さっそくフィジーに連絡をとり、段取りなどの準備を始めています。学生さんたちの喜ぶ顔が目に浮かぶようです。金額にゆとりが出た分は、データのギャップを埋めるためのフィールドワークに使わせていただきます。今回のチャレンジで、ことばのこと、言語学のこと、歴史のことにたくさんの方に関心を持っていただけたことが、とてもうれしいです。いろいろな方のいろいろな想いがこもった研究費は大事に大事に使わせていただきます。プログレスレポート、がんばります! あたたかいご支援、本当にありがとうございました。
柴藤亮介
ことばというものは、話し手なしには存在しません。言語に何らかの変化があったということは、話者集団に何かが起こったということになります。もし、言語Aが、言語AとBの2つに分かれたとしたら、 きっとそれは、話し手の集団が何らかの理由で2つに分かれたのだということです。
身近な例では、英語があります。もともとイギリスで話されていたことばを話す人々が、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなどに移住して、それぞれの地域で別々に変化をした結果、異なる言語が発達しました。同じような変化はどんな言語にも起こります。ことばが変わっていくときに、どのような変化が起こり得るのか、起こりやすい変化と起こりにくい変化は何か、どうしたらことばの変化をたどることができるのか、そのようなことを研究する分野を歴史言語学といいます。
歴史言語学者の仕事の面白さと難しさは、 結果から過程を推測しなくてはならないことです。英語のように、分岐した年数が浅く、また人の移動が歴史時代である場合には、その経緯がわかっています。しかし、世界のほとんどのことばについては、言語が何千年もかかって分岐した結果だけが手元に残されている状況です。
現在、世界中で約7,000言語が使われていると言われています。これらのことばの現在の状態を分析しながら、過去にどのような言語が話されていて、それがどのように分岐して現在のような形になったのか、科学的に推論しなくてはなりません。そのツールのひとつが「比較方法」といわれる、いわば、「ことばの遺伝子」をたどる方法です。
現在知られていることばの遺伝子は、発音の特徴です。特定の発音の特徴をたどることで、どの言語と言語が同じ祖先から分岐したのか、どのような経緯を経て現在の状況に至ったのかを知ることができます。この方法は、私が専門とする太平洋で話されている言語の発達史を知るには有効であることが知られており、たくさんの研究成果がでています。
私もこの方法を利用して研究を行い、太平洋のいろいろな言語におけるタロイモの名前を調べ、その単語の発達史を明らかにしました。その結果、もともと野生種であったイモがいつ、どこで栽培されるようになったのかもわかるようになりました。
現在知られている研究手法は、語順をはじめとする文法的特徴など、単語レベルを超えたことばの特徴の変化を知る手段には、まだ結びついていません。たとえば、太平洋のことばには、動詞・主語・目的語(VSO)という動詞で始まる語順が一般的にみられますが、英語のような主語・動詞・目的語(SVO)という語順を持つものもたくさんあります。さらに、日本語のように主語・目的語・動詞(SOV)という語順を持つものも珍しくありません。いずれかの語順から他の語順へと変化したはずなのですが、そのような変化を知るための科学的手法がまだ存在していないのです。私はこの「ことばの遺伝子配列」の分析方法を知りたいと思っています。
そのためには、まずはできるだけ系統が近い言語を対象とする必要があります。私が学生時代に調査を行い身につけた言語にフィジー語があります。フィジー語には数多くの方言があるため、今回の研究を進めるのに適した言語です。 たくさんの島があるフィジーで自分ですべての言語資料を集めるのは大変ですが、このたび、ポール・ギャラティ先生という言語学者が1970~80年代にフィジー各地で調査をしたフィールドノートを使わせてもらえることになりました。しかし、資料が全て手書きであるため、まずは資料をデジタル化しなくてはなりません。デジタル化すれば、ことばの遺伝子配列の分析ができるようになるのです。
そこで今回、みなさまからデジタル化のための費用をサポートいただきたいと思い、クラウドファンディングに挑戦することにしました。いただいた資金は、現地の学生さんの人件費と私の滞在費の一部として大切に使わせていただきます。学生さんはこのアルバイトに関わることで、歴史言語学の具体的な方法を学びつつ、学費を稼ぐことができます。フィジーでは、みな働きながら大学へ行っています。言語学科の学生にとっては、専門に直接かかわる仕事をして、専門知識を身に付けつつ、かつ、学費を稼ぐことができる、他にないチャンスとなります。
ギャラティ先生は、発音の特徴に基づいて、フィジー語が一時期西フィジー諸語と東フィジー諸語に分かれており、東フィジー諸語はトンガ語と一緒に発達をした時期があるという説を出しておられます。ところが、現在のフィジー諸方言とトンガ語の文法構造を見ると、フィジー諸方言の間で共有される要素が多く、トンガ語とはずいぶん違っているように見えます。ギャラティ先生と同じ資料を用い、けれども、遺伝子ではなく遺伝子配列の分析をすることで、本当に東フィジーの人々は一時期トンガとの交流が強かったのか、あるいは、本当はフィジーはもともとひとつでまとまっており、トンガとは文化交流があっただけなのか、ギャラティ先生の仮説の検証に挑戦してみたいと思っています。
菊澤律子
時期 | 計画 |
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2015年10月~12月 |
クラウドファンディングに挑戦
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2016年02月〜03月 |
資料整理(1ヶ月半程度)
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2016年05月~06月 |
資料確認(2〜3週間程度)
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2016年06月以降 | 分析と論文執筆 |
研究をお手伝いしてくれる現地の学生さんからのお礼のメッセージ(電子版)をお送りします。さらに、現地の風景を撮影した写真をポストカードにしてお送りします。観光ではみられないフィジーの一面ををお楽しみください!
現地の学生たちからのメッセージ / ポストカード(3枚セット)
9人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
現地の学生さんからの手書きのメッセージに加えて、現地の風景を印刷したポスターをお送りします。貼り付けやすいA3版のポスターをご用意します。
オリジナルポスター(A3版) / 現地の学生たちからのメッセージ
6人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
サイエンスカフェで今回の研究成果をわかりやすくお伝えします。詳細は未定ですが、2016年5月から7月末の土曜・日曜・祝日で開催します。東京と大阪で行いますので、みなさん奮ってご参加ください。 当日お越しいただけない方もいらっしゃると思いますので、研究過程やフィジーの様子をリアルタイムでお届けする現地からの研究レポート(電子版)もお送りします。
現地からの研究レポート(電子版) / サイエンスカフェ参加券 / オリジナルポスター(A3版) / 現地の学生たちからのメッセージ
30人のサポーターが支援しています (限定 30 個)
みなさんにとってお役にたつかどうかはわかりませんが、今回電子化したフィジー語諸方言のデータをCD-ROMの形でお渡しします!このデータファイルには、私の研究に貢献していただいた支援者のみなさんのお名前をブロンズサポーター枠に記載します。
フィジー語諸方言のデータ / 電子データの謝辞欄にお名前記載(ブロンズ枠) / ポストカード(3枚セット) / 現地の学生たちからのメッセージ
26人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
みなさんにとってお役にたつかどうかはわかりませんが、今回電子化したフィジー語諸方言のデータをCD-ROMの形でお渡しします!このデータファイルには、私の研究に貢献していただいた支援者のみなさんのお名前をシルバーサポーター枠に記載します。(ブロンズサポーターよりも大きなフォントで掲載します。)
フィジー語諸方言のデータ / 電子データの謝辞欄にお名前記載(シルバー枠) / 現地からの研究レポート(電子版) / オリジナルポスター(A3版) / ポストカード(3点) / 現地の学生たちからのメッセージ
5人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
これらは床に敷くマットで、現地名をibe(標準語)、私の調査地(カンダブ島)では iconi といいます。伝統的な家の中で床に敷くほか、冠婚葬祭その他の儀礼や行事のときに、贈り物として使います。編むのは女性の仕事で、自家用にはそれぞれの家庭内で作りますが、儀礼や行事のときにはサイズの大きなものを村中の人が集会所に集まり、協力して作ります。女性でマット編みが上手な人が順に入れ替わって編んでゆき、その他の人は炊き出しを担当します。男性はそのそばで座ってカバを飲みながら、掛け声をかけます。これは、私が1993年にフィジーを訪問した時に、小さいもの(約25cm×25cm)を特別に作っていただいたものです。限定2枚のリターンなので、ご興味のある方はお早めにご予約ください!
現地で製作したマット(1枚) / フィジー語諸方言のデータ / 電子データの謝辞欄にお名前記載 (シルバー枠) / 現地からの研究レポート(電子版) / オリジナルポスター(A3版) / ポストカード(3枚セット) / 現地の学生たちからのメッセージ
2人のサポーターが支援しています (限定 2 個)
このバスケットは女性が収穫物を入れて畑から持ち帰るときに使われます。扇形のものは noke といいます。こちらも女性が使うもので、魚をとりに行くときに腰に結び付けて使います。今回のリターンは、フィジーの女性に比べて体格が小さい私のために、特別に小さいサイズのものを作ってプレゼントしていただいたものです。いずれも1993年に作られたものになります、2名様限定の歴史ある手作りアイテムになりますので、ご興味のある方はぜひご予約ください。ご予約の方には、バスケット(縦24cm×横44cm)かnoke(縦21cm×横45cm)のいずれかをお送りいたします。
現地で製作したバスケット / フィジー語諸方言のデータ / 電子データの謝辞欄にお名前記載 (ゴールド枠) / 現地からの研究レポート(電子版) / オリジナルポスター(A3版) / ポストカード(3枚セット) / 現地の学生たちからのメッセージ
1人のサポーターが支援しています (限定 2 個)
これは、標準語ではtapa、カンダブではmasiといいう樹皮布です。西洋から綿の織物が入ってくるまで、身につけて使っていました。現在では、とくにフィジーの伝統的なデザインなどを代表するものとして、家のなかの装飾に使われることが多いですが、地域の文化祭などでは、子供たちが伝統衣装として身にまとったりすることもあります。(先日、結婚式で着ている方もいらっしゃいました!)こちらは、1名様限定のリターンです。写真右下のデザイン(127cm×62cm)のものをお送りいたします。
現地で製作した樹皮布 / フィジー語諸方言のデータ / 電子データの謝辞欄にお名前記載 (ゴールド枠) / 現地からの研究レポート(電子版) / オリジナルポスター(A3版) / ポストカード(3枚セット) / 現地の学生たちからのメッセージ
1人のサポーターが支援しています (限定 1 個)
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現地の学生たちからのメッセージ
9
人
が支援しています。
(数量制限なし)
オリジナルポスター(A3版) 他
6
人
が支援しています。
(数量制限なし)
サイエンスカフェ参加券 他
30
人
が支援しています。
(限定 30 個)
フィジー語諸方言のデータ 他
26
人
が支援しています。
(数量制限なし)
電子データの謝辞欄にお名前記載 他
5
人
が支援しています。
(数量制限なし)
現地で製作したマット(1枚) 他
2
人
が支援しています。
(限定 2 個)
現地で製作したバスケット 他
1
人
が支援しています。
(限定 2 個)
現地で製作した樹皮布 他
1
人
が支援しています。
(限定 1 個)