academist 2020年12月レポート
「ルネサンス」の終焉?:ルネサンス期イタリアにおける政治思想の転換点
1. 15世紀前半の「市民的」人文主義者と君主鑑
以前のレポートでルネサンス時代を読み解く一つのテーマとして、「人文主義」(humanism)を取り上げましたが、今回はその中でも重要な論点となってくる君主・指導者の素質をめぐる議論について書いていきたいと思い
ルネサンス期イタリアの城塞都市
1. ウンブリアやトスカーナの自然の要塞
唐突な話になりますが、私は、山城が好きです。それは、日本のもの、ヨーロッパのもの関係なく、森永製菓のロングセラーキャラメル・ハイソフトのおまけについている「日本の名城」シリーズのカードも帰国のたびに集めるほどです。現在、博士論文で扱う予定のウンブリアの諸都市も地の利を生かした立派な城塞都市であることが多く、史料調査のた
Academist 10月レポート
2020年10月 史料調査記録
1. 部分的ロックダウンとなった2020年10月イタリア
今回のレポートは、題名通り2020年10月に決行した史料調査について書いていきたいと思います。私は、2020年10月26日深夜から31日深夜まで、ウンブリア四都市を回るという調査旅行を計画しました。最初の二都市であるトーディとスポレートでは、史料調
academist 2020年9月レポート
「人文主義」(ヒューマニズム)とは何か?:ルネサンス時代を読み解く一つの概念
1. 「人文主義」(ヒューマニズム)ってよく聞くけど…
そういえば、私の過去のレポートで幾度となく触れている「人文主義」(ヒューマニズム)について詳しく説明したことがあっただろうか、とふと思ったので、今月のレポートでは、このルネサンス期を語る概念について書い
「ルネサンス期の宮廷とは?」
1. 「宮廷」のイメージ
まず「宮廷」と聞いてどのようなイメージが浮かぶでしょうか?一番日本で馴染みがあるのは、フランスのヴェルサイユ宮廷かもしれません。また日本でも19世紀後半まで天皇が京都御所にいましたが、その場合、「宮中」といった方がしっくりくるかもしれません。今月のレポートでは、ヨーロッパの宮廷の変遷を振り返った後にルネサンス期の宮廷について書い
近代イタリア・モードの創始者ローザ・ジェノーニ
1. 政治とファッションについて
このacademistのレポートを読み続けてくださっている方にはお分かりかもしれませんが、私のレポートでは時々ファッションのことが登場します。私の専門はルネサンス期イタリア政治史であり、15世紀末教会国家におけるイタリア・ウンブリア地方都市の行政について博士論文を書くという方向性は変わっていないのですが、
Academist 2020年6月レポート
愛国心と自由をめぐる議論:15世紀初頭のフィレンツェの事例より
1. 世界中で巻き起こったBlack Lives Matter運動
2020年5月25日、ミソネタ州ミネアポリスの路上で、白人警官が、黒人男性ジョージ・フロイド氏の首を肘で8分46秒間押さえつけ、殺しました。この様子は、通行人の少女によって撮影され、インターネット上
academist 2020年5月レポート
「書評:徳井淑子『黒の服飾史』河出書房新社、2019年」
1. なぜ黒に惹かれたのか
2019年1月から続けており、今回で17回目になるacademistのレポート。月額型のクラウドファンディングを始めるにあたり、初めに担当の方と打ち合わせをしたのですが、その時に、研究内容の他に、研究書の紹介の回があってもいいかもと話していたのを思い出しまし
なぜロミオとジュリエットの家は喧嘩しているのか:
イタリアにおける党派抗争について
1. 敵対するロミオとジュリエットの家
academistの2-3月のレポートは、予定を変更してコロナウイルス関係のものになってしまいましたが、今月は通常のイタリア史についてのレポートに戻ります。なおイタリアでは約2か月間のロックダウンが5月上旬から、段階的に緩和されていく予定ですが、それでも予
academist 3月レポート
「イタリアという「国家」を目撃した2020年3月」
1. 2020年3月
先月に引き続き、残念ながら、イタリアの状況は良くなるどころか、どんどん悪化の一途をたどっています。それどころか、毎日のように死者数が増え続け、全く先の見通しが立たない状況。先月、ボッカチオの話をしていたのが、呑気に思われるほどです。正確なニュースや数字などは、すでに日本語
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