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SUCCESS
鈴木健吾
株式会社ユーグレナ、執行役員 研究開発担当
支援総額: 643,900 円
目標金額: 500,000 円
達成率
128 %
サポーター
96
残り時間
終了
募集期間は終了しました
academist スタッフからの一言
日本全国各地からミドリムシを収集し、新しい特徴を持つものを探し出す

academist編集部

植物と同様に葉緑体で光合成を行う一方、鞭毛を使って動き回る動物的な性質も持ち合わせているミドリムシ。豊富な栄養素を含んでいたり、バイオ燃料として利用できたりなど、人と地球を健康にするポテンシャルをもった微生物であるといえます。ミドリムシのこうした恵みを、株式会社ユーグレナを通してこれまでさまざまな形で世の中に届けてきた鈴木さん。2019年には「みんなのミドリムシプロジェクト」をスタートさせました。一般の方からの協力を得て、全国のさまざまな地域にいるミドリムシを収集・解析することで、新たな機能の発見につなげることを目指します。あなたもサポーターになって、近所の池や水溜まりの水を提供し、ミドリムシ研究の発展に貢献してみませんか?

「ミドリムシって、虫なのかな?」

ミドリムシは、理科の授業で顕微鏡観察される代表的な微生物の一種です。ただ、名前を知っていても「どんな生物なのかよくわからない」という方も多いかもしれません。確かに「ムシ」という文字がついていますが、私たちのよく見る虫とは少し違います。実はミドリムシは和名で、ユーグレナ(Euglena)属というグループに属する生物の総称です。

200種類ほどいるミドリムシのなかで特におもしろいのは、ユーグレナ・グラシリス(Euglena gracilis)です。大きさ50 μm程度の単細胞生物で、植物と同様に葉緑体で光合成を行う一方、鞭毛を使って動き回る動物的な性質も持ち合わせています。

そして、Euglena gracilisは食品としても親しまれています。植物のような細胞壁を持たないので消化に良いうえ、摂取できる栄養素を59種類も含んでおり、なかでも特有成分であるパラミロンは、インフルエンザの症状緩和やアトピー性皮膚炎の緩和といった多くの機能が報告されています。また、地球温暖化を解決する燃料にもなります。低酸素条件下での培養で合成するワックスエステルという油脂は、車両用燃料やジェット燃料などのバイオ燃料として利用することが可能です。

このようにミドリムシは、人と地球を健康にする可能性を秘めた生物であるといえます。そして、その特徴を調べて十分に発揮させる技術を生み出し、「人と地球を健康にする」ことが私の研究目標です。

バイオテクノロジーで、昨日の不可能を今日可能に

ミドリムシのようにおもしろい特徴を持つ生物は地球上にたくさんいます。ただ、特徴を活かし、産業利用に至るまでには多くのハードルを越えなくてはなりません。そのひとつが、大量に培養できる(増やせる)かどうかということです。私は大学時代にE. gracilisと運命的に出会い、培養条件について研究を重ねました。

E. gracilisは他の微生物とは異なり、酸性条件や高い二酸化炭素濃度で生育可能という特徴を持ちます。この特徴を活かし、2005年には世界で初めて食用屋外大量培養に成功。同年に設立した株式会社ユーグレナを通して、多く人や地球にE. gracilisの恵みを届けられるようになってきました。しかし、これで終わりではありません。

バイオテクノロジーで、昨日の不可能を今日可能にする——これは、私たち株式会社ユーグレナの掲げている企業ビジョンであり、研究者である私の使命です。2019年には国立研究開発法人理化学研究所との共同チームである微細藻類生産制御技術研究チームで、CRISPR/Cas9を用いたE. gracilisのゲノム編集に成功しました(下図、Nomura T, et al. Plant Biotechnol J. 2019)。

E. gracilisはゲノムサイズが大きく、多数の染色体セットをもつ多倍体であるため、品種改良に必要な変異の導入はこれまで難しいとされていましたが、私たちが成功させたゲノム編集技術を用いれば、新しい特徴を持つE. gracilisを作り出すことが可能になります。ただ、E. gracilisは正確なゲノムデータベースが完成していないことや、個々の遺伝子の機能がまだよくわかっていないこともあり、次への課題となっています。

E. gracilisのさらなる可能性を求める「みんなのミドリムシプロジェクト」

研究室で使われているミドリムシは、決まった条件下で培養される単一なものですが、野生のミドリムシは淡水を中心に屋外のさまざまな水域に生息しています。では、研究室と野生のミドリムシはまったく同じ特徴を持つのでしょうか。私は違うと思います。国や地域によってさまざまなヒトがいるように、ミドリムシも温度や周りにいる微生物などの環境要因によってさまざまな特徴を持つと考えています。

実は、研究室のE. gracilisは、35℃以上の高温が苦手です。野生のものを調べることで、高温にも耐えられるE. gracilisや高温耐性遺伝子が見つかり品種改良に使えるかもしれません。そういった有用な特徴を持つE. gracilisを発見し分類することは、科学的におもしろいだけではなく、ミドリムシの産業利用促進にもつながるはずです。

昨年私たちは、全国のさまざまな地域にいるミドリムシを解析することで新たな機能の発見につなげるため、「みんなのミドリムシプロジェクト(みんミドPJ)」をスタートさせました。みんなの力を合わせて全国から水サンプルを集めるというものです。

初年度は、理化学研究所のクラウドファンディングシステムを通して研究費・運営費の援助を受け、全国17校の高等学校に水サンプルを採取・送付していただきました。これらのサンプルは現在、理化学研究所の微細藻類生産制御技術研究チームで解析しています。

私たちの狙いはやはりE. gracilisです。これまでに、到着した計207のサンプルのうち13個のサンプルからE. gracilisと思われる株を樹立し、日本のどこで採取して株を樹立できたかということをデータベースとして公開しています。

今後は、樹立したE. gracilis各株のDNA配列を解析し、本当にE. gracilisなのか、そして研究室のE. gracilisと違ってどのような新しい特徴を持つのか調べていきます。

研究費サポートのお願い

私のこれまでの研究およびユーグレナ社の15年は、自分の力だけでは達成できなかったことばかりです。提携企業・機関や地域の方々、多くの研究者のご協力があったからこそ、小さなE. gracilisの力をここまで引き出すことができました。昨年からは高校生の力を借り、研究を発展させています。今度は、ここにいる皆さんの力を貸してください! ご支援いただいた資金は、みんミドPJの運営費に充てさせていただきます。

また、該当のご支援をしていただいた方には、ミドリムシの採取キットをお送りします。今年は新型コロナウイルスの影響もあり、私たちも全国でのサンプル収集ができない状況にあります。しかし、ミドリムシの採取に最も適しているのは、すぐそこまで迫った夏です。いつも一緒に過ごしているご家族で、研究活動にご協力いただけませんでしょうか? お住まい近くの池や水溜まりから水を少し取って送っていただければ幸いです。

みなさんに水を採取していただいた場所や採取していただいた方のお名前は、私たちの作成したみんミドPJのデータベースに掲載させていただきます。また、採取していただいたサンプルを理化学研究所の微細藻類生産制御技術研究チームで解析します。水の中にいたミドリムシの写真や系統解析の結果などを順次データベースに追加していく予定です(※取得した株の知的財産権は、理化学研究所微細藻類生産制御技術研究チームに帰属されることをご了承ください)。

世界中の国々は今、「SDGs(持続可能な開発目標)」という目標達成に向けて、持続可能でよりよい世界を目指すための努力をしています。「人と地球を健康にする可能性がある生物」であるE. gracilisは、17あるSDGsの目標のうち、貧困(1)、飢餓(2)、保健(3)、エネルギー(7)、気候変動(13)の達成に有効な解決策を提供できる可能性があります。みなさんの力をお借りして、ぜひSDGsに貢献したい。そして、地球の未来をもっとワクワクするものに変えていきたい——私は、そう考えています。ご支援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

挑戦者の自己紹介

鈴木健吾

鈴木健吾(すずき けんご)と申します。株式会社ユーグレナでは執行役員研究開発担当、理化学研究所との共同チームである微細藻類生産制御技術研究チームではチームリーダーを兼任しています。学生時代に農学部に進んだ私は、生物を通して社会に貢献したり、環境を改善したりできるような研究をしたいと考えるうちにミドリムシに出会いました。そして、ミドリムシで世界を変えるには、社会で実装される必要があると思い、出雲、福本とともに株式会社ユーグレナを立ち上げました。現在では、生産者であるミドリムシなどの微細藻類だけでなく分解者である菌や、それらを用いた宇宙でのサステナブルな循環環境の構築についても注目して研究を進めています。

研究計画

時期 計画
2020年6月 クラウドファンディング挑戦開始
2020年8月 みんミドPJ2020採取実施
2020年9月 理化学研究所の微細藻類生産制御技術研究チームでサンプルの解析開始
2021年3月 みんミドPJ2020解析結果報告

リターンの説明

リターンの金額に加え、追加支援をすることができます。追加支援分には消費税がかかりません。
1,100 円 (税込)
注目のリターン : オリジナルバッジ、ミドリムシ厳選画像3枚(電子版)

みんミドPJのオリジナルバッジをお送りします。また、E. gracilisの厳選画像3枚を電子版にてお送りします。壁紙などにお使いください!

リターン内容

オリジナルバッジ / ミドリムシ厳選画像3枚(電子版)

3人のサポーターが支援しています (数量制限なし)

3,300 円 (税込)
注目のリターン : 採取キット、データベースにお名前掲載

クラウドファンディング達成後、決済が完了し、お送りするメールより参加申込いただいた方から順次採取キットをお送りします。8月中を目安に採取を行なっていただきご返送をお願いする予定です。また、状況により採取実施を翌年にお願いする可能性もあります。なお、安全面の配慮、及びサンプル取り扱い方法への御理解をいただくため、ご同意いただく点がございます。詳しい採取方法や採取地の選び方、採取の際の注意点、ご同意内容に関しては、みんミドPJWebページをご参照ください。

※採取キットは、3,000円以上のご支援いただいた方すべてにお送りします。
※採取キットをご希望されない方は、後日お願いする参加登録を行う必要がありません。採取キット以外のリターンを送付いたします。

リターン内容

採取キット / データベースにお名前掲載 / オリジナルバッジ / ミドリムシ厳選画像3枚(電子版)

49人のサポーターが支援しています (数量制限なし)

5,500 円 (税込)
注目のリターン : オリジナルTシャツ

みんミドPJオリジナルTシャツをお送りします。今回のクラウドファンディングのために初めて作製するものです! ※写真はイメージです。

100cm・120cm・140㎝・S・M・Lサイズよりご希望のサイズをお選びください。

リターン内容

オリジナルTシャツ / 採取キット / データベースにお名前掲載 / オリジナルバッジ / ミドリムシ厳選画像3枚(電子版)

27人のサポーターが支援しています (数量制限なし)

11,000 円 (税込)
注目のリターン : オンライン研究紹介

オンラインツールを用いて、E. gracilis研究やみんミドPJについてお話しさせていただきます。ご参加をお待ちしています!

リターン内容

オンライン研究紹介 / オリジナルTシャツ / 採取キット / データベースにお名前掲載 / オリジナルバッジ / ミドリムシ厳選画像3枚(電子版)

8人のサポーターが支援しています (数量制限なし)

33,000 円 (税込)
注目のリターン : 研究室見学 or オンライン研究室見学

ミドリムシ研究の現場をご覧にいただけます!日程が合わない方や遠方の方にはオンラインでの研究室見学も実施いたします。※こちらのリターンは、新型コロナウイルスの状況により実施時期を決定いたします。

リターン内容

研究室見学 or オンライン研究室見学 / オンライン研究紹介 / オリジナルTシャツ / 採取キット / データベースにお名前掲載 / オリジナルバッジ / ミドリムシ厳選画像3枚(電子版)

9人のサポーターが支援しています (数量制限なし)

このプロジェクトは、 2020年06月25日(木) 14時00分 から 2020年07月30日(木) 19時00分 までの間に目標金額500,000円を達成した場合のみ、決済が確定します。
お支払について
お支払にはクレジットカード、銀行振込、コンビニ決済、Pay-easy、PayPalをご利用頂けます。
追加支援について
リターンの金額に加え、追加支援をすることができます。追加支援分には消費税がかかりません。
セキュリティについて

当サイトは SSL 暗号化通信に対応しております。入力した情報は安全に送信されます。

1,100 円(税込)

オリジナルバッジ、ミドリムシ厳選画像3枚(電子版)

3 人 が支援しています。
(数量制限なし)

3,300 円(税込)

採取キット、データベースにお名前掲載

49 人 が支援しています。
(数量制限なし)

5,500 円(税込)

オリジナルTシャツ

27 人 が支援しています。
(数量制限なし)

11,000 円(税込)

オンライン研究紹介

8 人 が支援しています。
(数量制限なし)

33,000 円(税込)

研究室見学 or オンライン研究室見学

9 人 が支援しています。
(数量制限なし)

注目のプロジェクト一覧
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