、養父市、丹波市、神河町)、昆布を巻いた竹筒を飾るところ(高砂市)、昆布を巻いた木炭を飾るところ(丹波市)、巻いた昆布の上に橙を載せるところ(福崎町の大庄屋)、白い紙を筒状にしたものの上に橙を載せるところ(明石市)などがあり、兵庫県北東部を中心に巻いた昆布を正月飾りの広がりを確認することができました。
このほか、生米の下に昆布を敷くところ(明石市、西宮市)や生米の上に短く切った昆布を飾るところ(加古川市、三田市、市川町)もありました。

また、年桶(または斗桶)を床の間や神棚に供える風習が7市町(明石市、加古川市、養父市、丹波市、淡路市、宍粟市、市川町)にありました。
これは、地域によって多少異なりますが、一斗を量る桶(高さ三十センチくらい)の縁を縄でくくり、中に、若松、榊、ユズリ葉、ウラジロ、御幣、鏡餅、御神酒、蜜柑、栗、吊るし柿、昆布、キワイ豆(黒豆を砂糖で固めたもの)、升に入れた米、餅などを入れて(「祝い込む」とも言う)、大晦日に床の間や神棚の前、歳徳棚などに供えます。鏡餅・オカガミやしめ縄飾りとは異なるものの、「昆布を用いた正月飾り」であるため、同様の風習が見られる鳥取県を含め、その広がりなどについて引き続き調査を続けていく必要があると感じているほか、床の間に飾る場合、鏡餅・オカガミや三方・蓬莱飾りと共存するか否かについても検討する必要がありそうです、

このほか、
▶兵庫県尼崎市の大覚寺では、節分当日のみ、境内にて「昆布だるま」をいただけるとのこと。
大阪張り子の「金天姫だるま」に白板昆布の着物を着せ、紅白の水引の帯を締めた「起き上がりこぼし」。かつては北前船で運ばれた昆布を利用していたそうです。
▶兵庫県宍粟市の御形神社では、3月上旬に行われる開当祭にて、三殿(正殿、左殿、右殿)内部の長押に鯛とともに昆布を掛けるとのこと。
開当祭での儀式では、宮司が五穀豊穣や氏子繁栄を祈る文言を唱えながら、その長押に掛けた昆布を三玉串でたたくそうです。
▶兵庫県三田市の下相野護国院では、1月6日に、国宝堂にまつられている持国天像と多聞天像の前で、国宝祭り、通称ドブラ講が行われるとのこと。
このドブラ講では、その仏前の供え物として、3本一組で、一番上にハゼの木で作った松明、次に板昆布、干し柿、餅の順に竹串に刺したものを作り、専用の供物台に差し込み、左右2組が供えるそうです。
▶神戸市灘区摩耶山では古くから旧暦二月の初午の日に近郷の村人が飼い馬を連れて天上寺に参詣し、馬の息災と一家の無事繁栄を祈る風習があったとのこと。
このとき、厄払いをした後に、馬屋に祀る厄除息災の護符と摩耶昆布を授かるのですが、かつては北前船で運ばれた昆布が利用されていたそうです。今年は、3/25(土)に、「摩耶詣祭 摩耶山春山開き」として開催されました。

このように、兵庫県は、北回り航路の経由地としての北部・日本海沿岸地域と終点近くの南部・瀬戸内地域によって構成されているため、北部には三方・蓬莱飾りや年桶など昆布を用いた特徴的な正月飾りがあり、他方南部には北前船によって運ばれた北海道の昆布を用いた祭祀や風習がある、といった大まかな傾向が見られました。兵庫県におけるこれらの分布をより詳細に調査し、分析することによって、日本列島における昆布を用いた正月飾りの分布等を理解する何らかの手がかりが得られるのかもしれません。そのような可能性を感じた今回の調査でした。

他方、鳥取県に関しては、昆布を用いることは少ないものの、東部には三方・蓬莱飾りがある一方で、西部では歳徳棚というものがあり、その棚の上に渡した棒に昆布を吊す事例があるということなので、巻いた昆布を用いる正月飾りの広がりとは異なる観点から鳥取県西部や島根県について調べる必要があるかもしれません。

【盆飾りにおける昆布の利用】
利用する :0市町
利用しない:35市町村
調査中  :6市町(相生市、三木市、丹波篠山市、太子町、佐用町、新温泉町)

兵庫県内では、お盆の飾りに昆布を利用する事例は1件も見つかりませんでした。盆飾りにおける昆布の利用についての調査に関しては、東北や東日本を中心にどこまで広がるかを見ていく必要があるようです。今年度夏には、岩手県や青森県の太平洋岸地域において調査を行う予定です。

以上、今回も前回に引き続き、まだまだ中途半端な状態で、画像もなく、わかりづらい報告となってしまいましたが、現時点での進捗状況を報告させていただきました。

どうぞよろしくお願いいたします。

齋藤 貴之 / May 02, 2023
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進捗報告 vol.02

山形県大石田町次年子地区において「おでかけ昆布」という年始の挨拶の際に行われる作法について現地調査を行いました。

11月17日に、ふるさと自然館次年子にて、次年子地区の方々に「おでかけ昆布」を再現していただきました。
昆布を折りたたみ、松葉を添えたものをお盆の上に載せ、床の間のお供えの左側に供えておきます。
年始に来客があると、年始の挨拶をした後に、主人がお盆に載せた昆布をお客の前に差し出します。
お客は手を揃えてそれを受け取り、軽く頭を下げてから主人に戻す。
主人もそれを受け取り、元の場所に戻す。
この一連の所作を「おでかけ昆布」と呼び、年始の挨拶にお客が来るたびに繰り返すのだそうです。

安政2年、この次年子地区が蝦夷地松前藩分領であった時代から行われている作法で、毎年正月に行われてきたが、現在は平林家で存続しているのみとなっています。
正月礼に来た客人に旅の安全を願い盆を頭上高く掲げ、それを受けた客人は両手のひらを重ねて上向きにして頭を下げてそれを頂く、無事を念じての作法であったのではないかと考えられているそうです。

山形県の内陸部にある大石田町にこのような風習が生まれたのには、
1855年の箱館開港にともなって、「出羽国村山郡東根」松前藩の領地となったことが関係しているのかもしれません。
今後、この地区における松前藩の統治の歴史や文化などについて調べてみたいと考えています。

このほか、正月における昆布の食以外の利用として、以下のようなお話を聞くことができました。
▶ お供え餅は、小さな持ちを3段または2段に重ね、小さくむしった昆布をみかんの下に飾り付けていた。
▶ 元旦の「若木迎え」では、山に若木をとりに行き、そのとった木のところに昆布などの入った袋を下げて戻ってきた(「ぬさかけ」と呼ばれるものか)。
▶ 後の正月(小正月)の時には、マユダマや団子木を作り、アワ棒(あわもちを棒状にしたもの)などさまざまな餅を供えた。団子木(ミズキの枝に団子を刺したもの)を大黒柱に結わえるワラに昆布を挿すこともあった。巾着餅を作り、昆布で結んだ。

齋藤 貴之 / March 02, 2023
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本プロジェクトを日本経済新聞(2023.01.03)で取りあげていただきました!

本年もどうぞよろしくお願いします。

このたび、本プロジェクトを日本経済新聞で取りあげていただきました!
日本経済新聞(2023.01.03)に文化面で、本プロジェクトの取り組みやこれまでの成果の一部などを記事にしていただきましたので、お時間がありましたら、ご覧いただければ幸いです。
日本経済新聞の電子版にも掲載されています。

日経電子版
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO67219840Y2A221C2BC8000/

齋藤 貴之 / January 03, 2023
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昆布を用いた正月飾り分布図(PDF)、お礼メッセージ、寄附金領収書 and others

19 supporters back
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研究報告レポートにお名前掲載、寄附金領収書 and others

5 supporters back
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10,000 JPY

昆布ガイドブック(PDF)、寄附金領収書 and others

17 supporters back
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論文謝辞にお名前掲載、寄附金領収書 and others

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