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渡邉文隆

京都大学、研究員

挑戦期間

2022/11/01 - 2025/03/31

最終活動報告

2024/11/11 22:34:23

活動報告

51回

サポーター

42人

経過時間

2022/11/01 10:00:00

#40 「失敗」事例から考える起業家精神と寄付市場

今回の「研究への寄付募集」の研究では、現在2件のプロジェクトが進行しています。

そのプロジェクトよりも少し時間的に早くスタートしたパイロットプロジェクトとしてのアクションリサーチでは、成果としての寄付募集の成功が、本研究で使った理論(制約理論、EBMgt)通りの打ち手からではなく、別の打ち手から生じたケースがありました。

一言でいえば、それは既存の活動を制約理論やEBMgtの活用でより生産的にしていくということではなく、「機会の発見」によって全く新しい市場にアプローチすることで達成されたものでした。

これはアクションリサーチとしては「失敗」に見えることでもありますが、ファンドレイジングという活動のおもしろさを実感し、非常にエキサイティングな体験をしたと感じています。

つまり、寄付市場のうち、既にリーチできている人々により生産的にアプローチしていくのではなく、別の人々(寄付したいと潜在的には思っている人々)をわずかな兆しから見つけ出して、失敗のリスクを冒してその人々にリーチするという成功事例が見いだされたわけです。

改めて、寄付市場というものの奥深さに触れましたし、直観的に感じていた、「寄付募集にはアントレプレナーシップ(起業家精神)研究の知見が必要そうだ」という思いを裏付ける経験でした。

寄付市場があらためて新規参入者に対して優しい市場であることも感じました。

ですが、寄付市場は実は様々な無形の資本―たとえば規範や文化といったものに支えられています。

市場というと、経済学では需要と供給を瞬時にマッチングする機能として無色透明な存在として捉えられてきた面がありますが、それを具体的な「場」として捉える見方も存在します。

(詳しくは、丸山雅祥著『市場の世界』をご覧ください!マーケティング分野の研究に関心のある方には絶対オススメの本です)

場として捉えたとき、起業家的なファンドレイザーを受け入れてくれる寄付市場が存続するにはどういう条件が必要なのか、まずはもう少し基礎的な検討として、「市場」を場として考える論考を先日執筆しました。

その中身を少しだけ、7月3日に発表します。いま所属している、京大の社会的共通資本と未来寄附研究部門の、活動報告/ご寄付説明会「文月:市場を考える」でお話をします。
https://scc-20240703.peatix.com/view

無料でのオンライン開催ですので、よければご参加ください。
「市場」って何なのかな、という問いをまず探求してから寄付市場について考える、といったステップを刻んでいることがよくご理解いただけると思います。

それでは、梅雨の真っ最中ですが、どうぞ良い日々を。

Fumitaka Watanabe 2024/06/30 22:55:59
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