ご支援いただきました皆様へ
本プロジェクトへのご支援、誠にありがとうございます。無事、目標金額20万円を達成することができました。わずか5日でのファンディング達成は、本問題の重要性を裏打ちするものかと思います。皆様からのご期待を実感すると同時に、責任の重さに身が引き締まる思いです。
頂きましたファンディング資金については、当初の予定通り、若手研究者を対象としたWeb調査と、リターンの作成費用に充当させていただきます。具体的な進行につきましては、8月以降に本ページにて報告させて頂く予定です。今しばらくお待ち下さい。
当初より本クラウドファンディングでは、ファーストゴールをミニマム目標として設定しておりました。そのため、残りのチャレンジ期間では、セカンドゴール50万円という目標を設定させていただきます。このセカンドゴールを達成した暁には、さらなる調査企画の拡充(大学側へのインタビューなどを想定)を図るだけでなく、調査結果を元とした学会でのワークショップ企画を実施したいと考えております。
また、本ファンディングには多数の方に1万円という少なからぬ額を投下していただきました。本プロジェクトへの期待もさることながら、「文系院生バー(仮)」への期待もあることかと存じます。本企画についても現在レシピ作成など絶賛進行中でございますので、皆様にご報告できるようになった段階で、その詳細をお伝え出来ればと考えております。
繰り返しとなりますが、本クラウドファンディングはファーストゴール到達時点でその目的が達成されるものではなく、この一つの小さなうねりを引き金として、遠からぬ未来にアカデミア全体に少しでも良い影響を与えることを目的とするものです。
ついては、引き続き本クラウドファンディングの周知など、ご支援、ご協力の程、よろしくお願いいたします.
研究者は、研究者である前にまず人間である。このあまりにも陳腐な言明も、繰り返し主張していかなければ忘れ去られてしまう類のものだと思われます。つまり、研究者が卵から孵り、一人前の研究者として独り立ちするには、研究能力を身につけるだけでは不十分であり、他のさまざまな能力を獲得しなければいけないということです。特に、文系研究者のポストの多くは、研究者としてもさることながら、教育者としての能力も期待されており、採用時もこの点が重視されます。
では、研究者の卵はいかにして教育能力を身につけるのか? 近年では、非常勤講師のポストがこの点を支えてきました。博士後期課程在学中ないしは修了後、このポストに就き、業務を遂行することで教育ノウハウを蓄積し、教育能力があるとみなされてきたのです。この意味においても、人文・社会科学系研究者の養成にあたっては、非常勤講師のポストが重要な位置を占めていたことがわかります。
ところが、このポストへの雇用は、伝統的に不透明な形で行われてきました。もともとこのポストが他大学に勤務する教員を招聘するために作られたため、公募により採用することが不自然だったからです。したがって、大学改革のなかで非常勤講師ポストの性質が、教員の招聘から若手研究者のポストへと変容するにいたっても「若手研究者による非常勤講師ポストへの着任」は、多くの場合前任者からの紹介や推薦など不安定な文脈に依存する形でしか行われてきませんでした。
さらに近年問題となってきたのは、大学教育改革の影響を受け、多くの大学で「大学での教育歴がない研究者を非常勤講師ポストに採用しない」という採用基準の厳格化が行われていることです。しかしここで疑問が生まれます。非常勤講師ポストに就くために教育歴が必要ならば、若手研究者の教育能力は一体どこで滋養されるのでしょうか?
現実では、この問題は次のように処理されています。まず僥倖なる若手研究者は、不安定な文脈のなかで、偶発的に未経験者も採用する大学の非常勤講師ポストを獲得します。その結果、教育歴を得た研究者は、他の非常勤講師ポストにも次々とお呼びがかかるようになります。このようにして、若手研究者のなかにはたくさんの非常勤授業を抱える研究者とそうでない研究者に「格差」が生じることになります。
こうした運任せの雇用は、若手研究者の育成に不健全であると考えています。この格差が、実質的な教育能力や研究者としての実績とは関係なく、ただただ運によって教育歴の形成が決定されるためです。当然持たざる研究者にとってはキャリア形成において致命傷となる一方、持つ研究者にとっても、場合によっては過剰なまでの授業数を依頼されることによる研究実績スピードの鈍化をもたらすことにもなります。非常勤講師ポストの意図せざる不均等性が、若手研究者の計画的なキャリア形成に悪影響を与えているのです。
以上は、私が所属する社会学系の若手研究者を中心に聞き取った内容をまとめたものです。しかし、他大学や他分野におけるこの問題の実態は、明らかではありません。まず人文・社会科学系内においても、分野間の違いは大きいと言わざるを得ません。社会学以外の学問領野において、類似の問題が見られるのかについては、私も不十分な情報しか有しておりません。また大学間の違いも大きいでしょう。たとえば一部大学では博士後期課程修了後、非常勤講師ポストを大学側で確保することで、こうした問題を解決しているようです。問題の深刻さのレベルは、分野・大学によって相当異なることが予想されます。
それではこの問題は一考するに値しない、特定の分野・大学のみに見られる、些細なものでしょうか? 私はそうは思いません。なぜならば、私たちは未だにこの問題がどの程度深刻なものなのかを、把握することすらできていないからです。「若手研究者の教育能力に関するキャリアラダーの実態」はいわば「暗黒大陸」のなかにあり、私たちはそこに対して判断を下すことができない状況にいます。一般的なアナロジーで言うのならば、アカデミアという患者を前にして、私たちは処方箋を提示することはおろか、そもそも病気かどうかを判断することができない環境にいるのです。
本研究の目的はこの点にあり、「若手研究者の置かれている環境はどのようなものか?」「その環境に分野・学問間の差はあるのか?」「差がある場合、それは何に起因していると考えられるか?」を論じることが可能になる環境の整備を目標とするものです。
本クラウドファンディングは、以上の問題意識を背景として、次の活動に取り組むことを目的に行います。
第一に、こうした問題がどの程度深刻なものなのかを把握すべく、若手研究者(博士課程院生含む)を対象とした実態調査を行います。実態調査の内容については、原則としてWebでの質問紙調査を行い、性別・年代・大学・学問分野といった分析軸ごとの基礎的集計をもとに、本プロジェクトのリターンとなる実態調査報告書の作成を行う予定です。
第二に、本問題を周知し、広く社会に訴えるため、このクラウドファンディングのプロジェクトを通じ、Tシャツやステッカーといったグッズ配布活動を行いたいと考えています。一見「おふざけ」に感じられる部分があるかもしれません。しかしこれは単なる「おふざけ」ではなく、私たち若手研究者が置かれている苦境をユーモアで笑い飛ばすと同時に、アカデミア外の方々にもこの活動を知ってもらうことを目的としています。
草の根、裸一貫、なんの組織的後ろ盾もない、吹けば飛ぶような活動である以上、人々にポジティブに認知してもらえる活動であることが、まず何よりも重要であると考えています。この見地より、グッズは単に配布するだけでなく学会や研究会で着用し、「問題の周知」をアカデミック全体に広げていくこと目指します。
本調査については、調査設計の段階から、関心がある研究者の方々にはぜひとも広く参画していただき、かつ分析結果だけでなく調査データについても、一般公開することができればと考えております。また、支援の集まり状況によって調査対象の拡充(若手研究者だけでなく大学側も調査対象とする)や、多分野の若手研究者を対象とした質的調査の実施、学会・研究会などでの本問題に関するワークショップの実施なども行う予定です。
今回クラウドファンディングに挑戦したのは、同僚との会話がきっかけでした。「一体非常勤講師のポストはどうやったら獲得できるのだろう。いくら査読誌に論文を出したって、教育歴がないのでは就職もままならない。このまま座して非常勤講師ポストが来るのを待つしかないのだろうか」。こうした鬱屈とした会話から、ひとつの異議申し立ての形態として、この問題を訴えるTシャツを作って配布したらどうかというアイディアが出たのです。
今回の挑戦が無事成功した暁には、研究費は次の用途に充当します。まず配布するTシャツ・ステッカーの作成費用です。また「人文・社会科学系若手研究者の非常勤講師ポストに関する実態調査」にかかる諸費用に、グッズ作成費を差し引いた費用をすべて充当します。実態調査については、ファンディングの結果頂いた額に応じて質・量とも拡充を行う予定です。
この問題は、若手研究者内で囁かれこそすれ、大学・学問領野間の格差もあり、実態についてはほとんど明らかになっていません。本ファンディングでは、まずこの実態を明らかにし、かつこの問題を周知することを目的とします。本問題にはさまざまな要因が絡み合っているため、短期的な解決は、現実的には困難であると思われますが、まず問題を「知ってもらうこと」が第一であると考えます。なにとぞご理解ご協力のほど、よろしくお願いいたします。
時期 | 計画 |
---|---|
2019年7月 | クラウドファンディング挑戦 |
2019年8月 | 実態調査の設計開始 |
2019年9月 | リターングッズの送付開始 |
2019年10月 | 日本社会学会への参加時、Tシャツを着用し広報(参加者を募集します) |
2019年10月以降 | 都内某所にて『文系院生バー(仮)』を開催 |
2019年11月以降 | 実態調査の実施 |
2019年12月以降 | 実態調査の結果報告 |
調査の方法やその結果などをまとめた報告レポートをacademistのオウンドメディアであるacademist Journalに掲載いたします。その際に、ご支援いただいた方全員の名前を謝辞として掲載し、記事のURLをお送りします(希望者のみ)。分野を問わず、応援よろしくお願いいたします!
調査結果掲載時の謝辞にお名前掲載
13人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
若手研究者が置かれた自己言及的現状(非常勤講師ポストを得るためには非常勤講師の経験が必要である)を、クールなロゴにまとめたTシャツを送付いたします。応援よろしくお願いいたします!分野を問わず、ご支援をお願いいたします。(Tシャツのサイズは、S,M,L,LLからお選びいただけます。)
(プランA)Tシャツ(ウロボロスのロゴをデザイン) / 調査結果掲載時の謝辞にお名前掲載
5人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
200年前にマックス・ヴェーバーが述べた研究者のペーソスをデザインしたTシャツを送付いたします。「かくて大学に職を奉ずるものの生活はすべて僥倖の支配下にある」。今でもこの状況は全く変わっていません。応援よろしくお願いいたします!分野を問わず、ご支援をお願いいたします。(Tシャツのサイズは、S,M,L,LLからお選びいただけます。)
(プランB)Tシャツ(マックス・ヴェーバーの金言をデザイン) / 調査結果掲載時の謝辞にお名前掲載
1人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
図柄違いのTシャツ2枚に加え、ウロボロスのロゴと私達の思いを印刷したオリジナルステッカー(2種類をそれぞれ3枚。計6枚)を送付いたします。Tシャツの柄を選べないあなたに。応援よろしくお願いいたします!※分野を問わず、ご支援をお願いいたします!
(Tシャツのサイズは、S,M,L,LLからお選びいただけます。)
オリジナルステッカー / (プランA)Tシャツ(ウロボロスのロゴをデザイン) / (プランB)Tシャツ(マックス・ヴェーバーの金言をデザイン) / 調査結果掲載時の謝辞にお名前掲載
5人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
都内某所にて10月以降開催予定の『文系院生バー(仮)』にご招待いたします。調査結果やTシャツ着用での学会報告結果などを、近年SNSで流行している異常料理・ドリンク(一時期林はホームパーティで生計を立てていました)とともにご報告いたします。応援よろしくお願いいたします!分野を問わず、ご支援をお願いいたします。
『文系院生バー(仮)』へご招待 / オリジナルステッカー / (プランA)Tシャツ(ウロボロスのロゴをデザイン) / (プランB)Tシャツ(マックス・ヴェーバーの金言をデザイン) / 調査結果掲載時の謝辞にお名前掲載
23人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
当サイトは SSL 暗号化通信に対応しております。入力した情報は安全に送信されます。
調査結果掲載時の謝辞にお名前掲載
13
人
が支援しています。
(数量制限なし)
(プランA)Tシャツ(ウロボロスのロゴをデザイン) 他
5
人
が支援しています。
(数量制限なし)
(プランB)Tシャツ(マックス・ヴェーバーの金言をデザイン) 他
1
人
が支援しています。
(数量制限なし)
オリジナルステッカー 他
5
人
が支援しています。
(数量制限なし)
『文系院生バー(仮)』へご招待 他
23
人
が支援しています。
(数量制限なし)