サポーターの皆様
ご無沙汰しております。最近なかなか近況報告ができず、申し訳ございません。新学期となり、毎日がジェットコースターのようです。
さて、夏休み期間中に以前から計画していました、ヒヒ神様の冠のマイクロサンプリングによる成分分析を行いました。ヒヒ神様の冠と顔と手に持っている「ウジャト眼」護符は、経年によりかなり腐食が進んでいまして、この金属の合金状態が分かりませんでした。合金の種類により、大まかな時代が推定できる可能性があったので、表面の分析だけでは少し残念・・・と思いまして、本学の工学部材料科学科葛巻研究室にお願いしてマイクロサンプリングという方法で試料を採取、分析をしてもらいました。
関連記事はこちら↓
https://www.u-tokai.ac.jp/ud-cultural-and-social-studies/news/6527/
マイクロサンプリングとは、表面の腐食層から深部に向かって数十ミクロンずつ掘り、そこから試料を採取する方法です。この方法は厳密に言えば破壊分析となりますが、削る箇所があまりにも小さいため、どこを削ったのか肉眼では全く見えません。これには驚きました。
結果の詳細は報告書を楽しみにしていただきたいのですが、
どうやら冠の真ん中の丸い部分(日輪の部分)と、外側の月(角?)の部分の素材が違うのではないか、という結果が出ました。
日輪と月の部分をロウ付けした痕跡は見当たりませんが、分析したところ組成成分が違うようです。
マイクロサンプリングで、今回のクラウドファンディングで行う分析はすべて終了した!と思っていたのですが、ヒヒ神様、さすが神像だけあって我々にはおいそれと正体を明かしてくれません。
そこで、再度冠部分のX線CT撮影を行うことになりました。
これで密度の違いが分かれば、素材が違うと言えます。
ヒヒ神様を追い求める道程はまだ続きそうです。そして、報告書の完成は少しずれこむことになりますが、お待ちいただけますよう、お願い申し上げます。
チャレンジャー 山花
サポーターの皆様
お盆の真っただ中、今年は3年ぶりに田舎に帰省されている方も多いのではないでしょうか。
感染対策を万全にして休日をお楽しみください。
チャレンジャー山花は昨日も大学に出勤し、春学期の間に溜まったあれやこれを片付けておりましたら、台風の影響で大雨が降り出し、帰るに帰れない状況に陥りました。ただ、今は便利な雨雲レーダーがあるおかげで、雨が小降りになった隙に駅までたどり着くことができました。
前置きはこれくらいにして、
お盆前の8月8日に、あのプラモ名人の林柳太郎さんが研究室にお出でになりました。実は3月にヒヒ神様の実寸大3Dプリントアウトを6分割にしたものをお渡ししていたのですが、寒い時期にプリントアウトしたことや大きい(全高 26㎝)こともあり、各パーツが歪んで組み上げられない状態になっておりました(気が付かずに、すみません)。
入れ歯で言うと、歯茎と入れ歯が合わずガタガタになった状態だったのです。
そのガタガタを見た林さんは、プリントアウト部品から再度型起こしして、そこにレジンを流してゆがみのないパーツを作り、さらに台座や胴体、持ち物の護符などを個別に作り直して、再度組み上げる!!という途方もない作業をしてくださったのです。集中力はいう間でもなく、高い技術力を要する作業をお一人でこなしていただきました。
チャレンジャー山花は本当に素晴らしい方と出会ったものだと、神様(ヒヒ神様)に感謝することしきりです。
で、8月8日は大渋滞の中、3時間もかけてお出でになり、研究室に入るなり座る暇もなく実寸大の模型を出して、塗装前の段階での疑問についてディスカッションをしました。林さん曰く、「一から作っていると、オリジナルを作った時の作成順や塗装順など細かな点が分かって、面白いですね。」と。チャレンジャー山花には模型作りの才能は全くないので偉そうなことは言えませんが、我々オールド考古学者がデジタルトレース世代の若者に「遺物は目で観察して、自分の手で実測図面を描いて初めて理解できる。」と言っている事と同じでした。
文化財の保存修復や調査で最も重要なことは、遺物と向き合い、それこそなめるように上から下まで、そして裏側まで観察し、遺物と「語り合う」ことです。その極意を林さんから再度教えていただいたように思いました。
林さんの模型は現在9割方組みあがっていて、あともう少し調整を入れたのちに塗装に移るそうです。オリジナルのヒヒ様同様、尻尾と男性器の部分はちゃんと布で(しかもそっくり!)作ってくださっています。手の護符や頭の冠、そして布製のパーツは最後に本体に付けることになります。
このページには写真が1枚しかアップロードできないので、ヒヒ様(オリジナルと復元品)を並べたところをお見せします。これからどんな風になっていくのか、とても楽しみです。
今回のクラファンが本当の意味で達成するまで、あと少しです。
みなさま、どうぞお楽しみに!
8月6日にコレクション見学会をサポーターへのリターンとして行いました。
オンラインでの見学会で、カメラを遺物に向けながら、遺物の説明や古代エジプトの歴史のお話などもさせていただきました。
2時間超の見学会でしたが、楽しいおしゃべりをしながらでしたので、ウシャブティ、カノポス壺(フタ)、護符、ヒヒ様くらいしか紹介できず、残りの5000点以上は今後のお楽しみとなりました。
ただ、画面越しだとなかなか伝わらないこともあります。やはり遺物は手に取って実際の感触や重量などを体感していただきたい。ですから、また機会を設けますね。今度はオンラインではなく、ぜひ直に本物に触れていただきたいと思います。
お時間を割いてくださったサポーターの方に感謝をいたします。
ありがとうございました。
7月30日(土)にはヒヒ様サポーターを招いてアカデミック・カフェが開催されました。
クラファンを企画した時点では真面目に学問を語るアカデミック・カフェを想定していたのですが、一転、楽しい同窓会となりました。皆、2017年度の卒業生です。
彼らは在学中にEgyptian Projectの活動を行っていたメンバーたちで、今でも強い友情で結ばれています。そしてクラウドファンディングのサポーターにもなってくれました。本当にありがとうございました。
この日は研究室に集まったので、序盤から仕事の話や身の上話、そして思い出話に花が咲いて、気が付いたら8時間も経過していました。閉校間際まで楽しく話をしていたので、よくよく考えたらば肝心の「ヒヒ様」をお見せしていなかった・・・。皆さん、ごめんなさい。🙇
次回もまた集まりましょう。そして、今度は今回参加できなかったメンバーや先輩たちと共に旧交を温めましょう。
サポーターのみなさま
6月18・19日と熊本にて文化財保存修復学会の大会があり、そこでクラファンに関するポスター発表を行いました。今回、ヒヒ神像のクラファンはかなり苦労しまして、途中でもうダメなのではないかと意気消沈していたのですが、皆様の強力なサポートのおかげで、何とか目標まで到達することができました。
本当に心よりお礼を申し上げます。
今回はクラファンの計画性の重要さと、クラファンのメリットとデメリットをポスター発表させていただきました。
実は発表の日に、宿にうっかりポスターを置き忘れ、いろいろ事情があって大会の会場に遅刻して登場するという失敗をしてしまいましたが、会場では教え子や同窓生、そして研究仲間とも話ができて、大変有意義な2日間でした。
今回の学会はコロナ後初めての出張となりました。やはり対面で話をすることは重要ですね。オンラインでは伝わってこない情報をたくさんキャッチできます。人間のコミュニケーションは視覚と聴覚だけではないのだな、と改めて感じた次第です。
それでは皆様、暑い毎日ですがどうぞお気をつけてお過ごしください。
サポーターのみなさま
皆様にご支援を受けた「古代エジプト人の祈りを、神像の科学的調査から読み解く!」のクラウドファンディング プロジェクトの概要を6月18日・19日に熊本にて開催される第44回文化財修復保存学会にて発表いたします。ポスターのタイトルは「文化財の調査修復のためのクラウドファンディングの適用について―東海大学所蔵古代エジプト及び中近東コレクション内ヒヒ神像の保存修復プロジェクトの事例から―」です。
文化財を維持するためには莫大な費用が掛かります。私たちと同じように、文化財も「老いる」からです。今回のプロジェクトの対象となった古代エジプトの神像の場合は、我々よりも数千年長生きをしているため、劣化や破損は避けては通れない問題です。修復保存の必要な文化財を所有していても、私設博物館や美術館には救いの手がなかなか届きません。本学も全く同じ状況です。
そのような問題を克服するために、クラウドファンディングという新たな方法を模索しました。今回の発表では、そのクラウドファンディングPJの準備から達成までの道のりを紹介するとともに、経験を基にしたメリットとデメリットについても述べています。
この発表のポスターは、学会終了後にはおそらく公開可能になりますので、このサイトにアップできると思います。今しばらくお待ちください。
実は、6月の学会は2年ぶりに対面で行う学会になります。緊急事態宣言もマンボウも出ていないけれど、まだ首都圏では毎日1~2千人以上の感染者が出ていますから、まだまだ用心が必要です。熊本に行く前にはちゃんと抗原検査をしてから向かいますね。
やまはな
おまけに添付した写真は、ヒヒ神像の尻尾をX線CTスキャンにより輪切りにした画像です。布(亜麻布だと思います)がクルクルと巻かれているのがよくわかります。
サポーターのみなさま
前回このページをアップしてから、なんと2か月が経過しようとしています。みなさま、きっと「何やっとるのじゃ!」と訝っていらっしゃることと思います。申し訳ございませんでした。
大学の新学期に合わせて、我々教員は山のような事務仕事+新学期の授業準備をこなさなければならないわけですが、その仕事にかかりっきりでした。何と言いますか、この時期は卓球の選手のように、超速の球を必死で打ち返し、打ち返したと思ったらまた剛速球がやってきて、「きゃ~」とか「わ~」とか声を上げる暇もない・・・みたいなことを2か月繰り返しておりました。
GWが来てくれて(Thank GOD!)やっと一息つくことができました。GW中、自分が本来やるべきことができている、といった状況です。みなさま、本当に申し訳ございませんでした。
さて、言い訳はこの辺にして、この2か月の間のヒヒ様関連の進捗をご報告いたします。
まず、報告書がだいぶ出来上がりました。これは一重に東海教育研究所のK様のご尽力のたまものです。なんだかすごく立派なものになりそうですよ。報告書を完結させるためには、あと少し文章を足さなければなりません。実はまだ未完の分析があるのです。そちらの結果が出たのち、編集作業を行ってみなさまのお手元に届けたいと思います。
先ほど申しました未完の分析とは、ヒヒ神像の冠部分をミクロのレベルで掘削してサンプルを採取する「マイクロサンプリング」です。こちらは本来ならば2月に行う予定だったのですが、新型コロナウイルス感染症の蔓延によって学生の大学への入構が禁止となりました。学生たちはそのまま卒業式近くまで入構できず、結局「マイクロサンプリング」は新4年生に託されることになったのですが、まだ機器の操作のトレーニング中で、実際にサンプルが採取できるようになるにはもう少しかかりそうです。
さて、昨年度の冬から続けている3Dプリントと塗装については、ほんの少し進みました。
昨年度の冬の段階で、すでに塗装がいかに難しいかを実感した私は、実寸大の塗装はすっかり諦めてプロ級の師匠、林さんに委ねました。実寸大の塗装については、また別の場所でお話をさせていただきたいと思いますが、私は2分の1サイズの塗装にチャレンジしています。林さんはエアブラシの使い方を教えてくださったのですが、どうも私はエアブラシとの相性がすごく悪いようで、全くうまくいきません。エアブラシから塗料がぼたぼた落ちてしまったり、出てくる塗料が薄すぎたり、均等に色付けができなかったり・・・。それで、ひとまずはすっぱりとエアブラシを諦め、手塗りをすることにしました。
手塗りは楽なんですが、やっぱり色ムラが出たり、厚みが均等でないために表面がボコボコになったりしました(泣)。
何とか仕上げたのが写真の右側です。左側は林師匠の作品。私のヒヒ神様ミニチュアは手に「ウジャト眼」ではなく、「T-Wave」を持っています。T-Waveは東海大学のロゴマークです。3Dプリントアウトをしてくださった工学部応用化学科の秋山先生が「ウジャト眼」の代わりに付けて渡してくれたのですが、これは大学のマスコットヒヒ神像になるのでは!!!と思っています。
T-Waveを持ったヒヒ様のストラップとか、作りませんか!!
この2分の1ヒヒ神像の眼はまだ入れていません。眼は一番難しいですから、失敗したら気分も一気に下がってしまってしまいます。もう少し練習をして、眼を入れたら再度写真をアップいたしますね。
新学期が軌道に乗りましたら、少しずつ進捗状況を更新していきたいと思っておりますので、皆様引き続き温かいご支援をいただけますよう、お願いいたします。
山花
サポーターの皆様
こんにちは。山花です。大学は春期休暇中ですが、お休みをエンジョイできるのは学生だけで、教職員は相変わらず忙しい日常を送っています。
そんな中、今回のクラウドファンディングの究極の目的だった「ヒヒ神像の修復」が実現しました!
修復してくださったのは、東海大学教養学部芸術学科の田口かおり先生。田口先生はプロの修復師として日本各地やイタリアで修業を積み、最近はゴッホの絵画修復などでも活躍されている方です。
文化財の修復はかなり高額になるので、今回のクラウドファンディングでは残念ながら賄えないと諦めていたのですが、田口かおり先生が無償で引き受けてくださることになりまして、本当にうれしい限りです。
使ったのは膠(にかわ)なのですが、なんとチョウザメの膠。そのようなものがあることを私は初めて知りました。
修復の素人の私だと、膠が接着部分からはみ出してしまったり、膠が余計なところに落ちてシミを作ったりしてしまいそうなのですが、さすが田口先生。プロの技を見せていただきました。
2日がかりで仕上げていただいたのですが、いまにも落ちそうだったヒヒ神像の右手はしっかりと固着されていて、台座上で割れ落ちていた顔料片なども多少の衝撃ではびくともしなくなりました。
田口先生、本当に感謝です。
これでヒヒ神像を展覧会に貸し出すことができるようになりました!!
支援者の皆様には最終報告書に詳しく書いてお渡しできるよう準備をしていますので、楽しみにお待ちくださいね。
やまはな
サポーターの皆さま
こんにちは。山花です。
昨日のバレンタインデーに合わせて、一部のサポーターの方々にヒヒ神像の360°データとX線CTスキャン動画をお送りしました。対象の皆さま、お受け取りになられましたでしょうか。
対象の方々の中に登録先のメールアドレスが携帯電話のものになっていた方々がいらっしゃいましたが、携帯電話のメールアドレスには360°データが送れないため、戻ってきてしまっています。個別に連絡を差し上げてはいますが、該当の方々でパソコンのメールアドレスをお持ちの方はご一報いただけますようお願いいたします。
やまはな
支援者の皆さま
こんにちは。本日は関東の南でも雪が降っています。私は雪のほとんどないところで生まれ育ったので、「雪かき」が苦手です。明日は雪かきをしなくてよいことを心から願っています。
さて、前回の動画で「3月までには分析も完了できれば、皆様に報告書他のリターンをお渡しできる。」と話しておりましたが、まん延防止措置が延長され、当分の間は分析もできそうにないため、結果的に皆様にはもう少しお待ちいただくことになりました。
楽しみにお待ちいただいている皆様には大変申し訳ございませんが、若い者の多い大学では特に感染が早く広まっている現状ですので、悪しからずご了承いただきたく存じます。
報告書とドキュメンタリー動画は少し遅れてしまいますが、
ヒヒ神像の360°データはそろそろ出来上がります。支援金額10000円以上のサポーターの皆様にはフォトグラメトリーの360°データ、そしてこのデータが開けるフリーソフト(Mesh Lab)のリンク、それからオマケとしてX線CTスキャンの画像を動画にしたもの(解説付き)のmp4ファイル(スマホやパソコンに入っているビューワーで開けます)をお渡しします。
また、フォトグラメトリーの360°データを自分でくるくる回すのが面倒な方向けに、こちらで勝手にくるくる回した動画を編集してmp4にしてつけておきます。
リターンの対象となっているサポーターの皆様にはご登録のメールアドレスにお送りしますので、楽しみにお待ちください。
そして、
50,000円以上のご支援をしてくださった皆様には、オンラインアカデミックカフェのご案内も差し上げたいと思います。3月中に1度、そしてすべての結果が出た後(おそらく夏ころ)に1度、で合計2度のオンラインアカデミックカフェとなります。3月中のご都合等のお伺いを別途メールアドレスにお送りいたしますので、ご検討よろしくお願いいたします。
そして、
100,000万円以上のご支援をくださった方々に対しては、コレクションの個別見学会も開催いたします。日程についてはお伺いのメールを差し上げますので、ご検討をよろしくお願いいたします。
アカデミックカフェや見学会は、本当は対面で行いたかったのですが、新型コロナウイルス感染症の勢いがなかなか収まらない中、オンライン開催を行うほかありません。こちらも悪しからずご了承ください。
それではまた連絡を差し上げますので、どうぞよろしくお願いいたします。
やまはな
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活動報告レポート(PDF)、寄附金領収書 他
37
人
が支援しています。
(数量制限なし)
活動報告レポートに謝辞掲載、寄附金領収書 他
40
人
が支援しています。
(数量制限なし)
ヒヒ神像360°データ、寄附金領収書 他
61
人
が支援しています。
(数量制限なし)
ヒヒ神像X線CTスキャンドキュメンタリー動画、寄附金領収書 他
9
人
が支援しています。
(数量制限なし)
オンラインアカデミックカフェ、寄附金領収書 他
2
人
が支援しています。
(数量制限なし)
コレクションの個別オンライン見学会、寄附金領収書 他
1
人
が支援しています。
(数量制限なし)
大学HPにお名前掲載 他
0
人
が支援しています。
(数量制限なし)