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SUCCESS
大上能悟
Imperial College London、PhD student
支援総額: 427,534 円
目標金額: 250,000 円
達成率
171 %
サポーター
46
残り時間
終了
募集期間は終了しました

目標金額を達成しました!

ご支援&広報にご協力してくださったみなさま,

みなさまのおかげで,早々に目標金額を達成できました.
また,大変ありがたい応援メッセージを多数いただきました.心より感謝します.

ご支援いただいたお金は,2020年4月にフランス・ストラスブルグで行われるPhotonics Europeの参加費として活用させていただきます.

ただ,学会発表だけでなく,加えてこの先の論文投稿にかかる費用も鑑みるとまだ資金が十分とは言えない状況です.学会参加に加えて論文投稿の費用(20万円)も加えた45万円をセカンドゴールに設定し,引き続きご支援をお願いしています.

チャレンジ終了までどうぞよろしくお願いいたします!

academist スタッフからの一言
媒質の屈折率が複素数になったとき、光のふるまいはどう変わるか

academist編集部

スネルの法則は、光のふるまいを決めるマクスウェル方程式から導かれる最も有名な法則のひとつで、高校物理では「屈折の法則」として習います。しかし、屈折率が複素数となるような光を吸収する媒質ではスネルの法則をそのまま適用できないことに気がついた大上さん。現在、Imperial College Londonの博士課程の学生として、指導教官や大学の設備を頼らず独自にスネルの法則の拡張に向けた理論研究を進めています。理論研究を推し進めるためには、国境や実験・理論の枠組みをこえて、多くの研究者と議論を交わし、成果を発表することが欠かせません。海外で挑戦する理論研究者のタマゴへの応援をよろしくお願いします!

ホログラムをきっかけに「光」に興味を持ち、電磁気学の世界へ

光は、常に身の回りに当たり前にあるもので、特別に興味を抱く対象ではないかのように思うかもしれません。かつての私にとってもそうでした。しかし、高校生のころに初めてホログラムを目の当たりにし、光をコントロールして目の前に3次元の映像を作る「魔法」に魅せられたことで、一気に光に興味を持ちました。その後、光は電磁波であり、その挙動を記述できる電磁気学やマクスウェル方程式というものがあることを知り、大学は光のことを勉強できる物理専攻の学科を選びました。

大学の学部生時代にはもう一段階光への興味が進みました。マクスウェルの電磁気学を学んだことで、光は質量ゼロでありながらも運動量を持つという事実を知ったためです。運動量の定義 $p = mv$ を思い返すと、質量がないのに運動量があることは不思議に思えます。しかし、この事実を実際に確認できる有名な実験があります。それはレーザーマニピュレーションと呼ばれる実験の一種で、マイクロメートルサイズの微粒子にレーザー光を照射すると微粒子が押されて動くというものです。

微粒子が押されるのは、物質と光が運動量をやり取りするためです。光が物質に及ぼすこの力のことを「放射圧」と呼びます。微粒子に放射圧がはたらく様子は顕微鏡を使うと実際に観測することができます。この実験を私は実際に学部生のときに経験し、光を研究することに大きな魅力があることを改めて実感しました。

スネルの法則では説明できない現象、スネルの法則の拡張性に気づく

スネルの法則は光のふるまいを決めるマクスウェル方程式から導かれる最も有名な法則のひとつです。「屈折の法則」とも呼ばれており、高校物理でも習います。これは媒質界面における光の屈折を説明する法則で、
\begin{equation}
n_1\sin\theta_1 = n_2\sin\theta_2
\end{equation}
と書かれます。$n_1$と$n_2$は界面の上側と下側の屈折率で、$\theta_1$は入射角、$\theta_2$は屈折角です。実は、この式は媒質界面接線方向の光の運動量の保存則になっています。

私は、このよく知られたスネルの法則が「ロスのある媒質」にはそのまま適用できないことに気がつきました(2019年論文)。ロスのある媒質というのは光を吸収する媒質のことで、そのような媒質の屈折率は複素数になります。界面の上側の媒質にロスがあるとすると、$n_2\mapsto\tilde{n}_2 = n_2 + i\kappa_2$と変更されます。このとき、屈折角$\theta_2$は実数値ではなく複素数値をとるようになります($\theta_2\mapsto\tilde{\theta}_2 = \theta_2 + i\psi_2$)。スネルの法則はロスのある場合、次のように変更されます。
\begin{equation}
\begin{cases}
n_1\sin\theta_1 = \tilde{n}_2\sin\tilde{\theta}_2\\
\tilde{n}_2 = n_2 + i\kappa_2\\
\tilde{\theta}_2 = \theta_2 + i\psi_2
\end{cases}
\end{equation}
さらに私はスネルの法則がこのように変更を受けるような状況下では、光の運動量が増加することと、異常な向きに「スピンする」ことを理論的に明らかにしました。光は自転の自由度(*1)を持っており、進行方向に直交する面内を時計回りもしくは反時計回りに回転します。通常はこの「直交する面内」という回転方向の制限があります。しかし、ロスのある媒質の界面ではこの制限がなく自由な方向に回転できるというのがポイントです。過剰な運動量は光の放射圧の増大につながり、異常なスピンは放射圧による物質の回転駆動操作に新たな自由度を付与する(*2)ことにつながります。

(*1) 専門的には「円偏光の自由度」といいます。
(*2) 光の運動量が物質を押すように、光のスピンは物質を回転させることができます。

スネルの法則を拡張することで、光の挙動を説明したい

私はロスがある媒質の界面で過剰な運動量生成が起こることと、異常なスピンが生じることを明らかにしましたが、加えて、これらの性質が実際に光の放射圧として物質に力やトルクをかけることを理論計算で示しました。このように運動量や角運動量に異常が起こることはレーザーマニピュレーションの可能性を大きく広げます。このトピックは、光物理の基礎としても、工学的応用の観点でも、重要な研究課題といえます。

現在は、媒質の温度が光のふるまいに与える影響や、機械的に振動している媒質中の光のふるまいを計算しています。そしてこれらの媒質中で光の運動量や角運動量はどのように変更されるかということに興味を持って研究を進めています。具体的には、媒質が有限の温度を持つときや機械的に振動している際に、光のふるまいを決定づけるマクスウェル方程式がどのように変更されるかということを調べています。さまざまな媒質中で光がどのようにふるまうか? 真空中とは違った特徴的なふるまいが見られるのか? という謎に迫り、明らかにすることが私の研究の最終目的です。

研究費サポートのお願い

このプロジェクトは、博士号取得に向けて大学で取り組んでいる研究とは別のもので、個人で進めているものです。指導教官や大学の設備を頼らずに進めてきましたが、少しずつ結果が出はじめて、論文や学会でのプレゼンテーションといった形で世界に向けて発表しています。しかし、この先もこのプロジェクトを続けるには資金が足りていない状況です。そこでクラウドファンディングに挑戦させていただき、集まった資金を学会発表にかかる費用や論文執筆・投稿にかかる費用に充てさせていただきたいと考えています。

理論研究を推し進めるためには、国境や実験・理論の枠組みをこえて、多くの研究者と議論を交わし、成果を発表することが欠かせません。理論研究者として将来世界に翔けるように、ぜひご支援をよろしくお願いします。

挑戦者の自己紹介

大上能悟

大上能悟と申します。Imperial College London (ICL) 物理学科の博士課程1年です。高校生・大学学部生の頃に光に興味を持って以来、私は光物性と呼ばれる領域で研究を続けてきました。光物性とは主に光を使って物質を分析したり、物質に細工をして光を操ったりすることを目指す研究領域です。
学部4年次にはレーザーマニピュレーションの実験研究で卒業論文を書きましたが、目の前での現象を理屈的に説明することに興味を持ち、修士課程からはコンピュータシミュレーションをメインで研究する方向にシフトしました。しかし、シミュレーションだけでは満足できず、 現在の理論研究を始めました。そこで、コンピュータに頼らなくとも自らの手で興味深い現象を予言できる理論研究の面白さに気がつき、「光物性の理論にもっと詳しくなりたい、一流の研究者と議論ができる環境に身を置きたい」と考え日本を出てICLにある凝縮物性理論グループに移りました。
理論的に新しいことを見つけるには、豊かな想像力と幅広い知見を持っていることが大切だと考えており、ICLではそのような能力を養うべく、修士時代に手をつけ始めた「スネルの法則を超える」というテーマとは別の研究課題「人工構造を持つ媒質中の電磁場の振る舞いとカシミール効果」に取り組んでいます。

研究計画

時期 計画
2019年9月 クラウドファンディング挑戦
2019年9月 Photonics Europe 発表要項提出
2020年3月29日〜4月2日 Photonics Europe

リターンの説明

リターンの金額に加え、追加支援をすることができます。追加支援分には消費税がかかりません。
1,100 円 (税込)
注目のリターン : 研究報告レポート(PDF版)

研究の詳細な進捗などをレポートにまとめてお送りします。応援よろしくお願いいたします!(本プロジェクトが達成した場合、決済日は10月25日以降の予定です。消費税率が10%となる可能性があります。)

リターン内容

研究報告レポート(PDF版)

14人のサポーターが支援しています (数量制限なし)

3,300 円 (税込)
注目のリターン : Processingで生成されたgenerative artの厳選画像10枚(PDF)

厳選したProcessingで生成されたgenerative artの画像を10枚、メールでお送りします。※Processingの画像のサンプルについてはわたしのウェブサイト参照してください。http://ouedaigo.webcrow.jp/works.html#processing
(本プロジェクトが達成した場合、決済日は10月25日以降の予定です。消費税率が10%となる可能性があります。)

リターン内容

Processingで生成されたgenerative artの厳選画像10枚(PDF) / 研究報告レポート(PDF版)

7人のサポーターが支援しています (数量制限なし)

5,500 円 (税込)
注目のリターン : 学会発表資料の謝辞にお名前掲載

2020年3月29日〜4月2日のPhotonics Europeにて本研究に関する発表をする際、謝辞にお名前を掲載させていただきます。また、発表資料(電子版)を送付いたします。お力をお貸しください。応援よろしくお願いいたします! ※学会発表が叶わなかった場合、その後の学会発表資料の謝辞にお名前を掲載、資料をお送りします。(本プロジェクトが達成した場合、決済日は10月25日以降の予定です。消費税率が10%となる可能性があります。)

リターン内容

学会発表資料の謝辞にお名前掲載 / Processingで生成されたgenerative artの厳選画像10枚(PDF) / 研究報告レポート(PDF版)

8人のサポーターが支援しています (数量制限なし)

6,600 円 (税込)
注目のリターン : オリジナルTシャツ

今回のプロジェクト限定のオリジナルTシャツをお送りします。デザインはProcessingで生成したパターンを印刷したものを予定しています。応援よろしくお願いいたします!

リターン内容

オリジナルTシャツ

3人のサポーターが支援しています (数量制限なし)

11,000 円 (税込)
注目のリターン : 個人Webサイトにお名前掲載

私の個人Webサイト (http://ouedaigo.webcrow.jp) にお名前を掲載させていただきます。(本プロジェクトが達成した場合、決済日は10月25日以降の予定です。消費税率が10%となる可能性があります。)

リターン内容

個人Webサイトにお名前掲載 / 学会発表資料の謝辞にお名前掲載 / Processingで生成されたgenerative artの厳選画像10枚(PDF) / 研究報告レポート(PDF版)

7人のサポーターが支援しています (数量制限なし)

33,000 円 (税込)
注目のリターン : 論文謝辞にお名前掲載

本研究成果を発表する際の謝辞にお名前を掲載させていただきます。 ※研究成果をまとめられるよう努力いたしますが、論文の掲載に至らない可能性もございますこと、ご承知おきいただけますと幸いです。(本プロジェクトが達成した場合、決済日は10月25日以降の予定です。消費税率が10%となる可能性があります。)

リターン内容

論文謝辞にお名前掲載 / 個人Webサイトにお名前掲載 / 学会発表資料の謝辞にお名前掲載 / Processingで生成されたgenerative artの厳選画像10枚(PDF) / 研究報告レポート(PDF版)

5人のサポーターが支援しています (数量制限なし)

55,000 円 (税込)
注目のリターン : Skypeでの相談なんでも(合計2時間)

Skypeにて、イギリス学位留学している経験を生かして留学の相談や経験談を話したり、英文校正のお手伝いをしたり、研究の相談をしたり、なんでも相談に乗らせていただきます。本研究に関するディスカッションも可能です!※Skype通話時間の目安:合計2時間程度(小分けにしてもOKです)(本プロジェクトが達成した場合、決済日は10月25日以降の予定です。消費税率が10%となる可能性があります。)

リターン内容

Skypeでの相談なんでも(合計2時間) / 論文謝辞にお名前掲載 / 個人Webサイトにお名前掲載 / 学会発表資料の謝辞にお名前掲載 / Processingで生成されたgenerative artの厳選画像10枚(PDF) / 研究報告レポート(PDF版)

2人のサポーターが支援しています (数量制限なし)

このプロジェクトは、 2019年09月06日(金) 10時00分 から 2019年10月25日(金) 19時00分 までの間に目標金額250,000円を達成した場合のみ、決済が確定します。
お支払について
お支払にはクレジットカード、銀行振込、コンビニ決済、Pay-easy、PayPalをご利用頂けます。
追加支援について
リターンの金額に加え、追加支援をすることができます。追加支援分には消費税がかかりません。
セキュリティについて

当サイトは SSL 暗号化通信に対応しております。入力した情報は安全に送信されます。

1,100 円(税込)

研究報告レポート(PDF版)

14 人 が支援しています。
(数量制限なし)

3,300 円(税込)

Processingで生成されたgenerative artの厳選画像10枚(PDF)

7 人 が支援しています。
(数量制限なし)

5,500 円(税込)

学会発表資料の謝辞にお名前掲載

8 人 が支援しています。
(数量制限なし)

6,600 円(税込)

オリジナルTシャツ

3 人 が支援しています。
(数量制限なし)

11,000 円(税込)

個人Webサイトにお名前掲載

7 人 が支援しています。
(数量制限なし)

33,000 円(税込)

論文謝辞にお名前掲載

5 人 が支援しています。
(数量制限なし)

55,000 円(税込)

Skypeでの相談なんでも(合計2時間)

2 人 が支援しています。
(数量制限なし)

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