閻 美輪
文化人類学を専攻し、2020年から、日本で暮らす中国出身の若者たちの日常に身を置いてきました。ともに食べ、歩き、働き、笑うなかで見えてきたのは、中国から日本への移動の経験が、語りだけでなく、声の大きさや視線、沈黙、言語の切り替え、他者との距離にも現れることです。
こうした身体の小さな調整には、築いてきた愛着や関係とともに、社会で誰が安心して声を出せるのかが映し出されています。私は、一人ひとりを「中国人」「外国人」の代表としてではなく、迷い、働き、誰かを愛し、未来をつくる等身大の人として描きたいと考えています。私自身も17歳で中国から来た一人として、語りとふるまいを照らし合わせ、生活が見える民族誌を通して、共に生きる社会の姿を伝えていきます。
私が研究を通して成し遂げたいのは、誰もが自分の出身や背景を語るとき、結びつけられるカテゴリーを恐れて、あらかじめ身構えなくてもよい社会への道筋を示すことです。
日本で長く暮らす中国出身者は、働き、学び、家族や友人との関係を築き、すでに日本社会の日常をともにつくっています。しかし、その一人ひとりの生活は見えないまま、「中国人」「外国人」「高度人材」といった言葉だけが先に意味を与えがちです。国際関係やメディア言説が緊張すると、出身を告げること、母語を話すこと、名前を名乗ることさえ、相手の反応を予測してから行う振る舞いになり得ます。
私は、こうした小さな身構えが誰に、どの場面で求められているのかを明らかにしたいと考えています。共生とは、外国人を一方的に「受け入れる」ことでも、差異を消すことでもありません。異なる記憶や愛着をもつ人びとが、沈黙によって安全を確保せずとも、同じ社会の担い手として声を出せる条件を考え直すことを目指しています。
文化人類学の参与観察と民族誌という方法を用います。民族誌は、人びとに質問して回答を集めるだけではありません。調査する私自身も相手の日常に身を置き、食事や移動、仕事、会話、余暇をともにしながら、本人もまだ言葉になっていない経験を時間をかけて捉える方法です。
私は2020年から、日本で暮らす中国出身の若者たちと関係を築き、対面の生活とWeChat、小紅書などのデジタル空間を往復しながら調査してきました。私が注目するのは、語られた意見だけでなく、声を小さくする、言語を切り替える、視線を読む、沈黙する、名前や出身を告げる前に一瞬ためらう、といった身体の調整です。
さらに、反復的な聞き取りと、同意を得たうえでの写真・映像記録を組み合わせ、これらの調整がどのような記憶、人間関係、メディア情報、場所への愛着から生まれるのかを追います。移住者を「理解される対象」ではなく、日本社会を捉え直す知を生み出す主体として描くことが、この研究の基本姿勢です。
今回のプロジェクトでは、日本で長期的に暮らす中国出身の若者が、どのような場面で自分が「中国人」「外国人」と見なされる可能性を感じ取り、身体のふるまいを調整しているのかを明らかにします。
公共空間、職場、友人との会話、食事、余暇、SNSでの発信に同行・参与し、声の大きさや言語選択、視線、沈黙、姿勢、距離の取り方を記録していきます。
さらに、同じ研究協力者への反復的なライフヒストリー・インタビューを行い、現在の小さな身構えが、来日後の経験、家族関係、将来設計、日本と中国への愛着とどう結びついているかを追跡します。WeChatや小紅書で触れる情報と、対面場面でのふるまいも照合します。同意を得た場合には写真・映像を用い、言葉だけでは捉えにくい身体経験を記録します。
成果は論文だけに閉じず、研究協力者と公開範囲や表現を確認しながら、写真・映像と対話型ワークショップとして共有します。カテゴリーが人を一方的に説明する前に、日常の複雑さを社会へ返すための民族誌をつくります。
私がクラウドファンディングに挑戦するのは、この研究を大学の内側だけで完結させず、研究協力者や、移住者とともに働き、学び、暮らす人びとと育てる公共的な民族誌にしたいからです。
人文社会科学の調査では、長期的に日常へ通い、関係を築き、語られなかった変化を追うための交通費や記録・文字起こし費用が不可欠です。また、身体感覚を伝える写真・映像の撮影・編集、協力者への謝礼、ワークショップや展示の開催にも費用も必要です。皆さまからいただいたご支援は、これらの調査・記録・共同確認・公開に活用します。
皆さまには、どのような社会なら人が出身を告げる前に身構えずにすむのかを、ともに問う仲間になっていただきたいと考えています。調査の過程と成果は継続的に報告し、最終的には博士論文、書籍、写真・映像、対話の場へつなげていきます。「外国人」として身構えてしまう身体の反応から、すでに共に暮らしている社会の姿を見直す研究に、力を貸してください。
信頼関係に裏打ちされたフィールドワークと、繊細な観察・記録、一つひとつの出来事を時間をかけて考え抜く姿勢は、閻さんの研究に厚みと説得力を与えるものです。出自や国籍をめぐる言説が先鋭化する日本社会において、在日中国出身者の日常を身体感覚や日常実践から丁寧に記述しようとする閻さんの研究は、人類学的知見に留まらず、足元から共生の条件を実証的に考える上で、重要な意義をもつものになるだろうと期待しています。
閻さんは学部生の頃から継続的に指導してきましたが、面談のたびに新たな発見や視点を持参し、自らの研究を着実に発展させてきました。知的好奇心と探究心にあふれ、現状に満足することなく前進し続ける姿勢が印象的です。また、人との信頼関係を築く力に優れ、相手に誠実に向き合う人間力は群を抜いています。日本で長く暮らす中国出身者が、自らの出自を語る際の身体的実践や日常経験を民族誌的に明らかにし、日本社会のあり方を問い直そうとする本研究は、こうした資質を十分に生かすものであり、学術的にも社会的にも大きな意義を持つ成果につながるものと確信し、強く推薦いたします。
いま日本社会は外国人労働者なくしては立ち行かなくなっています。そんな中、「外国人」というだけで嫌がらせを受ける場面を私は何度も見聞きしてきました。日本に愛着をもって生活している「外国人」はたくさんいますが、そういった人たちが日本でどう過ごしているのか、それを知る機会は限られています。しかし、民族誌(エスノグラフィ)という手法を使えば、彼らの等身大の姿を知ることができます。国籍にかかわらず共存する社会を築くための礎となるエン・メイロンさんの研究を応援します!
閻さんはアイデアファンドの人類学的な参与観察プロジェクトにリサーチャーとして参画しています。高い観察力と調査対象者との丁寧なラポール形成、多角的な分析力と記述力は非常に優れており、研究者として高い資質を備えています。日本で暮らす中国出身者を長年調査し、自身も当事者として問題に向き合ってきた経験は、本研究に独自の厚みを与えるでしょう。日中関係が重要性を増す今、その知見を社会へ開く意義は極めて大きいと期待しています。
| 時期 | 計画 |
|---|---|
2026年9月 |
9月1日、スポット型クラウドファンディングを開始する。個人への継続的な密着調査と継続的な聞き取りを実施する。月例企画の第1回として、出身や移動経験を語ることをめぐる対話会を開催する。 |
2026年10月 |
10月23日から27日に中国・温州で開催される「2026 International Society for the Study of Chinese Overseas Regional Conference(2026 ISSCO)」に参加し、研究成果を発表する。月例企画として、移民の身体感覚と日常生活をテーマとする小規模な写真展示・対話会を開催する。10月29日17時、スポット型クラウドファンディングを終了する。 |
2026年11月 |
11月27日・28日に国際基督教大学で開催されるEast Asian Anthropological Association Annual Meeting(EAAA)に参加し、研究成果を発表する。「故郷―中国国内の大都市―日本の大都市」という三地点間の力学に着目し、温州出身者が自らの移動経験と将来像をどのように語るのかを分析する論文を執筆する。月例企画として、移住や越境経験を扱う映画上映会と対話の場を設ける。 |
2026年12月 |
在日中国系若者によるコメディ実践をテーマとする論文を執筆する。月例企画として、移民ナラティブを笑いとして表現し、観客とともに考えるコメディイベントを開催する。フィールドワーク、学会発表、論文執筆、公開企画で得られた知見を整理し、研究協力者への確認とクラウドファンディング支援者への成果報告を行う。 |
ご支援への感謝を込めて、メールでお礼のメッセージをお送りします。
皆さまからいただいた応援を、今後のフィールドワークと研究成果につなげていきます。
このリターン実施は2026年10月を予定しています。
お礼のメッセージ
| リターン | 実施予定日 |
|---|---|
| お礼のメッセージ | 2026年10月 |
0人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
本プロジェクトで行った調査の過程と成果をまとめた、支援者限定の研究報告レポート(PDF)をお送りします。ご希望の方は、レポートの謝辞欄にお名前を掲載します。匿名での掲載も可能です。
このリターン実施は2027年3月を予定しています。
支援者限定の研究報告レポート+お名前掲載 / お礼のメッセージ
| リターン | 実施予定日 |
|---|---|
| 支援者限定の研究報告レポート+お名前掲載 | 2027年03月 |
| お礼のメッセージ | 2026年10月 |
0人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
ご希望の方を支援者限定のメーリングリストにご招待し、本プロジェクトの進捗に加え、今後の学会発表、研究会、論文発表、ワークショップなどの研究活動について定期的にご報告します。
また、本プロジェクトで行った調査の過程と成果をまとめた、支援者限定の研究報告レポート(PDF)をお送りします。ご希望の方は、レポートの謝辞欄にお名前を掲載します。
研究活動メーリングリストへのご招待+限定研究報告レポート / お礼のメッセージ / 支援者限定の研究報告レポート+お名前掲載
| リターン | 実施予定日 |
|---|---|
| 研究活動メーリングリストへのご招待+限定研究報告レポート | 2026年11月 |
| お礼のメッセージ | 2026年10月 |
| 支援者限定の研究報告レポート+お名前掲載 | 2027年03月 |
0人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
本プロジェクトのフィールドワークから見えてきたことをお話しする、支援者限定のオンライン民族誌カフェにご招待します。
「外国人」として身構えるとはどのような経験なのか、移動する人びとが制度や周囲のまなざしとどのように向き合っているのかを、具体的なエピソードを交えてご報告します。質疑応答を含め、約90分を予定しています。2027年2月を予定しています。
オンライン民族誌カフェ / お礼のメッセージ / 支援者限定の研究報告レポート+お名前掲載 / 研究活動メーリングリストへのご招待+限定研究報告レポート
| リターン | 実施予定日 |
|---|---|
| オンライン民族誌カフェ | 2027年02月 |
| お礼のメッセージ | 2026年10月 |
| 支援者限定の研究報告レポート+お名前掲載 | 2027年03月 |
| 研究活動メーリングリストへのご招待+限定研究報告レポート | 2026年11月 |
0人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
調査中に記録したフィールドノートをもとに、日常の何気ない場面から社会の仕組みをどのように読み解くのかを体験する、少人数制のオンラインワークショップにご招待します。個人が特定されないよう資料を加工したうえで、参加者の皆さまと一緒に民族誌的な分析を行います。約90分を予定しています。
2027年2月実施する予定です。
フィールドノートを読む少人数ワークショップ / お礼のメッセージ / 支援者限定の研究報告レポート+お名前掲載 / オンライン民族誌カフェ / 研究活動メーリングリストへのご招待+限定研究報告レポート / 公式研究サポーターとして研究HPにお名前掲載
| リターン | 実施予定日 |
|---|---|
| フィールドノートを読む少人数ワークショップ | 2027年02月 |
| お礼のメッセージ | 2026年10月 |
| 支援者限定の研究報告レポート+お名前掲載 | 2027年03月 |
| オンライン民族誌カフェ | 2027年02月 |
| 研究活動メーリングリストへのご招待+限定研究報告レポート | 2026年11月 |
| 公式研究サポーターとして研究HPにお名前掲載 | 2026年11月 |
0人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
本研究を継続的に支えてくださる「公式研究サポーター」として、個人研究HPの特設ページにお名前を掲載します。移動する人びとが「外国人」として身構えずに暮らせる社会を目指す本研究へのご賛同の証を残します。個人名のほか、団体名・企業名での掲載も可能です。掲載内容は事前に確認し、匿名または掲載なしも選べます。2026年11月から2029年3月まで掲載予定です。
公式研究サポーターとして研究HPにお名前掲載 / お礼のメッセージ / 支援者限定の研究報告レポート+お名前掲載 / オンライン民族誌カフェ / フィールドノートを読む少人数ワークショップ / 研究活動メーリングリストへのご招待+限定研究報告レポート
| リターン | 実施予定日 |
|---|---|
| 公式研究サポーターとして研究HPにお名前掲載 | 2026年11月 |
| お礼のメッセージ | 2026年10月 |
| 支援者限定の研究報告レポート+お名前掲載 | 2027年03月 |
| オンライン民族誌カフェ | 2027年02月 |
| フィールドノートを読む少人数ワークショップ | 2027年02月 |
| 研究活動メーリングリストへのご招待+限定研究報告レポート | 2026年11月 |
0人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
文化人類学、移民研究、フィールドワーク、研究計画など、ご希望のテーマについてオンラインで個別にお話しします。研究に関する相談だけでなく、異文化経験や移動をめぐる問題についての対話にも対応します。事前にテーマを伺い、約60分実施します。
2026年12月〜2027年3月実施する予定です。
個別ディスカッション / お礼のメッセージ / 支援者限定の研究報告レポート+お名前掲載 / オンライン民族誌カフェ / フィールドノートを読む少人数ワークショップ / 公式研究サポーターとして研究HPにお名前掲載 / 研究活動メーリングリストへのご招待+限定研究報告レポート
| リターン | 実施予定日 |
|---|---|
| 個別ディスカッション | 2026年12月 |
| お礼のメッセージ | 2026年10月 |
| 支援者限定の研究報告レポート+お名前掲載 | 2027年03月 |
| オンライン民族誌カフェ | 2027年02月 |
| フィールドノートを読む少人数ワークショップ | 2027年02月 |
| 公式研究サポーターとして研究HPにお名前掲載 | 2026年11月 |
| 研究活動メーリングリストへのご招待+限定研究報告レポート | 2026年11月 |
0人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
大学、学校、企業、自治体、NPO、研究会などを対象に、本研究をもとにした講義または参加型ワークショップを実施します。内容は、対象者や開催目的に応じて事前に相談のうえ構成します。質疑応答を含め、約90分を予定しています。
2026年12月〜2027年3月実施します。
オンライン講義・出張講義・ワークショップ / お礼のメッセージ / 支援者限定の研究報告レポート+お名前掲載 / オンライン民族誌カフェ / フィールドノートを読む少人数ワークショップ / 公式研究サポーターとして研究HPにお名前掲載 / 個別ディスカッション / 研究活動メーリングリストへのご招待+限定研究報告レポート
| リターン | 実施予定日 |
|---|---|
| オンライン講義・出張講義・ワークショップ | 2026年12月 |
| お礼のメッセージ | 2026年10月 |
| 支援者限定の研究報告レポート+お名前掲載 | 2027年03月 |
| オンライン民族誌カフェ | 2027年02月 |
| フィールドノートを読む少人数ワークショップ | 2027年02月 |
| 公式研究サポーターとして研究HPにお名前掲載 | 2026年11月 |
| 個別ディスカッション | 2026年12月 |
| 研究活動メーリングリストへのご招待+限定研究報告レポート | 2026年11月 |
0人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
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