今月は、エッセンシャルオイルに関する研究成果をまとめた論文についてご報告致します。
私はこれまでエッセンシャルオイルに関する様々な研究を行ってきましたが、今回投稿・受理された論文はエッセンシャルオイルの5α-リダクターゼ阻害効果に関するものになります。
5α-リダクターゼは、テストステロンという物質をジヒドロテストステロンに変換します。変換されたジヒドロテストステロンは禿頭や肌荒れ、前立腺肥大などに関わると言われ、その阻害剤は医薬品としても利用されています。医薬品ほどの効果ではなく、マイルドに5α-リダクターゼを阻害する精油が見いだせれば、さほど有害作用を気にすることなく、精油をこれらの目的に使用できると考えています。
30種類ほどの精油を評価したところ、5種類の精油に5αーリダクターゼ阻害作用を見出しました。そこで、それらの精油に含まれる代表的な成分(化合物)についても評価したところ、ある成分に活性を見出しました。その成分に5α-リダクターゼ阻害作用があることはこれまで全く報告されておらず、その化合物に新しい効果を見出すことに成功しました。今回の結果は、「精油の効果」を物質レベルで明らかにしたものになります。
この論文は現在、編集委員会での最後の確認を受けており、近いうちに公開される予定です。なお、この論文はインターネット上に無料で公開されるため、興味をお持ちの方はどなたでも閲覧することが可能です。詳しいことをお知りになりたい方は、私までご連絡頂けますと幸いです(ryu_suzu@josai.ac.jp)。