おかげさまで達成!そしてその後もご支援が伸びていて感激です。みなさま、本当にどうもありがとうございました!実現は決定ですが、制作はまだ進行中です。作品の完成を、そしてリターンの品・イベントをぜひ楽しみにしておいてください!
系統樹マンダラ【サメ編】制作委員会 一同
サメは脊椎動物のなかでも軟骨魚類に属します。硬骨魚類とあわせて「魚」としてひとくくりにされることも多いですが、軟骨魚類は、我々哺乳類の系統のもとになった硬骨魚類とはまったく別の、系統学的に独特の位置を占めるグループです。軟骨魚類は、ギンザメ類(全頭類)とサメ・エイ類(板鰓類)に分けられます。現存のサメは約540種類、エイは約680種類近くいるとされており、哺乳類や鳥類と比べると格段に起源が古く、より長い時間をかけて進化してきました。
「サメ」と聞いて誰もがその姿を想像できるにもかかわらず、多様な種のあいだの違いや、彼らの暮らし方については脊椎動物の他のグループほどには広く知られていません。体が大きい種や深海に棲む種は、情報自体が少なく、水族館でもなかなかお目にかかれません。それでも、サメのからだがもつシックな色合いと鋭いフォルムに魅了された人は多いのではないでしょうか?
軟骨・硬骨の魚類を通じて最大で、国内の水族館でも大人気のジンベエザメは、約300匹の赤ちゃんを産むとされていますが、交尾・出産シーンの記録は全世界を見渡しても皆無です。このほか多様な軟骨魚類のなかには、400年生きるとされるニシオンデンザメや、まだ世界で100回余りしか目撃の記録がないメガマウスザメ、スクリュー型の卵を産むネコザメ、そして悠々とはばたくように泳ぎダイバーに人気のマンタなどが含まれ、誰もが振り向くような話題に事欠きません。
進化の過程で多様な生物種がいつどのように枝分かれしてきたのかを扱う学問は「系統学」と呼ばれ、生物種の関係を枝でつないで表現したものは「系統樹」と呼ばれています。系統樹を描くために、古くより化石から得られた絶滅した種と現存の種の形態を比較する手法が用いられてきましたが、近年では、より客観的・定量的な情報として、遺伝子などのDNA配列を用いた分子系統学による研究が盛んに行われています。
軟骨魚類に関する系統学上の大きな話題としては、サメ類とエイ類の関係があります。扁平なエイ類は、おもに形態に基づく解析から、カスザメやノコギリザメなどの扁平なサメ類に近縁である、という説が出ていました。ところが、2000年代に入ってDNA配列の情報に基づく解析が行われ、エイ類は現存のすべてのサメ類が多様化する前に、サメ類の共通祖先にいたる枝から分岐したことが強く示されました。言い換えれば、サメ類が多様化したあと、その一部からエイ類が派生したのではなく、最初にサメ類とエイ類の祖先が分岐したのです(上図参照)。
それぞれに長い歴史を持つ、サメ類そしてエイ類の内部の種の関係についてはまだまだ不明な点が残っています。その背景には軟骨魚類特有の事情がありました。
軟骨魚類特有の難点として、まずその名の通り骨格が軟骨ででき化骨されないために、化石が残りにくいということがあります。さらに、分子系統学による解析の材料となるDNA配列の情報が多くの種で十分に得られていないという事情があります。ときに「爆発」と形容されるような、多様な生物が一斉に分岐したようなケースにも迫るためには、DNA配列の情報を豊富に解読することが必要ですが、このためにはできるだけ新鮮な生体試料が必要となります。サメやエイのなかには、希少なために保護の対象となっていたり、深海に棲むために、新鮮な生体試料が確保できない種も多くいます。こういった理由で、一部の種の関係はいまだに明らかになっていません。
ここまでは軟骨魚類、特に板鰓類の系統についての研究を簡単に述べてきました。現在、サメに関してはさらに多様な研究が行われており、世界の海における個体数や集団構造を調べる研究から、どうして卵生と胎生の種が入り混じっているのか、というような繁殖様式に関する研究まで多岐にわたります。
こういった問いに、時には保護の対象にもなるようなサメのからだを使うのではなく、遺伝子の情報を利用してアプローチすることも可能となっています。DNA解析技術の進歩により、最小限の試料から、生物種が持つ遺伝情報全体(ゲノム)を読み取り、それを定量的に比較することができるようになってきています。その結果、ゆったりとしたくらし方と呼応するように、サメのDNAの塩基配列の変化のスピードが非常に遅いことや、ゲノムの情報量がヒトの2倍以上もある種がいることもわかってきました。
軟骨魚類は、これまで脊椎動物のなかでは分子の配列情報が最も乏しいグループでしたが、複数の種でゲノムの情報が整えられたことにより、今後分子レベルの研究が加速し、サメ・エイの進化の道筋と、彼らの独特のくらし方を可能にする詳しいメカニズムへの理解へ大きく近づくと期待されます。
「系統樹マンダラ」は、進化の系統樹の法則に従い動物を配置したもので、ひとつの共通祖先から、現在の地球上に生きる多様な生きものへの進化の繋がりを1枚のポスターで表現しています。見ているだけで楽しい、新しいサイエンティフィック・ビジュアルポスターは、インテリアとして、また中高理科の生物進化教材としても好評です。
今回の【サメ編】は、サメ・エイ類の4.5億年の進化の歴史を、美しい細密画約50点で表現するもので世界的にも類を見ません。アート作品としてのクオリティを保ちながら、中央に配置する系統樹は、現時点でもっとも信頼できる分岐年代に基づいて制作するため、上質なインフォグラフィックス作品とも呼べるものです。
【サメ編】の制作は、研究者、アーティスト、デザイナー、編集者からなるメンバー間で意見交換をしながら、掲載するサメ・エイ類の選定と描画、分岐年代の採用について検討します。そのため、サメ・エイ類の分類と形態にまつわる認識を新たにしたり、十分ではないサメ・エイ類の進化にまつわる情報の整理を行います。こうしたことから、サメ研究の一般啓蒙という直接的な効果とともに、いずれ未知の領域の研究につながるかもしれないヒントが生まれることも期待できるのです。
掲載する種の選定と軟骨魚類全般に関する監修は、メンバーの工樂樹洋(理化学研究所生命機能科学研究センター)と田中彰(日本板鰓類研究会会長)が行い、絶滅種の専門家からの個人的なアドバイスも反映します。日本近海を中心に世界のサメ・エイ類の進化を表現するにあたりベストと考えられるバランスで、絶滅種3、現生種48種(外群5種含む)ほど、全51種程度とします。
これらのイラストレーションは、古生物復元画家として活躍するとともに、大学で美術解剖学を教える画家で、メンバーの小田隆(大阪芸術大学准教授)が精緻なペン画を描きます。
系統樹は、種々の文献を参照しつつ検討を重ね採用した分岐年代について、総監修者の長谷川政美さん(進化生物学者)と検討後、インフォグラフィックスの専門家である坂野徹さん(金沢美術工芸大学准教授)に枝の長さが年代を表すように正確かつ美しく仕上げてもらいます。
全体のアートディレクションは、日本を代表するエディトリアルデザイナーの木村裕治さんに依頼して、研究室から家のリビングルームまで、さまざまな空間に飾っておきたくなるようなポスターを目指します。
全体の編集から発行までは、これまで「系統樹マンダラ」シリーズを制作した実績のある、メンバーの畠山泰英(科学バー/キウイラボ代表)が担当します。
上記のとおり、これまで実績のあるメンバーが制作に携わることで、既刊の「系統樹マンダラ」シリーズと同品質の【サメ編】ポスターの完成が見込まれます。「系統樹マンダラ」シリーズは、これまでに【真獣類編】【鳥類=恐竜編】【四足動物編】【霊長類編】【カメ編】が刊行されています。研究者をはじめ、学部生・院生、中・高の理科教員、生きものマニアなどコアな層からの評価が高く、国立科学博物館や大阪自然史博物館など国内外で評価の高いミュージアムショップで常時取り扱われているものです。
今回のクラウドファンディングでは、【サメ編】の制作費の一部をみなさまにご支援いただきたいと思っています。"アート&サイエンス"でどこまで美しいものを生み出せるか、という私たちのチャレンジへの応援をよろしくお願いいたします。
時期 | 計画 |
---|---|
2019年6月 | クラウドファンディングに挑戦 |
2019年9月下旬 | リターンの発送 |
小田隆氏が描いた生き物の細密画を印刷したポストカードをお送りします。今回のリターンは、系統樹マンダラ【サメ編】のために小田氏が描き下ろしたサメ類・エイ類・ギンザメ類から1種、過去に制作した【真獣類編】【鳥類=恐竜編】【四足動物編】【霊長類編】【カメ編】から2種、合計3種セットです。特定のイベントでしか手に入らないレアなポストカードですので、この機会にぜひご購入ください!
サメのポストカード(3枚セット)
13人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
みなさんにご支援いただいた資金で作成した「系統樹マンダラ【サメ編】」の折畳タイプ(A1サイズ)をお送りします。工樂樹洋氏と小田隆氏のサイン付きのクラウドファンディング・オリジナルバージョンです。表側には系統樹を、裏側には解説を記載する予定です。最先端の研究成果を含めたサメの系統樹を存分にお楽しみください!
系統樹マンダラ【サメ編】(サイン入り) / サメのポストカード(3枚セット)
165人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
制作メンバーの工樂樹洋と小田隆が登壇する支援者限定対談イベントにご招待いたします。2019年11月16日(土)の午後に人気のサイエンスカフェ「大人の科学バー」(東京・日本橋)の会場にて開催予定です。工樂のサメ愛溢れる研究にまつわるトークや、化石が残りにくいサメの絶滅種の復元画をどう描くのか?について専門家である小田のトークなど、系統樹マンダラ【サメ編】制作の裏話を聞ける機会となりますので、ぜひご応募ください!(なお当日お越しいただけない支援者の方々には、対談の様子を録画した動画をYoutubeの限定公開で配信いたします。)
トークイベント参加権 / 系統樹マンダラ【サメ編】(サイン入り) / サメのポストカード(3枚セット)
44人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
小田隆が系統樹マンダラ【サメ編】のために描き下ろしたイラストレーションの貴重なラフスケッチ。手書きの文字、監修者とのやり取りで修正した跡などが残り、紙が少し汚れていたりもするが、すべてを含めて、制作のプロセスを感じられる貴重なもの。サメ類、エイ類、ギンザメ類、絶滅種の中から、どの種のラフスケッチが届くかはお楽しみ。
サメのラフスケッチ(3枚セット) / トークイベント参加権 / 系統樹マンダラ【サメ編】(サイン入り) / サメのポストカード(3枚セット)
16人のサポーターが支援しています (限定 16 個)
マンダラに描かれている様々な生物の関係についての重要な基礎情報にもなっている分子系統樹を、 ノートパソコンだけを使って作成する実演会にご招待いたします。日時は2019年11月17日(日)の午後、場所は東京・日本橋を予定しています。世界に公開されたDNA情報に通常のインターネット経由でアクセスし、ウェブブラウザ上で操作するだけで、さまざまなサメ・エイの関係を推定することができます。ご自身のパソコンを持ち込んでいただき、制作メンバー工樂樹洋のガイドに従って、分子系統樹をつくる流れを直接体験していただきます。DNAを基礎から学びなおしたい方にも、サメ好きのさらに上をめざす方にもおススメです。
(プランB)DNAの基礎から研究手法まで学べるサメの系統樹作成実演会 / トークイベント参加権 / 系統樹マンダラ【サメ編】(サイン入り) / サメのポストカード(3枚セット)
2人のサポーターが支援しています (限定 10 個)
古生物復元画家として活躍しながら、美大で美術解剖学を教えるメンバーの小田隆が、今回【サメ編】全種を描き下ろした経験を踏まえ、サメ・エイ類をまるで生きているように
描くコツをワークショップ形式にて伝授します。日時は11月17日午後@東京・日本橋です。皆さまのご参加をお待ちしております。
(プランA)小田隆のサイエンスイラストレーション講座 / トークイベント参加権 / 系統樹マンダラ【サメ編】(サイン入り) / サメのポストカード(3枚セット)
5人のサポーターが支援しています (限定 10 個)
日本板鰓類研究会会長・田中彰とめぐる、東海大海洋科学博物館2時間ツアーにご招待いたします。日時は2019年9月29日(日)午後1時〜3時です。目の前で泳ぐシロワニ、ネムリブカ、トラザメ、エイ類を一緒に見ながら、生態や進化について詳しく解説いたします。また現在、アクアマリンふくしまと共同研究で飼育している貴重なラブカの赤ちゃんの実験水槽などを特別に見学。博物館学芸員も同行してバックヤードをご案内します。ぜひご参加ください!
田中彰先生と巡る東海大学海洋科学博物館2時間ツアー / DNAの基礎から研究手法まで学べるサメの系統樹作成実演会 / トークイベント参加権 / 系統樹マンダラ【サメ編】(サイン入り) / サメのポストカード(3枚セット)
1人のサポーターが支援しています (限定 3 個)
当サイトは SSL 暗号化通信に対応しております。入力した情報は安全に送信されます。
サメのポストカード(3枚セット)
13
人
が支援しています。
(数量制限なし)
系統樹マンダラ【サメ編】(サイン入り) 他
165
人
が支援しています。
(数量制限なし)
トークイベント参加権 他
44
人
が支援しています。
(数量制限なし)
サメのラフスケッチ(3枚セット) 他
16
人
が支援しています。
(限定 16 個)
(プランB)サメ・エイの系統樹作成実演会 他
2
人
が支援しています。
(限定 10 個)
(プランA)小田隆のサイエンスイラストレーション講座:まるで生きているようなサメ・エイ類を描けるようになる! 他
5
人
が支援しています。
(限定 10 個)
田中彰先生と巡る東海大学海洋科学博物館2時間ツアー 他
1
人
が支援しています。
(限定 3 個)