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「囚人と帽子のパズル」の無限化を通して、新たな数学の公理を作る

静間 荘司

大阪府立大学、博士課程3年

挑戦期間

2023/01/02 - 2024/03/29

最終活動報告

2023/01/14 20:52:08

活動報告

3回

サポーター

20人

経過時間

2023/01/02 10:00:00

挑戦者の自己紹介

静間 荘司

高校まで数学は赤点ばかりでしたが、大学では数学をきちんと学び直すことに決め、数学科へ進学しました(その経緯はこちらに)。そして数学基礎論・数理論理学や公理的集合論への興味からの修士課程への進学、そして帽子パズルに出会いました。修士修了後はプログラマとして就職しましたが、ある日帽子パズルの定理を証明したことから、退職と博士課程進学を決意しました。コロナ禍もあり現在休学中と紆余曲折あった博士課程ですが、研究やアウトリーチ含めたこれまでの数学生活の総仕上げとなる1年間にしたいので、ご支援のほどよろしくお願いいたします。

あなたが研究を通して成し遂げたいことはなんですか?

高校数学の集合という単元を覚えていますか?数学には数、方程式や関数、図形や空間などさまざまな概念がありますが、ほとんどは実は集合を用いて表現することができます。すると集合について議論するための前提となるルール、つまり集合論の公理とは数学の公理とも捉えることが可能です。

集合論の公理にはいくつか種類がありますが、数学内で最も有名なものはZFC公理系(公理系は公理の集まりの意)で、強力な定理を導出できることで有名な選択公理(AC)も含まれています。現代数学は数学者が好きに公理を設定して理論を展開できる自由さがあり、そんな公理化した集合論について研究する分野が公理的集合論です。

公理的集合論は特に無限に関心があり、まだまだ無限に関する未解決問題ばかりですが、さまざまな集合論の公理は数学者によってブラッシュアップされてきた歴史があり、無限の大きさや無限同士の関係性についての知見を私たちに与えてくれます。現代の、そして後世の数学者がたくさん使用・言及するような、集合論の公理を生み出し提示すること、それが集合論を学び楽しんできた私の、研究を通して成し遂げたいことです。

どのようなプロセスで実現しようとしていますか?

修士2年から「囚人と帽子のパズルの無限化」というテーマに取り組んでいます。これは色付き帽子を被った囚人が、自身の帽子の色を言い当てるゲームに挑む有名なパズルであり、そんなパズルで囚人たちが無限にいれば戦略や勝敗はどうなるのかを、公理的集合論を応用して研究しています。研究紹介ノートを書いてみたので是非ご覧ください。

無限帽子パズル研究がなぜ数学の公理につながるのかは、決定性公理(AD)で説明できます。ADはチェスの研究から始まり、チェスを抽象化したゲームを研究することで生まれた、必勝戦略存在性に関する主張です。ADはACとは矛盾するため公理として同時採用はできませんが、AC、ADどちらを採用しても豊かな数学が展開できます。

無限帽子パズルへの主張をADのように公理として採用すれば、新たな定理を生み出す数学が誕生するかもしれません。帽子パズルについての論文も既に多く出版されており、私も雑誌『数学セミナー』2021年7月号での記事執筆経験でパズルへの理解は深まっています。この経験を活かして上の目的を達成します。

現在取り組んでいる研究課題はなんですか?

3つの課題に同時に取り組んでいきます。

1. 帽子パズル分析プログラムの開発
有限な帽子パズルは数学や他分野からも注目されていますが、計算量が多く総当たりのような単純なプログラムでは分析はいつまでも終わりません。無限な帽子パズル研究では有限パズルの結果を応用することも多々あり、それを手助けするツールは必須です。そんなツールを帽子パズルへの知識とプログラマ経験を活かして開発します。

2. 他パズルの無限化
以前に「悪魔のチェス盤パズル」の無限化を試みており、その研究結果で既に1つ論文を書いています。この体験を基にパズル無限化と集合論の応用力をさらに身につけます。

3. ACと帽子パズル
D1にて嘉田先生と共著した論文は、様々な設定のパズルたちの戦略存在命題の同値性やそんな命題にも階層があることが分かりました。そして査読者からACとの関係性を指摘されています。この結果をさらに分析し、公理と帽子パズルの関係の調査をさらに進めていきます。

なぜacademistに挑戦していますか?

独学はもちろんのこと、対面での数学の共有で成長してきた私は、これまで学内ゼミや研究集会だけでなく学外活動にも積極的に関わってきました。コロナ禍でそんな活動たちが消滅、または縮小した状況に対して、私や私のような人たちのためにスペースがあればと、2022年春に大阪なんばの街中に小さな部屋を借り「SOU数学ラボ」と名づけました。現在はこの場所での研究はもちろんのこと、大人の方への大学数学の個人レッスン、そして中高生向けの数学塾、そして毎週開催の数学関係の3つの勉強会を運営しています。このスペースの始動後はさまざまな方からの刺激があり、意欲や進捗もより増しています。

2023年は諸活動の参加者やacademist支援者の方々のご協力のもと、数学を学んだ私が社会とどのように関わっていけるかを見定めるための1年にします。本プロジェクトでのご支援金は活動費や文献購入費、出張費など幅広く使用し、それゆえに研究だけでなく数学に関わる全ての事柄について活動報告させていただきます!

推薦者コメント

嘉田勝
大阪公立大学大学院理学研究科 准教授

帽子パズルと聞くと単純な遊びのように思えますが、実は興味深い数学の研究対象です。とりわけ、無限に拡張された帽子パズルは、無限集合の世界に不可思議な数学的現象をもたらす選択公理の強力さを際立たせてくれます。私自身も、静間荘司さんとの共同研究によって、帽子パズルと選択公理の意外なつながりを思い知りました。静間さんの旺盛な知的好奇心とチャレンジ精神によって、帽子パズルを突破口として、集合論の新たな地平が開かれることを期待しています。

藤田博司
愛媛大学大学院理工学研究科 特任講師

静間荘司さんは大阪公立大学大学院で公理的集合論の応用分野を研究する傍ら、国内のさまざまな数学イベントに積極的に参加し、また自ら大阪なんばを拠点に市井での数学のアウトリ-チ活動をなさっています。国民の数学力が国力を決めるとまで言われる21世紀、数学に対する市民の理解・関心の向上を図る活動の重要性がいままでになく高まっています。すべての人々の知性を向上させ新しい時代を切り拓くために、静間さんの今後の活動に大いに期待し、ここに推薦いたします。

南裕明
愛知学院大学教養部 講師

「囚人と帽子パズル」は数学、コンピュータ科学、哲学などさまざまな観点から研究されている興味深い問題です。静間さんはこのパズルの無限への拡張を研究し、有限の場合の分析プログラムの開発を試みています。
アウトリーチ活動にも熱心で、「SOU数学ラボ」を立ち上げ色々な年代や背景を持つ人への教育活動や勉強会を開催しています。そんな「仕組み」を作って知の交流を行う静間さんを、教育や研究に携わるものとして、また帽子パズル愛好家として応援しています。

梶浦大起
大阪商業大学総合経営学部経営学科 助教

現代では,数学を社会に還元し広める活動は非常に重要視されています。しかし,数学は研究が進み,理論が洗練されていくほどに,高度に抽象化されていき「浮世離れ」していくため,社会に還元することが難しくなります。特に,静間さんの扱う集合論は数学者にすら浮世離れしていると思われがちな分野です。静間さんはそんな浮世離れした研究を浮世(社会)に広める挑戦をしています。academistは,そんな挑戦の第一歩です。皆さんも応援していただけると幸いです。

山川進二
兵庫県立大学高度産業科学技術研究所 助教

静間さんとは高校時代からの付き合いですが、その時分は赤点ギリギリで数学が好きという感じはありませんでした。それが大学時代から何かに取り憑かれたように数学基礎論、特に無限の話にのめり込んでいきました。大学卒業後も仕事をしながら博士課程まで進学しており、その熱意に驚かされます。最近は数学教室を開催し布教活動も行うなど、数学を軸としていろいろな活動をされています。そんな静間さんに、皆様のご支援をよろしくお願いいたします。

研究計画

時期 計画
2023年1月 月額支援型クラウドファンディング開始
2023年4月 復学と研究の本格再開
2023年10月 論文執筆開始
2024年3月 博士課程修了&月額支援型クラウドファンディング終了

リターンの説明

330 円/月 (税込)

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12人が支援しています。

(数量制限なし)

1,100 円/月 (税込)

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5人が支援しています。

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3,300 円/月 (税込)

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3人が支援しています。

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このプロジェクトは月額課金型のクラウドファンディングです。ご支援いただいた月から毎月末日に決済が発生いたします。
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