学術系クラウドファンディングサイト「academist(アカデミスト)」
JP | EN
シェア ポスト
小柳 璃紗
ケンブリッジ大学 学部1年
支援総額: 16,000 円
目標金額: 750,000 円
達成率
2 %
サポーター
3
残り時間
58
プロジェクトの支援に進む
挑戦者の自己紹介

小柳 璃紗

ケンブリッジ大学 人文社会政治学専攻。高校時代から福島に通い始め、今年で6年になります。いわき、浪江、双葉、南相馬。避難した住民の方々や、町や市の担当者への聞き取りを重ねるうちに、気がついたことがあります。何が「安全」かを決める言葉と数値が、確かめる手立てのないまま、先に決まっていく。この気づきが、研究のすべての出発点です。現在は、月面に置かれる原子炉を「誰が検証するのか」という制度の問いを研究しています。

単著論文がData for Policy 2026(バルセロナ、Cambridge University Press)と国際宇宙会議(IAC 2026、トルコ)に計4本採択。ウィーン軍縮不拡散センター メンティー。Cambridge Centre for International Research、Cambridge Future Scholar。JAXA ISEB派遣学生。Space Generation Advisory Council, SG[Japan] 宇宙政策プロジェクトチームリーダー。Effective Thesis フェロー。

あなたが研究を通して成し遂げたいことはなんですか?

2011年3月11日、福島。住民も、町の職員も、国の担当者も、みな手探りでした。安全かどうかを判断する言葉と数値が、確かめる手立てのないまま、先に決まっていく。私が見ていたのは、出来事そのものより、それを名づける言葉がどこで決まるかのほうが、人々のその後を左右する、という構図でした。

同じ問いが、いま月に向かっています。NASAは2030年までの月面原子炉設置を目標に計画を進めています。要件は、人の介入なしに10年間動き続ける自律運転。中国とロシアも続きます。ところが月では、炉に何が起きたのかを公式に確定できるのは、運用国自身の申告だけです。異常が起きても、それが故障なのかサイバー攻撃なのかを確かめ、正式な記録として認定する仕組みが、どこにもありません。これはSFの話ではありません。米国主導のアルテミス合意には、先に炉を置いた国が実質的な立ち入り制限をもたらしうる「安全地帯(Safety Zones)」を宣言できる、とすでに書かれています。

私が目指すのは、運用国の自己申告に頼らず、独立した立場が月面炉の異常を認定できる制度です。その設計図を、最初の炉が置かれる前に示すこと。何を「安全」と呼ぶかを決める権限を、誰にも独占させないこと。それが私の研究の目的です。

どのようなアプローチで実現しようとしていますか?

月には、炉を独立に検証する仕組みがありません。熱や放射線を遠くから観測する技術は存在するのに、その観測を「異常」と認定し、正式な記録として確定する制度がないのです。1992年の国連原則も、2009年のIAEAとCOPUOSの安全枠組みも、重心は打ち上げ前の審査にあり、動きはじめた炉を誰が検証するのかは書かれていません。炉を認可するのは、運用する国自身というのが現状です。

しかも、最初の炉の検証方式が、以後のすべての標準になります。「運用国の自己申告で足りる」という方式が一度固まれば、あとから覆すことは非常に困難です。つまり、検証の制度を設計できるのは、配備の前だけなのです。

では、どう設計するのか。まず、公式の記録がつくられる場面を一次資料で追い、誰の言葉が採用され、誰の話が落ちたのかを特定します。たとえば私は、国家が関与したサイバー攻撃36件を一件ずつ符号化し、技術的な証拠がほぼ同じでも、犯人を名指すかどうかは相手国との政治的関係で動くことを示しました。同じ手法でアルテミス合意とILRSの公式文書を突き合わせる比較を終え、「平和利用」という言葉が実際に誰へ権限を渡しているのかを論文にまとめています。

同時に、研究を机上で終わらせないために、実装の現場でこの議論を政策提言へつないでいきます。現在は、Space Generation Advisory Council日本支部の宇宙政策チームリーダーとして、軌道上サービスやデブリ除去など、技術者が日々定めている運用手順を出発点にしたワークショップを設計・運営しています。この7月にはJAXA等の後援で、世界から約40人の若手実務家・研究者が集まる国際イベントも開催しました。さらに、国際コンペティションで宇宙安全保障の研究プラットフォーム案が採択されるなど、発信の場を広げています。規制する人、運用する人、影響を受ける人。立場の違う相手と対話しながら、研究と実装の橋を架けていくのが私のやり方です。

今回のプロジェクトで行う研究テーマはなんですか?

本研究では、月面炉の「安全」を解釈する権限をどこに置くのが最も頑健か、明らかにしていきます。検証の仕組みとして検討しうる候補は4つあります。

・IAEAの保障措置(査察の仕組み)を月面へ拡張する案
・国連宇宙空間平和利用委員会(COPUOS)で新しい議定書をつくる案
・軍備管理にならい、当事国どうしが互いを観測し合う案
・説明責任の条件を課したうえで、民間の第三者が検証を担う案

これらを、機能する検証制度が満たすべき4つの条件に照らして評価します。

・判定者が、異常が起きる前から決まっているか
・判定者が、判定される当事者から独立しているか
・判定者が、拘束される側に対して説明責任を負っているか
・検証が、運用者自身にとって「疑いを晴らす手段」として働くか

4つ目は、本研究が新しく加える条件です。自己申告しかない環境で異常が起きたとき、運用者は「故障であって攻撃ではない」と証明する手段を持ちません。会計監査や航空事故調査がそうであるように、機能している検証制度は、検証される側にとっての信用と免責の装置でもあります。独立の検証は、運用者を縛る監視ではなく、運用者を守る保険にもなります。この条件を欠く制度案は、どれほど正しくても採用されない、というのが本研究の見立てです。

評価には3つの試金石を置きます。第一に、宇宙の原子炉の異常をめぐって公式記録が実際に争われた唯一の先例である、1978年のコスモス954再突入。第二に、2031年に予定されている地球周回軌道炉。第三に、テレメトリが途絶えた直後の72時間に誰が何を言う資格を持つのかを、4つの案それぞれで書き下ろす「最初の異常の72時間」シナリオです。採点はすべて一次資料に紐づけて、誰でも検証できる形にします。

研究成果は、4つの制度選択肢の比較表と72時間シナリオとして、2026年11月に本ページで公開します。さらに、その結果を、ブリュッセルで開かれるEU不拡散・軍縮コンソーシアム(EUNPDC)の年次会議の場で共有し、提言として発信していきます。

研究費サポートのお願い

学部生の私は、科研費のような公的な研究費に応募できません。研究は奨学金と自己資金で続けてきました。いま、筆頭論文4本が国際会議に採択され、9月にバルセロナ、10月にトルコで発表が決まっています。IACはISEB派遣学生としてJAXAの支援を受けられますが、バルセロナは自己負担です。

皆さまからのご支援は、バルセロナでの発表、IACへの参加、AI計算資源ガバナンス研究の国際会議投稿、一次資料の収集に使わせていただきます。

そして、お金と同じくらいお願いしたいことがあります。それは、この問いを一緒に考えていただくことです。この問いが抽象的に聞こえるとしたら、一番の理由は、まだ実装されていないからです。前例のない制度の話は、議論されて初めて具体的になります。「その検証者は、本当に独立と言えるのか」「世界はこの空白にどう向き合うべきか」。そうした皆さまの疑問や反論こそが、比較表を鍛え、提言を現実に近づけます。進み方も、つまずきも、包み隠さずお伝えします。どうか、一緒に考えてください。ご支援とご協力を、よろしくお願いいたします。

推薦者コメント

ハラルド・ヴィドラ
ケンブリッジ大学 政治学教授 セント・キャサリンズ・カレッジ

小柳さんは輝かしい若手研究者であり、知的に柔軟な思考の持ち主であり、洗練された書き手でもあります。ケンブリッジで22年間にわたり学部生や大学院生を指導してきた中で、学術的探求に対してこれほど思慮深く、モチベーションが高く、真摯に向き合う学生には滅多に出会ったことがありません。何よりも素晴らしいのは、彼女が自発的かつ批判的な視点から、極めて野心的な研究プロジェクトを立ち上げた点にあります。本プロジェクトは月面ガバナンスの将来、とりわけ米中の月探査計画における戦略と目標に着目したものです。彼女はすでに米中の月探査計画に関する公表文書を膨大な量にわたってコーディング・分析しています。その理論的野心は正当性に関する広範な関連概念をカバーしており、入念かつ包括的な証拠に基づく調査によってしっかりと裏付けられています。彼女の非常に高い志は、静かな自信と謙虚な態度を伴っています。社交性も極めて高く発展しており、素晴らしい存在となってくれるでしょう。私は極めて熱意を持って、何一つためらうことなく彼女を推薦いたします。

東 大作
上智大学グローバル教育センター教授 上智大学国際関係研究所長

小柳璃紗さんは、極めて高い志と熱意をもって勉学に励まれ、それを今後の研究に活かそうとされています。特に、地球上で起きてきた軍事紛争をどう終結させ、持続的な平和を作るかという課題についての研究の蓄積を、今後、宇宙の平和利用に向けた国際的ルール作りに活かそうとする、小柳さんの現在の研究テーマは、人類にとって最大の課題の一つと考えています。そして宇宙の平和的活用を巡る国際的ルールを確立できれば、人類の将来にとって極めて大きな意義があります。小柳さんは、既に世界各地の学会でも、ご自身の研究を発表する機会を得ており、日本人の若い学生が、ケンブリッジ大学のような世界的に著名な大学で、このように世界的意義のある研究を行うことは、日本にとっても世界にとっても極めて貴重でかつ稀なことであり、これを多くの人が支援して下さること、心から願っています。

研究計画

時期 計画

2026年8月上旬

福島(いわき市、浪江町、双葉町、南相馬市)でフィールドワークを実施(8月3日〜7日)。避難指示解除から時間が経った現場を記録

2026年8月中旬

計算資源ガバナンスの共著研究として、IAEA査察・EU排出量取引・バーゼル銀行監督を比較した証拠表を作成済み

2026年8月下旬

国際宇宙会議(IAC2026)で発表する3本の論文を完成(アルテミス合意とILRSの比較コーディングは完了済み)

2026年9月

Data for Policy 2026(バルセロナ)でサイバー攻撃36件の分析を発表

2026年10月

JAXA ISEB派遣学生として、国際宇宙会議(IAC2026、トルコ)に出席し、単著3本、共著論文1本を発表。AI計算資源ガバナンスの共著メモを公開

リターンの説明

リターンの金額に加え、追加支援をすることができます。追加支援分には消費税がかかりません。
1,100 円 (税込)
注目のリターン : お礼のメッセージ

メールでお礼のメッセージをお送りします。
このリターン実施は2026年11月を予定しています。

リターン内容

お礼のメッセージ

支援する

1人のサポーターが支援しています (数量制限なし)

5,500 円 (税込)
注目のリターン : 福島フィールドワーク・レター

2026年8月に実施した福島(いわき・浪江・双葉・南相馬)でのフィールドワークの記録を、現地写真つきの限定レターとしてお届けします。資料館の展示がどう書き換えられてきたか、現地で何を見て何を考えたか、研究の原点を、支援者の皆さまにだけお見せします

リターン内容

福島フィールドワーク・レター / お礼のメッセージ

支援する

1人のサポーターが支援しています (数量制限なし)

11,000 円 (税込)
注目のリターン : 研究報告レポートにお名前掲載

academist Journalに寄稿する研究報告レポートに、サポーターとしてお名前を掲載します。

リターン内容

研究報告レポートにお名前掲載 / お礼のメッセージ / 福島フィールドワーク・レター

支援する

1人のサポーターが支援しています (数量制限なし)

33,000 円 (税込)
注目のリターン : 国際会議の現地レポート+発表資料の事前共有

9月のData for Policy 2026(バルセロナ)と10月の国際宇宙会議(IAC 2026、トルコ)の発表スライドを、発表前に支援者限定で共有します。あわせて、両会議の現地レポート(会場の空気、質疑で何を突かれたか、他の研究者との議論)をお届けします。学会に「同行」する体験を。

リターン内容

国際会議の現地レポート+発表資料の事前共有 / お礼のメッセージ / 福島フィールドワーク・レター / 研究報告レポートにお名前掲載

支援する

0人のサポーターが支援しています (数量制限なし)

55,000 円 (税込)
注目のリターン : オンライン研究会(少人数)

月面原子炉の検証を誰が担うのか——4つの制度選択肢の比較結果を、公開に先立って少人数のオンライン研究会でお話しします。質疑・反論の時間をたっぷり取ります。皆さまの疑問が、この研究を鍛えます(1時間程度、日程は個別調整)。

リターン内容

オンライン研究会(少人数) / お礼のメッセージ / 福島フィールドワーク・レター / 研究報告レポートにお名前掲載 / 国際会議の現地レポート+発表資料の事前共有

支援する

0人のサポーターが支援しています (数量制限なし)

110,000 円 (税込)
注目のリターン : 個別ブリーフィング

本研究について個別にディスカッションする機会を設けます。具体的な内容や日程は個別にご相談いたします。
このリターン実施は2026年11月を予定しています。

リターン内容

個別ブリーフィング / お礼のメッセージ / 福島フィールドワーク・レター / 研究報告レポートにお名前掲載 / オンライン研究会(少人数) / 国際会議の現地レポート+発表資料の事前共有

支援する

0人のサポーターが支援しています (数量制限なし)

このプロジェクトは、 2026年09月01日(火) 10時00分 から 2026年10月29日(木) 17時00分 までの間に目標金額750,000円を達成した場合のみ、決済が確定します。
お支払について
お支払にはクレジットカード、銀行振込、コンビニ決済、Pay-easy、PayPalをご利用頂けます。
visa master jcb amex diners
追加支援について
リターンの金額に加え、追加支援をすることができます。追加支援分には消費税がかかりません。
セキュリティについて

当サイトは SSL 暗号化通信に対応しております。入力した情報は安全に送信されます。

1,100 円(税込)

お礼のメッセージ

支援する

1 人 が支援しています。
(数量制限なし)

5,500 円(税込)

福島フィールドワーク・レター

支援する

1 人 が支援しています。
(数量制限なし)

11,000 円(税込)

研究報告レポートにお名前掲載

支援する

1 人 が支援しています。
(数量制限なし)

33,000 円(税込)

国際会議の現地レポート+発表資料の事前共有

支援する

0 人 が支援しています。
(数量制限なし)

55,000 円(税込)

オンライン研究会(少人数)

支援する

0 人 が支援しています。
(数量制限なし)

110,000 円(税込)

個別ブリーフィング

支援する

0 人 が支援しています。
(数量制限なし)

注目のプロジェクト一覧
Copyright © academist, Inc. All rights Reserved.