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「研究への寄付募集」の研究で、日本の大学の10年後を変える

月額支援型 academist Prize 2nd 採択

渡邉文隆

京都大学、研究員

挑戦期間

2022/11/01 - 2024/08/30

最終活動報告

2024/04/05 19:28:21

活動報告

43回

サポーター

43人

経過時間

2022/11/01 10:00:00

#16 academistさんのイベントでの受賞/本PJの理論的背景

2月27日にacademistさんのイベントが開催され、現地参加して参りました。

ありがたいことに、ベストパフォーマンス賞と、ベストアウトリーチ賞をいただきました。

私の研究テーマは、「研究への資金調達の研究」であり、学術研究を応援したいという人にとっては、「間接的」な趣旨です。従って、基本的には不利なプロジェクトだと認識しています。

一方で、間接的であるからこそ、多くの研究プロジェクトに対しての波及効果がある、とも言えます。

今回は、受賞の報告に加えて、このプロジェクトの理論的な背景をご説明しようと思います。

本プロジェクトの理論的な背景は、宇沢弘文先生の「社会的共通資本」にあります。

宇沢先生ご自身が「社会的共通資本のサービスは公共財の一種(宇沢, 2015)」という説明をされていますが、公共財を直接寄付によって供給しようとすると、いくら寄付があっても足りない、という状況になってしまうと考えています。

社会的共通資本はサービスとしての公共財を生み出すことのできる装置であり、そこに寄付という資金を投資するという方法もあってよいと私は考えています。

例えていうならば、100万円を、素手で魚を取ることに投じるのが「寄付を直接公共財の供給に使う」という選択肢で、100万円で漁船をつくるのが「寄付を、公共財を提供できる装置に使う」という選択肢です。

社会的共通資本を整備するための財源は、これまでほとんど税金によって賄われていました。

社会的共通資本を管理する組織は、財源において国などに依存する状態だったわけです。

このような状態では、宇沢先生のいう官僚的な支配からの脱却はおぼつかないと言わざるを得ません。

しかし、もしも社会的共通資本を管理する組織が、効果的に寄付を募集できる能力を身につけたらどうなるでしょう。

これによって、宇沢先生の描いた理想に近づけるのではないか、という予測が私の中にあります。(これを仮説Aとします)

一方で、寄付はあくまで市場メカニズムによる資金の配分という側面があり、それに任せることは社会的共通資本の望ましい在り方と反するのかもしれないとも思います。(これを仮説Bとします)

どちらにも相応の根拠があるような2つの対立する仮説がある、という状況は、おそらく多くの研究者が好むものです。

どちらに転んでも有意義な示唆が得られるからです。

私は、仮説Aに従ってこのプロジェクトを行っています。
(仮説Bを検証できるアプローチは別途一生懸命考えているところです)

今回のacademist Prizeは、仮説Aに対して多くの人の理解や支援が得られるか、を考える上で重要なものでした。

少なくとも、「公共財そのものへの支援ではなく、公共財を生み出す装置への支援という選択肢もある」というメッセージを出した時に、一定の支持が得られる可能性は感じたところです。

このように、自分の研究が実務的にどう重要であるかを考える一方で、理論的にどう貢献できるのか、についても目配りが必要だと考えております。

10年後まで私が研究を続けられたら、仮説AかBのどちらが妥当であるかも、きっと明らかになっていると思います。

そのプロセスを、わくわくしながら皆様と一緒に共有できればと思っております。

<お知らせ>
社会的共通資本について考える寄付研究部門が、京都大学に設置されました。

ホームページもつい最近開設されましたので、ご関心のある方はぜひご覧ください!

https://sccf.ifohs.kyoto-u.ac.jp/ja/

Fumitaka Watanabe 2023/02/28 22:38:34
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